つる薔薇をオベリスクにコンパクトに仕立てる冬剪定

冬の薔薇のお世話の中で、最も気が重くなるのが…つる薔薇の冬剪定と誘引の作業です…。

とても太く剛直な枝に、非常に鋭い棘が無数についているつるを誘引する作業は、ある種の危険な作業になります。

毎年、つる薔薇の誘引作業の際には、手に棘が刺さったり、棘が服に引っかかって服がほつれてしまう事があります。また、誘引中に手を滑らせると、棘の付いているつるが体に向かって鞭の様に飛んでくることもあります…。

とは言いながらも、薔薇のお世話の中で最もダイナミックなものであり、最も楽しみながら行うこともできるのも事実です。

つる薔薇は、様々な構造物に誘引することができ、壁面誘引、オベリスク誘引、アーチ誘引…好みに合わせて仕立てることができるという意味では、木立性の薔薇よりも仕立てることの楽しさを感じます。

この記事では、春以降の成長を見越しながら、つる薔薇をオベリスクにコンパクトに仕立てる方法について、私の実践している手順を詳細に紹介したいと思います。私の家では、ルージュ・ピエールを玄関前で育てているのですが、大きく育ちすぎると困るという事情があります。冬剪定の段階で、春以降に大きくなりすぎないようにしっかり切り戻してあげることがポイントです。


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本記事で冬剪定と誘引をするつる薔薇の紹介

本記事で誘引をするのは、つる薔薇の「ルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサール」になります。10号鉢の鉢植えで、スリムオベリスクを使用して仕立てている薔薇になります。

下の写真に、剪定・誘引前の状態を載せておきます。夏や秋にも剪定していますが、昨年誘引した部分から新しい枝が長く成長していることが分かります。また、昨年はベーサルシュートも2本出てきてくれました。

誘引前のルージュピエール

ルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサールは、鮮やかなショッキングピンクの大きな花を咲かせてくれる薔薇で、数々あるつる薔薇の中でも人気の品種です。

ただし、大型のつる薔薇になるため、オベリスクに誘引することは困難であると言われていたり、鉢植えでの栽培は難しいと言われることもあります。

しかし、地植えにせずに鉢植えで育てると、そこまで剛直な枝にならない傾向にあると思えます。

薔薇園で見たことのあるルージュ・ピエールは、直径5cmくらいはありそうな立派な木質化した枝を持っていましたが、私の家のルージュ・ピエールはそこまで太い枝を出していません。多分、根の張りが制限されているためであると思います。

上の写真は、高さ2mのオベリスクに誘引している状態になります。このくらいの株のサイズであれば、玄関前で栽培しても、栽培がそこまで困難な状態にはなりません。誘引の時に枝が曲がらないような枝になることは無く、鉢植えとオベリスクという仕立て方でも十分に楽しむことができています。

オベリスクは「スリムオベリスク」と言う商品を使用しておりますが、下のリンクでそのレビューを紹介しています。

オベリスク仕立ての薔薇を冬剪定しない場合にはどうなるのか?

オベリスクに誘引したつる薔薇ですが、冬剪定をしなくても次に春には花を咲かせてくれます。

しかしながら、「樹形」を考えるとあまり綺麗な姿にはなりません。

今回の記事で紹介しているルージュ・ピエールを例に取ると、冬剪定をしない場合には下の写真の様に、上の方にだけ新芽が伸びて葉が茂り花が咲くようになります。

そして、下半分からは新芽があまり伸びずに、葉が無いような状態になると推測されます。

これは、薔薇に「頂芽優勢」という特徴があるためです。

頂芽優勢は、太陽に最も近い部分から優先して新芽を伸ばすという特徴です。最も高い位置に新しい新芽を伸ばして、葉を茂らせて光合成を行うという特徴になります。

この特徴がある限り、薔薇は高い位置にしか花を咲かせないので、冬剪定でしっかりと切り戻してあげる必要性があるのです。しっかりと切り戻してあげれば、低い位置から高い位置まで均等に葉が茂り、株全体に花が咲くような樹形になります。

「つる薔薇が上の方でしか咲かない…」と言う状態の場合、冬剪定の仕方を変えて、仕立て方を変えると改善します。(樹齢の多い薔薇の場合にはどうしようもないかもしれませんが…)


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コンパクトに仕立てる手順

冒頭でも記載をしましたが、私の家では玄関前の限られた空間でルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサールを栽培しています。

そのため、オベリスクというスマートな仕立て方であっても、つるが大きく育ちすぎる事は防がねばなりません。玄関先で邪魔になってしまっては元も子もないので…。

そのため、冬剪定の段階では、春以降の成長を見越してつるの剪定を進めていきます。

つる薔薇はつるを長く伸ばして楽しむこともできますが、私の家の場合には、いかにつる薔薇を小さくコンパクトに仕立てるか?ということに重点を置いて管理しています。

下の手順①~手順⑤が、つる薔薇をコンパクトに仕立てる時の大まかな手順となります。

手順① 新芽の膨らみを確認

手順② 不要な細かい枝の剪定

手順③ 半分の高さに強剪定を実施

手順④ 麻紐で誘引作業を実施

手順⑤ 最終仕上げで誘引を完了

それでは、実際に下で各手順の詳細を説明していきたいと思います。

手順① 新芽の膨らみを確認

つる薔薇に限ったことでは無いですが、薔薇の冬剪定の前には、まず最初に新芽の膨らみ具合や新芽の位置を確認しておきます。

上の写真の赤い矢印の先に、ぷっくりと膨らんだ赤い新芽があるかと思います。春になるとこの芽がぐんぐんのびてきます。この例は、とても元気な良い芽の写真ですが、この芽が潰れていたり、色が黒ずんでいるようなものはあまり良い芽とは言えません。

