【薔薇】コガネムシから鉢植えを守る方法と被害に合った場合の対処

薔薇の病害虫の中で、根に甚大なダメージを与えてしまうのが、土の中に住むコガネムシの幼虫です。

コガネムシの幼虫は、新しく伸びた元気な新根ばかりを好んで食べるため、薔薇の養分・水分の吸い上げを阻害してしまい、育成不良や花付きの悪化を招きます。

この記事では、100円あればできる鉢底ネットを利用したコガネムシ対策を御紹介します。私は、この方法で鉢植えの薔薇を守っていますが、薔薇以外にも全ての鉢植えの植物に応用することができます。

また、実際に薔薇がコガネムシの被害に合った場合の対処方法もお伝えしたいと思います。


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薔薇の敵「コガネムシ」を知りましょう

コガネムシとは

コガネムシは甲虫目のコガネムシ科に属する昆虫です。

夏になると街灯の下や家の玄関先などで、ギラギラと光った体を持つコガネムシを見かけることがあると思います。

コガネムシの姿を見ても私は全く平気なのですが、園芸をされている女性の皆様には虫が苦手な方も多いと思いますので、本当に色々な意味でコガネムシは「大敵」なのかと思います。

コガネムシの写真1

体長は2cmから3cmくらいで、身体はコガネムシという名前の由来の通り、光沢を持った緑・茶色の体を持っています。

私は子供の時にカブトムシと同じように捕まえて虫かごに入れていましたし、私の子供も夏になるとよく捕まえてきます。

コガネムシの性格は温厚で、人を襲うようなことも無いので安全な虫なのですが、虫嫌いの方からすると嫌な存在でしかないでしょう。

コガネムシは幼虫が厄介者

コガネムシは土の中に卵を産み、その幼虫は植物の根を食べて成長します。

私は色々な鉢植えで何度被害に合ったことか…。植え替えの際など、幼虫を見るたびに「またか…」と一言が出てしまいます。

鉢植えの病害虫の戦いは「コガネムシの幼虫との戦い」だと私は思います。

コガネムシの成虫は花を食するので、花を食べてそのついでに土の中に卵を産んでいくことがあります。そのため、匂いの強い花は狙われますし、特に強香の薔薇は狙われやすい花木でもあるのです。

実際、私が薔薇を育てる前は、家の周りでコガネムシをそこまで見なかったのですが、薔薇を育ててからコガネムシを見る頻度が上がったのは事実です。

コガネムシの幼虫は本当に大食漢で、数匹で薔薇一株の新根を食べつくしてしまいます。私の管理している鉢植えの薔薇も被害にあったことが何度かありますが、根が無くなってしまうために薔薇の元気があっという間に無くなりました。

コガネムシの幼虫による具体的な症状としては、剪定後に新しい花芽も成長しにくく、花付きも悪くなり、見た目からして元気がない状態になりあmす。私の経験では、鉢を掘り起こすと3匹のコガネムシの幼虫が出てきたことがありました…。

コガネムシの幼虫は土の中にいる薔薇の敵なので、普段は見ることができません。薔薇は定期的に鉢から出すこともできませんので、コガネムシの幼虫は本当に厄介な害虫です。

ですので、コガネムシに卵を産ませないように、未然に薔薇の鉢をコガネムシから防御しなければなりません。

ちなみに、コガネムシの幼虫の見た目は、写真のようにカブトムシの幼虫と同じ形で、大きさを小さくしたような幼虫です。

コガネムシの幼虫

コガネムシの産卵期は意外と長い

コガネムシが卵を産む産卵期は、結構長いです。

梅雨明けの季節から夏の終わりまでが産卵期と言われています。

1カ月くらいかと思いきや2カ月~3カ月も続くので、その間は薔薇を防御してあげなければなりません。

実際、私の家の周りでも5月後半くらいから見られ始め、秋の深まる時期まではコガネムシの幼虫に対する対策をしています。具体的にはオルトランを撒いて、農薬での対策になります。

経験された方はわかると思いますが、夏の朝方、花壇にコガネムシの成虫を見かけると、鉢植えの中や地植えの薔薇の近くに卵を産んでいないか本当に心配でなりませんよね…。

昆虫というのは、外敵のいない夜間に産卵をするため、私たちが園芸のお手入れをする朝から昼間の時間帯は葉の裏や木の陰でじっとしています。

そのため、産卵するコガネムシを発見すること自体が難しくなります。

一度卵を産まれてしまうと、卵を発見することは困難ですし、成長期の薔薇を掘り返すこともできません。そのため、コガネムシに産卵される前に未然に防御をしておく必要があるのです。

コガネムシの幼虫は農薬でも退治可能

もしもコガネムシに卵を産まれてしまったことが分かった場合や、心配な場合には農薬で退治することが可能です。

上でも紹介しましたが、ホームセンターでも売られているオルトランという農薬です。

オルトランには赤色の袋と水色の袋がありますが、コガネムシに効果があるのは水色の方の「オルトランDX」です。

パラパラと鉢植えや地植えの草花・花木の周りに撒いておくだけで、薔薇が根からオルトランの成分を吸収し、害虫退治に効果があります。定期的に撒くことで防除の効果が続きます。

しかし、お子さんがいる御家庭では農薬を使うことへの心配がありますし、オルトランDXは農薬特有の嫌な匂いがします。ベランダで栽培されている方や、玄関先に薔薇を置いてある方にとっては、オルトランの臭いはちょっと不快な思いをしてしまいます。

