【2月の薔薇】培養土のpH調整と良い新芽の選定はお忘れなく!

薔薇を育てておられる皆さん、冬の薔薇のお世話は完了していますか!?

冬剪定やつる薔薇の誘引、そして寒肥…冬の間に実施することが最適な作業がたくさんあります。

冬の寒い時期になるので、外に出て薔薇のお世話をするのが億劫になる季節ではあります。しかし、春以降の花数を増やすことや、新しいベーサルシュートを発生させるためにも重要な作業になってきますので、各作業は忘れずに行っておきましょう!

今回は、そんな冬の薔薇のお手入れの中で、少し見落としがちなお世話について2つ紹介しておきたいと思います。

一つは「培養土や庭土のpH調整」、もう一つは「良い新芽を選ぶ作業」です。

どちらも3月以降の薔薇の成長に影響を与える管理項目になるので、忘れずに確認しておくことをお勧めします。


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2月の薔薇の状態について

2月の薔薇は、鉢植えも地植えの薔薇も冬剪定が完了した後で、太い元気な枝が残っている状態だと思います。葉が無い状態なので、病害虫対策の薬剤散布が無く、少しお世話が楽な状態ですね。

株全体を見ると、2月はまだまだ寒い日が続いているため、下の写真の様に薔薇の枝が赤くなっている状態かと思います。この状態を見ると、新芽の成長はまだまだ先だなぁ…と毎年感じます。

しかし、日々の観察をしていると、薔薇の株にはだんだんと変化が見え始める時期にもなります。

冬の剪定によって新たに枝の頂点になった部分から、元気な赤色の新芽が顔を出し始める時期になります。そして、2月は日が進むにつれて、その傾向が強くなってきます。

例えば、下の写真は地植えのミニ薔薇ですが、新芽が今にも成長を開始しそうな状態まで膨らんでいることが分かります。どの新芽も真っ赤に膨れ上がり、全ての新芽が良い状態に思えます。

1月に冬剪定をした際には、この新芽の部分はほとんど膨らんでいませんでした。剪定から約3週間経ち、徐々にではありますが、春の準備が進んでいることになります。

一部の発芽点からは、葉になる部分が見え始めている部分もあります。私が住んでいる暖地での話になりますが、2月の薔薇は完全に休眠しているのではなく、寒さの中でも春の準備が始まっていると言えます。

2月は薔薇の活動直前の重要なお手入れ時期

上で示したように、2月は季節的には冬になりますが、薔薇の株の中では着々と春の芽吹きの準備が進んでいます。

2月の中旬になると最高気温が10℃を越えて、暖かい日には15℃くらいになる日もあります。このような陽気が薔薇の株に活動のスイッチを入れてくれます。

そのため、2月の初旬は冬の薔薇のお手入れができる、最後のチャンスと言えますね。

地植えの薔薇を別の場所への移植、鉢植えの薔薇の土を入れ替え、薔薇の鉢のサイズを鉢増し…全ての作業が安心して出来る最後の時期です。

3月以降も植え替えや鉢増しの作業は出来なくは無いですが、活動中の薔薇の根を触ってしまうと、薔薇が不調になってしまう可能性も高いので、出来れば2月初旬に済ませてしまいましょう!

また、冬の薔薇のお世話の中では「冬剪定」「植え替え」「寒肥」に注目が辺りがちですが、これらを実施しただけで冬のお世話が完了したと思っている方はいませんか?

私も薔薇の栽培を始めた最初の年は、その一人でした。1月中に冬剪定と施肥を行って満足していました。

しかし、その他にもやっておくべき作業はあります。以下では2月に実施しておいた方が良い、2つの作業について紹介します。


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忘れがちな「pH調整」は要注意

pH調整と聞くと、難しい化学の授業を想像してしまいます。

しかし、野菜を育てていらっしゃる方からすると、とても馴染みの深い作業だと思います。野菜を育てる場合には、その作物に適切なpHがあるので、植え付けを行う前にはpH測定をすることが望ましいです。

しかし、薔薇や1年草の草花を鉢で育てる場合、pHを気にされる方は意外に少ないのではないかと思います。私も、昨年 (2020年) に初めて薔薇の土のpHを測定するまで、pHを気にしたことがありませんでした。

