クレマチスの成長速度を実測 -成長の特徴も紹介-

長い蔓を伸ばし、多くの美しい花を咲かせてくれる「クレマチス」。

バラやクリスマスローズと並び、とても人気の高い園芸品種です。

栽培方法も容易で、花後に蔓の剪定に気を配り適切な植え替えを行えば、毎年のように綺麗な花を咲かせてくれる、とても優秀な植物でもあります。

また、非常に多くの品種があり、青や濃い紫色の花を持つ品種もあるため、御家庭の花壇に合った品種・花色を選ぶことができるというのも人気の理由かと思います。

そんなクレマチスですが、蔓性の植物になるので、知らぬ間に大きく成長してしまい、手の施しようが無くなるというイメージをお持ちの方もいらっしゃるようです。

確かに「蔓がどこまで伸びてしまうのか?」、「蔓の成長速度はどのくらいなのか?」という点は気になるところかと思います。

この記事では、ガーデン作りや花壇作りの参考例として、クレマチスの成長速度を実測した例を紹介します。新枝咲き (強剪定) タイプの蔓が2mくらいになる一般的な品種を選びましたので、クレマチス栽培の参考になるかと思います。


Advertisement

蔓の成長速度を実測したクレマチスと栽培条件

まず最初に、実験に用いたクレマチスの詳細と、栽培条件に付いて触れておきたいと思います。

実験に用いた品種は「ソワレ」

今回の記事で、蔓の成長速度を実測したクレマチスは「ソワレ」という品種になります。

蔓の長さは最大で2mくらいまで伸び、春から秋までの間、濃い紫色の花を咲かせてくれるクレマチスです。

系統としては、新枝咲きの強剪定タイプとなります。

2021年2月に苗を購入し、7号鉢に植替えを行い、オベリスクに巻き付けて育てているものになります。

栽培環境や条件について

栽培環境としては、我が家の南面で日当たりの良い場所に置いて育てました。

日照時間としては、日の出から午後2時くらいまで直射日光が当たる場所になります。

また、肥料については月に1度の緩効性肥料に加えて、規定濃度よりも2倍くらい薄く希釈した液肥を1週間に1度与えています。

培養土は市販の薔薇用の培養土を使用しました。クレマチス専用の培養土もあるのですが、水捌けの良い薔薇専用の培養土であれば問題無く育ちます。

水やりは、園芸の基本である「土が乾いたらたっぷりと」を忠実に守っていました。

総じて、一般的な栽培方法で育てており、特別な栽培方法を行ったわけではありません。

成長速度の測定方法について

次に、クレマチスの成長速度の測定方法についてです。

今回はクレマチスの蔓の成長速度を測定していきますので、次の写真に示すように、蔓の長さをメジャーで測定していくこととします。

なるべく正確に蔓の長さを測定しますが、オベリスク仕立てになりますので、蔓の長さを正確に測るのは難しいです。どうしても5cmくらいの誤差は生まれると思ってください。

成長速度の測定開始日は2021年3月20日、測定修了日は2021年4月30日になります。

冬に強剪定された株を植えたのですが、春になると元から複数の蔓が伸びます。その中で最も成長している3本の蔓を選び、成長速度を測定していきました。


Advertisement

春のクレマチスの成長過程を写真で紹介

まず最初に、クレマチスの成長を分かりやすくするために、下の写真で4月2日、4月10日、4月30日の状態を並べてみました。

4月の初旬には、まだまだ小さな蔓でしたが、4月の気温上昇に伴いぐんぐん成長して、約40日程度でオベリスクの頂上に蔓が到達しました。

使ったオベリスクは高さが1.5mですので、蔓を巻き付けていることを考えると、約2mくらいはあるのかと予想が付くかと思います。

また、蔓の成長が概ね止まると、次の写真の様に蔓の先端のから葉と蕾の展開が止まります。ちょうど4月後半にこのような状態になりましたので、成長速度の測定を4月30日に終えました。

