薔薇の栽培にバークチップは使うべき?病気抑制の効果は?

薔薇栽培を趣味にされている方だけでは無く、園芸の様々な場面で使用用途のある「バークチップ」や「ウッドチップ」ですが、皆さんは活用されていますか?

バークチップは上手に使うと、とても優秀な園芸資材になるため、お世話になっている方も多いかと思います。

また、園芸と言う分野に掛からず、ガーデン作りに利用されている方もいらっしゃるかと。

私自身、本格的に園芸を趣味として始めた頃に、バークチップの有用性について考え、実際にバークチップを多用していた時期がありました。

特に薔薇の株元にバークチップを引くことで、雨天時に土の跳ね返りが無くなるという情報を聞き (黒星病の抑制) 、ほぼ全ての薔薇の株元にバークチップを置いたことを今でも覚えています。

しかし、今ではバークチップを使うことが全く無くなり、花壇や鉢植えの中からバークチップが消えていきました…。

この記事では、バークチップの有用性について、私の経験談を織り交ぜながらメリットやデメリットを挙げて考えていきたいと思います。


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バークチップとは?

バークチップやウッドチップは、園芸を趣味にされている方であれば、園芸店や資材店で一度は見たことがあるかと思います。

下の写真はウッドチップになりますが、木を細かく砕いた木の破片になります。

ウッドチップの場合には、スギなどの木を粉砕したものであるため、ウッドチップの種類に依って特性が大きく異なるという特徴がありますね。特に檜を砕いたものなどは、とても良い香りがします。

それに対して、バークチップは樹木の「皮」を剝ぎ取り、それを小さく砕いたものになります。

ウッドチップは木の幹も粉砕されるのに対して、バークチップは樹皮を砕いたものであるという違いがあります。

そのため、バークチップの原料になる樹木は、樹皮が比較的厚く、樹皮が採取しやすい品種に限られています。具体的には、赤松や黒松などが使われていることが多いですね。

私が以前に使用していたバークチップも赤松の樹皮を原料にしたものでした。

薔薇の鉢植えにバークチップを使うメリット

まず最初に、薔薇栽培や園芸にバークチップを用いるメリットについて紹介していきたいと思います。

以下で記載するのは、一般的に言われているバークチップのメリットではありますが、実際に使用してみた私の所感も含めて紹介したいと思います。

土の表面が隠れるため見栄えが良い

私がバークチップという園芸資材を知り、自分の花壇に導入した理由の一つが「見栄えが良い」というメリットでした。

インターネットで見た綺麗な花壇にバークチップが敷かれており、土が丸見えの状態に比べるとかなり見栄えが改善することを知り、実際に導入してみようと思ったのがきっかけです。

下の写真の様に、ガーデンにある小道にウッドチップが敷き詰められていることがありますが、土の表面が丸見えになっている場合に比べても見栄えが良いですよね!

この見栄えだけに焦点を当てれば、バークチップやウッドチップは、かなり有用な資材だと感じます。

ただ、花壇に敷き詰めるとなると、花壇の大きさにも依りますが、相当な量のバークチップを敷き詰めることになるので、それなりの費用もかかりますね。

また、バークチップを敷いた後に、その花壇や庭が気に入らなかった場合、処分が大変です…。

私自身、花壇にバークチップを敷くのを止めたのですが、その時には相当な量のバークチップを廃棄しました…。

花壇やガーデンへのバークチップ導入前には、ある程度の覚悟と、絶対にバークチップを敷き続けるという信念を持っていた方が良いように思います。

限られた鉢植えに使用するレベルであれば、そのような廃棄の際の問題ありませんけどね!

夏に土が過度に乾燥することを防止する

バークチップを土の表面に敷くことで、直射日光が遮られますし、水分の蒸発が防げますので、このメリットは明確にあると思います。

特に夏の暑い時期は、1日水やりを忘れるだけで、薔薇は水切れ状態を起こし始めて、新芽の柔らかい部分がお辞儀をしたように下を向いてしまいます。

バークチップを敷くことで、このような症状に陥ることを一時的に防ぐことが出来るのは確かな事実ですね。

私自身も、夏にバークチップを敷いていた時は、過度な土の乾燥から薔薇を保護するのにバークチップが役立っていました。

黒星病の予防に役立つ?これは疑問

薔薇栽培を始めた方が必ず目にするであろうウッドチップの効果に「黒星病の予防」があるかと思います。

冒頭でも述べたように、私自身も黒星病の予防効果を期待して花壇や鉢植えにバークチップを使用していました。

しかし、正直なところ、バークチップを使用しても黒星病は発生します。

約1年半くらいの間、バークチップを使用していたのですが、バークチップを使用した時と使用していない時で、ほとんど効果が分かりませんでした。

花壇に植えている薔薇も鉢植えの薔薇も、バークチップを敷いたとしても、黒星病が出るときは出ます。黒星病の発生には品種や栽培環境だけではなく、運もあるのだと思います。

