春に花を咲かせる大人気の球根植物「ラナンキュラス」。
色や品種が豊富であることだけではなく、花弁数が多いため薔薇を思わせるような豪華な姿であり、それが人気の理由の一つだと思います。
また、初春になれば多くの園芸店で開花株を入手可能になりますし、秋に球根の植え付けから育てても栽培難易度は低く、園芸初心者に対する敷居が低いことも嬉しいポイントですよね!?
春に人気の球根植物にはチューリップもありますが、チューリップは基本的に花を1輪咲かせて終わってしまうのに対し (複数が房咲きになる品種もあるようです) 、ラナンキュラスは複数の花を咲かせてくれます。そのため、花を楽しめる時間も長くなるという長所もあります。
そんなラナンキュラスですが、1株から一体幾つの花を咲かせてくれるのでしょうか!?
花数をたくさん楽しみたい方の中には、ラナンキュラスに対して、この疑問を抱いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
先日公開した記事では、オステオスペルマムの花数をカウントした結果を紹介しましたが、今回はラナンキュラスが対象です。
さて、ラナンキュラスは何個の花を咲かせたのか?
予想しながら読み進めていただけましたら幸いです。
【注意】本記事で紹介する内容は、筆者の管理する栽培条件での結果となります。あくまでも参考結果としてお考えいただけましたら幸いです。
花数を数えたラナンキュラスについて -品種・植え付け・管理方法-
今回、花数を数えてみたラナンキュラスですが「スプリンクルス」という品種になります。
3月中旬にラナンキュラスの花の大きさの特徴を紹介した記事を公開したのですが、その時に栽培していたラナンキュラスとなります。
その際、ラナンキュラスの花の大きさを調査するとともに、花の数についても同時に調査していました。
用意したのは深紅の花を咲かせるラナンキュラスを2株、ピンクと白のグラデーションカラーのラナンキュラスを1株となります。
下の写真に示すように、ネメシア、ジュリアン、エレモフィラニベアと一緒に10号鉢へ寄せ植えして栽培・管理していたものとなります。
また、普段の管理方法ですが、一般的に言われている基本的な管理事項を守った栽培としていました。
具体的には、以下の通りです。
・水やり:土が乾いてからたっぷりと
・施肥:元肥に加えて、1週間に1度の液肥(規定倍率で希釈)
・日照時間:朝から夕方3時半までの日当たりを確保
・ラナンキュラスの花がら摘みは、花が開き切った直後に実施
ラナンキュラスの花数のカウント方法について
続いて、ラナンキュラスの花数のカウント方法です。
1つの花をダブルカウントしてしまったり、数え忘れが無いようにするために、花がら摘みを行った際に花がらの数を記録しておくという方法を取りました。
この方法であれば、カウントミスは起こらないはずです。
また、ラナンキュラスの花数のカウントは、上に記した3つの株全てで行いました。 (深紅のラナンキュラスとピンクのラナンキュラスで花数に違いが出るかもしれないと思ったためです。)
また、花数をカウントした期間ですが、苗を購入した3月初旬から花が全て終わった4月中旬までの期間となります。
つまり、ラナンキュラスの最初の花から、蕾が上がってこなくなるまでのタイミングということになりますね。
参考までに、下の写真はラナンキュラスの花が最も多く咲いていた時期の写真です。
ラナンキュラスの花は、とても大きく花弁数も多いので、とても豪華な寄せ植えになりますね!
ラナンキュラスの花数をカウントした結果
それでは、早速ですが、ラナンキュラスの花数をカウントした結果を紹介したいと思います。
下の表には、各ラナンキュラスの株に対して、花がら摘みを行った日付と花がらの数をまとめています。
また、各表の一番下には、合計で幾つの花がらを摘み取ったのか (これが合計の花数) も記しています。
深紅のラナンキュラス2株については、1株が7個の花を咲かせ、もう一つが8個の花を咲かせたことになります。概ね同じ花数と言って良いかと思います。
それに対して、ピンクと白のグラデーションカラーのラナンキュラスは、合計で18個も花を咲かせています。
同じ「スプリンクルス」という品種であっても、花の色が変わるだけで花数に2倍以上も差があるんです!
とても興味深い結果だと思いませんか!?
この結果について、自分なりに考えてみました。(私は育種家でも園芸研究家でも無いので、あくまでも一人の理系としての予測です。)
同じ品種のラナンキュラスでも花数が異なる理由を考察
深紅の花色のラナンキュラスと、ピンクと白のグラデーションカラーのラナンキュラスで、花の数が2倍以上も異なった理由は何なのでしょうか?
