ミニ薔薇を立派な株に育てる手順 -鉢植え栽培での実例-

私が以前公開した記事 (下のリンク) で、ミニ薔薇を地植えで大きく育てた実例を紹介しました。

この記事の中では、地植えにする際の注意点などをメインに記載していたのですが、ミニ薔薇の成長を詳細に記録した記事とは言えませんでした。

そこで、今回はミニ薔薇を大きく育てる手順について、誰もが実践しやすい鉢植えを用いた場合を例に挙げて紹介したいと思います。

ミニ薔薇は小さな挿し木苗で販売されていることがほとんどですが、適切な栽培方法で根気よく育てると、非常に立派な株になります。

花が終わったミニ薔薇を処分される方が多くいると聞いたことがありますが、それは本当にもったいない事です!

ミニ薔薇は、上手に育てれば、長期間の栽培を楽しめるガーデンプランツです!

ミニ薔薇を手にされた皆様、是非大きな株に育てるチャレンジをしてみて下さいね!

記事の中では、なるべくわかりやすく手順を説明していきたいと思います。

【注意点】本記事で紹介する内容は、筆者がミニ薔薇栽培で実践している内容となります。あくまでもミニ薔薇栽培の一例となります。栽培環境やミニ薔薇の品種によっては、栽培方法が異なる場合もある点は御注意ください。


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大きく育てやすいミニ薔薇の特徴 (個人的な意見)

薔薇と同じように、ミニ薔薇にも様々な品種があります。

有名な品種からマイナーな品種まで含めると、とても覚えきれないくらいの品種の数です。

私自身、多くのミニ薔薇を育ててきましたが、特に大きく育てやすい品種には以下の様な共通点があると考えています。(あくまでも個人的な見解です。)

① 花が大きい (蕾が立派な) 品種

② 茎が太い品種

③ 葉が大きな品種

園芸を趣味にされている方であれば園芸店で頻繁にミニ薔薇を見かけると思うのですが、その際に、

「このミニ薔薇は花 (蕾) が大きいな!」

「このミニ薔薇は枝がしっかりしているな。」

と思えるミニ薔薇を見たことがあるのではないでしょうか?

中には非常に細い枝で花も小さなものがありますが、そのようなミニ薔薇は生育が旺盛では無いものが多いと感じます。また、病気やハダニに弱い傾向にあると思います。

以下で記すように、今回の記事で栽培した「アロハ」という品種は、上の①②③に当てはまる強そうな品種でした。

ミニ薔薇「アロハ」を使って育て方を紹介します

さて、本記事で栽培を紹介するミニ薔薇の品種について紹介します。

上の項目でも記しましたが「アロハ」という品種になります (下の写真参照) 。

このアロハの写真をよく見てみて下さい。

ミニ薔薇にしては、かなり大きな蕾が付いていることが分かると思います。

また、蕾が付いている茎を見て見てもかなり立派な茎を持っていますし、葉も大きく青々としたものを持っています。

これだけ立派な蕾・茎・葉を形成できるということは、アロハの樹勢が強く、株が大きく育つサインだと考えています。

このアロハは、1つのポットに5本の挿し木苗が入って販売されているもので、初春に購入したものです。

以下で、このミニ薔薇を大きな株に育てる方法の詳細を紹介していきます。


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手順① 購入後は植替えて摘蕾をする -ビニールポットで栽培開始-

まず最初になりますが、購入したミニ薔薇は、必ず植え替えを行います。

単に大きな鉢に植え替えるのではありません。

下の写真に示すように、販売用のビニールポットに植えられた複数の挿し木苗を分離して、それぞれを個別のビニールポットで育てていきます。

販売されているミニ薔薇の多くは、ビニールポットに複数の挿し木苗が入っていますが、ビニールポットの中ではミニ薔薇の根が混雑した状況です。

それぞれの株が根をしっかりと伸ばすのに十分なスペースが無いため、株の成長が遅くなるだけでは無く、株自体が大きく育ちません。

次の写真が、それぞれの挿し木苗を1つずつビニールポットに植えたものになります。

小さな挿し木苗であれば、ビニールポットでしばらくの間は栽培が可能です。

急に大きな鉢に植替えても、逆に土が乾きにくくなり、ミニ薔薇の育成を阻害してしまいます。

そのため、最初のうちは、挿し木苗の大きさと根の張り具合に適した鉢 (ビニールポット程度の大きさ) で育てていきましょう!

