天使の薔薇「ガブリエル」の栽培記録【栽培してわかった特徴と注意点】

河本バラ園の河本純子さんが作出した天使の薔薇「ガブリエル」。

2020年に我が家にもお迎えし、自宅での栽培をスタートさせました。

薔薇栽培家の中では、比較的難易度の高い薔薇として位置づけられてはいますが、今年は今までに培った自分の薔薇栽培・管理の技術を確かめてみたいという意気込みでチャレンジしました。

この記事では、私が実際にガブリエルを栽培して気付いたことや、栽培の工夫などを紹介させていただきたいと思います。

私が考えるガブリエルの栽培ポイントは以下の3つです。

①肥料は少なめにしてうどんこ病を抑制すること

②枝が細いので支柱でサポートすること

③香りが強いのでコガネムシの対策は必ず行うこと

このポイントの詳細を以下で詳細に説明させていただきたいと思います。

誰もが憧れる天使の薔薇「ガブリエル」

ガブリエルの作出について

2008年に女性育種家の河本純子さんによって作出・発表されました。

河本バラ園の人気シリーズ「ヘブン・シリーズ」の一つとして発売されています。

ガブリエルは神話に登場する大天使の一人で、「ミカエル」「ガブリエル」「ウリエル」「ラファエル」が四大天使です。

受胎告知で「神の言葉を伝えるメッセンジャー」としての存在でも有名です。河本バラ園のヘブン・シリーズには上で書いた四大天使の名を冠した薔薇があり、それぞれが素晴らしい薔薇でどれも人気品種になります。

ガブリエルは薔薇園では栽培されていない

毎年春になると、各地の薔薇園に足を運ぶのですが、実はガブリエルを薔薇園で見たことがありません。

下で紹介しますが、耐病性が少し低いので、野外の野ざらしの条件だと病気になる可能性も高いため、薔薇園でも植え付けを避けているのかもしれません。

薔薇園で栽培されている薔薇の多くは、耐病性が強かったり、修景薔薇と呼ばれる花の開花回数や花の数が多い品種です。

そのため、現物を薔薇園で確認することはできないと思います。

もし、購入を検討されている方は、薔薇園ではなく薔薇苗の専門店さんに問い合わせてみると良いと思います。苗が販売されていれば、春や秋のシーズンに開花の様子を見ることができます。私も最初にガブリエルを見たのは、ショップで販売されている苗でした。

育ててわかったガブリエルの特徴

ガブリエルの特徴は、河本バラ園さんのHPを見れば載っているのですが、実際に自分で植え付けから開花まで育ててみてわかる特徴をお伝えしたいと思います。

ガブリエルの枝は非常に繊細

まず、ガブリエルを象徴とするのは繊細な枝です。

「こんなに細い繊細な枝に花を咲かせるの?」というくらい細い枝にも大きな蕾を付けます。そのため、枝が蕾が付くまでは直立に育つのですが、蕾が大きく成長するにつれて、重みで若干横張の樹形になります。この点は、下で紹介する実際に育てた記録の項目でも紹介します。

誰もが認める素晴らしいブルー系の香り

香りについては、素晴らしいの一言。私はブルームーンという薔薇の香りが最も好きだったのですが、それを超えるような香りです。これはブルー系と呼ばれる薔薇の香りの中で、最高峰では無いかと思えるような香りです。

ガブリエルの香りを妻や子供にかいでもらっても、その素晴らしい香りに驚いていました。そして強い香りなので、玄関先に置いておくと、素晴らしい香りを放ってくれます。

ただし、その素晴らしい香りは虫さんも大好きなようで、虫に一番狙われやすい薔薇でもあります。

花の大きさと形について

花の大きさは春の一番花で直径8cmくらいです。直径10cmもありませんので、中輪の部類になります。

ロゼット咲きと呼ばれる花の形で、咲き始めは周りが美しいホワイトなのですが、咲き進むと中から淡い紫色が顔を出します。

蕾が開いてから開ききるまで、色の変化に驚きました。最初は白かったので、育て方に問題があったのかな?と思っていたのですが、後からしっかりと紫色が出てきてくれました。