薔薇は弱酸性の土を好むと言われていますが、pHが下がり過ぎると逆に育成状態に障害が出てしまいます。

2020年に全くベーサルシュートが出なかった薔薇について、培養土のpH調整を行ったらベーサルシュートが出始めたことを以下の記事で紹介しました。

この経験をきっかけにして、薔薇の土のpH調整にも気を遣うようになりました。

薔薇が3月から活動を本格的に始めると、土から養分や水を吸い上げ始めます。その活動の中で、土のpHが根の活動に影響を与えます。

pHの調整は基本的に苦土石灰などを使って、アルカリ成分を供給することになりますが、雨や水やりでアルカリ成分が土に浸透するまでには時間がかかります。

したがって、2月の初旬にpH調整を行っておくことが必要になるのです。

3月になって「あっ、pH調整していなかった!」では遅すぎるのです。

培養土のpHについては、園芸店で販売されているデジタルのpH測定器を使うと簡単に測定できます。1年くらいpH調整をしていない場合、pHが6以下になっていることもよくあるので、実測してからpH調整をしてみることをお勧めします。

アルカリ成分の補充には様々な方法がありますが、最も簡単なのは上でも紹介した「苦土石灰」です。

ホームセンターでも安く販売されているので、一袋持っておくと便利ですよ。

製品の使用方法に記載されている適正量を土の表面に撒きます。撒いた後は、少し土の表面を掘り返してあげる中耕を行っておくと、アルカリ成分浸透の手助けになります。

良い新芽を選んで追加剪定を検討する

冬剪定を行って2週間ほど経過すると、剪定後に枝の頂点になった部分から新芽が顔を出し始めます。

この状態は、実は良い新芽を選ぶと言う意味で大切なタイミングになります。

文章で記載しても少し分かり辛いので、下で例を見ていただきたいと思います。

下の写真の青矢印の先の枝ですが、実はこの部分には新芽が全く出ていません。冬剪定の時に新芽が少し見えたので残したのですが、剪定後に枯れ込んでしまいました。

このような部分は、正直なところ「不要な部分」になります。そのため、青色点線の部分で剪定してしまっても問題は無いと言えます。

次の写真でもう一つの例を挙げておきます。

①と記載された赤色矢印の部分からは元気な新芽がでていますが、②の赤色矢印の部分には新芽が見えていますが、ほとんど成長できていないことが分かります。

元気な新芽、そして薔薇の株が優先的に成長させたいと判断した新芽は2月の時点で成長に差が見えてきます。

そのため、2月の初旬の時点で成長が悪い発芽点は、枝の込み具合によっては剪定してしまっても良いかと考えます。

上の写真の例の場合、②の矢印の部分をもう一段低い位置で剪定するようなイメージです。冬剪定の後に、新芽の調整を行う剪定を再度行うという感じです。

3月になるとかなり新芽が成長してくるので、この作業はできません。新芽が成長した時には「芽かき」という作業になります。

ただし、絶対に必要な作業とも言えないので、株が充実して枝数が多い場合などは実施を検討しても良いかと思います。私自身も、各薔薇に対して所々この作業を行っています。


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この記事の終わりに

この記事では2月の薔薇のお世話として忘れがちな「培養土のpH調整」と「良い新芽を選ぶ作業」を紹介させていただきました。

私自身、薔薇の栽培を開始した当初からpHのことはそれほど気にしたことがありませんでした。しかし、2020年に培養土のpH調整を行ったことでベーサルシュートが発生したことを経験し、pH調整の重要性を認識した過去があります。

もし、薔薇の培養土のpH調整を全くしたことが無い方、培養土の入れ替えをほとんどしていない方は、一度pHの測定から行ってみることをお勧めします。

また、新芽の選定については、春以降に元気な芽で花を咲かせるためにも必要な作業だと思います。春先には芽かきの作業もありますが、2月にも同じような役割を持った新芽の選定作業ができます。

樹形や枝の数を見ながら、冬剪定後の追加の剪定を行ってみても良いかと思います。

これらの作業が終われば、後は3月の芽吹きを待つだけですね!

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