バークチップを敷けば黒星病を100%防げるわけではありません。

確かに、株元の土の跳ね返りは防ぐことが出来ますが、ジメジメした梅雨の時期や夏のゲリラ豪雨のような雨があると、黒星病の原因は別の場所から容易に侵入してきます…。

バークチップが黒星病に役に立つ場合も有るのかもしれませんが、正直、雨に濡れない軒下で薔薇を管理することや、薬剤散布したほうが確実に有効だと感じます。

近年、育種化の皆様の御努力で、薔薇の耐病性はどんどん上がっています。しかし、昔から根強い人気を誇る品種には耐病性が低いものがあります。そのような品種を育てるのであれば、バークチップを敷くだけと言う「ずぼら」な管理では無く、適切な薬剤の使用や日々の管理が絶対に必要かと感じます。

雑草を防ぐことができる -これは薔薇栽培愛好家にはメリットではない-

また、バークチップの一般的なメリットとして言われていることですが「雑草を防ぐ」というものです。

これは、確かに効果があると思います。

どこからか飛んできた雑草の種が土に触れることが無いため、発芽率が下がるのは確かな事だと思います。

しかし考えて下さい、薔薇の栽培を趣味にされている方は、花壇や鉢植えを1週間~2週間放置することはほとんどないですよね?

毎日とは言わないまでも、2日か3日に一度くらいは薔薇のお世話 (病気の確認、水やり、雑草除去、施肥など) をしているかと思います。

そのお世話の際に、雑草があれば、適宜除去していますよね!?

2ヵ月放置した雑草を除去するのは至難の業ですが、2日に一度くらい雑草を除去していれば特に重労働ではないと思います。

ですので、ガーデンをほぼ放置する方にとってはバークチップの雑草抑制効果は有効ですが、薔薇栽培愛好家の皆さんにとっては、この効果は微々たるメリットかと…。


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薔薇の鉢植えにバークチップを使うデメリット

上記では、私が実際にバークチップを使用して感じたメリットや、実際の本音的なところを記載させていただきました。

では、逆に何がデメリットになるのでしょうか?

以下では、そのデメリットになる点を記載していきたいと思います。

冒頭で、私はバークチップを使用するのを止めていると記載していますが、それは以下で紹介するデメリットばかりを感じたのが理由です。

カビが生えるリスクが高い

バークチップやウッドチップを敷くと、土の表面が見えなくなるので見栄えが良くなるということをメリットの部分で記載しました。

しかし、それはバークチップが綺麗な状態を維持できれば…という条件の下でのことです。

バークチップは敷きっぱなしにして過湿な状態が続くと、容易にカビが発生します。

私の栽培環境では、梅雨の時期に花壇に敷いていたバークチップに白いカビと緑のカビが大量に発生しました。一応、カビが発生しないように気にかけていましたが、それでもカビは発生しました。

晩秋から初春の湿度の低い時期は、カビ発生が抑制できるように思えますが、梅雨の時期はカビの発生がひどかったです…。

しかも、一度カビが発生すると除去することもできないので、カビ発生が酷い部分のバークチップは廃棄して敷き直していました。

土が乾燥しにくいので根の成長にはデメリット

薔薇を健康に育てるには、黒星病やうどんこ病を抑制することが重要ですが、それに加えて健康的な根を育てる事も大切な管理項目ですよね!

植物の根は基本的に、土が乾燥すると別の場所にある水分を求めて長く伸びようとします。

つまり、適切に土を乾燥させることで根の張りを良くしていくことが出来るのです。

逆に、常に土が濡れている状態になると、根はわざわざ伸びなくても水分を手に入れることが出来るので、根に楽をさせることになります。また、常に湿った土は、根腐れを起こしてしまう原因にもなり得ます。

