薔薇の宿敵…ハダニ…
薔薇を育てている方の多くが、毎年の様に悩まさせるのではにでしょうか?
ハダニが発生した薔薇の葉は、元気で美しく瑞々しい緑色が変色し、黄緑色となり水分が少ないパサパサの状態になってしまいます。
では、ハダニの被害を受けた葉は残しておくべきなのでしょうか?それとも除去してしまうべきなのでしょうか?
これは管理される方によって差が出るところだとは思いますが、この記事では私なりの考えをまとめておきたいと思います。
ハダニ被害の葉の例
ハダニ被害を受けた葉は、薔薇を育てられている方であれば見慣れたものかもしれませんが、一応、例を写真で紹介しておきます。
ハダニの被害を受けた葉は、上の写真に示すように葉の色が黄色や黄緑色に変色し始めます。
また、葉の厚みも薄くなり、かつ葉の水分が抜けてパサパサの乾燥した状態になってしまいます。
さらに被害が進行すると、葉の裏や枝にハダニが出した細かい糸が見られるようにもなります。これはハダニが昆虫ではなく、クモの仲間である証拠です。
そのため、ダニの退治のためには、オルトランなどの通常の殺虫剤では対応が出来ず、ダニ専用の薬剤が必要になります。
このような黄色くなった葉が出てきたら、早め早めにダニ用の薬剤を使用して薔薇の葉を保護してあげて下さい。
ハダニ被害でなぜ葉の色が変化するの?
ハダニは薔薇の葉から養分を吸引して生活しています。
薔薇の葉が緑色に見えるのは、葉緑体の中にあるクロロフィルによるものですが、ハダニはこの葉緑体の中から養分を吸収するため、どんどん葉緑体とクロロフィルが崩壊していきます。
その結果、緑色の色素が抜けてしまい、葉が枯れたような黄緑色や黄色に変色していくのです。
勿論、葉が単純に枯れただけの場合もありますが、健康な薔薇であれば急に枯れるようなことはありませんし、葉の変色はハダニの存在を疑う方が自然かと思います。
怪しかったら葉の裏を確認して、小さく動くものがいないか確認しましょう。
被害を受けた葉は残しておくべき?
さて、本題ですがハダニの被害に合った葉は残しておくべきか?という疑問ですが、私は程度によって除去する場合と除去しない場合に分けています。
まず、ハダニの糸が絡んでいるような葉は全て除去します。
そして、被害を受けて葉の50%以上が黄色くなっているような葉も除去します。
それ以外の場合には、なるべく残すように心掛け、残した葉には殺ダニ剤を散布して被害の拡大を食い止めるようにしています。
しかし、ハダニの影響を受けた葉は、次のようなリスクを含んでいるので、なるべく除去したほうが良いのかもしれません。
耐病性が落ちている可能性が高い
葉緑体を失い、黄色くなった葉というのは「健全な状態」の葉ではありません。
健康に育っている葉は、表面がコーティングされているように艶やかで、いかにも丈夫そうに見えるのですが、葉緑体が傷ついてしまっているような葉は、黒星病に罹りやすいと言って良いかと思います。
私の経験上ですが、ハダニが発生した後に、殺ダニ剤を使用してハダニを退治した後、黒星病予防の薬剤を散布すると、実は黒星病に罹っていることが判明することがあります。
黒星病に罹った葉に薬剤を散布すると、黒星病に罹った場所の周囲が黄色く変色します。この黄色の変色は薬が効いている証拠だと言われていますが、ハダニの被害に合った後に薬剤散布をすると、このような黄色の変色や黒星病による黒点が出てくることがあります。
つまり、ハダニ被害を受け耐病性が悪化した葉に黒星病が併発しているということになるかと思います。
そのため、ハダニ被害に合った葉は、黒星病に罹りやすいと言っても良いかと考えています。その意味では、新しい芽が出て、新しい葉が出てきたら、ハダニ被害を受けた葉は除去する方が良いのだと思います。
再びハダニの被害にあう可能性が高い
これも良くあることです。
