「薔薇」
「クリスマスローズ」
「クレマチス」
近年の園芸という趣味において、特に人気のあるガーデンプランツとして知られる植物達です。
数年前になりますが、これら3つの植物に対して「平成の園芸界における三種の神器」という表現を使われている記事も目にしたことがあり、まさにその通りだと感じたのを今でも覚えています。
薔薇・クリスマスローズ・クレマチスは、毎年のように多くの品種が発表されており、お気に入りの品種を探すだけでも楽しくなる…そんな素晴らしいガーデンプランツだと思います。
本ブログでは薔薇をテーマにした記事を主として投稿させていただいておりますが、薔薇の栽培を趣味にされている方であれば、クリスマスローズやクレマチスの栽培も楽しんでいる方が多いのではないでしょうか?
私もその一人です。
ただ … 薔薇とクリスマスローズの栽培において、よく話題に上げられるのが「薔薇の株元にクリスマスローズを植えても良いのか?」というテーマです。
個人的には、このテーマに対する答えは、人によって意見の大きく分かれるのではないかと感じます。
皆さんは、どう思われますか?
本記事では、「薔薇の株元にクリスマスローズを植えても良いのか?」というテーマを取り上げ、私が思うこと・考えることを記載していきたいと思います。
【注意】この記事に記載する内容は、筆者の園芸経験を基にした個人的な見解です。そのため、本記事に記載の内容を強要するものではありません。あくまでも、参考程度にお考えいただけましたら幸いです。
何故このテーマが取り上げられるのか?
まず最初に、そもそも何故このテーマが取り上げられるのか?という点をお話したいと思います。
私の理解ですが、以下の①②の2点が背景となり、このテーマが生まれてきていると認識しています。
①薔薇とクリスマスローズの活動期・休眠期が異なること
②薔薇の株元に植えるグラウンドカバーの選択
これらについて、以下で詳細に述べたいと思います。
①薔薇とクリスマスローズの活動期・休眠期が異なること
1つ目の活動期と休眠期についてですが、薔薇とクリスマスローズの活動期と休眠期は下の表に示すような関係になっております。(私の住む関西の都市部を想定して記載しましたので、お住まいの地域ごとに時期がずれると思います。)
薔薇は一般的には3月初旬から本格的な活動期が始まり12月中旬から休眠に入っていきます。
それに対してクリスマスローズは、秋深まる11月頃から翌年の5月頃までが活動期となり、暑い夏の間は休眠状態に移行します。
この表から見てもわかる通り、薔薇とクリスマスローズの活動期と休眠期は真逆の時期になるんですね。
活動期がずれているということは、施肥のタイミングや水やりのタイミングにも差が生まれるということになります。
薔薇とクリスマスローズが混植されている場合、クリスマスローズに肥料を与える時期には薔薇は休眠状態になっているし…2月にクリスマスローズに水を与えると薔薇とっては水の与え過ぎになってしまう…。
このように両者の活動期がずれていることが「薔薇の株元にクリスマスローズを植えても大丈夫か?」という疑問を生む一つのポイントになります。
②薔薇の株元に植えるグラウンドカバーとしてクリスマスローズを活用したい
二つ目のポイントは、薔薇のグラウンドカバーに関することです。
薔薇には「黒星病」という有名な病気があります。
これは雨が降った時に土が葉に跳ね返ってくることが原因の一つであると考えられています。(土の中にいるカビが原因と言われています。)
そのため、雨天の際に土が跳ね返らなに様に、薔薇の株元にグラウンドカバーを検討される方も多いと思います。
バークチップを敷き詰めるという方法もありますが、個人的には以下のリンクで紹介した通り、あまりお勧めはしません。
また、薔薇は休眠期には葉も花もなくなってしまうので、花壇がとても寂しい状態になります。
そこで、冬に花を咲かせてくれて、年間を通じて常緑の葉を展開するクリスマスローズをグラウンドカバーの選択肢として考える方が多いのかと思います。
しかし、そこには上記の通り「薔薇とクリスマスローズの活動期がずれている…」という実情があり、薔薇の株元にクリスマスローズを植えるか悩んでしまう方がたくさんおられるのかと思います。
筆者の花壇では薔薇の株元にクリスマスローズを植えています
我が家の小さな花壇ですが、薔薇の株元にクリスマスローズを植えています。
下の写真が現在の様子ですが、2年前に薔薇とクリスマスローズを植栽してから、ずっとこの状態で管理しています。(2022年1月撮影)
下のリンクでも紹介している小さな花壇ですが、奥行きが50cm程度しかない場所に、薔薇とクリスマスローズを植栽しています。
クリスマスローズを植栽した理由は、上でも記載しましたが、グラウンドカバーとして利用したかったという点です。茶色の土が丸見えの状態だったので、あまり見栄えが良くは無く、その改善策としてクリスマスローズを植えたのが背景です。
