【薔薇】夏は新芽を処理してバランスの良い樹形を目指す!

梅雨が明け、夏本番を迎える7月後半から8月ですが、薔薇の成長が非常に早く、各種お世話が間に合わなくなってしまう季節でもあります。

1週間見ていないと新芽が数cm伸びていたり、気づかないうちに害虫が発生していたり…

暑さのせいで外に出るのが嫌になる季節ですが、そんな変化の速い時期でもあるので、少し涼しい時間帯や暑さ対策をして園芸作業を頑張らなければなりませんね!

梅雨明けの季節、秋薔薇を綺麗に咲かせる一つの作業として、樹形を考えた新芽の処理や剪定をしているので、その内容を御紹介していきます。


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夏の薔薇は頂点からの芽吹きの勢いが凄い

夏の薔薇って、本当に驚くくらい成長が早いですよね!

3月初旬の春の芽吹きの際には、1週間経って1, 2cmくらい新芽が伸びるような変化だったものが、夏になると1週間で数cmくらい一気に伸びてきます。

気温が高いため、植物の中での成長が活性化されるとともに、日照時間も長くなることも相まって、薔薇の成長の勢いが最も早い季節を迎えます。

そのため、お手入れは来週でいいや…と思っていると、予想以上に新芽が伸びていたりして、お手入れをどうしていこうか…悩んでしまう季節でもあるかと思います。

私自身、サラリーマン生活をしているので月曜から金曜はほとんど園芸作業が出来ないのですが、朝出勤前に花壇を見るたびに「早く新芽を処理しないと…」と思いながら、電車に揺られて出勤です。

新芽を放置すると株の重心が高くなる

ここからは、夏に出てくる新芽を放置したことによっておこる弊害や、夏剪定を前提とした作業内容について、少し詳細に記載していきたいと思います。

頂点から新芽が大量に出た状態

夏の薔薇に限らず、成長が著しく速い時には、下の写真のように枝の頂点から多くの新芽が芽吹いてきます。

頂点から大量に発生した薔薇の新芽

黄色の矢印の部分は2番花の後に剪定した位置ですが、合計で3本の新芽が出てきていることがわかります。そして、その一段下の青色の矢印の部分からは大きな芽が1本だけ出てきています。

まさに薔薇の「頂芽優勢」の特性が出ている写真ですね。

また、3本に分かれてしまっている所は、養分を3等分されているので、一段下の様な太い枝が出てきていないことが分かります。この発芽点は新芽の数を制限していなかったので、このような状態になったものと考えられます。

芽の数を制限すると、太くて丈夫な枝が育つということがわかる例かと思います。

放置すると重心が高くなり茎が折れやすい

上で紹介したような、枝先の頂点で大量の新芽が出ている状態というのは、下の図の様な原理で発生します。

重心の高い薔薇の模式図

剪定をした後に枝を倒したり、何かに誘引などをしなければ、右側の図にあるように枝先の頂点に近い部分から新芽が芽吹いてきます。

薔薇は葉の付け根の部分に新芽を3個持っているため、多い場合には、3個全ての芽が成長をしていく場合もあります。

また、栄養が余っていれば、その一つ下の芽が育つ場合もあります。上の写真では、まさにこの状態が再現されているのかと思います。

しかし、この状態で成長を続けたらどうなるでしょうか?

1本の枝の先に3本も4本も新しい芽が発生していきます。このまま成長を続けたら、確実に上の方の重量が大きくなり、枝が折れてしまう状況になると思います。

これから9月にかけて台風の襲来もあるので、このような状態で放置しておくことは、大事な枝を保護するという観点でも、好ましい状況とは言えないです。

秋剪定に向けた理想的な樹形 (個人的な意見)

ここからは、私個人の考えになりますが、夏の間に目指している理想的な樹形についても記載をしておきたいと思います。

下の絵に示すように、芽かきや新芽の処理を行って、真ん中の写真の様に比較的低い位置から太い枝が出てくれるようにします。

理想的な新芽の生え方

このような樹形になると、少し葉が混みあうので葉の数を減らしたりする処理や軽い剪定は必要になります。

そして、9月の夏剪定の時に、バッサリと切って右側の絵に示すような樹形に示す。こうすることで重心が高くなり過ぎず、かつ秋の開花の時には綺麗な樹形に作り上げることが可能になってきます。

とはいえ、このような樹形を目指していますが、なかなか思うようになってくれないのが現実なんですけどね!


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夏の新芽は蕾の形成速度が超速い

夏の新芽を処理していると、皆様も気付くことがあると思います。

「えっ!?蕾がもう形成されている!!」と思ったことがありませんか!?

そうなんですよね…夏の薔薇は、新芽が出てから蕾が形成されるまでの速度が非常に速いんです。

春は新芽が伸びて枝が数十cm伸びた後に徐々に蕾が形成されていくのですが、夏には10cmくらいの芽が伸びた後に蕾が形成されるため、早いと芽かきをした後に10日後くらいに蕾が出てくることがあります。

その例を一つ紹介します。下の写真は、薔薇の殿堂入りを果たしている「イングリッド・バークマン」に7月後半に現れた蕾です。

非常に短い花枝の蕾

剪定ポイントから、わずか3cmの枝が出ただけで蕾が出始めていることがわかるかと思います。

新芽の枝がわずか3cmですよ(笑)

正直、薔薇の栽培を始めてから、ここまで短い花枝は初めてです…。びっくりして、思わず写真を撮影してしまいました。もちろん、この蕾は摘心しました。

このように、夏の薔薇は本当に成長が早く、蕾をあっという間に形成してしまうという点も覚えておくべき事かと思います。

8月は夏剪定に向けて毎週お手入れします

上記の通り、7月後半から8月は、薔薇の株にとっての変化が最も早い時期になります。

そのため、薔薇の変化を逃さないためにも、毎週1回はお手入れのために薔薇の株を観察することをお勧めします。

薔薇の成長だけに限らず、強い夕立によって黒星病の原因が発生したり、夏の害虫被害も一気に増えてきます。

私のブログでも何度かお話していますが、薔薇の栽培は「いかに早く変化に気付き対応するか?」、「各種予防策を実施して不具合を抑制できているか?」が最も重要だと思います。

毎年8月の1か月間は、他の月以上に気を遣ってあげたいですね!


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この記事の終わりに

この記事では、夏の間の薔薇の新芽の処理について、夏剪定も見越したお手入れの方法を御紹介させていただきました。

8月は外に出るのも嫌になる季節ですが、最も薔薇の変化が早い季節でもありますので、少し頑張って園芸作業をしなければならない季節でもあります。

最近の日本の夏は本当に暑くなり、熱中症の危険性もあるので、出来れば朝や夕方の涼しい時間を利用して作業したいものです。

毎年、この時期は秋の開花、そして冬の剪定も見越して薔薇の樹形を考えていきますが、なかなか理想的な状態になりません。生き物を相手にしているので、仕方ないことではありますが、作業に慣れて思うような樹形を作れるようになりたいと日々思うばかりです。

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