【薔薇】一季咲き・返り咲き品種の夏の状態・管理について

日本の夏は年々気温が高くなる傾向にあり、今では38℃~40℃という最高気温を見ることが珍しくはない状況になりました。

そのような気温の高い気候は我々人間だけではなく、薔薇たちにとっても厳しい状況と言えます。

3月~6月には元気に新芽を伸ばしていた薔薇たちも、7月以降になると機嫌を損ねたように状態が悪くなってしまう品種も多くあります。

ひとつ前の記事でも紹介をしましたが、葉が黄色くなったり、花が小さくなったり … 様々な症状が出てきます。

さて、今回ですが、一季咲きと返り咲きの品種に着目し、夏の間の状態や管理方法について紹介したいと思います。

一季咲きと返り咲きの品種は、夏の間の成長に関しては、四季咲きとは明確に違うことが多くあります。

【注意】本記事の内容は、筆者の薔薇栽培の経験を元に作成しております。薔薇は栽培環境により成長や開花が大きく変化しますので、あくまでも御参考とお考え下さい。


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薔薇の「一季咲き」と「返り咲き」について

薔薇栽培を趣味にされている方であれば、「四季咲き」「一季咲き」「返り咲き」の特徴をご存じであるかと思います。

しかし、1点だけ誤認識されている点があるかもしれないので、ここでその点を記載しておきたいと思います。

それは「返り咲き」の品種が開花するタイミングです。

四季咲きは年間を通じて複数回(多ければ4回か5回くらい)の開花を迎えます。

一季咲きは春に一度だけ開花をします。

それに対して、返り咲きは「2回か3回くらい咲く」とお考えの方が多いようです。

しかし、私の経験上ですが、返り咲きについては複数回咲く可能性って低いんですよね…。

私が関西の市街地 (夏の気温が高い場所) で薔薇を育てているからかもしれませんが、返り咲きの品種を購入しても春の1度の開花で終わってしまうものが大半です。

また、私が返り咲きの特徴が弱い品種ばかりを、選んでいるのかもしれません。

ただ、返り咲き品種は、条件がしっかりと揃わないと複数回咲かないことが多い印象です。

この点は、返り咲き品種を購入される前には、しっかりと留意しておきたい点です。

一季咲きと返り咲きの品種例について

現在販売されている薔薇の多くは四季咲きです。

花を多く楽しみたいという方が多いことを反映しているのかと思います。

実際、私自身も育てている薔薇の大半が四季咲きです。

しかし、何万品種あると言われる薔薇の中で、最も有名だと言われる「ピエール・ドゥ・ロンサール」は一季咲きです。

一年に一度しか花が咲かないけれど、その花の豪華さ・素晴らしさが故に愛され続けている薔薇です (下の写真参照) 。

一季咲きの品種は開花回数が少ないことはデメリットですが、春の開花の豪華さは確実に四季咲き以上です。

一回しか咲かない分、養分・エネルギーを春に爆発させるため、花数や花の大きさなどが別格です。

上のピエール・ドゥ・ロンサールは、京阪園芸さんのガーデンに植えられているものですが、春は本当に素晴らしい姿です。

返り咲き品種にも有名な品種が多くあります。

例えば、私が育てた経験のある薔薇の中では、「レオナルド・ダ・ヴィンチ」「ジュード・ジ・オブセキュア」「ローブリッター」等です。

下の写真はジュード・ジ・オブセキュアですが、この品種も返り咲きですが、我が家では鉢植えで育てておりますが、春にしか咲きません … 。購入した年に、春に1度だけ2番花が見られましたが、それ以降は春一回の開花です。


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返り咲き品種は夏は成長しないものが多い!

上記の通り、返り咲き品種は条件が整わないと、複数回の開花は見込めません。

花が咲かないということは、言い換えれば新芽が成長をしないということになりますので、そもそも株が大きくならないということになります。

そのため、春の一番花が終わった後に剪定をした姿が、夏の終わりまで維持されるという品種も多くあります。

もちろん、新芽を伸ばして蕾が少し出てくるところまで成長する品種もありますが、蕾が咲かずに終わることも多いと聞きます。

一季咲きと返り咲きの品種を初めて育てられる方は、四季咲きの品種との成長の違いに戸惑いが出るかもしれませんね。

四季咲きの樹勢の強い品種は、夏でも元気に新芽を出して花を咲かせてくれますから … 。

一季咲き・返り咲き品種の夏の状態について

では、一季咲きと返り咲きの品種について、夏の間の状態を実例を見ながら紹介していきたいと思います。

今回は、上でも紹介した「ジュード・ジ・オブセキュア」を例にとってみます。

公式にはジュード・ジ・オブセキュアは「返り咲き」となっていますが、我が家では春に一回の開花しかせず一季咲きとなっています。

① 新芽はほぼ出てこない=花は咲かない

夏の状態の特徴の一つは、上でも記載した通り、新芽が出てこないこと。

春の一番花が咲いた後、少しは新芽が出てくるのでは?と期待してしまうのですが、我が家では全く新芽が出てきません。

下に2023年8月の写真を示しますが、春の剪定位置 (5月上旬に剪定) のすぐ下の発芽点からも新芽が出てきていない状況です。

植え替えや土の入れ替えが原因ではないかと思い、土を新しいものに入れ替えたりもしましたが、やはり状態は変わらず。

もしかしたら、鉢植えではなく地植えにして根をしっかりと張らせないといけないのかもしれませんん。

我が家では基本が鉢植えなので、返り咲き性が弱いのは、その影響が出ているという可能性も十分にあります。

② 夏の日差しで下の方の葉が黄色く変色

一季咲きと返り咲きの品種は、夏に新芽が成長しない分、葉や茎が丈夫であって欲しい … と思うのですが、そうもいきません … 。

四季咲きの薔薇と同じように、夏には株の下の方にある葉が黄色くなり、葉の質感も悪くなります。

春の開花の時期には艶のある綺麗な葉をしていても、夏になると艶がなくなり、触感もボソボソとした状態になります。

「何とか生命維持をしている」という言い方が当てはまるような状態です。

この状態を見ると、とても心配になるのですが、一季咲きと返り咲きの品種は次の開花に向けてエネルギーを蓄えている状況になるので、花のない時期でも基本的なお世話は欠かせません。