また、もう一つ忘れてはならないことがあります。

それは、摘蕾です。

摘蕾とは、蕾を摘み取って (切り取って) 除去してしまう事を示します。

植物にとっては、花を咲かせるという行為は最もエネルギーを使う重労働になります。

そのため、花を咲かせるとエネルギーの大半を開花に持っていかれてしまうため、株の成長を阻害してしまう事になります。

ミニ薔薇を早く大きく育てるには、株の成長を促進しなければなりませんので、しばらくの間は蕾が形成されても摘蕾してしまうという作業を続けていきます。

下の写真に示すように、蕾の少し下のあたりで切り取ってしまいます。

全ての挿し木苗の蕾を摘蕾した後の様子が次の写真となります。

茎と葉だけの状態になりました。

この状態がミニ薔薇育成のスタート地点となります。

ここから、水やりと施肥を怠らずに根気よく育てていきます。

手順② 蕾が出てきたら摘蕾して株の成長を促進

ミニ薔薇は比較的成長が速い植物で、摘蕾をするとすぐに次の新芽が成長してきます。

下の写真は、購入当時と2カ月後の様子を比較したものとなります。

赤い新芽がぐんぐん成長して、葉の数も枝の数も増えていることがわかります。

ここまで成長すると、ミニ薔薇は次の開花に向けて新しい蕾の形成を始めます。

次の写真は、新たに形成された蕾の様子ですが、この蕾も上記の通り、摘蕾をして除去します。

蕾を摘蕾するタイミングが遅くなれば遅くなるほど、蕾に栄養・エネルギーを吸収されてしまうため、株の成長が妨げられると思って下さい。

ミニ薔薇を大きく育てるには、日々の観察の中で早めに蕾を発見して摘蕾することが重要となります。

基本的に、春から夏の終わりまでは摘蕾を繰り返して、株の成長を促していきます。

その中で、株が大きく成長してきたら次の手順で紹介するように、鉢のサイズを大きくして管理していきます。

記事の後半でも紹介しますが、適した鉢サイズに鉢増しすることで、さらにミニ薔薇の株が大きく成長するようになります (根の張り具合と地上部の大きさは基本的に比例して大きくなっていきます) 。

ミニ薔薇を大きく成長させるために最も重要な作業が、鉢増しだと言っても過言では無いと思います。


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手順③ 【重要】株が成長してきたら鉢増しの作業

ミニ薔薇が成長してくると、小さなビニールポットで栽培を続けることが難しくなります。

また、ビニールポットは基本的には栽培に適していないので、少し大きな鉢に植替え (鉢増し) を行います。

ミニ薔薇を大きく育てるためには、この鉢増しの作業は必須です。

小さなビニールポットでは、根の成長が妨げられてしまうため、地上部も大きく育つことが出来ません。植物を大きく育てるなら、適した鉢に鉢増しをしていくことが基本作業となります!