できれば農薬を使いたくない!という方のために。100円でできるコガネムシ対策を以下で御紹介します。

薔薇を食べるコガネムシの写真

コガネムシに鉢内へ産卵させない工夫

鉢底ネットを有効活用した方法

私がここ何年か実践している方法ですが、園芸用鉢底ネットを使って、簡単にコガネムシの侵入を防ぐ方法を御紹介します。

園芸用の鉢底ネットは100円ショップでも売られているので、非常にお手軽に出来るコガネムシ対策になります。鉢のサイズにも依らず、設置可能な方法ですので是非導入してみてください。

用意するものは鉢底ネット (鉢のサイズに合ったもの) を2枚とクリップ (または針金) です。

これを図1 (b) に示すように、鉢のサイズに合わせて半円状に切ります。

コガネムシをブロックする方法の図
図1: 鉢底ネットを使ったコガネムシ侵入防止法

そして、中央付近に株元をセットする四角い穴も空けておきます。これを鉢植えの薔薇の株元に合わせてカバーしてしまいます。

そしてクリップや針金で鉢底ネットを軽く固定すれば出来上がりです。図1の下に、私の作った例の写真も付けておきます。

コガネムシをブロックした実際の写真

この方法は、鉢植えだけでなく地植えの薔薇にも使えます。少し鉢底ネットを使う量が多くなってしまいますが…。ただ、地植えの場合には侵入経路が広いので、農薬を使用する方が効率的かと思います。

また、5つほど作っておくと使いまわしもできるの便利です。

夜間は家のライトを消灯させる

もう一つの防御方法は虫の習性を利用した方法です。

コガネムシは夜行性のため、夜になると活動を開始します。

その夜間の時間帯は、コガネムシは街灯の明かりに集まる習性があります。この習性は他の虫も同じかと思います。

そのため、玄関先の灯りを一晩中使用しているような状態だとコガネムシが集まってくる原因になります。

勿論、防犯上必要な灯りの場合には消すことができませんが、もし消灯できる状況のものであれば夏から秋までは夜間のライトの消灯を励行しておきましょう。

私の家では門柱にあるライトを使っていたのですが、最近では薔薇を守る理由からほとんど使わなくなりました。我が家は、夜に来られるお客さんもほとんどいないので、電気代の節約にもなります。

開花した花は早めに剪定する

これも私が実践している方法なのですが、開花した薔薇の匂いに誘われてコガネムシが集まってくるので、開花した薔薇は早めに剪定するようにしています。

確かにしばらくは楽しみたいという気持ちはありますが、切り花で家の中で楽しむことができますし、薔薇の株を複数所有していれば、順番に咲いていくので、すぐに花が楽しめなくなるわけでないと思います。

実際、この記事のアイキャッチ画像 (トップ画像) のように、コガネムシが薔薇の花を食べているところを2度見たことがあります。

あの状況を見ると、速めに剪定してあげようという気持ちにもなります。


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コガネムシ幼虫の存在を疑う薔薇の症状

コガネムシの幼虫が鉢の中にいる場合、様々な症状が現れます。

私が経験したコガネムシ被害での薔薇の変化は次の3つの症状です。全て秋の開花シーズンに経験したことです。冬に土の入れ替えをすると、実際にコガネムシが出てきました。

  • 花の数が少ない
  • 株元がグラグラして安定感が無い
  • 鉢底から白根が出ていない

特に株元がグラグラすることと鉢底から白根が出てこないことの両方に当てはまる場合は、コガネムシを疑うに足りる条件かと思います。

また、上記の3つの症状以外にも、次の症状がでることがあるようです。

  • 葉が急に黄色や茶色に変色する
  • 新しいベーサルシュートおよびサイドシュートが現れない
  • 出開きやブラインドの量が多くなる
  • 花の大きさが昨年よりも確実に小さい

どの症状も根が被害に合うと出てくる症状になります。

ただし、コガネムシの幼虫がいない場合でも現れる症状もあるかと思いますので、すぐにコガネムシのせいにするのではなく、様々な面から原因を考えることが大切です。この記事では紹介していませんが、コガネムシ以外にもカミキリムシの幼虫 (テッポウムシ) もいます。

上でも書きましたが、コガネムシの存在を疑う症状としては、私の経験からすると株元がグラグラする事と白根が鉢底から出てきていないことです。その条件に合致して、さらにいくつかの症状に該当する場合、なるべく早めに鉢の中をチェックしたほうが良いかと思います。

コガネムシの被害にあってしまったら…

コガネムシの被害にあってしまっても、重症でなければ比較的早期に薔薇の根は復活してくれます。

安心してください、薔薇は結構強い植物です。

私が被害に合ったのは秋でしたので、冬の休眠期の時に幼虫を取り出しました。

もし生育期である8月, 9月に被害が判明した場合には、なるべく根を傷つけないように掘り起こしてあげるか、そのシーズンの薔薇はあきらめて冬の休眠期に取り出すようにしてあげて下さい。

鉢の中からコガネムシの幼虫を取り出して植え直してあげれば、新しい根を出してくれます。植え直した後は、完全に休眠期に入るまでは規定量よりも薄く希釈した活力剤を少し与えて様子を見ていきましょう。

コガネムシの被害にあったからと言って気を落とさず、すぐに出来る対応を施して、薔薇の生命力を信じてお世話を続けることが大切です。


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この記事のまとめ

この記事では、鉢底ネットを用いてコガネムシの幼虫から鉢植えを守る方法を御紹介させていただきました。

鉢底ネットは100円ショップでも販売されていますので、今回紹介させていただいた方法は、相当コスパの良い方法だと思います。

実際、この方法で対策をしてから私の育てている薔薇はコガネムシの被害がほとんどなくなりました。

皆さんが現在栽培している鉢植えの薔薇にも、すぐに導入できる方法だと思いますので、是非やってみてください。

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