ひと手間加えた薔薇の喜ぶ土作りを紹介

皆さんは、薔薇や園芸用に使用する土をどのように準備されていますか?

ホームセンターで売られている安価な培養土を使う場合もあるでしょうし、その植物に適合した専門の土を使う場合もあると思います。

しかし、買ってきた土をそのまま使うのと、ひと手間加えて使うのでは、育てる植物に対する愛着も違いますし、手間をかけて作った土の方が咲いた花を見る時に嬉しいですよね!

ここでは、私の行っている薔薇の土づくりについて御紹介させていただきます。薔薇だけではなく、水捌けの良い土を好む植物にも転用できる方法だと思います。

市販の培養土にひと手間加えるだけで、薔薇の根張りが改善する土作りができます。


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薔薇栽培に使われる土の種類

市販の「培養土」は土作りのベース

培養土の写真

培養土は花や野菜を育成するために人工的に配合された土で、砂・ピートモス・腐葉土などを混合して作られています。

各メーカーさんの配合により、使用されている原材料の配合比率が異なりますので、植物に必要な土の性能 (保水性・通気性・排水性) を考えて選ぶこととなります。

大別すると「草花専用の培養土」と「野菜専用の培養土」になるかと思いますが、中には「薔薇専用の培養土」や「観葉植物の培養土」、そして「蘭専用の培養土」等も販売されています。

それらの各種専門の土を使えば、誰でも概ね大きな問題が出ることなく各植物を栽培することができるかと思います。

しかし、この培養土をベースにひと手間加えることで、自分だけのオリジナルの土を作ることもできるので、アレンジの幅を広げてくれる大切なアイテムです。

言い換えれば、市販の培養土は、土を自分でアレンジする土台 (基本用土) になります。

一般的な市販の培養土は、基本的に保水性に優れ、通気性が若干悪い培養土が多い印象を受けます。

つまり、通気性が良いことを好む薔薇にとっては、少しだけ居心地の悪い土になってしまう可能性があるのです。

その点を改良するために、下で紹介する赤玉土や鹿沼石を混ぜ込んでいくことをお勧めします。

保水性と通気性の改善に「赤玉土」

赤玉土の写真

赤玉土は、薄い茶色および褐色の土で、粘土質の特徴を持った土です。

粒の大きさは極小粒、小粒、中粒、大粒と分けられて販売されており、用途に応じて使い分けることができる万能な土です。

薔薇の栽培に置いては、小粒以上のサイズを用いることで、土の中に隙間が多く含まれるようになり、通気性と排水性を向上させることができます。

また、赤玉土自体は粒の中に水分を保持する機能も持っているため、土の中の湿度を適度に保ってくれる能力がある万能な土となります。水はけを良くしたいけど適度な保水は欲しいという、薔薇の贅沢を叶えてくれる相性の良い土です。

土ではないが通気性向上に必須の「鹿沼土」

鹿沼土の写真

鹿沼土は、栃木県の鹿沼市で採取される軽石の粒になります。

土と呼ばれますが、軽石の一種で、非常に軽いことと粒の大きさが大きいので通気性を上げるのに適した土になります。

実際に手に取っていただくとわかるのですが、本当に軽い土 (石) です。

鹿沼土はバラの挿し木に使われる土でもあります。通常の培養土に比べると、細菌が土の中に存在することが少ないため、清潔な土壌の中で挿し木をできるというメリットがあります。

鹿沼土を培養土に混ぜることで、赤玉土と同様に、土の中の通気性を向上させることが可能です。

しかし、保湿性は赤玉土よりも悪いため、入れすぎると保水性が一気に悪くなる懸念があります。そのため、鹿沼石の使い過ぎは、夏の間の土の過度な乾燥を招く可能性もあります。そのため、使用量は控えめにしておくことをお勧めします。

