冬剪定前の薔薇のお世話 -蕾や葉の処理の考え方-

10月中旬から11月中旬の秋薔薇の開花が終わり、その余韻に浸っていると…あっという間に12月の中旬になり、一気に寒さが厳しくなります。

気温がどんどん下がる中、外で薔薇のお世話をするのが少し嫌になる時期ではありますが、冬の剪定に向けての重要な時期でもあります。

春から夏にかけての薔薇は生育が旺盛で、日々の成長が目で見て分かるようになりますが、実は休眠に向かう薔薇も同じように大きな変化が株の中で起こります。

11月中旬以降になると、それまで元気に成長した蕾が成長を止めてしまい、緑色だった葉が徐々に黄色くなって枯れ落ち、寒さから身を守るために枝が真っ赤に染まる品種も出てきます。

薔薇の休眠に伴う変化となりますが、12月は開花がほぼ終わる時期でもあるため、この時期のお手入れにあまり力を入れない方も多いと思います。

しかし、薔薇栽培を初めて何年か経った時、休眠に向かう薔薇のお世話にも考慮しておくべきポイントがあると感じるようになりました。

この記事では、筆者が12月の薔薇のお世話で気を遣っていることを紹介しておきます。

12月の薔薇の管理については、様々な方が様々な意見をお持ちだと思います。あくまでも一つの考え方として記事を書こうと思いますので、最後までお付き合いいただけましたら幸いです。


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はじめに -大切なのは日々の観察-

この記事を書こうと決めたのが12月中旬のことですが、休眠前の薔薇はしっかりと日々の観察をしてあげることが重要だとあらためて感じました。(いつも、薔薇のお世話をしている時に記事のネタを考えています。)

もちろん、その他の季節における薔薇のお世話でも日々の観察は重要です。

しかし、冒頭でも記載の通り、休眠前の薔薇はお世話を怠りがちだと思うんですよね。

薔薇は冬季には開花しませんし、葉が無くなってしまう事もあり、薬剤の散布や害虫の駆除などもほとんど行われないことが多いと思います。

そのため、春から秋にかけての薔薇のお世話に比べると、薔薇を放置する時間が長くなるのが実情では無いでしょうか?

「蕾付いたけど…咲きそうにないなぁ…この蕾は冬剪定の時まで放置しておこう…」

「葉の裏に虫がいるけど…どうせ剪定するから見て見ぬふりだ…」

「咲いている薔薇があるけど、花柄は冬剪定の時に処理すればいいや…」

こういう考えをお持ちの方、多くいらっしゃるのではないでしょうか!?

何を隠そう、私自身も2年くらい前までは、そのような意見を持っていた一人でもありました。

しかし、休眠に向かう薔薇にも株の中で重要な変化が起こっている時期ではあるので、日々の観察を行いながら、なるべく最適な状態で休眠にいざなってあげたいと思うようになりました。

下でも説明を入れますが、日々の管理を行うことで、薔薇を自然な状態で休眠に向かわせることができると思っています。

また、12月の時期には同時に次のような疑問も生まれてくると思います。

「12月に形成された蕾は咲くのか?」

「休眠前の薔薇の葉は、どのタイミングで除去すれば良いのか?」

これらの疑問点は、実は日々の観察をしていれば自ずと答えが出てくるのだと思うんです。

では、これらの観点も踏まえて、以下で私の考え方を御紹介させていただきます。

もしかしたら皆様の考え方と違うのかもしれませんが、共感してもらえる部分が少しでもあれば嬉しく思います。

薔薇は冬に咲かせても大丈夫!でも、朽ちる前に切り落としましょう!

街を散歩していても、12月に咲いている薔薇をよく見かけることがあります。

12月の薔薇は、実は春や夏に比べると花もちが良いと御存じでしたか?

これは私も肌で感じている事なのですが、12月に咲いている薔薇は確実に花もちが良いです。

春や夏は成長が速いため、花がどんどん咲き進んで花弁が枯れ落ちていきます。しかし、晩秋から冬に咲いた薔薇は咲き進む速度が遅いため、開花に要する時間が長くなると共に花弁が劣化する速度も遅くなり花もちが良くなります。

春や夏には数日しか持たなかった花が、晩秋から冬の時期には1週間から10日くらい咲いていることもあります。

そのため「まだ綺麗に咲いているから大丈夫!」と思い込み、開花した薔薇を長く放置してしまう事があるのもこの季節です。

下の写真は、2021年11月後半に咲いた「クラリス (半つる性) 」ですが、この記事のネタのために20日程度放置しておいたものです。

10日くらいは綺麗に咲いていたのですが、15日目くらいから花弁が朽ちていく速度が上がり、あっという間に花弁が茶色く変色してきました。この状態で放置するのは良くないと思い、2週間で切り落としました。

薔薇管理の話題の中で「寒い時期に薔薇を開花させても良いの?」という話題を耳にすることがあります。

これに関しては、決して悪い事ではないと思います。

薔薇が自らの判断で開花させることを選んだのですから、薔薇の株に悪い影響は無いと思います。

咲かせることに問題は無いけれど、咲いたら適切な時期に花柄を切り取る、ということが大事な事かと。

花がらを放置したら冬の低い気温の中でも腐っていきそうです…。

私自身は、12月の中旬までに咲いている花を全て切り取ってしまいます。


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冬に付いている蕾の処理 -成長を見て取捨選択の判断-

12月に薔薇の株に付いている蕾…

これの蕾をどうすべきなのか、すごく迷いませんか?

