梅雨時期は薔薇の葉を整理する最適な時期 -黒星病とハダニの防止-

薔薇の1番花、そして2番花が終わるころ、日本では6月の梅雨シーズン真っ只中です。

そして、その梅雨が終わると外に出るのも嫌になるような暑い夏が訪れます。

そんな梅雨の時期だからこそ、さらに暑くなる夏に向けて、薔薇の夏支度を進めていくべきかと思います。

梅雨の時期は雨に濡れることが多いので黒星病の対策にだけ注目されがちですが、ハダニ対策としても一歩先を見据えたお世話を行っておくと安心かと思います。

この記事では、私が毎年実践している梅雨の時期にやっておきたい「薔薇の葉の整理」について御紹介したいと思います。


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1番, 2番花の後の薔薇は弱った状態

4月に1番花が咲いた後、成長が早い薔薇は6月には2番花の時期を迎えます。

この1番花、2番花を咲かせた後の薔薇は、花を咲かせるという最も体力を使うことをしたので、相当株自体が弱ってしまっている状況ですね…。

2020年の春は、私の栽培する薔薇は特にその傾向が強かったです。

下の写真は、私が栽培しているプラム・パーフェクトの鉢植えです。1番花の後の株の様子ですが、葉が黄色くなり一部は茶色く変色してしまっている状況です。

これは一部はハダニによる被害ですが、ハダニの発生していなかった部分も葉が黄色くなり始めており、完全に体力がなくなってしまっている状況です…。

例年のプラム・パーフェクトでは、このような状態にならなかったのですが、今年は体力の消耗が激しかったのだと思います。

弱った株の弱った葉には、ハダニが発生しやすいですし、葉を健全な状態に保つことが出来なくなると、このような状態に陥ってしまうのかと…。

例え気を遣って管理していても、1番花、2番花の後は、このような状態になる薔薇が良くあるので…後は早く回復してくれるように世話をするしかないですね…。

このような弱った葉を新しい葉に更新するという意味でも、梅雨時期の葉の整理が必要になると考えています。

梅雨時期に葉を整理すべき理由

さて、この記事の本題となる「梅雨の時期に葉の整理をすべき理由」です。

以下の3つの点から、梅雨時期こそ葉の整理を進めるべきだと考えます。

濡れた葉を乾きやすくして黒星病を抑制

梅雨時期は雨が多いです…2日くらい雨が降り続けることも多々あります。

薔薇を栽培されている方であれば経験があるかと思いますが、やはり雨の多い時期というのは「黒星病」が発生しやすいです。

葉が常に濡れた状態で、黒星病が最も発生しやすい状態になっているというのが主な理由です。

葉の整理を行っていないと、葉が多いままで風通しも悪いですし、直射日光が当たらないような葉は乾きにくい状態となります。

そのため、梅雨の時期こそ葉を乾燥させやすくするために葉の整理は必要なのではないかと考えます。

ハダニの増殖を抑えることが可能

葉が込み合った状態では、株の内側は梅雨時期でも濡れにくい状態になっていることが多いです。

多少強い雨が降っても、外の葉がガードしてくれるので内側の葉は濡れずに済むこともあります。

そのような場所は、ハダニが身を守るのに適した環境となってしまうため、ハダニの増殖する起点となり得ます。

梅雨時期は外に出られずに、薔薇のお手入れをする時間が取れないことも多々あるので、ハダニの増殖に気付かないことも起こり得ます。

また、梅雨が終われば高気温の夏がやってくるため、よりハダニが発生しやすいシーズンになります。

梅雨時期のハダニ防止、そして梅雨が終わった後の高温の夏のハダニ防止の両面から葉の整理が必要になってきます。

葉を元気なものに更新する良い季節

最後の理由としては、弱った葉を新しい葉に更新する最適な時期だと思います。

株が弱って葉の色が黄色くな状態やハダニの影響で葉が変色してしまった場合には、梅雨時期の新芽の芽吹きの段階で葉を全て除去してしまうことも一つの手です。

新しい芽が出てきて、新しい葉が次々に作られてくれば、古くなった葉を除去してしまっても問題は無いです。新しい葉が光合成を担ってくれます。

むしろ、弱った葉をそのまま置いておくと、再びハダニの原因になる可能性もあるので、新しい芽が伸びてきたら時を見て古い葉を除去してしまいましょう。

下では、その実例も紹介しておきます。


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葉を整理するときに私が指標としていること

葉を整理する時に、どの葉を除去して、どの葉を残すか?