この白と薄紫のグラデーションは、ガブリエルにしか出せない色だと思いますし、色の変化を見ると神秘的に思える美しさです。

樹形と株の大きさについて

ガブリエルは大きく育っても樹高が約1mくらいです。

蕾が付くまでは基本的に直立で育つので幅は60cmくらいですが、蕾が付いて枝が垂れ下がってくると横に張って幅80cmくらいになります。

狭いスペースで育てたい方は、開花の時期だけ支柱などで枝が垂れ下がるのを支えてあげれば問題ないです。

耐病性が低いので軒下で育てることをお勧めします

ガブリエルは本当に素晴らしい薔薇なのですが、耐病性が弱いです。

私が育てている薔薇の中で、実はうどんこ病を発症した薔薇は今までありませんでした。黒星病は毎年出るのですが、奇跡的かもしれませんが、うどんこ病とは縁が無かったのです。

しかし、ガブリエルだけはうどんこ病が出てしまいました。下の写真にあるように、主に出たのは蕾の付け根の部分です。1, 2枚の葉にもうどんこ病が出ていましたが、葉の方はそれほど重症な状況ではありませんでした。

ガブリエルの蕾のうどんこ病

ただし、蕾にうどんこ病が出たとしても、写真の様に蕾が開いて花を咲かせてくれるので、蕾を除去する必要ないと思います。せっかく蕾を付けてくれたので、綺麗な花を楽しみましょう。花が咲いて楽しんだ後に剪定して切れば、うどんこ病の部分は無くなります。

ガブリエルがうどんこ病に罹らないための栽培方法として、私が実践していることは肥料の管理です。基本的にガブリエルのうどんこ病は、肥料を与え過ぎると出始めることを経験しています。しかし、肥料を与えないと花を咲かせてくれないので、肥料は必要最低限の量で管理しています。例えば、薔薇の液体肥料は希釈して与えるものが多いですが、希釈倍率を規定倍率の1.5倍くらいに薄めて与えています。それでも上記の様にうどんこ病が出てしまうことがあるので、ガブリエルの肥料の与え方は、皆さんの管理環境ごとに最適な量を探っていくしかないかと考えます。


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ガブリエルのお迎えと植え替え

2年生大苗での購入が安心

私がお迎えしたガブリエルの苗は、2020年冬に2年生の大苗で購入をしました。

ガブリエルの新苗は手に入るのかわからないのですが、基本的に大苗での販売になっていたと記憶しています。ただ、ガブリエルの様に少し樹勢の弱い薔薇は、大苗で購入する方が絶対に安心です。

下記の写真は私がお迎えしたガブリエルの大苗っです。私が大苗を購入した時期が少し遅かったため、既に春に向けた芽吹きが始まっておりました。蕾も出てきそうな花枝がいくつか見られます。

お迎えした薔薇のガブリエル

栽培用の鉢へ植え替え

苗を購入した後に8号鉢に植え替えを行いました。

基本的に販売に使われる鉢は小さいので、購入後すぐに一回り大きな鉢に植えてあげて下さい。その方が根の張りが良く、新梢も出やすくなります。

既に芽吹きが始まっている株なので、販売時のポットから取り出した時には根鉢を崩さず、そのまま新しい鉢に入れ替えて、薔薇用の土を足していきましょう。

新芽が芽吹き始めている苗は、既に生育期に入っている証拠なので、根を切りすぎると育成に影響が出てしまう可能性が高いです。芽吹きの始まった薔薇は、その環境に合わせて蕾を成長させていくので、この時期に根を触り過ぎると急な環境変化で蕾の数が減ってしまうことがあります。

土にはオルトランDXを混ぜ込んで、害虫対策をしました。植え替えが終わったら、根の張りを良くするために活力剤も与えておきます。

土作りは下の別記事で紹介しています。

植え替え後のガブリエル

管理場所は玄関前の特等席!