私も毎年、もの凄く悩んでいることです。

「待てば咲くかもしれない!」と思って待ってみたが、結局咲かずに終わる…ということが多々あります。

期待を大きく裏切ってくれるのが12月に付いている蕾、というイメージがあります。

そのため、私は日々の観察の中で蕾の成長を見て、蕾の成長が見て分かるようなら残し、成長が芳しく無ければ切り取るようにしています。

以下で、2つの例を紹介しますね。

下の写真は、2021年12月5日に撮影した「ブルームーン」の蕾です。

真ん中の大きな蕾は、11月の後半にもしっかりと成長していることが分かったので成長させたのですが、12月10日に蕾が開いて無事に開花してくれました。しかし、それ以外の蕾は成長が止まってしまったので、全て除去することとなりました。

次の例は「ジュビレ・デュ・プリンス・ドゥ・モナコ」になります。この写真は202年12月初旬に撮影したものになります。

実はこの蕾は、11月20日頃からこの状態が続き、約2週間の間、まったく成長が無い状態となっている蕾です。

薔薇が休眠に向かう中で、蕾を成長させることが出来なくなってしまったのだと言えます。

このような蕾は、開花を待てど期待に応えてくれる可能性は非常に低いと言えますので、12月初旬の時点で切り落としてしまいました。

この2つの例の様に、日々の観察を行うことで、12月に咲く蕾と咲かない蕾を見分けることも出来るようになるんですよね!

そうなれば、12月のお世話・お手入れの計画も立て直すことができます。

もちろん、予想は外れることもあります!

11月末までしっかりと成長していた蕾が、12月初旬の寒波に見舞われただけで成長が止まった株もありました。

また、開花寸前で力尽きてしまうパターンも経験しました。

総じて言えることは「12月の薔薇は開花に期待しない方が良い」ということかと思います。

冬の開花に期待されていない方は、思い切って12月初旬に全ての蕾を切り落としてしまうという選択もアリかと…。

枯れ落ちる葉を定期的に除去しながら休眠へ向かわせる -12月末には全ての葉を除去-

「12月末までには、薔薇の葉を全て除去しましょう!」ということを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

これは、冬剪定の前に薔薇を確実に休眠状態にさせるための作業で、とても重要な事であることに間違いはありません。

私自身も、毎年12月末までには薔薇の葉を全て除去するように心掛けています。

枝に葉があると、いつまで経っても薔薇が完全に休眠してくれない状況が続きます。

葉が付いていれば、薔薇は少なからず光合成を行い、根から水を吸い上げて水分を葉から蒸散する活動を続けます。例え気温が下がりゆく中でも、葉と根がある限りこの活動が続きます。

薔薇が活動するということは、枝や葉の中を水分や養分が通っている状態になるので、剪定する時や誘引する時には若干不向きの状態にもなります。また、枝の中に水分が多ければ、気温が下がった時に枝の中が凍ってしまう可能性もあります。

これらの背景があり、薔薇は冬剪定の前に葉を全て除去して活動を停止させることが理想的であると言われています。

ただ、葉を除去するのにかける時間は、人それぞれだと思います。

1日で全ての葉を除去してしまう方もいらっしゃいますし、数日掛けて徐々に葉を除去する方もいらっしゃいます。

私は後者です。

1日で済ませれば楽なのですが、やはり休眠前の活動が落ちていく薔薇の株に急激な変化を与えたくないという自論があります。

一気に葉を除去しても問題は生じないと思いますが、まだ活動を続ける葉を一気に除去すれば薔薇が驚いてしまうのではないか?という考えがあり、10日から20日くらいかけて葉の除去作業をしています。

葉を除去するタイミングは、実は薔薇の株が教えてくれます。

下の写真の様に、薔薇の株は下の方にある葉から順番に枯れ落ちていきます。

このような状態になったら、その葉から2つか3つ上の節までの葉を全て除去します。

そして、次の週にもう一段上まで葉を除去するという形で葉の除去を進めていきます。

少し面倒臭く感じますが、週に一度の薔薇のお世話の中で実施しているので、それほど重たい作業でもありません。

ただ、管理している株の数が多い方は、冬の葉の除去作業をどうしているのでしょうか…。

特に薔薇を50株くらい育てている方は、葉の除去についてどのような方法で実施されているんでしょうね?

もし、50株以上を育てていらっしゃる方がいらっしゃいましたら、コメント欄で冬の葉の除去方法を教えていただけましたら幸いです。

葉の除去は行わずに冬剪定に入るという感じかもしれませんね。


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この記事の終わりに

この記事では、薔薇の冬剪定前の蕾・葉の処理方法について、私の考え方を記載させていただきました。

薔薇は基本的に冬には花を咲かせないため、秋薔薇が開花した後は冬剪定の時期まで薔薇の株を放置してしまう方が多いかと思います。

しかし、薔薇が活動期から休眠期に向かう大事な時期でもあるので、秋の開花後も適切なお世話を行って休眠にいざなってあげたいところですよね!

この記事で紹介させていただいた内容は、少し無意味なお世話かもしれません。しかし、それも含めて趣味として楽しめているので、個人的には満足しています。

さて、来年の1月には毎年恒例の冬剪定の時期がやって来ます。

薔薇の冬剪定は、薔薇の棘との戦いであり、一種の格闘技のようなものに思えてきます。薔薇を始めた頃は冬剪定も楽しかったですが、株数が増えた今となっては重労働の一つに入ります…(笑)。

皆様、12月のうちに手袋や剪定バサミの準備を進めておきましょう!

では!

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