少し前の投稿で、ハダニの大被害を受けた薔薇について、5月にも関わらず葉を全て除去して、大規模な剪定をしたことを報告させていただきました。
この記事では、その薔薇が回復したことを報告するとともに、ハダニを再発させないために行う葉の整理についてまとめておきたいと思います。
ミニ薔薇は、多くの新芽を芽吹いてくれたのですが、葉のサイズが小さく、出開きやブラインドが多かったため、葉の整理は絶対に必要になります。その理由についても考察していますので、御紹介させていただきたいと思います。
ハダニ被害のミニ薔薇のおさらい
まずは、簡単ですが前回報告させていただいたハダニの大被害を受けたばらについて、状態を再掲させていただきます。
上の写真の通り、2020年春の開花後にハダニによる大被害を受け、葉が全て除去しなければならない状態でした。株自体は枯れていないので、枝を剪定し、新しい芽の芽吹きを待つという…5月では考えられないような状態になってしまいました。
剪定後にはハダニに効果のある薬剤をミニ薔薇に散布し、周辺の薔薇にも満遍なく散布を実施しました。
こうなった原因は、私のハダニ対策の遅れが原因ですね…。
皆さんもハダニを発見したら、1日でも1時間でも早く薬剤による対応を実施しましょう。
ミニ薔薇はとても強い植物なので、6月の初旬~中旬には無事に新しい芽を出し、葉をたくさん出して回復をしてくれました。その様子が下の写真です。
剪定したミニ薔薇 -6月21日の様子-
前回の記事から日が経ちましたが、2020年6月21日のミニ薔薇の様子です。
無事に新芽を芽吹き、新しい葉も大きくなり回復著しい状態になってきました。
前回の投稿では、葉の色が少し薄く、心配だったのですが、活力剤を与えて液体肥料も再開したことで無事に葉の色も緑が濃くなってきました。
ただし、春の開花のシーズンの様に鮮やかな緑にまで回復するには、もう少し時間がかかりそうですね。
このミニ薔薇、見ると問題点も多くあるんです。その内容を次に紹介したいと思います。
新芽の芽吹いたミニ薔薇の問題点
上で紹介の通り、元気に葉を芽吹いてくれたのは良いのですが、葉がとても込み合っていることが分かるかと思いおます。
これでは、風通しが悪く、再びハダニの被害を受けてしまう可能性が大きくなります。春に葉を失ったミニ薔薇ですが、以下の様な特徴がありました。
芽吹いた葉が小さい
まず、一つ目の特徴ですが、芽吹いた葉が非常に小さいです。
春一番に芽吹いた葉の半分以下の大きさしかありません。
これは、葉をすべて失ったことで光合成ができず、春の温かいシーズンでもあるため多くの発芽点から新しい芽が芽吹いたことが原因かと思います。
植物が葉を作るのには、必ず肥料と光合成が必要になります。3月上旬の芽吹きのシーズンでは、休眠期に蓄えたエネルギーを一気に開放するため、比較的丈夫で大きな葉が出てきます。
しかし、春の開花でエネルギーを使い果たし、葉もなくなった株ですので、丈夫な葉を出すことが出来なかったのでしょう。
回復のために肥料も制限いていたので、それも原因かと思われます。
しかし、葉が無いよりは葉を出してくることが回復への第一歩なので、小さな葉でも出してくれたことに、まずは感謝ですけどね!
これからは、この少し小さな葉を使って本調子に回復してもらいましょう!
出開きとブラインドが非常に多い
もう一つの問題点は、発芽点で葉だけが少しでてくる「出開き」と、枝は伸びるけど蕾の無い「ブラインド」が多いことです。
「出開き」や「ブラインド」は、株の調子が悪い時や栄養が豊富ではない時、また光合成が十分ではない時に出やすいと言われておりますが、今回のミニ薔薇もまさにその状態だと言えます。
新しく出てきた目には、蕾が付き始めている芽もあるのですが、ごく少数です。
定量的に言うと、新しく芽吹いた芽の8割が「出開き」または「ブラインド」になっていました。
これは、仕方が無いことだと思います。薔薇自身が蕾を付けることが出来ないと判断し、まずは葉を形成して光合成をさせることを優先したのではないでしょうか?
