秋の開花を控えた薔薇が葉を落としてしまう現象について

10月の初旬になると、夏剪定を行った薔薇に新芽がどんどん芽吹き始め、蕾も膨らみ秋薔薇の開花が迫る時期になります。

そんな秋の薔薇が待ち遠しい10月ですが、薔薇の栽培をしている方にとって一番心配になる出来事も起こるようになります。

勿論、秋の虫たちによる食害もまだまだ冬までは続きますが、一番心配になることは葉が黄色に変色して枯れ落ちてしまう現象かと思います。順調に新芽が芽吹いて蕾を付けている薔薇でさえも、突然数日のうちに葉が枯れ落ちてしまうことがあります。秋の薔薇のシーズン直前だからこそ、心配になる現象かと思います。

今回は、秋の開花を目前にして、薔薇の葉が枯れ落ちてしまう現象について、実際の例を観察しながら理由を考えてみたいと思います。


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鉢植えで育てている「ガブリエル」の例

まず最初に、秋の開花を控えて葉が枯れ落ち始めてしまっている薔薇について例を取り上げてみたいと思います。

私のブログでも何度か登場してくれている「ガブリエル」という品種のばらになります。

下の写真が2020年10月5日の株の様子になります。9月の中旬に秋剪定をして、剪定から約20日くらい経っています。秋の開花に向けて蕾の形成も始まっており、順調に成長していることを確認出来た矢先、10月の前半に急に葉の変色が始まりました。

葉が枯れているガブリエルの写真

次の写真には、変色した葉の部分を拡大したものを載せています。いわゆる水切れによる鮮やかな黄色では無く、茶色い部分も混じっているので「枯れてしまっている」という表現が適切かと思います。

今回の例では、一つの例として、ガブリエルを捕り上げさせていただきましたが、ガブリエルだけでは無く他の薔薇にも同様の症状が見られています。全ての薔薇では無いですが、私が育てている薔薇の3割くらいの薔薇でこのような症状が出ています。

夏剪定後の管理は特に問題になるようなことはしていません

上で紹介したガブリエルの例ですが、夏剪定の後に葉が枯れ落ちるような原因となることをしてしまった覚えは無いです。

例えば水がれを起こしたり、肥料が足りなかったり…そのようなことは一切ない状況です。

ガブリエルは他の薔薇よりも「うどんこ病」という病気に罹りやす品種なので、少し肥料は控えめにしていますが、肥料を切らせるような事はしていません。薔薇専用の緩効性の置き肥 (約3カ月効果の持続するもの) を9月初旬に与え、土が乾いたら水やりをしていました。

まぁ、一般的な薔薇の管理方法かと思います。

それでも、上記の写真のように葉が黄色く変色してしまいました。

何故なのでしょうか?

少し状況を細かくみながら考えてみると、一つの答えにたどり着いたので、その内容を以下で紹介したいと思います。


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秋の新芽の発芽点で葉が枯れていた

葉が枯れている箇所には共通点があった

葉が変色し始めた薔薇を確認していくと、枯れている葉には一つの共通点がありました。

変色してしまった葉は、全て春の1番花を咲かせた古い枝に付いている葉で、かつ秋の新芽の付け根にある葉でした。

ちょっと言葉で説明すると頭の中が疑問符だらけになってしまいそうなので、次の写真で詳しく説明したいと思います。

上の写真に示すように、一番の下の部分に春の1番花の枝があり、その枝の頂点から秋の新芽が発芽して伸びています。その付け根の部分にある古い葉が黄色く変色していることがわかります。

次の例もガブリエルの別の部分ですが、同様の症状になっていることがわかります。秋の新芽が出てきている位置の葉が枯れ落ちっしまっています。

また、次の写真は最も分かりやすい例だと思います。秋の新芽の発芽点にある葉だけが黄色く枯れ落ちており、それ以外の葉は健全な緑色の状態であることがわかります。

最も分かりやすい葉が枯れた症状

ただし、一部例外もありました。次の写真は春の1番花の枝の一番下に付いている葉ですが、これも同じような症状で枯れ落ちていました。しかし、この葉の付け根からは、新しい新芽は出ておらず、単純に葉が枯れ落ちてしまっている状況です。

なぜ秋の新芽の発芽点で葉が枯れるのか?

秋の新芽の発芽点で葉が枯れてしまう現象ですが、これについては葉の世代交代と言って良いかと思います。

薔薇は新芽が出てくると、頂点優勢の性質によって高い位置に養分を集中させるようになります。そのため、低い位置にある枝や葉は優先的に養分をもらうことができません。

そのため、秋の新芽が伸びた発芽点にある葉は、新芽にばかり養分を取られるため、養分を優先的に得ることができず枯れ落ちてしまったのだと思います。

つまり、肥料や水やりが原因ではなく「薔薇の株自身が葉を落とすという判断をした」ということになるかと思います。

上で紹介したガブリエルの全体写真を見て分かると思うのですが、秋の新芽についている葉は全く枯れていません。

また、春の1番花を咲かせた枝に付いている葉でも、秋の新芽が芽吹いていない枝に付いては葉は健康的な緑色をしている状況です。つまり、秋の新芽を出していない枝にとっては、1番花の時の葉が大事な光合成を担う葉であるため枯れさせずに栄養が回ってきている状況なのだと思われます。

したがって、上で紹介したように葉が枯れてしまうことは、特に心配をする必要は無いと結論付けて良いかと思います。

枯れてしまった葉は除去して管理

枯れてしまった葉については、除去することをお勧めします。

枯れた葉や弱ってしまった葉を残しておくと、その葉を温床としてハダニが発生する可能性が高くなります。実際に私も、ハダニの大被害を受けたことが過去にあるので、その防止の観点でも枯れた葉は除去したほうが良いです。

今回の例でも、ガブリエルの枯れた葉は全て除去しました。下の写真のような状態になりましたが、葉の数も豊富なので特に問題は無いです。見栄えも良くなりましたね!

枯れた葉を除去したガブリエル

もし、全ての葉が枯れ落ちてしまうような症状に見舞われても復活は可能です。下のリンクがその様子を紹介している記事になるので、御参考になるかと思います。


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この記事の終わりに

本記事では、秋の薔薇の開花シーズンの前に、葉が黄色く変色してしまった例を紹介させていただきました。

葉が黄色く変色した部分の共通点としては、秋の新芽が芽吹いた位置の古い葉であることもわかりました。その観点から、葉が枯れ落ちたのは単に葉の世代交代によるものであると考えられます。

大切に育てている薔薇の葉が黄色く変色してしまうと、心配になってしまいます。しかし、症状・原因を考えてみると、実は心配が不要な場合もあります。

この記事が、栽培されている薔薇が同じような症状に見舞われた方にとって、有益な記事となれば幸いです。

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