心配になる夏季の薔薇の症状について

7月中旬になると日本列島各地で梅雨明けが発表され、本格的に暑い夏がやってきます。

地域によっては、連日35℃を上回り40℃近くなる日が続くところもあり、「災害級の暑さ」という表現が本当に適切になる時期となりますよね…。

日本の夏は、我々人間だけではなく、薔薇にとっても厳しい時期となります。

特に気温が30℃以上になると、薔薇には春に見られなかった様々な症状が出てきます。

初めて薔薇を育てる方にとっては、「えっ?これ大丈夫なの!?」と感じてしまう症状があったりするのかと思います。

この記事では、夏の暑さが原因で薔薇に現れる症状をまとめてみました。

基本的に薔薇を枯らす症状ではなく、晩夏から気温が下がるにつれて消えていく症状が多いですが、少しでも御参考になれば幸いです。

【注意】本記事に記載の内容は、関西の市街地に住む筆者の経験を基にしています。同じ薔薇の品種や環境であっても、薔薇の個体差などにより症状が異なる可能性はあります。あくまでも御参考とお考え下さい。


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日本の夏は暑すぎる…薔薇にとっても厳しい夏

地球規模で見ても、温暖化により地球全体の気温が上昇していることは事実です。

東京の平均気温を見てみると、温暖化や都市化の影響により、過去100年間で約2.4℃も上昇しているそうです。

確かに、私が子供の頃に比べて、夏の暑さに対する報道や対策が非常に多くなっていると感じます。

参考資料 ⇒ 気象庁 東京都の気候変化

薔薇栽培に話を戻すと、薔薇が最も成長しやすい気温 (薔薇が最も美しく咲く気温) は、品種にもよりますが20℃~25℃と聞きます。

これは春の1番花が咲く季節や、秋の薔薇が咲く季節の最高気温ですね。

その気温に対して10℃以上も高い夏の気温は、薔薇にとっては非常に厳しいと言わざるを得ません。

薔薇は冬の休眠期から春の活動期へ移る際、気温の変化を感じ取って活動を再開します。薔薇が春先の数℃~10℃程度の気温上昇に敏感に反応することを考えても、気温が薔薇の活動に大きく影響すると容易に考えられます。

それでは、以下では、暑い夏の季節に薔薇に出てくる諸症状をまとめていきたいと思います。

夏の薔薇の症状① 花のサイズが小さく色が悪くなる

まず一つ目は、花の「大きさ」「色」「花弁数」です。

夏の薔薇は明確に花のサイズが小さくなります。

以下のリンクで、私が過去に調査した春と夏の薔薇の大きさの違いの実測例があります。

この記事に掲載している数値を具体的に述べると、花の大きさが3割から4割くらい小さくなります。

また、花のサイズが小さくなるだけではなく、花の色も明確に変わります。

色が薄くなる傾向にあり、同じ品種の薔薇とは思えない変貌ぶりです。

さらに言えば、夏は花弁数も減ってしまい、香りも変わります。

つまり、薔薇の花が全く別物になってしまうんです…。

春や秋は、蕾がじっくりとゆっくりと時間をかけて成長するため、立派な花が咲きます。

それに対して夏は、気温が高すぎるため、蕾があっという間に成長し、あっという間に開花を迎えるという状態になります。「開花サイクル」が短くなるということですね。

そのため、花が状態が悪くなってしまいます。

ただ、これは夏の時期にだけ見られる症状であり、秋になれば改善するの過度に心配する必要はありません。

下の写真は、7月末に咲いたシェエラザートです。

写真では花が大きく見えますが、実は直径5㎝くらいという非常に残念な姿です。ただ、シェエラザートは夏の薔薇の中では美しさを保っている方だと感じます。


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夏の薔薇の症状② 茎が短くすぐに蕾が出る

2つ目は茎の長さです。

実際の例を見ていただいたほうが良いかと思いますので、下に写真を載せます。

写真の中央部に蕾が見えていると思うのですが、この蕾の下にはわずか5cmしか茎がありません。

言い換えれば、新芽が発生した後、わずか5cmで蕾が形成されてしまったということです。

蕾が出始めると蕾の成長にエネルギーを使うため、茎は伸びなくなります。

これも夏によく出る症状の一つで、私も初めて見たときには驚いた症状でした。

上で説明したのと同じ理由で、気温が高くなったことにより蕾の成長が早くなり、茎が十分に長くなる前に蕾が成長してしまった状態と言えます。

この状態の蕾を咲かせたことがあるのですが、本当に状態のよくない花しか咲きませんでした。

ですので、私はこのような蕾はすべて摘蕾してしまっています。

咲かせるだけ無駄なエネルギーを使わせることになってしまいますので…。

夏の薔薇の症状③ 葉が黄色を帯びボロボロに

3つ目は葉の状態に関することです。

夏になり気温が上昇していくと、下の写真の例のように、夏に緑色だった葉が黄緑色に変色していくことがあります。(これはハダニや害虫の影響ではありませんよ。)