薔薇の栽培の土は多くの場合、上記の「培養土」「赤玉土」「鹿沼土」を配合し、さらに肥料となる堆肥を混ぜることで完成させます。黒土やバークチップなど、他にも土はありますが、薔薇用としては「培養土」「赤玉土」「鹿沼土」を用意すれば培養土の基本は完成できます。

市販の安い園芸用土が薔薇に合わない理由

園芸用として販売されている安価な培養土は、比較的に保湿性・水持ちが高いものが多いため、乾湿の差にメリハリをつけて栽培する薔薇には適さないものが多いです。

薔薇自身が過湿を好みませんし、薔薇の根は土が乾くことで水分を探すために根を伸ばそうとします。そして、そこに水が与えられることで根が強く張り、株自体が充実したものになっていきます。

そのため、薔薇には通気性と排水性、そし適度な保水性を兼ね備えた土が必要になるのです。

薔薇専用培養土と書かれた土も販売されていますが、これもメーカーごとに性質が異なります。

そのため、市販の園芸用培養土はそのまま使うのではなく、自分の栽培環境に合うように改良してから使うようにしましょう。

例え「薔薇専用」と書かれた土であっても、皆様の栽培環境に合わせて自分なりにアレンジすることが理想だと思います。

水を含んだ時にもべちゃべちゃの状態にならず、ふさふさの状態が感じられるような土が一番適していると考えています。その配合方法の例を以下で紹介したいと思います。


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私の作る薔薇用土の配合

私がいつも配合している土ですが、下記の図の通りの配合比率となります。迷った方は参考にしてみてください。

基本となる培養土は、市販の安価な培養土です。薔薇専用ではなく、一袋数百円で入手可能な培養土です。

私の作る薔薇用培養土の混合比
図1:お勧めの土配合比率

まず、赤玉土の中粒と小粒を合計で半分くらい配合させます。これにより、通気性と水はけを改良します。赤玉 (中) だけだと、逆に土がスカスカになるような感じがあるので赤玉 (小) も混ぜ込んでいます。

鹿沼土を赤玉中粒の代わりに少し混ぜ込んでもOKだと思います。

これまで、この配合比でバラ栽培を進めていますが、薔薇が大きく元気を無くしたり、根の育成が妨げられたことはありません。

むしろ、この土で鉢植えにすると、鉢の下から白い根っこが大量に出てきて、鉢増しが頻繁にあります。また、つる薔薇、半つる薔薇、直立性の薔薇、ミニ薔薇の全てにこの土を使っていますが、どれも健全に育ってくれています。

バラだけではなく、クレマチスにも使用したことがありますし、球根植物のアイリスやフリージアに使用したこともあります。

薔薇の参考書によっては、培養土の比率が少し低いものもあります。しかし、あまり培養土を少なくしすぎると、夏に水持ちが悪くなる傾向を感じ、培養土を4の比率で作るようにしました。

夏のお盆の短期旅行の時に、水持ちが悪くて水切れを落としてしまったことが改良のきっかけでした。元肥として堆肥を使っていますが、定期的に薔薇専用の化成肥料も与えて栄養補給しています。

自分で作った土で育てる薔薇は格別

自分で配合した土で育てた薔薇は、自分の子供を育てるように大切にするものです。

そのため、開花した時にはひときわ薔薇の花が綺麗に見えるものです。

土づくりには失敗も成功もありますが、薔薇の花が立派に咲いたときには、失敗したことは忘れてしまいますね。

日本は九州・沖縄から北海道まで、気候が少しずつ異なる国土を持ちます。そのため、その地域ごとに最適な土は異なります。

太平洋側の温暖な気候の土、盆地の厳しい夏、東北・北海道の厳しい冬…。私の住む地域は温暖な地域ですので、日本国内では一般的な栽培条件になります。

自分の住む地域の気候に合わせた土作りというのも薔薇栽培の楽しみを広げてくれる一つの要素だと思います。

さぁ、来年は皆様の住む地域に合わせて、土づくりをしてみてはいかがでしょうか??

薔薇の花束
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