そんな迷いが生まれることが多々あります。

調子に乗ってどんどん葉を除去してしまうと、葉の数が少なくなってしまいますし、逆にあまり除去しないと全く変化が無い状態になってしまいます。

そこで私が葉を整理する時に気を付けていることは次の3点です。

① 日光に全く当たらない葉は除去する

日光が全く当たらない葉は、言い換えれば「雨にあたりにくい葉」であると言えます。

そのような葉は、上で紹介した通り、夏の高温になるシーズンにハダニの原因になる可能性が高いです。ハダニは高温、乾燥、風通しが悪い葉に発生しやすいので、日光に当たらない葉はハダニが大量発生する条件に合致しやすいです。

ハダニは発生するとあっという間に薔薇全体に蔓延するので侮れない害虫です。発生後に対処をするのではなく、発生させない環境作りが必要です。

② 内側にある「出開き」は全て除去する

株の内側には出開きと呼ばれる葉だけが噴出した芽があります。

葉が込み合っていなければ、光合成を行う葉として有効活用はできると思いますが、日光が当たらない込み合った場所では、風通しを悪くする邪魔な存在になってしまいます。

そのため、私の場合、内側にある日光にも当たりにくい出開きは、思い切って全て切り取ってしまいます。

特に茎の至る所から発芽しやすいミニ薔薇は、出開きが多い傾向があります。また、樹高も低く葉の量も多いため、出開きの処理をするだけでかなりスッキリとした株になります。

③ 弱ったりハダニの被害に合った葉はなるべく除去

3つ目は既にハダニの被害に合ってしまった葉はなるべく除去するということです。

ハダニが発生した経験がある葉というのは、言い換えれば、ハダニが発生しやすい条件になっている葉であるということです。

一度ハダニの被害に合って弱ってしまった葉は、再度ハダニの原因になったり、黒星病に罹る可能性も高くなっている葉であると言えます。

そのような花はなるべく除去してしまうようにしています。

葉の整理を実例で御紹介

ここからは、2020年の6月後半に私が行った葉の整理について、クラリスとガブリエルの例を御紹介していきたいと思います。

つる薔薇「クラリス」の例

最初に、つる薔薇「クラリス」の例を紹介しておきます。

上の写真が整理の前、下の写真が整理した後の状態です。

整理前の写真に赤矢印で示した葉は、もう元気が無く既に黄色く変色し始めています。このような葉は、優先的に養分をもらうことができず、光合成を担うこともできないため、残しておく意味がほとんど無い葉となります。そのため、これらの葉を整理して除去してしまいます。

赤矢印で示した葉以外にも整理を行っていますが、下の写真に示すように、葉が込み合った状態は解消しているかと思います。また、新しく伸びた新芽の元気な葉がたくさんあるので、古い葉は全て除去しても問題無いでしょう!

「ガブリエル」の葉の整理

次に紹介する葉を整理した薔薇は「ガブリエル」です。

ガブリエルは鉢植えで育てており、軒下にあるので濡れない場所ではあるので黒星病の発生は抑制できていると思います。しかし、逆に過度の乾燥によりハダニが発生しやすい可能性が高いので、葉の整理をしてハダニ被害を抑制しています。

ガブリエルは、そこまで樹勢が強い薔薇では無いので、葉の整理は慎重に行っています。

上の写真に示すように、葉の整理前後でそこまで大きな変化は無いように見えますが、これでも葉を15箇所くらい整理して、細い枝は軽く剪定しました。

鉢植えの良い所は鉢を回しながら、全方向から葉の込み具合を確認できることですね。一方向から見たらすっきりして見えても、90°回転させると込み合っている場所が見つかったりします。

鉢植えの場合には、せっかく株が360度見渡せるので、是非一周見渡してみることをお勧めします。葉の裏まで見渡すと、害虫の卵を発見することもあります。


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この記事の終わりに

この記事では、梅雨時期の薔薇のお世話としてやっておいた方が良い「葉の整理」について紹介させていただきました。

梅雨の時期は外に出てお世話をする時間がなかなか取れないのですが、梅雨空の合間の曇りの日などに葉を整理しておくと、ハダニや黒星病の抑制に効果的だと思います。

また、梅雨時期に葉の整理をしておくと、梅雨明け後の夏の高温シーズンにおいてもハダニの抑制になると思いますので、実施しておくべきかと思います。

ハダニと黒星病は一度発生すると回復させるのが大変なので「予防」が最重要ですよ!

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