薔薇栽培の楽しさを今より広めるには何をすべきか?

薔薇の栽培を趣味にしている方は、日本全国にどれくらいいらっしゃるのでしょうか?

このブログを始める時に、薔薇栽培のブログにはどのくらいの読者さんが付いてくれるのだろうか…と、考えたことがあります。

実際に薔薇の栽培を何年も続けていくと、園芸を趣味にしている方の中でも、薔薇の栽培をメインにやっている方は限られた方々だと思います。寄せ植えや野菜栽培を楽しむ人口はとても多いですが、薔薇専門の方は…どのくらいいるんでしょうか?

薔薇の栽培は大変であることは間違いありませんが、園芸の中でも相当楽しい部類に入ると確信しています。

私自身、薔薇の栽培を楽しむ方がどんどん増えていって欲しいと心の底から思います。

では、その薔薇の栽培をもっと世の中に広めていくためには、何をしたらよいのでしょうか?

とても難しい課題であり、私の様な個人ブロガーが意見を書くものではないかもしれませんが、この記事では私の書きたいことを私の言葉で書いてみようと思います。


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薔薇の花が持つイメージに対する課題

まず最初に、日本人が薔薇という植物 (花) に持っているイメージについて考えたいと思います。

薔薇の栽培という分野が大人気の分野になりきれていないのは、日本人が薔薇に対して持つイメージや考えが根底にあるのかと…。

まずは、その点から掘り下げてみたいと思います。

薔薇は日本人の好きな花で上位に入ることは確か

日本人が好きな花というランキングをよく見るのですが、薔薇は必ずと言っていいほど上位に食い込んできます。

桜に肩を並べる人気の花であることは間違いないです。

薔薇の花を贈られて嫌な気分になる方はいないでしょうし、結婚式などのお祝い事の席には必ずと言っていいほど薔薇の花が使われています。

インスタグラムやツイッターにアップされている花の写真をみて下さい、皆様が薔薇の写真を沢山投稿しています。

また、薔薇の花言葉は色や本数によって変わります。それだけ、薔薇の花が愛されてやまない存在であるということです。

そうなんです!日本人は薔薇が嫌いなわけでは無いんです!

確実に日本人は薔薇の花が好きだと言えると思います。

では、何故薔薇の栽培を始めてみようと思わないのでしょうか?

薔薇は育てるよりもギフトや鑑賞のイメージが強い

日本人だけでは無く、世界中の方々が薔薇という花を好きだと思います。

しかし、薔薇は自分で栽培するものというよりも、貰い物 (ギフト) でいただいたり、薔薇園で鑑賞・写真撮影するような存在なのではないかと思います。

薔薇の写真があれば、所謂インスタ映えするような写真が取れますし、誰に見せても差し障りない写真になります。

この観点で考えると、まず薔薇に対するイメージを「誰かからいただくもの」から「自分で育てる花」に変えなければならないのではないかと思います。

「わざわざ大変な思いをしてまで栽培したくない」のではなく、「わざわざ大変な思いをしても咲かせてみたい」というイメージに変えなければならないのかと。

薔薇は病気や害虫の処理が大変であるというイメージが強い

私が薔薇の花壇のお手入れをしていると、ご近所さんがたまに声をかけて下さいます。

ご年配の方が多いのですが、口を揃えたように「薔薇は綺麗だけど、育てるのが大変でしょう?」と問いかけられます。

「はい、虫や病気が大変ですねぇ。」と返答するのですが…高確率でこのような質問が飛んで来ます。

また、私が家を建てた時に、花壇や外構のメンテナンスをして下さる業者さんがいたのですが、薔薇を花壇に植えていることを知ると「薔薇は病気が大変じゃないですか?」と問いかけられました。

その業者さんのこの問いかけを今でも覚えています。

家の花壇や外構を受け持ってくれる業者さんも、薔薇には病気が多いというイメージを持っており、家の花壇の設計には取り入れようとしていないのだと感じました。

つまり、薔薇の病気の克服は、薔薇の栽培という趣味を広げるのには克服必須の課題だと思います。

街で見かけるツツジやツバキのように、ほぼノーメンテナンスでも毎年咲いてくれるようにするのは難しいかもしれませんが…

最近発表されている薔薇達は、耐病性が非常に強いものが多いです。薔薇が病気に弱いというイメージが、あと数年から10年くらいで無くなってくれれば、家づくり・花壇づくりの考え方も変わるかもしれませんね。

薔薇は家で手軽に育てられないという課題

薔薇の栽培は、確かに園芸の中でも敷居の高い一つのジャンルだと思います。

実際に、私が薔薇栽培を始める時に「本当にできるのか?」という自問自答をしたことを覚えています。

薔薇は花木であり、草花のパンジーやマーガレットを咲かせるのとは訳が違うので、その敷居は大きなものでした。

薔薇の病気はもちろん壁の一つですが、それ以外にも以下の2点も薔薇栽培へエントリーする壁になっていると感じます。

日本の住宅事情が抱える課題 -花木をどう育てる?-

大きくなる薔薇をどう育てる?

