薔薇の花は季節で大きさが変わる -季節ごとの花サイズを測定-

初めて薔薇を育てた時、冬に大苗を植え付けたのですが、春の花の大きさと美しさに驚いたことを今でも覚えています。

しかし、その3か月後、夏を迎えた時の花は春の一番花と比べると、サイズも小さいし、色も何だか綺麗でありませんでした。とても残念な花が咲いてショックを受けたことも覚えています。

薔薇を何年も育てていると、季節ごとの花の違いは当然のことのように思えてくるのですが、実際に花の大きさがどのくらい変化するのかをデータで見たことがありませんでした。

特に、初めて薔薇を育てる方は、季節ごとの薔薇の花の違いに戸惑いを持たれるかと思います。

この記事では、各季節で実際にどれだけ花のサイズが変わるのかを測定した結果を紹介します。私の2019年の薔薇栽培ノートに記載のあった記録を公開させていただきたいと思います。

ただし、この記事の測定結果は、私の栽培環境下での測定結果でありますので、あくまでも御参考としてお考えいただけましたら幸いです。


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薔薇の花のサイズの測定方法

まず最初に、薔薇の花のサイズの測定方法ですが、下の写真に示すように薔薇の花が完全に開花した状態での直径を測定しました。写真は2019年の夏にイングリッ・ドバークマンの花サイズを測定した時の様子です。

イングリッドバークマンの花サイズを測定している様子

精度の高い測定方法ではないので、0.5cmくらいは誤差があると思ってください。

この記事で紹介するデータは、2019年に私が育てた薔薇の花のデータです。

春の一番花、初夏の2番花、そして夏剪定後の秋の薔薇の3回測定を行いました。

サイズを測定した花は、各季節ごとに最初に咲いた5つの花になります。各季節のサイズの比較では、その5つの花サイズの平均を使いたいと思います。

花のサイズの測定を行った薔薇

では、実際にデータを取った薔薇ですが、次の4品種になります。各品種ごと、写真を入れて紹介しておきますね。どれも美しい薔薇達です!

これらの薔薇の花の直径を測定し、各季節でのサイズの違いをデータ化してみました。イングリッド・バークマンとプラム・パーフェクトは鉢植え、ブルームーンとジュビレ・デュ・プリンス・ドゥ・モナコは地植えです。

①イングリッド・バークマン

イングリッドバークマンの写真

②プラム・パーフェクト

プラムパーフェクトの写真

③ブルームーン

ブルームーンの写真

④ジュビレ・デュ・プリンス・ドゥ・モナコ

ジュビレデュプリンスドゥモナコの写真

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データを取った薔薇は摘蕾を実施

2019年の薔薇栽培では、私は全ての開花期において、一つの枝に付く蕾の数を1つか2つに制限する摘蕾を行いました。

多くの花を咲かせるのではなく、1つか2つの大きな花を咲かせるための摘蕾です。

摘蕾する蕾はできるだけ早く摘蕾すべきなので、余分な蕾が顔を出し始めたらすぐに摘心していました。

その甲斐もあってか、下でデータを示すように、大きなサイズの薔薇を咲かせることが出来ています。

各季節ごとの花サイズの測定結果

では、実際に各季節ごとの薔薇の花のサイズを測定した結果を紹介します。

一つのグラフに、各薔薇の花サイズをまとめてみました。上で紹介したように、各開花期で最初に咲いた5つの花の平均直径を縦軸に取っています。

各季節ごとの花サイズの変化を示すグラフ

イングリッド・バークマンの春の花は、流石の一言で、直径14cmの大輪の花を咲かせてくれました。その後も、夏も秋もコンスタントに花のサイズが大きく、薔薇の殿堂に選ばれた品種としての貫禄を見せつけてくれた感じがします。イングリッド・バークマンは私が最初に購入した薔薇の一つですが、購入してから花のサイズがほとんど変わらず、樹勢が強いままです。素晴らしい名花というのは、花の美しさだけではなく、花木として優秀なものが多いと感じます。

