ミニ薔薇を「げんこつ剪定」して成長の様子を観察

薔薇栽培を趣味にしている方であれば、「げんこつ剪定」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

げんこつ剪定は、薔薇の枝を全て深く刈り込んでしまうという強剪定の中の強剪定ですが、私個人としては一種の「荒行」のような薔薇の管理方法の一つだと思っています。

そんなげんこつ剪定ですが、ミニ薔薇にも通用する剪定方法なのでしょうか?

ミニ薔薇は挿し木苗で流通している場合がほとんどのため接ぎ木部分のクラウンがありません。

全ての枝を切り落としてしまった場合には、新しい枝が生えてくるのでしょうか?

そんな疑問を持ってしまったため、実際にミニ薔薇のげんこつ剪定をやってみました!

日本中には私と同じ疑問を持っている方が、少なからずいると思いますので、その疑問に答えるべく実際に実験をしてみましたよ!


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「げんこつ剪定」について

まず最初に、げんこつ剪定についてお話しておきます。

げんこつ剪定とは、薔薇の苗の接ぎ木部分 (クラウンと呼ばれます) だけを残し、全ての枝を深く刈り込んでしまう剪定になります。

薔薇の苗は、台木に対して目的の品種を接ぎ木して作られているものがほとんどですが、そのクラウンだけを残す剪定がげんこつ剪定となります。

「どのような場合に行われる剪定方法なのか?」についてですが … 薔薇の枝が古くなった場合や元気の無い枝ばかりが残っている場合に、新しい新鮮な枝(ベーサルシュート)を発生させたい場合に行われる剪定方法となります。

薔薇は栽培年数が長くなると、ベーサルシュートが出にくくなる傾向があるため、何年も前に発生した枝だけが残っているような状態になってしまう場合があります。

古い枝は時間が経てばたつほど、花を咲かせる能力も落ちてしまうことがあるため、株を一新するために枝を全てリニューアルしたい場合には、げんこつ剪定が有効な手段の一つになり得ます。

ただし、げんこつ剪定を行っても株が回復しない場合もあるので、自己責任で実施する剪定方法であることは忘れてはいけませんね。

げんこつ剪定を実施するミニ薔薇について

今回の実験でげんこつ剪定を行うミニ薔薇は「アロハ」という品種のミニ薔薇になります。(以下では、単純にミニ薔薇と呼びます。)

私の過去の実験 (日照条件が薔薇の成長に与える影響) でも活躍してくれたことがあるミニ薔薇になります。

下の写真が、そのミニ薔薇のげんこつ剪定前の状態です。開花が終わって、花がら摘みを行った直後の状態です。

このミニ薔薇をげんこつ剪定して、成長の具合を確認していこうと思います。

特に育成に問題は無い株のため、ミニ薔薇には申し訳ないのですが、私の好奇心(実験)のために使用させていただきました。


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【実験開始】げんこつ剪定後のミニ薔薇の状態

それでは実際にミニ薔薇をげんこつ剪定した後の状態です。

下の写真で、左側に示すように、枝を全て切り落としてしまいました。

右側の写真が株元の拡大写真になりますが、培養土の表面にはかろうじてミニ薔薇の地上部の一部が顔を出している状況です。

ここまで深く剪定をしてしまっているので、発芽点となる葉の付け根部分はありません。

また、目で見る限りでも、発芽できそうな発芽点は見受けられませんでした。

この状態から、どのようにミニ薔薇が成長していくのかを観察していきます。

げんこつ剪定から1週間後に新芽が顔を出し始める!

さて、げんこつ剪定を実施してから1週間が経過しました。

ミニ薔薇に変化が無いかを確認してみると、僅かではありますが、新芽の一部が顔を出しているのが確認出来ました。

下の写真の中で、黄色の矢印で示した部分になりますが、小さな新芽が顔を出しているのがお分かりいただけるかと思います。

新芽が顔を出したポイントは、げんこつ剪定をした当初は、発芽ポイントとは思えないような場所でしたので、ベーサルシュートやサイドシュートのようなものが出てきているものと予想されます。

また、この新芽を確認してから更に3日経過した日 (強剪定から10日後) になりますが、次の写真の様に新しい葉が展開しているのを確認出来ました。

ここまで成長が進むと、あとは成長速度が急加速する日を待つだけになるような感じですね!