「どの芽を残すか?」ということは、「どの位置で切るか?」ということに繋がりますので、株全体を見渡して良い芽の位置を確認しておきます。

また、全体の様子を見て、剪定後の樹形を思い浮かべておくことも大事かと思います。


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手順② 不要な細かい枝の剪定

次に行うのは、不要な細かい枝の剪定です。

ルージュ・ピエールのように大輪で花弁数の多い花を咲かせる品種は、細い枝を残しておいても花を咲かせる能力がありません。細い枝は蕾の付かないブラインド状態になったり、全く枝の伸びない出開きと呼ばれる芽になってしまう可能性が高いです。

上の写真の赤い矢印にあるような細い枝たちは、小輪から中輪の品種であれば残しておく意味はあるかもしれませんが、大輪の品種の場合には不要の枝です。

このように細い枝ばかり付いている枝は、上部の部分を全て切ってしまっても良いかと思いますが、最後に全体の樹形を見て切りたいので、まずは細い枝のみを切っていきます。

手順③ 半分の高さに強剪定を実施

細く細かいな枝の剪定が終わったら、株の高さを半分くらいの位置まで太い枝も切り戻します。

「そんなに切るの!?」って思われるかもしれませんが、春以降に株全体に葉を茂らせて花を咲かせるためには、このくらいまで切り戻さないといけません。

また、春以降は新しいつるがどんどん伸びていくので、冬剪定でしっかり切り戻さないと、春以降にあっという間に手に負えないような樹形になってしまいます。

限られた空間、限られた高さでつる薔薇を楽しむためには、冬剪定でもしっかりと切り戻してあげることが大切です。

特に、昨年発生した新しいベーサルシュートは、どこで切っても春には新しい元気な枝を出してくれます。

下の写真は昨年発生したベーサルシュートですが、まだ木質化していない枝でとても若々しく、低い位置から高い位置まで、どこにでも新芽の膨らみが見える状態です。新しいベーサルシュートは、他の古い枝よりもさらに一段低く切っても良いくらいです。

手順④ 麻紐で誘引作業を実施

各枝の高さをオベリスクの半分くらいまで切り戻したら、実際に誘引の作業に入ります。

誘引する際には、まず最初に各枝のしなり具合を見てあげます。どのくらいまで安全に曲げられるか?と言う観点で大事な作業です。

古いベーサルシュートは木質化している場合が多く、少しつるが曲がりにくいものが多いですが強く折れにくいです。

逆に新しいベーサルシュートは、木質化していないため比較的しなやかな枝であることが多いです。しかし、新しい枝のため根元付近から折れてしまう事があるため、無理に曲げないようにします。

昨年出てきたベーサルシュートが根元から折れてしまった時のショックは…とても大きいです…。1本折れただけでも、春の花の数が大幅に減る可能性が高いです。

まず最初に古い枝、太い枝、曲げにくい枝から麻紐で誘引作業を実施し、最後に昨年発生したベーサルシュートを誘引すると作業しやすいです。

また、適宜仮止めなども行っていくとスムーズに作業ができます。下の写真が、麻紐を使って誘引した直後の様子です。株姿がかなりスッキリしてきました。

この誘引作業の時が最も怪我をするタイミングでもあります。つるを曲げて誘引している作業中は、つるが弓のようにしなっている状態なので、手元が滑るとすごい勢いでつるが飛んできます。細心の注意を払っての作業が必要です。多分、薔薇のお世話の中で最も危険な作業だと思います。

手順⑤ 最終仕上げで誘引を完了

麻紐での誘引作業が完了したら、最後の仕上げとして、余分な枝を整理していきます。

例えば、誘引作業によって下の写真の様にオベリスクから飛び出してしまっているような枝があると思います。各枝の先端部分は曲げることが難しいので、必ずこのような部分が出てきます。

このような枝は、スペース的なマイナスポイントだけでは無く、春以降にも枝が生えて困ってしまうので切り落とします。

そして、最終的な仕上がりとして、下の写真の様になりました。

比較のために、剪定前の写真と見比べておきます。

剪定前はオベリスクの背の高さほどあった枝ですが、それらを半分まで剪定しました。

また、細かい枝をほぼ全て取り除き、太く丈夫な枝のみを残しています。

このような強剪定を行うことで、今年の春から秋にかけて薔薇が成長した場合にも、限られた空間でつる薔薇を楽しむことができるようになります。

オベリスク仕立てで大輪の花を咲かせるつる薔薇を栽培する場合、このレベルまで冬剪定しないと、1年間の成長に耐えきれないのではないかと思います。

この記事の終わりに

この記事では、大輪の花を咲かせるつる薔薇を、オベリスクと言う限られた空間で楽しむための冬剪定と誘引について紹介をさせていただきました。

大輪の花を咲かせるつる薔薇は、基本的に枝が太く長い品種が多いです。そのため、そのような品種の薔薇をオベリスクで仕立てる場合、冬にはしっかりと切り戻してあげることが重要です。

庭植えでつるを伸び放題伸ばすことができる場合には、しっかりとつるを伸ばした方が豪華に咲きますが、限られた空間で楽しむ場合にはそうはいきません。

栽培環境に合った樹形に育ててあげるため、冬の剪定の時には心を鬼にして勇気をもって剪定することが重要です!

つる薔薇をしっかりと切っていない方は、是非一度例年よりも深く切り込んでみて下さい。春以降の咲き方、成長の仕方に変化が現れると思いますよ。

このルージュ・ピエールについては、また春の開花の季節にどのような樹形になったかを紹介したいと思います。

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