次に、ブルームーンです。ブルームーンも大輪の花を咲かせるのですが、夏の花は色も薄く大きさも小さくなるため、少し残念な花になってしまいます。ブルームーンは花弁数も少ない方なので、気温の高い夏はあっという間に蕾が形成され早い段階で開いてしまうような品種です。ただし、夏は花の大きさは小さくなり色も悪くなるのですが、香りはどの季節でも素晴らしいブルー系の香りです。夏に咲くと、早朝に家の周りに爽やかな香りを漂わせてくれるので、夏に咲かせる価値はある薔薇だと思います。

プラムパーフェクトについては、2018年に発表された品種だったと思いますが、耐病性にも優れ夏の暑さにも負けない丈夫な薔薇です。春に一番大きな花を咲かせるのですが、春から秋にかけて、あまり花のサイズが変わりませんでした。コンスタントに良い花を咲かせてくれますね。

最後に、ジュビレ・デュ・プリンス・ドゥ・モナコですが、この品種は夏の薔薇が咲いた時に、花のサイズの違いに驚かされた品種です。春はイングリッド・バークマンと同じ14cm級の薔薇を咲かせてくれて、素晴らしい薔薇だと思ったのですが、夏は一気にサイズが小さくなり10cmになりました。この薔薇は、花弁の縁の部分が赤く染まるのですが、夏は赤くはならず薄いピンク色で、なんだか夏バテをしたような薔薇になってしまいます。その傾向は、毎年同じなので、涼しい時期の方が適した気候なのだと思います。

どの品種にも言えることですが、春が最も花が大きく、夏になると花サイズが小さくなり、秋が深まる涼しい季節に花のサイズが少し大きくなります。これは日照条件と気温に依存するものなのですが、春と秋の薔薇が特に素晴らしいと言われるのは、この結果からも明らかだと思います。


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なぜ夏の薔薇はサイズが小さいの?

気温が高くなると、薔薇の成長は非常に早くなります。

成長が早くなるということは、蕾の形成も早くなるため、新芽が出始めると枝が十分に伸びて葉が多く枝に形成される前に蕾が出来上がってしまいます。

そのため、品種にも依りますが、夏は開花期の間隔が短くなり、1カ月で2回くらい蕾が出てくることも多々あります。

しかし、そのような蕾はじっくりと成長していないため、花のサイズが非常に小さく花弁の数も少ないままで咲きます。そのため、春に比べると美しくない薔薇であることが多いです。

夏の蕾はできる限り摘蕾をさせるべきだという話を聞くことがあるかと思いますが、咲かせても美しく無い薔薇であれば、夏の暑い時期に無理をさせて栄える必要は無いという考え方から来ているものです。

夏にも薔薇を楽しみたい方は、蕾を咲かせても問題はありませんが、夏の薔薇の小ささを見ると咲かせても無駄だなぁ~、と感じると思います。

私自身、2番花が咲いてから夏剪定をする9月中旬の間に出てきた蕾は、全て摘蕾で除去するように心掛けています。

上で紹介したジュビレ・デュ・プリンス・ドゥ・モナコは、8月に試しに咲かせたことがあるのですが、10cmにも満たない小さな花が房咲きになって終わりでした。しかも、花弁の色が真っ白で赤やピンクの縁取りが全く現れませんでした。

この記事のまとめ

この記事では、開花期ごとの薔薇の花のサイズの変化について、私が2019年に実測した結果を紹介させていただきました。

春の一番花が最も大きく、夏に花のサイズが小さくなり、秋には少しサイズが回復するという性質があることがお分かりいただけたかと思います。

今回の結果は、私の栽培環境下での結果ですので、あくまでも参考のデータとなりますが、どの薔薇も概ね同じような傾向を示すことは間違いありません。

夏の薔薇は咲かせてもあまり綺麗ではないと言われますが、それは花のサイズが小さく、花弁数も少なくなり、色も落ちてしまうためです。

春と秋の薔薇が綺麗に咲かせられるように、剪定や施肥を実施していきたいですね。では。

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