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げんこつ剪定から20日後には葉が茂る状態に

次にげんこつ剪定から20日後のミニ薔薇の様子です。

新芽が顔を出してからの成長が速く、下の写真の様に、あっという間に多くの葉を茂らせるような状態になりました。ミニ薔薇の樹勢の強さは驚かされます。

新しい葉はハダニなどの害虫による被害も無いため、とても綺麗な状態だと言えますね!

また、ミニ薔薇の根元を拡大した写真が次の写真です。

この写真を見てわかるように、ベーサルシュートと言えるような位置から、太く新しい茎が発生してきていることが見て取れます。

つまり、クラウンが無い挿し木苗のミニ薔薇も、げんこつ剪定を行うと根元からベーサルシュートが発生して株の枝数を増やしていくのだと言えます。

げんこつ剪定から1ヶ月で立派な蕾を形成

げんこつ剪定から1ヶ月 … ミニ薔薇は順調に成長して、下の写真の通り、大きな蕾が形成されました。

げんこつ剪定をしたので、もしかしたら新梢はブラインド (蕾が付かない状態) になるのではないかと心配していましたが、それを良い意味で裏切ってくれました。

元気よく伸びた全ての新梢の先には、しっかりと蕾を付けてくれています。

開花に向けて順調に成長しているので、ミニ薔薇はげんこつ剪定を行っても株がしっかりと回復するという証明になったのではないかと思います。

【参考情報】挿し木苗のミニ薔薇も成長するとクラウンが形成されます

前述の通り、園芸店で販売されているミニ薔薇は、基本的には挿し木苗となります。

そのため、購入した時点では、薔薇の大苗に見られるような接ぎ木部分のクラウンは無い状態になります。

しかしながら、ミニ薔薇は大きく成長すると、地面付近にクラウンと言えるような部分が形成されていきます。

下の写真は、ミニ薔薇の「ノヴァ」という品種ですが、我が家の玄関先に3年ほど前に植えたものです。

背丈は40cm~50cmとなり、もう挿し木苗のミニ薔薇であることが嘘かのように育ってくれました。

この株の株元の写真が次の写真になりますが、しっかりとクラウンが形成されていることが分かるかと思います。

このクラウンの部分から、毎年のように新しいベーサルシュートが伸びてきます。

ミニ薔薇は挿し木苗であっても、大きく成長すると薔薇の大苗の様な姿になるんですね。

この記事の終わりに

この記事では、ミニ薔薇に「げんこつ剪定」を実施して、その後の成長の様子を詳細に観察した結果を御紹介させていただきました。

ミニ薔薇は挿し木苗のため、薔薇苗の様に接ぎ木部分のクラウンがありません。

そのため、新しい枝 (シュート) が発生してくれるのか心配ではありましたが、地表に残った僅かな部分から新しいシュートを発生して無事に成長してくれました。

また、成長した新芽の先端にはしっかりと蕾を付けてくれており、今回の例では完全に株が復活したと言えるかと思います。

薔薇のげんこつ剪定は枝を全て切り落とす強剪定のため、少し可哀そうな剪定のイメージがあります。

しかし、私自身は、薔薇の株をリニューアルする最終手段として有効な方法だと考えています。

株の状態によっては、げんこつ剪定で新しい枝を発生する力が無い株もあります (特に歳の多い株) 。しかし、挿し木苗の若いミニ薔薇であれば、げんこつ剪定を試してみる価値は十分にあるのではないかと思います。(ただし、自己責任で…。)

この記事が、ミニ薔薇の栽培をされている方に、少しでも興味を持っていただけましたら幸いです。

それでは、また次の記事で!

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