今回は、下の写真の通り、ビニールポットよりも一回り大きな鉢 (直径 約14cm) を用意しました。

ビニールポットからミニ薔薇を引き抜いてみると、次の写真の様に、白い根がしっかりと張ってきている状態です。

この根をしっかりと伸ばしてあげるために、鉢増しの作業が必要になってくるわけです。

培養土は、ミニ薔薇用や薔薇用の通気性の良いものを使用してあげて下さい。もし、手元に無ければ、一般的な培養土に赤玉土を混ぜて、通気性が少し良くなる改善をしてあげると良いかと思います。

そして、実際に鉢増しを行った後の状態が次の写真です。株の大きさと鉢の大きさのバランスが良くなりましたね。

この鉢増しの作業は、株の成長に合わせて定期的に行うことになります。

ミニ薔薇をどこまで大きく成長させたいかによっても鉢増しの回数は変わりますが、7号鉢や8号鉢に育てるには、少なくともあと1回か2回は鉢増しの作業が必要になりそうです。

手順④ 夏の間は剪定・芽かき・摘蕾を行って株の管理を行う

ミニ薔薇は、生育旺盛な植物のため、放置しておくと知らぬ間に蕾を形成していたり、葉の密度が高くなっていたりします。

特に6月に入って気温が上がると、その傾向が顕著になります。

上で鉢増しを行ったミニ薔薇ですが、鉢増しから20日ほど経過した時の様子が下の写真となります。

鉢増しを行った事で、株の育成がさらに進み、葉の色も明確に鮮やかに変化していますね!

春に植替えや鉢増しを行うと、6月中旬から7月くらいにかけて、このような状態で成長が進んでいきます。それと同時に、蕾が顔を出す数も増えていきます。

上記の通り、蕾を成長させると、株の成長にエネルギーが使えませんので、蕾を適宜摘み取ってしまいます。

また、葉の量も多くなるので、適切に葉も除去してあげて、風通しが良い状態を常に維持しながら育てていきます。

葉の密度を適正に保つことで、ハダニの急激な蔓延や病気の予防になります!

枝や葉の数が多すぎると思ったら、芽かきを行って、新芽の数自体を抑制するというのも一つの手段となりますね。

夏剪定を行って秋のミニ薔薇の開花を楽しみましょう!

春からミニ薔薇を大きく育ててきた時、秋に薔薇を咲かせるか否かについては、意見が分かれるところだと思います。

「年間を通じて全く花を楽しめないのは寂しいので、秋は花を咲かせたい!」という意見と、「薔薇を大きく育てるには我慢して開花させるべきではない!」という意見に分かれるのかと…。

私の考えとしては「好きにしたらいい!」です。

秋に咲かせるか否かについては、皆様一人一人の意見で決めて良いかと思います。

咲かせたかったら咲かせても問題無いと思います。

今回の記事では、春から秋にかけて株が大きく育ちましたので、秋の開花を楽しんで行きたいと思い、開花させてみることにしました。

夏の終わりの9月中旬になりますが、下の写真の様に、夏剪定を行いました。

夏剪定は伸びた茎を約半分くらいまで剪定してあげる作業になります。これを行うことで、秋の開花に向けた新芽の成長が始まります。

少し深く切り過ぎに見えるかもしれませんが、ミニ薔薇は生育旺盛で晩秋まで成長を続けるので、このくらい切っても問題はありません。

そして、下の写真が10月後半の秋のミニ薔薇開花の様子です。

鉢増しを行って株が立派に成長したことで、枝数が増えて蕾の数も多くなりましたね。

秋の深みのある赤色が映えるミニ薔薇が咲き揃いました。

あの小さな挿し木苗の一株が、約半年でこれだけ立派に成長してくれました。

鉢の大きさで株の大きさに大きな差が生まれます -実例-

今回、ミニ薔薇を育てていく上で、鉢の大きさを大きくして育てていきました (鉢増し) 。

実際、鉢増しをすることで、どのくらいの効果があるのか?と言うのを実験してみたので、その結果を紹介したいと思います。

下の写真は、本記事で紹介したミニ薔薇 (右側) と、小さなビニールポットのままで育てた場合のミニ薔薇 (左側) です。

両方とも同じポットに植えられて販売されていたアロハの株ですが (生育条件は多少異なりますが…) 、鉢増しをしたミニ薔薇の方が株のサイズが明確に大きいことがわかります。