バークチップを常に敷いている状態は、容易に想像できると思いますが、土の表面が乾燥しにくいため、結果的に常に土が濡れている状態になりやすくなります。

例えば、梅雨の時期にバークチップを敷きっぱなしにすると、乾燥する前に次の雨雲がやってくるため、土が乾燥するタイミングが無くなることがあります。

そうなると、根の成長が妨げられるので、薔薇だけでは無く様々な植物にとって良い影響がありません。

虫の温床になる…メリットと考えることもできますが…

私が薔薇の花壇にバークチップを敷いていた時の事ですが、バークチップの下には多くの虫が集まっていました。

ダンゴ虫、ワラジムシ、ヤスデがメインですが、ヨトウムシやナメクジを発見したことも多々あります。

ヨトウムシやナメクジは薔薇の葉を食べてしまうので、薔薇栽培にとっては害虫になります。

そのため、バークチップを敷くことは、害虫の温床になると言えるのです。

しかし、ダンゴ虫、ワラジムシ、ヤスデに関して言えば、落ち葉などを食べて分解してくれる益虫になります。

そう考えると、バークチップは害虫も益虫も呼び込む住処になると言え、デメリットともメリットとも言えませんね…。

皆さんは、どう思われますか?

結構難しい選択な気がします。

花壇に使うと強風で吹き飛び周囲に迷惑

最後のデメリットは、春の強風のシーズンと台風のシーズンに起きたことですが、バークチップが風で飛ばされて道路に散らばったことがあります。

バークチップはとても軽いので、容易に風で飛ばされます。

特に台風の後は大変な状態になっていたのを覚えています。

台風の前には、出来ればバークチップは回収しておくことをお勧めします。

バークチップの上手な使い方 -メリットを活かしデメリットを無くす-

実際にバークチップを薔薇栽培に使用していた時に思っていたことですが、バークチップを使うのであれば、メンテナンスやお手入れは欠かせないというのが私の考えです。

上でメリットとデメリットを紹介しましたが、いかにメリットを活かしてデメリットを無くすかが重要なポイントだと思います。

私が思うバークチップの最大のメリットは「土の過度な乾燥の防止」です。

夏に1泊2日の旅行に出かけるのであれば、その前日くらいにバークチップを敷いて水やりを行えば、1泊くらいの旅行中も水切れの心配は軽減されます。

真夏の炎天下では、6号鉢位の鉢植えですと、1日経たないうちに水切れの症状を起こすことも多々あるので、短期間の不在の際にバークチップを活用することは大きなメリットだと言えます。

また、暑い夏であれば、比較的早くバークチップも乾燥するので、カビが生える心配も軽減できるかと思います。

しかし、梅雨の時期に黒点病の予防のために使う場合には、バークチップを敷く厚さを薄くして、ジメジメした時期でも土の乾湿のメリハリを付けるような工夫が必要です。

つまり、バークチップは一年中敷いたままにするのではなく、必要な時だけ使い、不要な時には取り除いて保存しておくような事も考えておくべきかと思います。(もし敷きっぱなしにする期間があるのであれば、定期的にバークチップをひっくり返してあげることで、バークチップの乾燥促進や害虫予防になるかと…。)

薔薇栽培にバークチップを活用する際には、年間を通じたメンテナンスが必要になるということですね!

薔薇を管理する時間が取れない方やお世話が嫌いな方が、バークチップを敷きっぱなしにして (お世話を手抜きして)、 薔薇の黒星病を予防するような使い方には向かないのではないか?と感じます。

バークチップは薔薇栽培の味方である一方、使い方を間違えるとトラブルの原因になるものでもあります。バークチップの特徴・特性を知り、御自身の栽培環境に置いて、最適な使い方を探求するのも園芸の楽しみかもしれませんね!


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終わりに -私は薔薇栽培にバークチップを使いません-

この記事では、薔薇の栽培にバークチップは必要なのか?と言う点で私の考えを記載させていただきまいた。

ただ、記事を書いてみて感じたのですが、薔薇の栽培に限ったことでは無く、バークチップ自体の使用に関しての個人的な意見になってしまった感がありますね。

私自身、以前は薔薇の栽培にバークチップを使っていましたが、上で紹介したデメリットを強く感じてしまうようになり、結果的にバークチップを使用しなくなってしまいました。

バークチップの使用を止めてからも薔薇の栽培を続けていますが、バークチップが無いことで薔薇の栽培で困ることは無くなりました。

むしろ、バークチップを使用しなくなったことで、土の表面が丸見えになり、土の乾き具合が直ぐにわかるようになりました。薔薇の栽培では水やりの仕方がとても重要になるので、その点は使わないメリットが大きいなぁ…と今でも感じています。

薔薇栽培にバークチップを導入することを完全に否定するわけでは無いのですが、バークチップを使うからにはデメリットとなる点を把握して、そのデメリットを解消できるような使い方を心がけていく必要があるかなぁ…と感じます。

ただし、「論より証拠」と言う言葉もありますので、バークチップの使用を考えている方は、そこまで高価なものではないので、一度使ってみても良いかと思います。

では!

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