また、元気がなくなった葉はボロボロになることもあります。

これは、春の開花を終えた後遺症のような状態とも言えますが、春の1番花を豪快に咲かせると、その役目を終えたかのように葉の状態が悪くなっていきます。

そして気温が高い夏がやってくると、本格的に葉が枯れ始めて、特に株もとに近い葉がこのような状態になります。

このようになった葉は、肥料を与えても元には戻らず、枯れていく運命にある場合がほとんどです。

次の新芽が成長して、次の世代を担う新しい葉を伸ばしてくれることを待つのみです!

(新しい目が出て、元気な葉が増えたら、古くなったこれらの葉は除去してあげるようにしています。)


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夏の薔薇の症状④ 四季咲きでも新芽が出ない

薔薇は年間を通じた開花期の回数によって「四季咲き」「一季咲き」「返り咲き」と大別されます。

その中で最も品種が多いのは、やはり最も人気の「四季咲き」ですね。

私自身も、薔薇栽培を始めた当初は、たくさんの花を楽しみたかったので、四季咲きの品種ばかりを集めていました。

しかし、四季咲きは、年間を通じて複数回の花を楽しめるけれども、条件が揃わないと咲きにくいんです。

特に夏については、品種・個体によって暑さに負けてしまうものがあり、新芽自体が出てこないことがあります。

「それって四季咲きじゃないでしょ!」と思われるかと思いますが、そうではなく…気温が高すぎることが一因なのです。

下の写真は、四季咲きのミニバラで7月初旬に剪定したものです。写真を撮影したのが7月末ですが、新芽が全く見られない状況です。

ミニバラであれば、一か月も経てば赤い葉を伴った新芽が顔を出すのですが…この薔薇の場合には、新芽すら出てきませんでした。

同じ品種を、暑い市街地ではなく、比較的夏の気温が低い場所(例えば東北地方など)で育ててみると、実は夏でも咲くということもあるかと。

私自身も経験したことがですが、ミニバラの「ノヴァ」という品種を関西の暑い市街地で育てた場合には、夏には花がうまく咲きませんでした。

しかし、私の実家のある静岡県の田舎で育てたところ (母にプレゼントして育ててもらった) 、夏でも花がしっかりと咲いたんです。

もちろん、気温がすべてではありませんが、このような事例があるのも事実です。

夏の薔薇の症状⑤ 新芽の成長が止まる

私が経験したことのある、夏に出る薔薇の症状の5つ目ですが、それは新芽の成長が止まってしまうという事例です。

下の写真に示すように、新芽が出てきたところまでは良いのですが、ここから成長がストップしてしまったという状況です。

この症状の発現は、正直、品種によるものなのか何なのかは完全に理解できていません。

上の例は、オデュッセイアなのですが、7月の中旬にこの写真の状態になり、7月末まで全く状態が変わりませんでした。

赤い葉を伴いながら元気そうな新芽が出てきているのですが…。

この他にも、地植えのブルームーンやミニバラ等でも起こったことがあり、主に夏の時期だったと記憶しています。

気温が高くなりすぎて薔薇自身が成長を止めるという判断をした可能性もありますし、成長に必要な条件が整わなかったのかもしれません。

夏の症状が出ても枯れることは無いのでご安心を

以上、私が経験した夏の薔薇に出た症状5つを紹介しました。

皆様が育てているバラの中にも、夏に同じような症状が出ているものがあるでしょうか?

