高価な肥料 (有機肥料) と安価な肥料 (化成肥料) の違いは何?使い分け方は?

園芸をされている皆さんも、タイトルの疑問を持ったことが無いでしょうか?

「1袋200円で売られている安価な肥料と、1袋2000円くらいする高価な肥料は何が違うの?」という疑問です。

私自身、園芸を始めたことは安い肥料ばかりを使っており、薔薇を始めた頃に高価な肥料にも興味を持って使い始めるようになりました。

基本的に高価な肥料は有機肥料と呼ばれる効果がゆっくりと出てくるもので、安価な肥料は化成肥料と呼ばれ効き目が早く効果が切れるのが短い肥料になります。

肥料は、特性を知れば知るほど奥が深いものです。この記事では、高価な肥料と安価な肥料の違いや使い方について私の経験を元に御紹介します。


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知っておくべき肥料の三大要素

肥料に含まれる3大要素 (窒素、リン酸、カリウム) というのをご存じでしょうか?

まずは、この3大要素から基礎知識として記載したいと思います。

園芸歴が長い方にとっては当たり前の内容ですが、ご存じではない初心者の方もいらっしゃるかと思いますので、簡単ですが3大要素について記載しておきます。

窒素 (N)

窒素は茎や葉、そして根という植物の体を作るために必要な成分になります。

植物が成長をする過程で最も必要な成分になり、タンパク質やクロロフィル (葉緑体) を形成するのに必要なものです。

植物が枝や葉を展開しながら成長する時に必要な成分になりますので、薔薇の栽培では休眠期を除く1年間を通じで必要な成分になります。

リン酸 (P)

リン酸は美しい花を咲かせる薔薇にとっては、とても重要な成分になります。

花肥料や花肥とも呼ばれ、花を形成するために必要な成分になります。

特に、成長点となる枝の先端にリン酸が多く含まれ、細胞分裂を繰り返しながら成長し、先端に蕾を形成する原動力になります。

蕾が形成される少し前に適正量を与えることで、花付きが良くなり立派な花を咲かせてくれると言われます。

カリウム (K)

カリウムは主に根の成長に必要な成分になります。

薔薇の根は、美しい花を咲かせるための大事なポンプの役割を果たしますので、強く元気な根を伸ばすのに必要な要素になります。

根に元気がない時、特に株の夏バテや水切れの時などは、少しカリウムを補充してあげるようにしています。

肥料ラベルのN-P-Kという表記の意味

肥料のラベルには、必ずN – P – K = 5 – 5 – 5のような比率の記載があります。

これは、100gの肥料の中にN, P, Kがそれぞれ5gずつ入っていることを示します。

肥料によってその配合比率が異なり、窒素が豊富に含まれているものはN – P – K = 7 : 5 : 5という記載になります。

使用する草花、また使用する時期にあわせて使い分けていきましょう。液体肥料も固形肥料も表示方法は同じですので、購入の際に注意して御確認下さい。

高価な肥料と安価な肥料の違い

高い肥料と安い肥料、実は上で紹介した肥料の三大要素はどちらにも含まれています。

では、高価な肥料と安い肥料で何が違うのでしょうか?

下でその違いについて記していきたいと思います。

安価な肥料は大量生産できる化成肥料

安い肥料は、大量生産が可能な固形の化成肥料が多いですね。

誰もが使ったことがあるかとおもいますが、ねずみ色や黒っぽい色をした玉状・顆粒状の肥料が化成肥料になります。

これらの多くは、無機物から生成された肥料がほとんどです。

上で記載の通り、含まれる三大要素は同じなのですが、比較的効果が早く効果が表れてきます。また、与えるとすぐに土の中に溶け出し、根から吸収させることができるので、成長を促すときには即効性があり便利な肥料と言えます。

安価な化成肥料の場合、1カ月もたたないうちに形が崩れて効果が無くなってくるものが多いです。つまり、効き目が早く効果が持続しない肥料という表現が適切かもしれません。

また、固形肥料ではなく液体肥料については、さらに即効性がありすぐに根から吸収させることができます。液体肥料の場合、水に肥料分を含ませるため、あっという間に聞いて、あっという間に肥料が無くなるようなイメージです。

