イングリッド バークマンは「薔薇の殿堂」に選出された名花です。
殿堂に選出されただけあり、初心者にも育てやすく、the Roseと言える深紅の美しい大輪の花を咲かせてくれます。
私の家では、春の玄関前に置き、ウェルカム ローズとして鉢栽培しています。
この記事では、イングリッド バークマンの育て方・栽培方法、そして育てているからこそわかる詳細な特徴などを紹介させていただきます。
イングリッドバークマンの概要と魅力
イングリッド バークマンは2000年の世界薔薇会議において、殿堂入りに選出された薔薇です。
殿堂入りに選出されたただけあって、誰もが「素晴らしい」と思える深紅の薔薇です!
上記のイントロの部分にも記載しましたが、私の家では玄関前に飾っていますが、春の一晩花はお客さん誰もが驚かれる大輪の薔薇です。
毎年のように、お客さんやご近所からも「凄い薔薇ですね!」の賞賛のお言葉をいただきます。普段、薔薇に馴染みのない方からしても、そう思える薔薇ということは、本当の意味で素晴らしい花なのだと思います。
以下に簡単な概要を記載しますね。
① 作出年度
1985年にデンマークのポールセンによって発表されました。
作出から30年以上たちましたが、今でも色褪せることなく愛され続ける薔薇です。
多くの薔薇園にも植えてある有名な品種ですので、近くの薔薇園を訪れた時には、ぜひ探してみて下さい。
② 薔薇の系統
ハイブリッド・ティー系統に分類されます。
一つの花枝に大輪の花を1つまたは2つ咲かせる薔薇です。
花枝に1つの蕾のため、エネルギーの分散が無く、大輪の花を咲かせてくれます。
③ 花の咲く季節
四季咲き性が強く、年間を通じて4, 5回の花を咲かせてくれます。
花後に剪定をすると、1.5カ月~2カ月で次の花を咲かせてくれます。
④ 花の大きさ
春の一番花で13~14cm、夏から秋にかけては12cm程度となります。
やはり、休眠期に貯めたエネルギーを爆発させる春の一番花が、最も大きくて立派です。
私の栽培するイングリッドバークマンも春の開花が最も豪華です。
他の薔薇の花と比較のため、2019年に私が育てた薔薇の花束を載せておきます。深紅の大輪がイングリッドバークマンですが、他の薔薇に比べて一回りも二回りも大きいことがわかります。
⑤ 薔薇の魅力である香り
ダマスク系の強い甘い香りです。
本当にとろけるような甘い香りで、花の大きさだけでなく、香りも楽しむことができます。
切り花にして部屋に飾ると、部屋の中にも香りが漂います。
⑥ 樹高・幅は鉢植え向き
樹高は約1m~1.2mです。
直立性が強いので、幅はそこまで広がらず1m未満に収まります。
ですので、地植えだけでなく鉢植えでも問題なく栽培可能です。
⑦ 鉢植えの土作り
薔薇の土は基本的に水はけのよい土が適しています。培養土をそのまま使うと、少し土の中が蒸れてしまうので、赤玉土などを入れて通気性を良くします。
私のブログでも、下の記事で土作りを紹介していますので、もしよろしければ寄り道していってくださいね。
樹形と素晴らしい照り葉
イングリッドバークマンの樹形を写真で御紹介しますね。
私の管理しているイングリッドバークマンですが、10号のプラ鉢に植えています。2020年4月の写真ですが、この株は4年目のものです。
10号鉢に植えてあるので、サイズ感は分かりやすいかと思います。鉢植えでも問題なく栽培可能なコンパクトな樹形が嬉しいところです。
また、一部の薔薇に言えることなのですが「照り葉」も特徴です。
照り葉とは何か?ですが、表面が光沢のあるツヤツヤした葉の事を言います。まるでニスやロウを塗って輝かせたような葉で、葉の美しさも楽しむことができます。
イングリッドバークマンの葉の写真も載せておきます。ピカピカに光った葉は、草花には無い美しさがありますね!この葉を綺麗に保つのも一苦労なのですが…。
鉢植えの場合の最適な鉢サイズについて