ガブリエルの管理場所は、購入前からずっと決めていました。

玄関先の軒下です。

上記の通り、耐病性があまり無いことがわかっているので、なるべく雨に濡れないように、かつ日光を浴びせてあげられる場所は南向きの軒下が一番だと思います。

また、軒下でも朝日が当たる場所がベストですね。お客様をお迎えする玄関の特等席に陣取ってもらい、素晴らしい花を開花してもらいましょう!

ガブリエルの栽培記録 (2020年)

2020年4月初旬: 蕾が確認できました

植え替えを行ってから1週間後のガブリエルの様子です。小さな蕾が無事に顔を出しました。

蕾が出てきたガブリエル

植え替えが何事もなく完了していた証拠です。

植え替えの直後は、育成不良になっていないか心配になるのですが、蕾が顔を出してくれていれば、植え替えが成功し順調なサインです。

蕾は出てきているのですが、他の薔薇に比べると、花首の枝の細さが私が管理する別の薔薇と全然違います。

他の薔薇はもう少し枝が太いのですが、ガブリエルは非常に細い繊細な枝の先に蕾を付けています。

風で折れてしまわないか心配になる細さです。この繊細な茎から、あの繊細な薔薇が咲くのですね。

2020年4月下旬: 蕾が大きく膨らんできます

蕾がどんどん大きくなるとともに、一つの花枝から複数の蕾が出てきました。

本当に細い花首に大きな蕾が成長していきます。これからさらに蕾が大きくなるのですが、支持できるのか…ちょっと不安だったりします。

本来であれば、摘蕾をすることが一般的なのかもしれませんが、今回は初めてのガブリエルの開花をたくさん楽しみたいので全て咲かせるチャレンジをしてみたいと思います。

蕾の大きくなったガブリエル

2020年5月初旬: 樹形を紹介しておきます

春の芽吹きが順調に進み、ガブリエルの株も葉・蕾ともに充実してきました。

参考のために、ガブリエルの樹形を写真で紹介しておきます。

樹形は素晴らしいと思いませんか!?個人的には、かなり綺麗な樹形だと感じています。花だけでなく樹形も美人さんに育ってくれると願うばかりです。花が楽しみです。

樹形の美しいガブリエル

蕾が多く展開しており、充実ぶりがわかります。今年は花を楽しみたいので、摘蕾を少なくして、咲かせてみようと考えています。

葉も青々としており、黒星病やうどんこ病も無く健康に育っております。

植え替えから1カ月の間に、ダコニールによる消毒とオルトランの散布を行いました。

2020年5月中旬: 待ちに待った開花の時

ガブリエルが無事に開花しました。

「待ちに待った日が来た!」という感じですね!

開花したガブリエル

本当に綺麗です。花弁にはフリルが掛かり、内側だけ淡い紫色にで「天使の薔薇」と呼ばれる理由がわかります。今年は摘蕾をしていないので、写真の花以外にもまだ10個ほど蕾が控えています。無事開花してほしいと願うばかりです。

一つ上の見出しで、樹形が素晴らしいというお話をしたのですが、開花すると花の重さに枝が耐えきれなくなり、下の写真の様にかなり横に張った樹形になってしまいました。

横張のガブリエル

こればかりは、繊細な枝を持つガブリエルにとって仕方ない事なのかと思います。咲き終わったらきちんと剪定してあげて、枝に無理な力が掛からないようにしてあげないといけませんね。

ガブリエルの開花時に判明した虫の問題

ガブリエルは素晴らしいブルー系の香りを持つ薔薇です。

しかも、香りが強く、香りが辺りに広がります。

そのため、虫に狙われる確率が格段に高いです!