薔薇は上記の通り花木に分類される植物で、草花ではありません。

枝は太くなりますし、しっかりとした剪定バサミが無いと枝を整理することはできません。

また、コンパクトな薔薇もありますが、つる薔薇やシュラブの系統は、大きくなるものが多いです。

大人気のピエール・ドゥ・ロンサールなんて、枝の長さだけで2m以上ありますからね…。

そんな大きくなる植物をどうやって育てましょう?

日本の人口を考えると、大部分が大都市部に住んでおり、地方の人口が少なくなってしまっていることが課題となっています。

そして、大都市圏ではマンションやアパートでの生活が多く、一戸建てを立てても庭を持つことはできない場合が多いです。

そんな限られ空間で、大きくなる薔薇を育てられますか?

横幅1.5m、高さ1.8mの薔薇がベランダにあるだけで邪魔になってしまいます。

育てられる薔薇はコンパクトな品種からしか選べず、ミニ薔薇しか育てられない場合もあるでしょう。

そのような日本の住宅事情も薔薇栽培の壁になるのだと思います。

日本の住宅事情の中では、「庭があるので花木を植えてみよう」という考えでは無く、「育てられるコンパクトな植物は何なのか?」という考え方がスタート地点になってしまうのかと。

薔薇の枝を定期的に剪定すればコンパクトに育てる事も可能ですが、枝が減れば花数も少なくなりますし、かなり制限された薔薇栽培になってしまいますよね…。

どうやって日照条件の問題をクリアする?

上で記載した住宅事情に関連して、日照条件の課題もあります。

薔薇が健康に育つには日光が必須です。

あれだけ大きく花弁の多い花を咲かせるので、光合成をすることが必須です。

しかし、北向きの家や高いマンションに囲まれた日本では、1日の日照時間が少ない場所もたくさんあります。

日陰に強い薔薇もありますが、それでも理想的には日光をしっかりと浴びせることが必要です。

日照条件が悪いが故に薔薇が弱ったり、花が上手に咲かないこともあります。

日照条件の確保も住宅事情に関連した課題と言えると思います。

病気だけじゃない!薔薇の害虫駆除も敷居を上げる

春に温かくなると、アシナガバチが巣を作るために薔薇の周りに飛んできます。

開花の季節になれば、コガネムシ (カナブン) が飛来します。

夏になれば蛾が沢山飛来してきます。

秋になると多くの虫が株元に産卵にやって来ます。

気が付けば年間を通じて芋虫やアブラムシが付いている…

何処からともなく飛んできた蛾やアブラムシが、他の植物では無く、真っ先に薔薇に向かって飛んでくる。

害虫の飛来から解放されるのは12月から2月の冬の期間だけ。

それが薔薇の栽培です。

虫嫌いの方には、本当に嫌なことだと思います。

高層ビルのベランダであっても、どこから来たかわからないアブラムシが発生していることもあります。

ベランダに知らないうちに虫が一杯いたら…と思うと、想像しただけでも嫌ですよね。

ただ、虫が薔薇と言う植物を大好きな事実は、今後もずっと変えられない事実だと思います。

最近の薔薇の売り文句に「病害虫に強い薔薇」とあるんですが、害虫に強いというのは葉を食べられたりしても成長に支障が無いと言うだけであって、虫が飛来しないわけでは無いんですよね。

害虫対策の農薬の使用が必須となるので、虫の飛来と農薬の散布の両面で「手軽さ」が感じられないことは確かだと言えます。

「薔薇の病気」「害虫の飛来」は一般的に言われている課題ですが、それに加えて「薔薇を育てる環境」という観点も考えていかねばならない課題だと思います。


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薔薇苗購入のリピーターを作らねばならない

では、ここからは、

「どうしたら薔薇栽培の楽しさを広められるのか?」

「どうしたら薔薇栽培を趣味にする人を増やせるか?」

について考えていきたいと思います。

まず一つ目は「リピーターを増やすこと」が大事だと思いますね。

何か新しい事を始めた時、「つまらないなぁ…」と思って一度きりで終わってしまったら、それは趣味になりません。

何度かその趣味を繰り返し楽しんで、その趣味のリピーターになることで、それがその人の趣味になります。

薔薇の栽培も同じだと思います。

一株育ててみて、薔薇の花の美しさを知り、花の女王である薔薇を咲かせたことの満足感を得られるような状況になれば、次の薔薇苗の購入に繋がります。そして薔薇栽培の愛好家が増えます。

1度だけ苗を購入して、よく分からないままに株を放置して、結局枯らせるような状態では駄目ですよね。

どうしたら薔薇栽培のリピーターが増えてくれるのか?