この状態で2年育てていますが、薔薇とクリスマスローズともに大きな問題は起こっていません。
毎年、花期になればどの株もたくさんの花を咲かせてくれています。
もちろん、剪定・施肥などの基本的なお世話は欠かさずに行っているので、それが功を奏しているのかもしれません。
私が管理している花壇の一例となりますが、「薔薇の株元にクリスマスローズを植えても大丈夫」ということが示せる一例かと思っています。
薔薇の株元にクリスマスローズを植える際の管理のポイント
ここでは、薔薇の株元にクリスマスローズを植える場合に、私が特に注意している管理ポイントを記載したいと思います。
当たり前のことかもしれませんが、一応記載しておきたいと思います。
肥料の与え方の工夫 -肥料過多の状態を防ぐこと-
肥料は基本的に必要最低限の量が常に効かせられるように心掛けています。
緩効性肥料を使用する場合、2ヵ月か3カ月に一度の頻度で適量を土の表面に撒く方法が一般的かと思いますが、私は緩効性肥料を毎月少量を花壇に撒くようにしています。
例えば、3カ月に一度30gを撒くのではなく、1ヶ月に10gずつ撒くという感じです。
それを1年間常に続けていくようにしております。
毎月少量の肥料を与えていると「お礼肥」や「芽出し肥」といった概念が無くなるのですが…。
一度にまとめて撒くと、一時的に肥料過多の状態になってしまうこともあるので、活動期・休眠期がずれている植物を混植する際には適していないと思っています。
また、緩効性肥料についても、格安の化成肥料は使わず、薔薇専用の緩効性肥料を使っています。薔薇専用の化成肥料は2ヵ月から3カ月かけてゆっくり効くものがあるので、これらを使えば、肥料が一時的に効きすぎるようになることも無くなります。
下でも詳しく記載しますが、少ない肥料を一定量効かせておくことが、自然界での肥料の効き方に通じるものがあるのではないかと思っています。
冬の水やりのタイミングが大切!夏はしっかりと水を与える
薔薇とクリスマスローズを混植する時、最も注意が必要なのは「水やり」だと思っています。
薔薇は冬に休眠期を迎えるため、冬はほとんど水やりの必要性がありません (時々降ってくれる雨があれば十分なくらいだと思います。)。それに対して、クリスマスローズは活動期に入るので、水を与えなければなりません。夏はこれとは逆の状態になります。
この相反することを解決できるような水やりが必要になります。
冬期の薔薇は水をほとんど必要としませんが、土が定期的に湿ったところで直ぐに根腐れを起こすことは無いです。例えば、1週間に一度雨が降るような状況であっても、排水性の良い土であれば、根腐れをしてしまう事は無いと思います。
水やりをする前に土を触って水分量を確認し、クリスマスローズの葉が萎れない程度の水分量を確保してあげれば、薔薇とクリスマスローズの混植時の水やりは解決できます。
夏に関して言えば、土があっという間に乾いてしまうため、薔薇もクリスマスローズも日々の水やりは必須ですね。
夏はクリスマスローズの休眠期ですが、完全に休眠しているわけでは無く半休眠のような状態です。
クリスマスローズにとっては日本の夏は暑すぎるため、休眠期と言えど、水を2日与えないと葉が萎れてしまうような状況になることも…。
そのため、夏は薔薇の株元には朝晩の水やりをしますが、クリスマスローズの株元にも2日に一度は水を与えるようにしています。
デメリットは薔薇の寒肥用の穴が掘れないこと
薔薇の株元にクリスマスローズを植えることで生まれたデメリット…
我が家の花壇では一つだけあります。
それは「薔薇の寒肥用の穴を掘れないこと」です。
寒肥の与え方の基本は、薔薇の株から少し離れた所に穴を掘り、そこに寒肥を埋めるという方法になるかと思います。
しかし、我が家の場合は花壇が小さいため、寒肥用の穴を掘ろうとすると、クリスマスローズを掘り起こしてしまう事になります。
そのため、薔薇の周辺にある土表面に寒肥を混ぜ込む程度の事しかできません。
それでも薔薇は咲いてくれているので、特に問題視していませんが、寒肥を大切にされている方は、クリスマスローズを植える場所と寒肥を施肥する場所を考えておくべきだと思います。
理想を求めるか?個人的な趣味を楽しむか?で判断することも重要
ここからは、今回のテーマである「薔薇の株元にクリスマスローズを植えても良いのか?」について、私の個人的に考えていることを書かせていただきたいと思います。
まず最初に想像していただきたいのが自然界の山々や林などです。
冬に山へ行くと、多くの植物が葉を落としてしまっていますが、緑色の葉を残して活動している植物も多く見受けられます。
自然界に目を向けると、活動期・休眠期が真逆の植物が、あちらこちらで共存しているんです!
