癌腫を除去した薔薇の管理と回復の実例を紹介

少し前になりますが、私が育ててる薔薇の「プラム・パーフェクト」が癌腫病になってしまったことを記事させていただきました。

大事に鉢で育てていたお気に入りの薔薇だったので、正直かなりショックでしたが、悔やんでも仕方ないので癌腫部分を除去して株の回復に努めてきました。

私自身、薔薇の栽培を始めてから初めて経験する薔薇の病気だったので、正直なところ治療に失敗していないか心配だったところもあるのですが、実は無事に回復してくれて新芽をいくつも出してくれるまでになりました。

この記事では、実際に私が行った癌腫除去後の薔薇の管理方法について記事にしていきたいと思います。

同じように薔薇に癌腫病が発生してしまった方の御参考になれば幸いです。


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癌腫病の除去についておさらい

癌腫を発見したのは今年の夏になりますが、癌腫の発生したプラム・パーフェクトは、1番花が咲いた後に新芽の芽吹きが悪い状況でした。そのため、この癌腫は1番花の咲いた後から夏にかけて発生したものと思われます。

実際に発生した癌腫の写真をあらためて下の写真に示しますが、株元に大きな腫瘍が出来上がっていることがわかるかと思います。

癌腫が発生してしまう原因は基本的には薔薇の株の中に侵入した細菌によるものとなります。そのため、株のどこからか細菌が入るようなことが発生したのだと思います。

私の管理の中で考えられたことは、このプラム・パーフェクトは1番花の後に鉢増しを行っているのですが、その時に根が傷つき、そこから細菌が入ったのだと推測されます。確定した原因ではないかもしれませんが、コガネムシの幼虫がいたわけではなかったので、根が傷つくような原因は鉢増し作業くらいしか無いのです。

この癌腫は手でも除去できるので、培養土を掘り起こし、癌腫の大部分を除去するという作業を行いました。詳しくは上でリンクを張った癌腫作業の内容を御参照ください。

この記事では、この癌腫の除去後の管理方法について、以下で詳しく説明していきます!

癌腫除去直後に実施した管理

癌腫除去後の薔薇の状況ですが、正直なところ、このまま枯れてしまうのでは?と思えるほど、生命力が無いような状態でした。

もともと、癌腫が付いていた時も新芽がほとんど発生せず、生命力を感じられなかったのですが…癌腫を除去してもそんなにすぐに回復するわけでありません。

そのため、基本的に肥料や活力剤などは与えず、水のみを与えて明るい日陰に避難させて育てていました。

水やりについては、夏の暑い時期だったので毎日与えたほうが良いと思うのですが、癌腫を除去後の株は元気が無いので培養土が湿ったままの状態であることが多かったです。

そのため、培養土の表面や内部が乾き気味になるまで水やりはせず、薔薇の生命力で根が再び元気になるまで水やりを控えめにしました。

元気な植物は土に水分が無くなると、水分を求めて根をどんどん伸ばす性質があります。このプラム・パーフェクトについても、薔薇の持つ生命力を信じて根を少しを伸ばすサポートをしてあげるような水やりを目指しました。

実際、水を与え過ぎない管理を約20日間くらい続けていきました。

癌腫になっていない元気な薔薇達は夏の間は朝晩の水やりをしないと、直ぐに水切れになりそうになるくらい水を吸い上げていたので、癌腫を発生したプラム・パーフェクトと比べると土の乾き具合にも本当に大きな差がありました。


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培養土が乾くようになったら復調のサイン!活力剤を与えて根を活性化

癌腫を除去した後、約20日くらい経つと、土がしっかりと乾くようになってきました。

これは本当に大きな変化だと思いました。

それまでは、夏だというのに3日くらい土が乾かない状態の時もありました。日陰で管理していたことも影響していますが、夏に3日も水を与えないというのは、根からほとんど水分が吸収できていなかったのだと思います。

土が頻繁に乾いている状態と言うのは、根がしっかりと活動をして、培養土の水を吸い上げ始めたことのサインでもあるので、このタイミングでさらに根に活力を与えるため活力剤の使用を開始しました。

活力剤は規定濃度よりもさらに2倍くらい薄めたものを用意して、週に1度与えるようにしました。活力剤は根がしっかりと活動を始めたときに、根にさらなる活力を与えるものですので、このタイミングでの使用が適切かと思います。

与え過ぎは良くないですが、週に一度くらいを目安に薄い活力剤を与えていきます。

私が愛用しているのは、このマイローズシリーズの活力剤になります。メネデールなどの有名な活力剤もありますが、私は薔薇を始めてからずっとマイローズシリーズを愛用しているので、肥料も活力剤もマイローズシリーズです!