難しい課題ですが、まず最初に、最初の一株を購入するところの敷居を下げることから始めるべきかと思います。

薔薇の苗を育てない事には趣味にならないので、最初の導入部分をサポートしてあげられる何かが必要な気がします。

園芸という趣味を30代以下の若年層にも広めること

次の課題は、園芸を趣味にする若年層を増やすことではないかと…。

私も良く読むNHKの趣味の園芸という雑誌がありますが、以前の記事で薔薇の栽培をしている方の年齢層を調べた結果が紹介されていました。

そこで、私と同じ30代の方は…僅かな数でした。

さらに、30代の男性となると、本当にごく僅かな数のようです。

園芸は40代以上の方に人気がある趣味であるのは確かな事です。

しかし、薔薇栽培を趣味にした方は、薔薇の栽培を始める前に、必ず園芸を趣味にしたはずです。

いきなり薔薇の栽培から園芸を始める人は、相当まれだと思います。

つまり、園芸という趣味を全ての年齢層で楽しめる趣味にして、そこを入り口にして若年層にも薔薇の栽培を広めていくことが大事だと感じます。

園芸と言う趣味は、今も昔も根強い人気のある趣味ですが、爆発的に市場が膨らむわけでもなく、ある程度の市場で推移しているものと思います。

その市場、園芸を趣味にする人を増やすためには、今までにターゲットでは無かったところに食指を向けないといけないのではないでしょうか?

例えば、家を建てたりマンションを購入する子育て世代に、病気に強い薔薇をライフスタイルの中に取り入れるような提案をするなど、様々な方法があるのかと思います。

そんなに簡単なことでは無いのは承知の上ですが…。


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薔薇の棘を無くす品種改良は無理なの?

もう一つ、薔薇の棘って気になりませんか?

私は子供がいるので、棘の存在がとても気になりました。実際に、子供の手に棘が刺さったことがあります。

子供ができて家を購入する際、庭に植える植物として薔薇を選んで欲しいのですが「薔薇は棘があって子供が危ない…」というイメージが合ったら、それだけで薔薇を選んでもらえなくなりますよね。

上で記載した若年層への薔薇の普及は、病気の克服に加えて、棘の存在も課題になるのかもしれません。

また、家が道路に面している場合、薔薇の棘が道路に出ていたりすることを気にする御家庭があると聞いたこともあります。

棘は薔薇の象徴的な特徴でもあるのですが、やはり無い方が色々と楽ですよね。

私が育てている薔薇の中にも、棘が非常に大きく本数が多いものがあります。

私の花壇で一番棘が凄いのは「ジュビレ・デュ・プリンス・ドゥ・モナコ」です。紅白の色をしたとても綺麗な薔薇ですが、棘のレベルが相当凄い…。

剪定の際には、有刺鉄線のプロレスファイトをしているかのような状態になります…(笑)

この記事の終わりに -まとめ-

色々と言いたいことを記載してしまった記事でしたが、最後までお付き合いをいただきまして、ありがとうございました。

これ以上書くと、だらだらと文章を書いてしまいそうなので、最後に簡単にまとめておきたいと思います。

薔薇の栽培と言う趣味を、より日本人に広めていくためには…

① 薔薇と言う植物をプレゼントされるものから、自分で育ててみる植物というイメージに変えること。(これはかなりハードルが高い。)

② 日本人のライフスタイルの中に、観葉植物の様なイメージで薔薇を取り入れるきっかけを作ること。(企業さんが動いてくれれば何とかなるかも?)

③ 園芸と言う趣味を30代の若年層にも積極的に広めていき、薔薇と言う植物を育てるきっかけを作ってあげること。

だと考えます!

ただし、あくまでも現時点での私の個人的な意見です!(笑)

そんなに簡単なことでは無いのも承知の上で書いた記事になります。

少しでも皆さんに共感いただける部分があれば幸いです。

では!

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