もし、活動期と休眠期が真逆の植物が共存できないのであれば、山や林にはそれを反映したような場所が出来てもおかしくないと思うんですよね。(冬に活動する植物が集まった場所が点在しているなど。)
でも、自然界にはそのような極端な場所って、そこまで多くないですよね…。
活動期と休眠期が逆になっている植物達も、仲良く自生して成長しています。
これは薔薇とクリスマスローズにおいても、同じことが言えると思います。
大切な事は、施肥や水やりで極端な環境を作らない事なのかと思います。
例えば、上でも記載しましたが、クリスマスローズの休眠期である夏に、薔薇が活動しているからと言って大量の化成肥料を与えてしまうような行為です。また、乾湿のメリハリがつかない水やりも駄目ですよね。
自然界を例に取れば、自然界では落ち葉が分解されてゆっくりと地中に肥料分が供給されるという状態が安定して実現されています。常に必要な肥料分が木や植物の根に供給されているような状態ですね。
また、水分に関しても、常に土が適切な水分量を保持する能力がある状態だと言えます。
このような環境を花壇の中でも実現できれば、薔薇とクリスマスローズは共存可能だと常々思っています。
もう一つ重要な事は、園芸と言う趣味に理想を追い求めるか否か?と言う点だと思います。
皆さんは、薔薇の栽培にどこまで理想を追い求めますか?
理想的な薔薇栽培をされている場所を考えてみると、薔薇の専門店やお金を払って薔薇を観賞できる薔薇園などが挙げられます。
来場者をガッカリさせないために、素晴らしい場を咲かせて下さっていますよね。
ただ、このブログを読んで下さっている皆様は、個人的な趣味で薔薇の栽培を楽しんでいる方が大半だと認識してます。
「薔薇園の様な理想的な管理はできないければ、薔薇が好きだから出来る範囲で育ててます。」と言う方が多いと思います。私もその考え方を持っています。
春の一番花の季節に綺麗な花を咲かせてくれて、深まる秋の中で味わい深い秋薔薇を堪能できればOKだと考えています。
個人的な趣味なので、花の色が少し上手く出なくても、花数が少し減ってしまっても、何の問題も無いのではないでしょうか?
「来年は少し改善して頑張ってみよう!」とポジティブに考えられれば、それで良いのではないでしょうか?
元のテーマに戻って「薔薇の株元にクリスマスローズを植栽しても大丈夫か?」と言う点についても、理想的には混植は避けた方が良いと思いますが、個人で楽しむ分には大丈夫だと思います!
肥料を与え過ぎない、水やりの管理を徹底するということを気を付ければ、薔薇の株元にクリスマスローズを植えても問題無いというのが私の現時点での結論です。
自分が使える環境 (花壇の大きさなどの栽培環境) と自分が楽しみたいことを両方考えて、園芸と言う趣味を思いっきり楽しめれば、それで良いのではないでしょうか!?
心配ならばクリスマスローズは鉢植えで楽しみましょう!
薔薇の株元にクリスマスローズを植えても大丈夫だと思っていますが、それでも心配な方も多いと思います。
その場合には、クリスマスローズを鉢植えで管理して、薔薇の周囲に配置するという方法もアリだと思います。
ちょっと見栄えは悪いですが、クリスマスローズはそこまで大きくない鉢植えで育てられる植物です。鉢植えを適宜移動できるというメリットも大きいです。
この記事の終わりに
この記事では「薔薇の株元にクリスマスローズを植えても良いのか?」というテーマについて、我が家の花壇の例を挙げながら、私の考え方を紹介させていただきました。
薔薇もクリスマスローズも、とても魅力的なガーデンプランツですので、両方を同時に花壇に植えたいと考えていらっしゃる方は多いと思います。
私個人の結論としては、薔薇の株元にはクリスマスローズを植えても大丈夫だと思います。
園芸は個人の趣味になるので、少し失敗したとしても栽培を楽しめれば、それで良いのではないでしょうか?!
「やりたいのにできない」「何かを強いられる」…そんな状況では趣味を楽しめません。
ただ、少なくとも気にしておくべき点は「施肥」と「水やり」だと思います。
薔薇もクリスマスローズも、比較的強い植物ですので、多少肥料が多くなった時期があっても、水やりをし過ぎた日があっても、直ぐに枯れることはありません。
極端な事 (過剰な肥料や冬に毎日水やりをするような事) はしないように、やるべきお世話を怠らなければ、薔薇もクリスマスローズもしっかりと花を咲かせてくれると思いますよ。
ご自身の花壇でその最適な方法を見つけていくことも、園芸の一つの楽しみではないかと思います。
薔薇の株元にクリスマスローズを植えようとお考えの方に、少しでも御参考になれば幸いです。
では!