大苗で購入された場合には、1年目は7号鉢か8号鉢に植え付けましょう。
最初からいきなり大きな鉢 (10号鉢以上) にすると、土の量が多くなってしまうので、土が乾きにくくなってしまいます。
翌年の鉢増しの時に、10号鉢に植え替えてあげて下さい。
私も、この方法で鉢増ししました。また、その後は10号鉢で管理できますので、鉢は大きくせず、土の言えれ替えだけでOKです。
イングリッドバークマンの開花まで
初春の芽吹き (2月半ば)
2月半ばになると、新芽が芽吹き始めます。
イングリッドバークマンは、冬になると茎が赤くなります。
これはアントシアニンを茎の中に作り、寒さから身を守る現象です。決して枯れているわけではないので、ご安心ください。
新芽の成長 (3月中旬)
3月中旬になると、茎と同じ色の銅葉が一気に展開してきます。
この時期のイングリッドバークマンは、成長が最も早くなりますが、茎が水分を多く含むため、春の強風で折れてしまうことがあります。
春の強風に負けないように、支柱を立ててあげると安心です。私は毎年、最も成長している花芽を支柱で緩めに固定します。
巨大で黒に近い赤の蕾 (4月中旬)
イングリッドバークマンを始めて育てたときに驚いたのは、黒々とした蕾の色です。
写真を載せますが、外側が赤というより黒に近いような色で蕾が形成されています。初めて見た時は「別の種類の薔薇を買ってしまったのではないか?」と思ってしまったことを覚えています。
この黒々とした深い赤の中から、素晴らしい色の深紅の薔薇が出てきます。
また、春の蕾は巨大です。卓球玉くらいあるのではないかと思うくらいの大きさです。蕾の段階で存在感が出てきます。
また、この時期になると葉の色、銅葉から完全に緑色に変色します。
大輪の花の咲き進み方 (5月初旬)
蕾が開き始めたところです。
この状態で既に美しい薔薇です。大輪の花なので1日で一気に咲くのではなく、2日ほどかけてゆっくりと咲いてきます。
この状態から香りも強くなってきます。咲き進むにつれて、中の方から鮮やかな赤色が顔を出します。
完全に開いた状態です。深紅の薔薇の中でも、最も完成度の高い薔薇と言われるのが目で見て分かります。
薔薇と言うと真っ赤な薔薇を思い浮かべる方が多いかと思いますが、まさにそのイメージにぴったりの薔薇だと言えます。
そのまま、薔薇の絵にしたいような素晴らしい花の形です。
イングリッド バークマンの花後の剪定方法
花が終わったら、必ず剪定をしましょう。
イングリッドバークマンは、大輪の花を咲かせるので、枝の細い位置で剪定しても次の花が見ごたえのあるものになりません。
そのため、私は春の花が終わったらある程度低い位置まで剪定をしています。下の写真を参照ください。
薔薇の剪定でよく言われる「鉛筆の太さがある枝の部分で剪定する」ということを守って剪定しています。
鉢植えの場合には、あまりにも大きく育ってもらうと困るので、少し深めに剪定すると良いです。
茎に葉が3枚ほど付いていれば問題ないので、下の写真に示すように深い位置で剪定します。新芽の方向を考えて、樹形も考慮した剪定を進めましょう。
すっきりスリムに剪定する方法は、下のリンクの記事にまとめてあるので、もし御興味あればご覧ください。
この記事の終わりに
この記事では、薔薇の殿堂に選出された「イングリッド・バークマン」という薔薇について、その栽培方法や開花までの過程を詳細に紹介させていただきました。
薔薇の殿堂に選ばれた品種になりますので、株の姿や葉、そして耐病性も素晴らしいものがあります。
そして、何よりも深紅の薔薇の最高傑作と言われる品種になりますので、赤い薔薇を代表する品種と言えます。
剪定することで株自体が巨大化することは防げますので、薔薇の初心者の方でも安心して栽培することができるかと思います。
園芸店さんに言った時にイングリッド・バークマンの苗があったら、是非育ててみて下さい。きっと、素晴らしい薔薇が開花しますよ。