薔薇栽培をしている方なら、誰もが経験する「ハダニ」による被害…
私の栽培している薔薇達も、毎年の様に少なからず被害を受けています。
ハダニを防ぐために、なるべく葉が込み合わないように風通しを良くしたり、葉裏への水の散布などの努力はしているのですが、ハダニを完全に防ぐことは難しいですよね。
この記事では、2020年の春の開花後にハダニが大発生してしまったミニ薔薇をリセットした時の事を紹介したいと思います。
ハダニは冬以外は年間を通じて発生するので、ハダニの大被害を受けてしまった方々に参考になれば幸いです。
被害を受ける前のミニ薔薇の様子
ハダニの大被害を受けてしまったのは、私の家の玄関前で育てているミニ薔薇です。品種としては、ポールセンローズの「ノヴァ」という品種のミニ薔薇になります。
別の記事でも紹介しているミニ薔薇なのですが、下の写真の通り、2020年の春も綺麗な花を咲かせてくれました。
ミニ薔薇とは思えないくらい立派な株に育ち、毎年大きな花を咲かせてくれているのですが、この薔薇が株全体にハダニが蔓延してしまったのです。
被害を受けた経緯
被害の経緯を記載します
2020年の4月に新芽が芽吹き蕾が出来上がってきている時期には、ハダニは全く発生していませんでした。
そして、花が咲き満開を迎える直前の5月中旬、株元にハダニが発生しているのを確認しました。
蔓延するのを防ぐために、アーリーセーフという有機農薬を株全体の葉裏に散布したのですが、最初に発見してから約10日で株全体にハダニが発生してしまう状況に陥りました。
一応、2日に一度は葉裏への水散布をしていただのですが、効果が無かったです…
皆さん、ハダニの増殖力をなめてはいけません!(2020年の春は、私の住む地域は雨が少なく、ハダニが増殖するスピードが特に速かったです…。)
株全体に肌に特有の細かな糸が発生し、周りの薔薇にも影響が出てしまうような状況であったため、葉を全て除去しリセットさせる決意をしたのでした…。
ハダニ被害が出た原因を考えてみる
今考えてみると、今年はミニ薔薇の葉の整理や新芽の整理をきちんとできていなかったのだと思います。
春の芽かきの作業は実施していたのですが、ミニ薔薇は一般の薔薇に比べて枝の数が多くなります。また、今年はミニ薔薇の株自体が充実してきて枝数が増えていたのも事実です。
そのため、芽かきは例年以上にしっかりとしておくべきだったのだと思います。芽かきの量が少なく、葉が込み合い、結果としてハダニの蔓延しやすい状況を作っていたのだと思います。
上の開花時の写真を見ても、かなり葉が込み合っている状況です。元気に育ってくれていたので、かなりウキウキ気分で春の開花を迎えていたのですが、その裏でハダニの大発生を生み出す予兆を作ってしまっていたのです。
ハダニ被害により株をリセット!
株全体にハダニが発生し、葉の色も悪くなって、葉がパサパサの状態になってしまったので、完全にリセット (剪定) をさせることを決めました。
以下で、その様子と剪定後の様子を御紹介します。
急遽、株を剪定させて丸坊主に…
このような非常事態の時には「思い切り」と「決断力」が大事です。
春の育成期だろうが、花後に株が疲れている状態だろうが、心を鬼にして剪定をしていきます。
被害を受けた葉は全て取り除き、細かい枝も全て剪定し、株の整理を行いました。
その剪定後の写真が下のものです。いかがですか?5月の中旬にこの状態ですよ!?
薔薇を育てている方ならお分かりいただけるかと思いますが、春の花後の状態でこの状況は相当な重症です…。
春の育成期に剪定しても大丈夫?
春の育成期 (活動期) の剪定については、賛否両論あると思います。
夏以降の花の数を増やしたり、ベーサルシュートの本数を増やすという意味では、深い剪定や葉の枚数を減らすことは避けなければなりません。
しかし、今回の様なケースの場合、放っておいてどうにかなるものではありませんし、葉が重症な状態で放置していたら別の病気になる可能性もあります。
そのため、株の状態によっては冬選定と同じくらいのレベルで剪定を行っても良いと思います。
薔薇自身はとても強い植物なので、春に強剪定しても枯れることはありません。 (もし剪定後に枯れたら、それは剪定が原因ではなく別の原因を疑うべきだと思います。)
実際、私はこれまでに、黒星病の蔓延で何度か育成期にリセットさせた薔薇があります。しかし、どの薔薇も今でも元気に花を咲かせてくれています。
リセット後の薔薇の管理方法
剪定が終わったら、まず最初に殺ダニ剤を使って株の周辺と、周りの薔薇そしてコンパニオンプランツに残っているハダニを処理しましょう。
ハダニは殺虫剤で葉処理することが出来ないので、必ずハダニに対応して農薬を使用する必要があります。
「ダニ太郎」や「コロマイト」等が有名な殺ダニ剤です。私は両方を使っており、交互に使うように心掛けています。また、これ以外に有機農薬でハダニを窒息させるタイプの薬剤も併用しています。
薔薇は春の花が終わったら花後のお礼肥を与えるのですが、今回の様な非常事態の時には与えません。水と規定量よりも薄めた活力剤を与えて様子を見ていきます。
剪定 (リセット) から10日後の様子
さて、リセットしてから10日後のミニ薔薇の様子です。
無事に新芽が芽吹いてきてくれていることがわかります。
毎回そうですが、春の剪定直後は、新芽が出てきてくれるのか心配になりますが、毎回何事もなかったかのように新しい枝を展開してくれます。
剪定後、枝が緑色であれば枯れていない証拠ですので御安心を。
剪定 (リセット) から20日後の様子
さて、剪定から20日後のミニ薔薇の様子です。
まだ葉が若く、色が薄いですが、これは肥料が完全に株に回っていないためだと思います。ここまで回復したら、肥料を与えてしっかりと育成を進めていきます。
また、見て分かるように、葉の量がやはり多いです。
ミニ薔薇の宿命なのですが、葉が多く風通しが悪い品種が多いです。
もう少し成長してきたら、新芽の整理・葉の整理が必要ですね。
株と株の間に猫防止シートが敷いてあるのですが、これは野良猫による糞被害を防ぐための一時対策です。
この記事の最後に -今回の教訓-
今回はハダニの大被害を受けた薔薇 (ミニ薔薇) について、剪定による株のリセットを御紹介させていただきました。
春の育成期であっても、状態がひどい場合には冬剪定と同じレベルの強剪定をしても問題はないと考えます。むしろ、弱った葉を放置して別の害虫や病気の原因に陥る方が問題です。
ハダニは繁殖力が強く、1週間放置しただけでも薔薇の株全体が被害を受けるようなことが多々あります。
ハダニに関しては病気以上に早期発見と早期薬剤の使用をお勧めします。
もしハダニが蔓延してしまった場合、上で紹介した処置をして回復を目指してみて下さい。