ミニ薔薇の春の芽かき -病害虫を防ぐ第一歩-

園芸店に行った際に、年間を通して目にする薔薇が「ミニ薔薇」です。

挿し木苗で生産された小さなミニ薔薇は、贈り物の鉢植えとしてだけでは無く、寄せ植えの主役にも使うことができるため、小さくても華やかな園芸品種と言えます。

ミニ薔薇は、花が終わったら栽培を終わりにするのでは無く、植え替えや鉢増しを行うことで、株がどんどん大きく成長します。通常の薔薇にも負けないような立派な株に成長する品種もあるので、手軽に薔薇栽培を楽しめるというメリットもあります。

そんなミニ薔薇ですが、冬の休眠期を終えて春の芽吹きのシーズンを迎えると、いち早く新芽を芽吹かせて成長を開始します。

ミニ薔薇も薔薇と同じく頑張り屋さんなので、放っておくと至る所から芽を出して花を咲かせようとします。

そのため、葉が混みあって病気や害虫の原因を発生してしまう事が多々あります。

この記事では、春のミニ薔薇を健全に育てるために必要な「芽かき」について紹介し、どのような新芽を除去すべきなのかについて私の考え方を記していきたいと思います。


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ミニ薔薇は実は樹勢が強い!

「ミニ薔薇」と聞くと、誰もが思い浮かべるのは園芸店に並ぶ挿し木苗の小さなミニ薔薇だと思います。

確かに、私も園芸や薔薇を始めた頃は、ミニ薔薇に対するイメージは小さな挿し木苗でした。

しかし、実際にミニ薔薇を購入して育ててみると、そのイメージは覆されました。

私の以前の記事でも紹介しているのですが、下の写真が我が家のミニ薔薇です。

ポールセンローズの「ノヴァ」という品種のミニ薔薇なのですが、花の大きさや株の大きさともに、普通の薔薇と同じくらいのサイズを持っています。

もともとは、園芸店で売られている挿し木苗のミニ薔薇でしたが、地植えにして育てていくと、1年くらいでこのサイズに成長しました。

つまり、ミニ薔薇は挿し木苗の弱弱しいイメージとは異なり、かなり樹勢の強い植物であることが分かります。

これだけ立派な株に育つので、年間を通じたミニ薔薇の管理も、通常の薔薇と同じような管理が必要になってきます。

そのため、新芽の出てくるシーズンには「芽かき」を行い、良い芽を選抜して育てていく必要があります。

もし、芽かきを行わずに放置しておくと、様々な不具合が出てしまう可能性が否めません。

ミニ薔薇の芽かきは病気を防ぐ第一歩

私が育てているミニ薔薇は、2020年の春から初夏にかけて、ハダニの大被害を受けました。

その時の記事は、下のリンクで紹介しています。

この時の記事でも紹介しているのですが、ミニ薔薇は春に芽吹く新しい枝の数が多いため、新芽を全て放置しておくと葉が混みあって風通しも悪い状況になります。

そのため、特にハダニにとっては居心地の良い環境を提供していることになり、ハダニが大発生してしまったと考えられます。

この時のことを教訓にすると、ミニ薔薇も薔薇と同じように春の芽かきが必須であり、株の成長や枝の数をコントロールしてあげることが重要ということかと思います。

昨年の事を繰り返さないためにも、春の芽吹きのシーズンにはミニ薔薇の芽かきも忘れずに行うことをお勧めします。


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ミニ薔薇の芽かきを行うタイミングは?

ミニ薔薇の芽かきを行うタイミングですが、基本的には薔薇の芽かきを行うタイミングと同様に考えて良いと思います。

ただし、いつ頃が適切と言う一般的な考え方では無く、株の状態を見て芽かきのタイミングを決めていくことになります。

具体的にな例としては、今回の記事で紹介する下の写真のミニ薔薇の写真をご覧ください。

この写真は2021年3月5日の写真ですが、既に葉が多く展開し始めて、新しい茎になる部分も見え始めている所になります。

このくらい新芽が芽吹いてい来ると、良い芽と悪い芽の判断が付きやすくなります。

逆に2月の中旬から後半くらいの、まだ葉が出てきていないような状態ですと、元気に成長する芽なのか否かの判断が付きにくいです。

芽かきは不要な枝に養分を送らないための処理になりますので、早い時期に行うほど養分を無駄に使うことが無くなります。

しかし、少なくとも上の写真くらいまで成長した状態の方が、新芽の良し悪しが判断しやすくなります。

芽かきのベストな時期は、お住まいの地域によって異なりますし、株によっても異なります。そのため、芽かきのタイミングは御自身で判断しなければならないということになりますね。