新しいシュートが全く出ない
6月の後半に差し掛かると、株元から新しいベーサルシュートが出てくるのですが、このミニ薔薇達は3株ともベーサルシュートを全く出していません。
株元をじっくり見て観察したのですが、赤くて小さなベーサルシュートの芽も全く見られません。
また、株元に近い位置からの再度シュートもゼロです。
まぁ、これも回復優先の状態なので、仕方ない事かと思います。今年はベーサルシュートに期待をせず、秋までに元気な状態になってくれれば、それでOKです。
葉の整理と不要な枝の整理
さて、上の写真のように葉が込み合って「出開き」や「ブラインド」が多い状態ですと、各種病気やハダニの再発が懸念されるので、葉の整理および新芽の整理が必要になります。
株元に近い所は、特に出開きが多く、葉が込み合っているので、それらを除去する作業を行いました。出開きについては発芽点で剪定バサミで切り落としてあげて、ブラインドについては葉の込み合わない位置で剪定します。
上の写真は、3株あるミニ薔薇のうち2株の写真ですが、株元の葉を整理してかなりすっきりさせました。
出開きやブラインドは花を咲かせる能力は無いのですが、葉の数を増やして光合成をさせるという点では意味のある部分になります。
そのため、全てを除去しなくてもOKだと思います。葉が込み合わない部分であれば、出開きの部分を残しておいても問題はありません。しかし、上部の芽が成長して日陰になると、ハダニの温床になり得るので整理をするように心掛けます。
もう1株も下の写真の通り、葉の整理を実施しています。
敢えて、このミニ薔薇達を褒め称えるのであれば、この立派な株元の樹形ですね。園芸店で売られている小さなポット売りのミニ薔薇を、丹精込めてここまで大きく育ててきました。
ミニ薔薇をポットの状態で枯らしてしまった方に話すと「ミニ薔薇ってこんなに立派になるんですか!?」と驚かれます。
ここまで頑張って育てたので、思い入れもありますし、早く回復してまた綺麗に玄関先を彩ってもらいたいと願うばかりです。
花を咲かせるところまで回復
上で葉の整理をした後、6月後半に無事に蕾を付けて小さな花を咲かせるところまで回復しました。
本来であれば摘心を行って、株の回復を優先すべきところですが、花を咲かせる能力があるところまで回復しているので、贅沢をして咲かせてしまいました。
春の1番花に比べると半分くらいしかない小さな花ですが、ハダニの大被害から無事に生還してくれて安心しました。
この結果の通り、ミニ薔薇は非常に強く、生命力にあふれた植物だということが証明できたと思います。
*以下、2020年7月12日追記
上で紹介した通り、ハダニの大被害を受けたミニ薔薇が順調に回復をしてきたのですが、下の写真の通り、7月に入り小さなミニ薔薇の花が一気に開花するところに至りました。無事に回復してくれて、ハダニの再発や黒星病も出ずに順調に育っています。
このように元気に回復してくれるところを見ると、つくづく薔薇が強い植物だと実感させられます。
この記事のまとめ
この記事では、ハダニの大被害を受けたミニ薔薇が新しい葉を芽吹いたことの紹介と、その芽吹き後には必ず「出開き」や「ブラインド」のお手入れが必要であることを説明させていただきました。
ハダニで被害を受け葉が全く無い状態になっても、薔薇は丈夫な植物なのでしっかりと芽吹いてくれることがお分かりいただけたかと思います。例え梅雨の時期や夏の時期であっても、次の開花に向けて葉を展開し準備を始めてくれます。
しかし、回復直後の薔薇は、蕾を付けるようなエネルギーはありませんし、温かい季節ではあらゆる芽吹き点から葉を出すため、「出開き」や「ブラインド」がどうしても多くなります。
この「出開き」や「ブラインド」を放置しておくと、風通しが悪くなり、再びハダニの被害が始まってしまいます。葉を除去しすぎると光合成が出来なくなるので、風通しが良くなる程度まで葉の整理を行ってあげてくださいね。