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一季咲き・返り咲き品種の夏の管理方法

それでは、一季咲きと返り咲きの品種の夏のお世話の観点で、私が気を付けていることを以下で記載します。

① 肥料や活力剤は適切な使用を!(必要最低限でOK)

まず最初に、肥料や活力剤の使用方法の注意点からですね。

上記の通り、一季咲きと返り咲きの品種の多くは、夏季は株の現状維持をしており、ほとんど成長をしません。

そのため、成長を促すために大量の肥料を与えることはしてはいけません。

薔薇自身が成長をしないと決めているのですから、肥料を与え続けることは逆効果でしかないと思います。いわゆる肥料過多の状態になり、逆に悪い症状が出てくる可能性の方が高いです。

また、活力剤についても同じです。

夏の暑い時期を乗り切ってもらえるように、応援する意味で活力剤を多く与えている方もいるかもしれません。

しかし、活力剤は成長に必要な微量元素を供給することが目的なので、毎週のように与えてもほとんど意味がないのです … 。

基本的に夏の間は、肥料も活力剤も必要最低限でOKかと。

6月~7月に置き肥を与えたのであれば、液肥や追肥は夏剪定を行う前の9月前半までは不要かと思いますね。

夏の間も新芽を成長させる四季咲きであれば、適宜肥料を与えていけばよいかと思いますが、一季咲きと返り咲きの品種は肥料をほとんど与えなくても大丈夫なくらいです。

② 暑い日差しから葉を保護する

次に、強い日差しから葉を守るという点です。

四季咲きの品種は、夏の間も新芽が成長するので、葉が少し落ちても次の新しい葉が出てきます。

しかし、一季咲きと返り咲きの品種は夏に新芽がほとんど出てこないので、既存の葉がなくなると丸坊主の状態で管理することになります。

葉は、次の開花 (秋または翌年の春の開花) に向けた大切なエネルギー生成工場になるので、葉がなくなると開花に影響が出てしまう可能性もあります。

そのため、四季咲きの品種以上に、葉を大切に守ることを心掛けるようにしています。

そのお世話の一つが強い日差しから葉を守ることです。

夏の日差しは非常に強く、直射日光が長い時間当たっていると、葉は茹でられているような状態になります。これが原因で葉が落ちてしまうこともあります。

これを防ぐために、例えば、午前中は日が当たり、午後は日陰になるような場所で管理するのが一つの方法です。

③ 水切れは何としても避ける!

葉を守るという観点で、もう一つ重要なお世話があります。

それが「水切れさせない」という点です。

薔薇は、水切れが起こると、まず最初に葉を落とし始めます。

これは、葉から蒸散で水分が失われるのを防ぐためです。

水切れの傾向が出てくると、まず株元に近い位置の葉が鮮やかな黄色に変色して落葉します。

そして、水切れの期間が長くなると、その影響が株の上の方にまで進行していき、最後にはすべての葉が無くなります。

このため、水切れは何としても避けなければなりません。

特にお盆の帰省などで、長期間家を留守にするときは注意が必要です。

返り咲き品種は秋の開花も期待しない方が良い?

一季咲きと返り咲きの品種は、夏の時期にはほとんど成長しないという点を紹介してきましたが、秋以降はどうなのでしょうか?

一季咲きについては、秋以降もほとんど状態が変わらない状況が続くのは想像しやすいかと思います。

返り咲きについては、条件次第というところが大きいです。返り咲きの品種の中でも、比較的樹勢の強い品種は秋に開花をするものがあると聞きます。

私が育てたものの中では、秋に開花したものが無いのが現状 … 。

もし読者の皆様の中に、秋に咲きやすい返り咲きの品種をご存じの方がいらっしゃいましたら、コメント欄で教えていただけましたら幸いです。

私個人の考え方ですが、返り咲きの品種といえど、秋に咲くことは期待しないでおいた方が良いのではないかと思います。

「咲いてくれたらラッキー!」くらいに考えておいた方がストレスが無さそうです。

この記事の終わりに

本記事では、夏の間の一季咲き・返り咲き品種の成長の特徴や管理方法について、筆者の経験から考えを記載させていただきました。

薔薇の品種は四季咲きが人気ですが、豪華に咲く一季咲きと返り咲きの品種にも非常に魅力的な品種があります。

そのため、一季咲き・返り咲きを何品種か育ててみようとお考えの方もいらっしゃるかと思います。

一季咲き・返り咲き品種は、特に夏の成長において四季咲きと大きく異なるところがあります。

その異なる特徴を理解しながら、適切なお世話を進めていくことが必要になると考えます。

特に肥料や活力剤の使い方、そして最も気を遣う葉の管理が重要な項目だと感じます。

あくまでも私の個人的な経験・考え方に基づいていますが、少しでも御参考になれば幸いです。

それでは!

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