肥料の量を間違えると、肥料のやりすぎによる過多症状が現れやすいのも化学肥料の特徴です。化学肥料は用法容量を必ず守るようにしましょう。

高価な肥料は基本的に有機肥料

高価な肥料の多くは安価な化成肥料とは異なり、有機肥料になります。

有機肥料は動物の糞や魚粉、油粕などの有機物 (炭素と水素を含む) から作られる肥料です。有機肥料の特徴は即効性が無く、長くゆっくりと効き目が続くことです。

効き目がゆっくりな理由としては、有機物を土中の微生物が肥料分を徐々に分解していくためです。分解された有機物が植物の肥料源になるのです。

根が養分を吸うことで土は徐々に栄養が無くなっていきますが、有機肥料を施すことでそれらを長期的に補うことができます。微生物による分解を利用するため、土壌改良の効果もあり、より自然に近い土の状態を再現することができます。

また、少し多く与えたとしても効き目がゆっくりのため、成長に弊害が出にくいのも利点です。有機肥料は原料が工業的に大量生産することができないため、価格が上がってしまうのです。


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薔薇の肥料との付き合い方

寒肥は有機肥料が最適

寒肥は冬の寒い時期 (1月~2月初旬) に、薔薇の根元近くに穴を掘って与える肥料ですが、これは有機肥料が最適です。

薔薇が活動を始める3月までの間に徐々に分解され、じわじわと効き目が出てきます。寒肥として化成肥料を与えても、あっという間に効果を失いますし、春の芽吹きの季節に急に強い肥料が与えられるのも良い効果はありません。

これが、薔薇の寒肥には有機肥料を与えることが良いと言われる所以です。鉢植えについても、固形の有機肥料があります。私自身も、固形有機肥料を鉢植えの寒肥として与えています。

ただ、化成肥料と有機肥料で薔薇の育成や花の数にどこまで違いが出るのかは、正直なところ分かりません。実験的に比較をしてみたいという気もあるのですが、薔薇の株ごとにも肥料の適性がことなるので、実験で確かめるのが難しいと感じるところがあります。

お礼肥には薔薇用の化成肥料を

お礼肥というのは、薔薇の花が終わった後に、薔薇へのお礼として与える肥料の事です。

薔薇は花を咲かせると相当な体力を使います。その体力を比較的早く回復させて、次の芽を出させてあげるのに使う補助的な役割があります。

そのため、化成肥料の中でも比較的効き目が緩やかなものを使うことがお勧めです。薔薇専用の化成肥料も販売されており、効き目が緩やかな設計になっていますので、それらを使用すれば間違いは無いと思います。

鉢植えには定期的に肥料を

鉢植えの薔薇は、本当に狭い鉢の中の土から水分と肥料分を吸収して成長しなければなりません。

そのため、水だけでなく肥料が切れてしまうのも早いです。成長期である春から秋にかけては、定期的に肥料を与えていきましょう。

肥料が切れると成長や蕾の形成に影響が出てしまいます。与え過ぎも良くないし、与えなさ過ぎてもよくないという難しいものですが、日々の管理で調整していきましょう。

元気のない株には肥料を控える

水枯れや病気などで元気がなくなってしまった株については、肥料を与えるのを止め、水を上げて様子を見るようにしましょう。

人間も体調の悪い時に高カロリーな食べ物は食べたくないですよね…。

その代わり、薄めた活力剤を与えながら様子を見て、元気になってきたら少しずつ肥料をあげるようにしてください。

元気がない株を見ると肥料を与えたくなるのですが、それは逆効果になる可能性が高いです。焦らず、正確な方法で対処していきましょう。

私が実践している肥料の使い分け

実際、有機肥料をどの株に与えて、どの株が化成肥料にすべきなのか?という疑問があるかと思います。私の実践している方法としては、鉢植えの花木・草花には化成肥料と固形の有機肥料の両方を使い、地植えの植物には有機肥料を与えるようにしています。

理由としては、鉢植えの場合には土の入れ替えが出来るので、わざわざ有機肥料だけで育てなくても、化成肥料と有機肥料の併用でも十分育つと考えています。また、地植えの場合には土を入れ替えることが困難なので、有機肥料を混ぜてあげて、毎年土壌改良を進めながら管理することが必要であるということです。


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この記事のまとめ

この記事では、高価な肥料と安価な肥料の違いや使い分けについて紹介をさせていただきました。

一般的に高価な肥料は有機肥料、安価な肥料は大量生産できる化成肥料となります。

有機肥料はゆっくりと長く効果を発揮し土壌改良を担う効果もあります。対して化成肥料は即効性はありますが肥料が長持ちせず、土壌改良の効果もほとんどない肥料となります。化成肥料は言い換えれば、植物の三大肥料要素であるチッソ、リン、カリウムを補充するだけのような存在になります。

どちらの必要にも長所があり短所がありますので、特性を理解したうえで植物の栽培に役立てて行ってください。

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