花のサイズが小さくなったり、葉が黄緑色に変色するという症状は多くの品種で起こりやすいのかと思います。

ただ、上記の症状は薔薇を枯れさせてしまうような重篤な病気ではなく、夏の間の高温が理由で起こる一過性の症状だと考えられます。

毎年のようにこの症状を経験しますが、秋や翌春には美しい薔薇を元気に咲かせてくれています。

初めてこれらの症状を見ると、「薔薇の中で何かが起きているのでは!?」「薬を使ったほうが良いのかな!?」と心配になるかもしれません。

しかし、薔薇はとても丈夫な植物なので、適切な水やりや施肥、そして高温になりにくい場所で管理するなどをしてあげれば夏は乗り切れるかと思いますよ。

夏を乗り切るために筆者が実践していること

薔薇栽培を趣味にして、毎年のように夏の薔薇のお世話を経験しているのですが、ここ何年かで感じていることが一つあります。

それは、暑い夏の期間のお世話で大切なことは、「あまり手をかけすぎないこと」ではないか…と…。

大切な薔薇に元気がないと、お世話をしたくなりますが、それって本当に適切な対処なの?って思うことが時々ありました。

それらを踏まえて、私が夏の期間に実践していることを紹介します。

あくまでも、私個人の考えなので、御参考程度にお考え下さい。

① 肥料は必要最低限の量に

薔薇に限らず、植物に元気がないとき、「肥料与えれば大丈夫でしょ!」と考えてしまう方はいらっしゃるかと思います。

「肥料を与える=元気になる」という考え方は、非常に簡単に思いつくのですが、そういうわけでもないですよね。

肥料は健康で成長力旺盛な植物に対しては、与える意味があります。

しかし、成長が止まったり元気がない植物に肥料を与えても、肥料過多になるだけで無意味か逆効果になるんです。

夏バテして疲れ切った薔薇に対して肥料を与え続けるのは、「肥料やるから早く次の花を咲かせなさい!」と薔薇をしばきあげているだけに思えます。

そもそも成長が鈍っているのだから、肥料自体は必要最低限あれば良いはずです。

そのため、私は夏バテ症状の出た薔薇に対しては施肥をストップし、元気が出てきた頃に薄めた液肥 (規定希釈率のさらに2倍くらい薄めたもの) からスタートするようにしています。

② 直射日光は1日4時間程度

冒頭でも述べましたが、現代の夏の直射日光は「災害級」の恐ろしさがあります。

それは薔薇にとっても同じで、特に元気のない薔薇からしたら、葉の温度がどんどん上がってしまい、言わば熱中症になっているような状況だと思われます。

ただ、日光は光合成に必須の要素でもあるので、1日4時間くらいになるような場所で管理するように心がけます。

午前中だけ日光が当たり、午後は日陰になるような場所です。

午後の西日 (特に14時~15時) は、本当に厳しいので出来れば避けてあげたいですね。

③ 活力剤も適量で過信をしない

皆さん、活力剤って使っていますか!?

私自身は頻度は低いですが、使用しています。

「植え付け時」や「2~3か月に1度」のペースです。

活力剤の役割は、微量元素を供給し、根の活力を復活させて植物を元気にするというものです。

ただ、活力剤って、どれだけ効果があるか、実感されておりますか?

実際に確認・実験をされたことがありますか?

私自身、自分で実験をしてみたいと、ずっと思っているテーマでもあります。

(「活力剤の有無で薔薇の成長に変化はあるのか?」というタイトルで記事を書きたいと考えています。)

ただ、この活力剤も肥料と同じで、与えたら与えただけ良いというものではありません。

私は6月に活力剤を1度与えた後は、8月後半まで活力剤を与えないことが多いです。

ベーサルシュートの出やすい時期に合わせて活力剤を使い(ここぞという時に使う感じ)、夏の間は無理をさせずに過ごさせるという育て方をしています。

もし、夏の暑い時期での活力剤の効果的な使用方法をご存じの方、コメント欄で御教示いただけますと幸いです。

薄く希釈したものを、葉にミスト噴射するとかも有効なんですかね…??

この記事の終わりに

この記事では、夏の暑い時期に薔薇に現れる代表的な症状5つ (筆者が経験した症状) を紹介しました。

どれも夏の暑い時期に発生し、秋の涼しい時期になると回復してくれるものですので、薬剤などでの対処は必要ないと考えます。

管理方法の変更 (置き場の変更や施肥の変更) で対応可能と思います。

もし、今回紹介した症状以外にも夏特有の現象や症状があれば、コメント欄で共有していただけますと幸いです。(筆者が失念している症状もあるかと…)

夏の間の薔薇は、春の華やかな姿からは想像もつかないくらい悲惨な状態になるものもあります。

ただ、秋の開花や翌春の開花に向けた準備期間だと思い、お手入れを怠ることなくしてあげてくださいね。

そのお世話の分だけ、「開花」というご褒美をもらえるものと思います。

それでは、暑い夏を乗り切りましょう!

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