ハダニの退治をしたのに、またハダニが再発します。
ハダニに狙われやすい場所というのは決まっていて、乾燥・風通しが悪い・高温になりやすい場所です。これがハダニの発生いやすい環境の3点セットです。
そのため、このような場所でハダニが発生したら、再び被害が出る可能性あり、特に一度被害に合って弱った葉が狙われます。
この3点セットのうち、一つでも解消できればハダニの発生を抑制できる可能性があります。
その意味で、ハダニ被害を受けた葉を除去するというのは、風通しを良くする意味があるのです。
近日中に枯れ落ちてしまう可能性が高い
これも経験することですが、ハダニ被害を受けた葉は、近いうちに枯れ落ちてしまう可能性が高いです。
特に株元に近い位置にある葉は、栄養分を優先的にもらうことが出来ないため、健康な状態を維持することが難しく、枯れ落ちる可能性も高いです。
そのため、株元に近い位置にあるハダニ被害の葉は、早い段階で除去する方が健全な薔薇の育成に寄与してくれると考えて良いかと思います。
私自身、株元に近い葉がハダニ被害に合ったら、全て除去してしまうようにしています。
ハダニの被害を受けた葉を除去するメリット
上でも記載しましたが、乾燥、風通しが悪い、高温環境というのは、ハダニが発生しやすい3点セットの状況になります。
この3点セットのうち、一つでも解消できればハダニの発生を抑制できる可能性があります。
例に出すと、薔薇のハダニ被害は、成長点のある枝の先端ではなく、株元に近い位置ではないでしょうか?
成長点のある先端は、風通しが良く、雨に濡れやすく、かつ葉の状態も健康なものが多いのでハダニの好きな状況 (風通しと乾燥) を2つクリアしています。そのため、被害を受けにくいのです。
葉がハダニの被害を受けるということは、それだけハダニに好かれる環境になっているということのサインです。
特に株元は葉が込み合いやすく、雨にも濡れない環境が出来ているため、ハダニ被害に合った葉を除去して、環境を改善してあげることが重要だと思います。
つまり、ハダニの被害を受けた葉を適切に除去することは、メリットが大きいと私自身は考えています。
株元をすっきりさせておくことはハダニ抑制に必須
このブログの別の記事で、ハダニの大被害を受けたミニ薔薇について、株を回復させることを紹介したものがあります。以下の2つの記事です。
これらの記事でも紹介していますが、株元をすっきりとさせておくことはハダニの抑制に非常に効果が高いと感じます。
実際に、ハダニの被害に合ったミニ薔薇の株元を改善した写真が下の写真ですが、株元の出開きやブラインドとなった芽は除去して、すっきりとさせています。
このミニ薔薇は2020年の春の時期に葉が1枚もなくなってしまった者なのですが、株元をすっきりさせながら回復し、2020年7月には2番花を咲かせるまでに回復させています。
この記事の終わりに
この記事では、ハダニの被害に合った薔薇の葉は、残しておくべきか?除去するべきか?という観点で私の意見を紹介させていただきました。
株元に近い位置にある葉は、ハダニによる被害を受けやすいため、一度ハダニの被害を受けたら株元の葉を整理する良い機会だと思います。
また、葉の数や被害を受けたが位置に高く、葉の状態も緑色の部分が50%以上残っていれば、葉を除去せずに残し、殺ダニ剤でハダニを退治するという方法もアリだと思います。
ハダニは「乾燥」「風通しが悪い」「高温」の3つの条件が重なる場所で発生しやすくなります。そのため、ハダニが発生したら、そのうちの一つまたは二つの条件を解消できるように株の整理を進めてあげて下さいね。
耐病性の強い薔薇は出てきていますが、ハダニが発生しない薔薇は存在しないので、ハダニとの戦いは将来的にも続くと思います。ハダニを発生させない環境と株作り、そして発生後の対処をマスターしていきたいものです…ハードルは高いですが…。