同じ「スプリンクルス」という品種ですが、花の色が違うだけで、花数が大きく変わりました。
私が実際にラナンキュラスを育ててみて、花の咲き方などを観察してみて気付いたことですが、以下の2つの理由が考えられるのではないかと思います。
一つは、花芽から分岐する蕾の数です。
ラナンキュラスは、一つの花芽が分岐して、複数の花を咲かせます。
下の写真に示すように、花芽の途中から2つ目の花の蕾が分岐していることが分かります。
この分岐の数ですが、ピンクのラナンキュラスの方が分岐が多かったです。
深紅のラナンキュラスは、分岐して2つか3つの花を咲かせていたのに対して、ピンクの方は4つくらいに分岐している花芽もありました。
花芽が分岐すれば、分岐しただけ花の数が多くなるので、ピンクのラナンキュラスの花数が多いのはこの特徴が一つの理由だと思います。
もう一つは、花の色に関する特徴です。
以前の記事でも記載したのですが、花は色が濃くなるほど咲かせるのに多くのエネルギーが必要になると聞きます。
例えば、薔薇も同じで、深紅の薔薇の方が白色の薔薇よりも一つの花に使われるエネルギーが多いと言われています。
これがラナンキュラスにも言えるとしたら、深紅のラナンキュラスの方が一つの花に使うエネルギーが多くなり、花の数は減ってしまうのではないかと。
例えば、球根が100のエネルギーを持っていて、深紅の花を咲かせるのには一つあたり30のエネルギー、ピンクの花を咲かせるのには20のエネルギーを要するとします。
この場合、深紅のラナンキュラスは3つの花を咲かせられるのに対して、ピンクのラナンキュラスは5個の花を咲かせることが出来るようになります。
先日公開した下のリンクのオステオスペルマムの花数に関する記事でも、濃い紫色のオステオスペルマムの方が花数が明確に少なかったのが事実です。
より多くの花を楽しみたい方は、薄い色のラナンキュラスを買った方が良いのかもしれませんね!
ただ、深紅のラナンキュラスは、本当に豪華な花を咲かせてくれるので捨てがたいんですよね…。
深紅のラナンキュラスの方が花もちが悪い!?
深紅のラナンキュラスとピンクのラナンキュラスの両方を育ててみて、もう一つ気付いたことがあります。
「深紅のラナンキュラスの方が花もちが悪い!?」ということです。
”花もち”とは、花が開花してから花弁が落ち始めるまでに要する時間の事ですが、深紅のラナンキュラスの方が確実に花弁が散り始めるまでに要する時間が短かったです。
正確に時間を測っていないので私の肌感覚になるのですが、深紅のラナンキュラスの方は花が完全に開いてから概ね4~5日程度で花弁が落ち始めました。
それに対して、ピンクのラナンキュラスの方は約6~7日は開花状態を維持していました。
また、花弁を触った感じも異なり、深紅のラナンキュラスの方が花弁がつるつるでした。
ラナンキュラスは、花弁の色によって花もちや花弁の特徴が異なると言えるのかもしれませんね。
今回育てたのは深紅とピンクのラナンキュラスですが、来年は白や黄色のラナンキュラスも育ててみて、特徴があるのかを調査してみたくなりました。
この記事の終わりに
この記事では、春の大人気の球根植物である「ラナンキュラス」について、いくつの花を咲かせるのかを調査した結果を紹介しました。
今回は深紅とピンクのラナンキュラスを育ててみましたが、深紅のラナンキュラスに比べてピンクのラナンキュラスの方が開花した花数が多くなるという結果となりました。
その理由は、花芽の成長で起きる蕾の分岐点の数や、花色によって花を咲かせるエネルギーに差があるという点が考えられます。
また、花もちの観点でも差が出ており、ピンク色のラナンキュラスの方が花もちが明確に良かったです。
「ラナンキュラス」と一言で言っても、多くの品種と色の違いがあり、それぞれに特徴があるのが実際の所かと思います。
ラナンキュラスの花色を選ぶ際、お気に入りの花色を楽しむのか、それとも花数(花期の長さ)を楽しむのか、と言う点も加味して考えた方が良いのかもしれませんね!?
本記事がガーデニング好きの皆様に、少しでも参考になれば幸いです。
それでは!