春の開花の時期は、コガネムシなどが花に潜り込んでいたりすることがありますが、ガブリエルは他の薔薇よりも確実にコガネムシの飛来確率が高かったです。私はガブリエルのほかにも多くの薔薇を栽培していますが、コガネムシがガブリエルに目掛けて飛来しているのでは?と思うくらいです。

特に、大きなコガネムシではなく、体調が1cm位の小さなコガネムシが花の中に入り込んでいることが多かったです。ガブリエルを切り花にして楽しむ方は、花の中に虫が入っていないか確認したうえで、花瓶に飾るようにしてください。

私の栽培環境は市街地なのですが、それでも虫がたくさんやってきます。山に近い地域では、より虫が集まってくるかもしれませんので、毎朝のチェックが欠かせないかと思います。

ガブリエルの香りは人だけではなく、虫さん達も大好きなんですね。

2020年8月の開花は花姿が大きく変化

私の住む関西は8月の暑さがかなり厳しいのですが、そんな中で1輪だけガブリエルを咲かせてみました。

下の写真が2020年8月の開花の様子なのですが…

「これガブリエルですか?」と疑いたくなるくらい、春の開花時とは花の大きさや形、花弁数が異なります。

薔薇は春・夏・秋に大きさや形、色などが変わると言いますが、ガブリエルの場合には、春に比べると相当花の質が劣化すると言って良いかと思います。

夏の暑さには弱く、特に花の大きさや色に大きな影響が出ると言っても良いかと思います。

ガブリエルの特徴である神秘的な紫色の中心部は皆無でした。

2020年10月 花の大きさも色も回復

8月の開花が少し残念な結果だったので、秋には春の様な素晴らしい花を咲かせてくれるかと期待していましたが、無事に秋の花は美しいガブリエルに戻りました。

下に2020年10月の開花時のガブリエルの写真を載せておきます。

気候が涼しくなり、蕾もゆっくり成長したことによって、中心部の淡い紫色も復活しています。また花弁数も春と同じくらいの量になっており、花の大きさも春に劣らないものになっています。

2020年12月 晩秋のガブリエルと冬剪定

12月に入り、気温も一段と低くなる季節になると、ガブリエルの株にも変化が見え始めます。

薔薇が寒さから身を守るために糖度を上げている証拠です。

赤くならない薔薇もありますが、ガブリエルは枝が赤くなるんですね。

また、12月末になったら、株を完全に休眠へいざなうため、下の写真の様に葉を全て除去してしまいます。この状態で1月まで管理して、完全に株が休眠したら冬剪定を行っていきます。

12月末のガブリエルの様子

ガブリエルの冬剪定については、下のリンクの別記事で紹介しています。もしよろしければ、下のリンクから御確認下さい。


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ガブリエルが癌腫病に罹患 -癌腫除去作業-

2021年3月になりますが、ガブリエルが癌腫病に罹患していることが発覚しました。

癌腫病の大きさから推定すると、2020年の秋には既に癌腫病に罹患していたと考えられます。

2021年の薔薇のシーズンのスタートを前に、癌腫の除去作業を行いました。

その詳細は、下の記事でまとめています。

最後に -ガブリエル栽培のポイント-

今回の記事では、河本バラ園さんの「ガブリエル」という薔薇を育ててわかった魅力や注意点を御紹介させていただきました。

ガブリエルは少し栽培の難易度が高く、いわゆる「チャレンジローズ」という部類になるので、薔薇を始めた当初は購入を見送っていました。

そのため、薔薇の栽培を数年経験し、薬剤や肥料の与え方を学んだ上で、ガブリエルの栽培をスタートさせました。実際に育ててみると、やっぱり他の薔薇とは違い、大変だと感じる部分も多くありました。

上で御紹介した通り、ガブリエルの栽培でポイントとなるのは次の点です。

①うどんこ病に弱いので肥料は少なめにすること

②細く繊細な枝に大きな花を付けるので支柱で枝折れを防止すること

③香りが強く虫に狙われやすいので毎日のチェックを欠かさないこと

ガブリエルの花の美しさや香りを体験すると、大変な栽培・苦労した点などは忘れ去るくらいの魅力があります。これだけは、体験した方でないと味わうことができない素晴らしさです。

薔薇の初心者の方には、ちょっとお勧めはできませんが、薔薇の栽培を2年くらい経験した方であればチャレンジしてみる価値はあると思います。

天使の薔薇「ガブリエル」を、お家にお迎えしてみてはいかがでしょうか?

この記事が、ガブリエルを検討中の方に有益な情報となれば幸いです。

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