冬に芽吹いた薔薇の新芽はどう対処すべき?

12月末から1月にかけての薔薇のお世話と言えば「冬剪定」や「寒肥の施肥」などになります。

冬期の薔薇は花も葉も無い枝だけの状態になりますが、春の芽吹きと1番花の開花を良い状態で迎えるためには、冬剪定や施肥は最も重要な作業と言えます。

そんな冬剪定後の薔薇ですが、品種や環境にも依存しますが、1月末から2月前半の気温の低い時期に芽吹いてしまう株があります。

冬剪定後の薔薇と言えば、新芽が出てくる位置が赤く膨らんだ状態を想像されるかと思いますが、気の早い株は真冬に葉を展開させてくることがあります。

皆さんは、そのような新芽をどう処理されていますか?

この記事では1月から2月中旬の寒い時期に出てきてしまった新芽の処理・対応について、私が実施していることを紹介していきたいと思います。


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冬に新芽が動き出した例

冬に新芽が動き出した例ということで、まずは写真を見ていただきたいと思います。

下の写真は2020年1月後半に撮影した写真ですが、最高気温が10℃にも満たない季節の中ですが、薔薇の枝から新芽の芽吹きが見られます。

各枝の頂点にあたる部分の新芽は、一部は小さな葉も展開している様子であり、とても1月後半の薔薇の様子とは思えませんね。

ただ、このような状況と言うのは、実は稀なことでは無く、意外と多く見られる光景です。

多くの薔薇の株を管理していると、毎年1株か2株くらいは、このような芽吹きの速い枝が出てきます。

冬に新芽が動き出す理由について

では、気温の低い冬の時期に、新芽が芽吹くようなことがあるのでしょうか?

その確固たる理由は私もわかりません。多分、理由はそれぞれの株の状態で変わるのだと思います。

しかし、一般的に考えられることは次の2点かと思います。

栽培環境の違いによる冬の芽吹き

まず最初に考えられることは、芽吹きのタイミングが栽培環境に依存するという点です。

冬の寒い時期と言えども、日当たりが良く、冷たい北風の当たらないような場所で管理されている薔薇については株が感じる気温が高くなります。冬場でも10℃を越えるような場所があるかと思います。

逆に北向きの日陰で日光が当たらないような場所になると、常に気温が低い中に置かれることになります。冬の日陰は本当に寒く、温暖な地域でも0℃付近になります。日陰では水たまりが凍りやすいのを考えると、気温の低さを想像しやすいかと思います。

私の薔薇の栽培経験の中でも、この栽培環境の違いによる効果も実際に見えています。

上で紹介している薔薇もそうですが、1月後半に芽吹きが見られた株は、軒下で冷たい北風に当たらず、日当たりが良い場所に置いてありました。屋根が無い場合でも、南面の明るい温かい場所である株も芽吹くことがあります。

そのため、薔薇の株が温かい環境を春と間違って、先走って芽吹いてしまった現象かと思われます。

大苗の購入時に芽吹いている事が多い

次に多いのが、大苗で購入した苗が芽吹いている場合です。

大苗を購入した際に気付いたことですが、インターネット販売と店頭販売の両方で、意外と冬の寒い時期に大苗が芽吹いているものは多くないですか??

12月から1月に薔薇苗専門店へ大苗を見に行くと、掘り上げられたばかりの大苗が小さなプラスチック鉢に植えられて販売されています。その苗の中には、寒い時期にも関わらず葉を展開させているものが結構あります。

これは、薔薇の株が地植えの状態から掘り上げられて、小さなプラスチック鉢に入れられたという環境変化があったことが理由として考えられます。掘り上げられた時に一部の根が切られ、根が小さな鉢に詰め込まれた状態になったことで株の状態が変化し、冬の時期の芽吹き繋がったのかと思います。

また、大苗で販売される株達は、秋の終わりごろに剪定されて掘り上げられる場合が多いと聞きます。そのため、まだ株が休眠状態になっていない状態で掘り上げられるため、販売時には株に葉が展開しているということも考えられます。


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冬に新芽が出てきやすい品種はあるのか?

冬に新芽が出てきやすい薔薇には、品種の影響はあるのか?

これに関しては、私の経験でしか語ることはできないのですが、品種の特徴に影響がありそうな感触があります。

私の経験ですが、真冬に芽吹いてしまう薔薇は、春の芽吹きが早い傾向にある品種、芽吹いてから花が咲くまでの期間が短いような品種が多いです。

冬に芽吹くということは、それなりに成長力・樹勢の強い品種が多いということなのかと考えています。

大苗を販売している近くのホームセンターでも、1月2月に芽吹いている株を見ることがありますが、ホームセンターで販売されている大苗の多くは「薔薇の殿堂入り」を果たしているような有名な強い品種が多いです。

そう考えると、冬に芽吹くのには薔薇の品種・樹勢の影響があるのかもしれません。

冬に発芽した新芽も残しておいて問題は無い?

真冬に芽吹いた新芽は、残しておくべきなのでしょうか?

それとも、除去してしまうべきなのでしょうか?

これは、どちらでも良いと思います。

冬に芽吹いた新芽は、株によっては小さな葉が展開しているものがあるかと思いますが、少しだけ芽吹いて成長がストップしてしまっているような状態です。

そのような新芽・新葉は、冷たい風に当たったり、霜が降りるようなことがあると、萎れてしまうような状態になるものもあります。

しかし、春になって気温が上がると、冬に出てきた新芽の成長が再び活発になり、どんどん元気な新葉が展開されていきます。冬に霜に当たった葉を押しのけて、新しい元気な葉が出てきます。

そのため、冬に出てきた新芽は残しておいても全く問題は無いと考えます。

逆に、冬に出てきた新芽を除去してしまった場合ですが、春になると同じ位置から別の芽が出てきてくれます。薔薇は新芽の成長点に3つの新芽を持っているので、一つを除去してしまっても次の芽が代わりに成長してきます。

そのため、冬の新芽を除去してしまった場合でも、春以降の成長に大きな問題が出ることはありません。

薔薇はとても強い植物になるので、新芽が多少傷付いても、新芽が無くなっても、春になればぐんぐん成長を再開してくれます。

私のお話をすると、冬に出てきた新芽は全て残しています。


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冬に新芽が出てくるのは株の良し悪しの指標では無い

「冬に新芽が出てくるのは、株の状態が悪いのか?」

この点は気になることかと思いますが、これに関しては株の良し悪しとは無関係だと思って良いと思います。

冬に新芽が出てきても、上述の通り、春になればどの株も元気な成長を見せてくれます。少しくらい成長の様子が違ったとしても、結果的に春には多くの花を咲かせてくれるのが薔薇です。

前年に病害虫の被害を受けて調子を崩してしまった株も、一冬を越すと見違える姿で春を迎えてくれます。つまり、薔薇にとっては多少の変化・トラブルは、気にしなくても良いようなものです。

それだけ薔薇は強い植物であり、多少の成長の違いが株の良し悪しを決めるものではないと考えてあげるべきかと思います。

この記事の終わりに

この記事では、冬の寒い時期に芽吹いてしまった薔薇の新芽について、対処方法や芽吹きの理由などを紹介させていただきました。

冬の寒い時期に新芽が出てくるのは、基本的には環境の違いや株の状態の変化によるものが多いのかと思われます。

また、冬に出てきた新芽については、残しておいても問題無いことも説明させていただきました。

薔薇はとても強い植物なので、多少の変化や差異が生まれても、春には問題無く花を咲かせてくれます。

冬の芽吹きはその株の個性だと受け止めてあげるのが良いのではないかと思います。

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