このマイローズシリーズの活力剤は、私が薔薇を始めてから、既に4本目を購入しています。管理している薔薇の株も多く、10日から2週間に1度与えていると、あっと言う間に無くなっていくんですよね…

下の写真は、活力剤を与え始めた時のプラム・パーフェクトの株元の写真になります。ちょうど、癌腫があった部分の写真になります。

少し写真ではわかりにくいのですが、特に腐ってしまっているような様子は無く、癌腫が再び大きくなっているような様子もありませんでした。

癌腫は再発することもあるということを聞きますが、現時点では再発の兆候は特に見られていません。

新芽が出てきたら希釈した肥料を与える

癌腫除去後の約30日の管理の後ですが、無事に新芽が出て、新しい梢が成長を始めました。この瞬間はほっと一安心した瞬間でもありました。

一時は上述の通り、枯れてしまうのではないかと思ってくらいなので、無事に芽吹きが確認出来た瞬間は、ベーサルシュートが出た時と同じような喜びの感覚でした。

芽が出てきてくれれば、後は新しい枝が伸びて元気な葉で光合成を頑張ってもらうばかりです。

また、新芽が出てきたということは、根からしっかりと養分を吸収しているサインでもありますので、このタイミングに少し規定濃度よりも薄めた液体肥料を与えました。規定量よりも約2倍くらいに薄めた液体肥料です。

緩効性の肥料に比べて、液体肥料は速効性があります。そのため、弱っている株に規定濃度の液体肥料を与えることは、少し濃度が濃すぎると思います。

元気を取り戻してきている株に対しては、濃度を薄めた液体肥料で根から吸収しやすい方法で施肥をするようにしていました。


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新芽が成長したら施肥して通常の管理へ

癌腫の除去から約35日後の株の写真を下に載せておきます。一部、色の鮮やかな新芽が顔を出していることが分かるかと思います。

新芽を拡大した写真も以下に2枚載せておきます。まだまだ成長の途中ではありますが、癌腫があった時にはこんなに元気な芽が出て来なかったので、癌腫が無くなったことで栄養がしっかりと新芽の形成に回った証拠だと思います。

ここまでしっかりとした新芽が成長してくれれば、通常の肥料の与え方に戻しても大丈夫かと思います。

心配な方は、もう少し薄めた液肥で様子を見ても良いかと思いますが、ここまで新芽が成長すればかなり株の調子が上がっていると思います。

癌腫除去後に薔薇の株に見られた変化

ここからは、癌腫を除去した後に株に見られた変化について紹介しておきたいと思います。今回紹介したプラム・パーフェクトの場合なので、癌腫になった全ての薔薇に現れる症状ではないかもしれませんが、参考のために載せておきます。

葉の一部が茶色くなる状態

この症状は、健康的な薔薇にもみられる症状ですが、葉の一部分だけが茶色く枯れてしまうような症状です。

癌腫を除去した後に、いくつかの葉がこのような状態に変化しました。

基本的には、根から吸い上げるよう分が足りなく、葉を緑色に維持する能力が一時的になくなってしまったことが原因かと思われます。

ただし、葉の全体が枯れるのではなく一部分だけが茶色く変色しただけなので、緑色の部分では光合成をすることが出来ます。

癌腫によって株が弱った状態で、かつ日陰で管理していたので、このような葉は切り取らずに残しておきました。

直射日光を当てず、間接光だけで光合成をさせていただので、このような葉も大事な光合成を行う工場として役割を果たしてくれます。

新芽の出て来ない枝が発生

これも癌腫を除去したことによる弊害だと思いますが、新芽が全く出て来ない枝が発生しています。

上で新芽が出てきたくれたことを紹介しましたが、下の写真に示す枝には新芽が出てくる発芽点はあるのですが、新芽が全く出て来ない状況です。

特に低い位置にあるというわけでは無く、太さもそこまで細くは無い枝なので、新芽が出てきてもおかしくない枝はあるのですが、沈黙したままで動きがありません。

もしかしたら、この枝に養分を送っていた根が癌腫によって寸断されてしまい、このまま枯てしまう枝になるのかもしれません。

この枝は様子を見て、今後の剪定対象にしてきたいと思っています。

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【2020/09/13追記】夏剪定は通常通りに行いました

癌腫を除去後、無事に新芽が芽吹き、癌腫があったころとは見違えるスピードで成長する姿を見せてくれるようになりました。

そのため、夏剪定しても大丈夫だと判断し、9月中旬に他の薔薇と同じタイミングで夏剪定を実施しました。

夏剪定の前後での株姿の比較をしたものを下の写真に載せておきます。癌腫除去後のことなので、まだ本調子ではないかもしれないので、あまり深く剪定をせずに、健康そうな葉がなるべく多く残るような剪定としました。

この時に、同時に癌腫除去部の確認をしましたが、一応夏剪定の段階では癌腫が再び大きくなっているようなことはありませんでした。

この株が無事に秋薔薇を開花してくれることを願うばかりです!

【2020/10/07追記】癌腫の再発は現時点で見られません

夏剪定も終わり、無事に秋の開花に向けて新芽が伸び、蕾の形成も確認することができています。

秋の開花は少し諦めていたところはありましたが、癌腫除去後の新芽の成長、そして夏剪定後にも元気な新枝を伸ばしてくれています。

癌腫のあった部分については、現時点で下の写真に示す通り、癌腫の再発は見られていません。光合成および根から吸い上げた養分が癌腫に取られることなく、花の形成と新芽の成長に使われているように思えます。

この記事の終わりに

この記事では、癌腫になったプラム・パーフェクトに関して、私の行った癌腫除去後の管理方法と株の回復状況を紹介させていただきました。

癌腫のあった時や癌腫を除去した直後は、全く生命力を感じないプラム・パーフェクトでしたが、癌腫を除去して約1カ月経つと、無事に新芽を芽吹き再び開花へ向けた活動を開始してくれました。

薔薇にとっては癌腫と言うのはとても思い病で、花を咲かすことを完全い阻害されてしまうような病気です。しかし、癌腫をしっかりと除去して適切な管理を行うことで、薔薇の強い生命力に復活してくれることがわかりました。

この癌腫との戦いは、今後の薔薇栽培の教訓の一つになるのだと思います。

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