クレマチスの成長速度の測定結果 -蔓の成長-

では、実際に以下で蔓の長さを測定した実験結果を紹介します。

最初に蔓の長さを測定した結果のグラフ、その後で今回の測定でわかったクレマチスの成長の特徴について紹介したいと思います。

クレマチスの成長速度の実測結果をグラフ化

下のグラフが、3本の蔓の長さを約1か月間測定した結果のグラフになります。

蔓に①~③の番号を付けていますが、蔓①番が最初に成長が始まった蔓で、最もよく成長していることがわかります。

また、蔓①の成長の速度としては、3月20日から4月3日の約40日間ので概ね2mとなっていますので、1日当たりの成長速度は平均で5cmとなります。

クレマチスは毎日観察していても成長しているのを肌で感じることができる植物ですが、1日で5cmも成長するんですね!

実際にデータを取ってみると、確かに成長が速かったです。

これだけ成長が速いと、知らぬ間に長く伸びることになるので、適宜構造物に絡めないと強風で蔓が折れてしまう理由がわかりますね。

クレマチスの蔓の成長には特徴があります

今回、クレマチスの蔓の成長速度を測定してみると、クレマチスの蔓の成長に2つの特徴があることがわかりました。

1つ目の特徴は、一番最初に伸びた蔓が最も成長が速く、最も長く伸びるということです。

上のグラフで蔓①の成長が最も速いことは見ての通りですが、蔓②と蔓③と比べても明らかに成長速度に違いがあります。特に4月中旬の成長速度の速さは目を見張るものがあります。

春先に発生した蔓は、どれも同じような速度で成長すると考えていましたが、実は成長の速度には優劣の差が生まれているようです。

これは、薔薇と同じように、最も成長している芽に最も栄養が集まる「頂芽優勢」の性質があるからだと思われます。頂芽優勢とは、最も成長している部分に養分を集めて、周りの植物よりも高い位置で太陽の光を浴びようとする植物の性質になります。

クレマチスにも頂芽優勢の特徴が働き、蔓①が最初に成長を始めたので養分をたくさんもらうことになり、成長が速くなったのだと考えられますね。

この特徴がある以上、たくさんの蔓が同時に発生しても、それぞれの蔓の成長にはいずれは差ができてしまうということだと思われます。

2つ目の特徴は、4月中旬が最も成長速度が速くなり、4月後半に蕾が見え始めると成長が遅くなるという特徴です。

成長の初期であった3月中旬は、成長速度が緩やかになっているのですが、蔓が勢いよく伸び始める4月以降は、その速度がスイッチが入った様に一気に上がります。

しかし、4月の後半くらいになって蕾が多数形成されるようになると蔓①では成長速度が鈍化していることが分かります。

これは、蔓の成長では無く蕾の形成に養分を使うようになるためであると考えられます。

それに対して、蔓②と蔓③は、蕾がまだできていない状態でしたので、成長の曲線が鈍ることなく成長が続いている状態になります。


Advertisement

この記事の終わりに

この記事では、クレマチス「ソワレ」の成長速度を実際に測定した結果を紹介させていただきました。

最も成長する蔓は、3月の中旬から4月後半にかけて平均で一日に5cmも伸びていることがわかりました。

ただし、蕾がたくさん形成される4月後半になると蔓の成長が遅くなり、蕾の形成に養分が使われるようになります。そのため、いつまでも蔓が伸び続けるのではなく、ある一定の長さで蔓の成長が止まるようになります。

また、蔓が複数本出てきた場合には、最も最初に成長した蔓が優先的に成長するという特徴もあります。

今回紹介した「ソワレ」という品種は、苗の購入時のタグに「蔓の長さ: 約2m」と記載がありましたが、実際に育ててみると、ちょうど2mくらいの蔓の長さになりました。タグにかかれている情報は信用できそうです!

クレマチスは蔓性の植物のため、成長の制御が難しいと思われるかもしれませんが、つる薔薇のように剛直な蔓ではありませんし、花後の剪定で蔓の長さはリセットできます。

小さなオベリスクやフェンスがあれば育てられる植物でもありますので、花壇や玄関先などで育ててみてはいかがでしょうか?

では!

最新情報をチェックしよう!