成長が見込めない新芽の例

では、ここからは、成長の見込めない新芽の見極め方について、私が実践している判断方法を写真と共に紹介したいと思います。

下で紹介するのは、出開きになってしまう可能性が高い新芽の例となります。このような新芽は、他に多くの新芽がある場合には、芽かきで除去する対象として考えるようにしています。

蕾の付かないブラインドになってしまう新芽も判断できれば良いのですが、ブラインドについては芽吹きのシーズンでは判断が付きません。

以下の考え方は、私が個人的に考えている方法なので、あくまでも御参考ということでお願い致します。

株元に近く葉しか出てきていない芽

まず最初に芽かきを行うべきと考える新芽は、下の写真で示すような、株元に近い場所にあり葉しか出てきていない新芽ですね。

これは近い将来、高確率で「出開き」の状態になると思われます。

放置しておくと、葉の大きさがだけが成長して、茎が全く伸びないので、株元の葉の密度が高くなってしまうポイントになります。

このような株元の出開きの新芽は、ミニ薔薇には意外と多く発生します。

下の写真は同じ株の別の角度からの写真になりますが、黄色い矢印で示すように、出開きになると思われる芽が2つ存在していました。

株元から出てくる新芽は、ベーサルシュートやサイドシュートでないと勢いがありません。薔薇の持つ頂芽優勢の性質から、最も栄養が回ってこない芽になるので、このような芽は春の段階で除去してしまいます。

残しておくと、風通しが悪くなるだけでは無く、栄養が不足したことによってハダニの標的になる可能性も高くになります。

ベーサルシュートもどきの芽

次の例は「ベーサルシュートもどき」です。

株元のクラウンの部分から新芽が出てきている場合、ベーサルシュートと勘違いしがちですが、ベーサルシュートとは言えない勢いのない新芽になります。

下の写真の黄色の矢印で示す部分なのですが、ベーサルシュートに見えて新芽の色が悪く、勢いが全く無いことが分かるかと思います。

春先に出てくるベーサルシュートは、次の写真の様に、枝と葉の両方を伴いながら勢い良く出てくるので見間違えることはありません。

ベーサルシュートもどきも、結局のところ出開きの状態になる運命が見えているので、春の速い段階で除去してしまいます。

一か所から複数の芽が出たポイント

最後の例は、薔薇の芽かきでも有名な複数の新芽が発生しているポイントです。

下の写真では、一つの節の部分から3つの新芽が出てきていることがわかります。

この3つの新芽を放置しておくと、全ての新芽が成長していくため、この節の部分に大きな荷重がかかることになります。

そのため、強風の際に折れやすくなる可能性も高くなります。

このようなポイントは、最も良く成長している芽、または枝を残したい方向の新芽だけを残し、他の新芽は除去してしまいます。


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芽かきを行った後の株姿について

実際に芽かきを行ったミニ薔薇の、Befor & Afterの写真を下に載せておきます。

特に芽かきに力を入れているのが株元に近い部分であることは、お分かりいただけるかと思います。

株元の新芽は、ベーサルシュートやサイドシュート以外のものは、多くが出開きになってしまうので、ほぼほぼ全ての新芽を除去してしまいました。

このくらい株元がすっきりすると、株元の風通しも良くなり、病害虫も早期発見できるというメリットが出てきます。

この後は、10日程経過したら、再度新芽の成長を確認し、出開きになっている部分は除去するようにします。

ただし、出開きであっても、光合成に寄与している事は間違いないので、風通しが悪く無ければ残しておくことに問題はありません。

この記事の終わりに

この記事では、ミニ薔薇の春先の芽かきについて、私が実践している方法を紹介させていただきました。

ミニ薔薇は、樹勢が意外と強く、春の一番花のシーズンには、大量の新芽を発芽させます。

そのため、全ての新芽を放置しておくと、葉の密度が高くなってしまい、病害虫の温床になる可能性がでてきます。

全ての新芽から花が咲くわけでは無いので、不要な芽は芽かきで除去することをお勧めします。

芽かきを行って、立派なミニ薔薇を咲かせてください!

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