鉢増しをしたことで根がしっかりと成長し、その結果として地上部が大きく成長したのだと言えます。

このように、ミニ薔薇を大きく育てるには、適切な鉢増しが必須であるということがお分かりいただけるかと思います。

「出開き」と「ブラインド」の対処について

ミニ薔薇が育成期である春から秋までの間ですが、どのミニ薔薇にも「必ず」と言っていいほど起こる悩み事項があります。

それが「出開き」と「ブラインド」です。

ミニ薔薇に限ったことでは無く一般的な薔薇でも頻繁に起こることですが、その対処方法について記載しておきたいと思います。

また、より詳細な説明は以下の記事でも紹介をしております。

「出開き」の対処について -風通しを改善する-

ミニ薔薇は育成が旺盛で、新芽の数が多いことが特徴的です。

しかしながら、芽吹いた新芽が全て成長して花を咲かせるか?というと、そうはいきません。

一部の新芽は上手く成長が進まず、葉だけが数枚展開した「出開き」という状態になっていることが多々あります。

下の写真で左側の写真に「出開き」の例を示していますが、ミニ薔薇の茎から新しい芽が生えたと思いきや、葉だけが展開して新しい茎が出て来ないような状態です。

「出開き」は重い病気や致命的な症状では無いので放置しても問題は無いのですが、ミニ薔薇にとってはデメリットになる場合があります。

そのデメリットは「風通し」が悪くなるということや、ハダニ等の害虫の蔓延を手助けしてしまう存在であるということです。

出開きはとても狭い空間に葉だけが大量に発生するため、風通しが悪くなる原因になります。

また、ハダニなどの害虫が発生すると、葉が密集しているため、あっという間に害虫の温床になる可能性が高くなります。

植物は葉が多い方が光合成が活発になり株の成長が良くなると言われますが、葉が多過ぎても問題が発生します。

株全体を見て、葉の量が十分にあるのであれば、出開きの部分は切除してしまいましょう!

上の写真で、右側の写真が「出開き」を除去したあとの状態ですが、葉の量が少なくなって風通しが良くなっていることが見て取れるかと思います。

「ブラインド」の対処について -次こそ蕾を付けてくれるように処理-

もう一つの「ブラインド」ですが、これは新芽が伸びたにも関わらず、その新芽の頂点に蕾が付かなかった症状を示します。

下の写真がその一例ですが、枝の先端には蕾が無く、成長が止まってしまっている状況です。

ブラインドとなった部分についても、出開きと同様で薔薇に深刻な問題が出る訳ではありません。

運悪く蕾が付かなかった枝と言う感じです。

そのまま残しておいても害は無いのですが、放置しておいても花は咲かないので、花を咲かせたい場合には切り戻しを行って新芽の成長を促進してあげて下さい。

また、ミニ薔薇を大きく成長させるために枝数を増やしたい場合にも、少し深く剪定してあげても良いかと思います。

この記事の終わりに

今回は「ミニ薔薇を大きく立派な株に成長させる」というタイトルで、実際に鉢植えでミニ薔薇を成長させる手順を紹介しました。

ミニ薔薇は、ビニールポットで小さな挿し木苗として販売されているため、花が終わると鑑賞期間が終了したと思い込み、そのまま廃棄してしまう方も多いと聞きます。

しかし、ミニ薔薇は摘蕾や鉢増しの作業を繰り返すことで、薔薇の様な立派な株に育つのが事実です。

私の経験上ですが、ミニ薔薇は大きな株に育てれば、花数が多くなるだけではなく、耐病性や害虫耐性も付いてきて栽培が楽になります。

1ポットに挿し木苗が4株か5株が入って500円で販売されているミニ薔薇ですが、大きく育てると長く栽培を楽しめる植物のため、コスパが非常に高いとも感じます。

ミニ薔薇を購入したら、是非大きく育てることにチャレンジしてみて下さいね!

それでは。

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