薔薇栽培って何が楽しいの?あらためて考えてみました

職場などで自分の趣味について話すこともあるのですが、同僚に趣味を聞かれたときに「趣味の一つで園芸で薔薇育ててますよ」と答えると、必ず聞き返されることがあります。

「薔薇の栽培って何が楽しいの?」

自分では趣味だと思って栽培している薔薇ですが、いざ他の人からこの質問を投げ掛けられると、答えるのに困ります…。

趣味としていつも行っている薔薇のお世話は、何となく日常の一部の作業で…何が楽しいと言われると、自分でも何が楽しいんだろう?と疑問に思うこともあります。

でも、趣味や好きな事って、時間を忘れるて行う作業でもありますし、何となく育児に似ている部分もあり、薔薇のお世話が当たり前になってしまっている部分も感じることがあります。

この記事では「薔薇栽培の楽しさ」について、私の過去の経験を踏まえて、あらためて考えてみたことを思うがままに書いていきたいと思います。

もし、お時間があれば最後までお付き合いいただければ幸いです。


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原点 -何故薔薇を始めたのか?-

私が園芸を趣味にした原点

子供が産まれてからしばらくして、家を建てるという人生の一大決意をしました。

関西の都市部なので、大きな家ではありませんが、一応家の玄関前には植栽スペース (花壇) を付けてもらう事としました。

家を建てる前には、園芸について興味が無かったわけではないですが、そこまでがっつりと趣味にしていたわけでもありません。家を購入する時に設計士の方から花壇を進められたのですが「要らないのでは?」と思ってしまう自分がいたことも事実です。しかし、設計士の方から植栽について強く勧められたので、一応観葉植物の様な花の咲かない植物を植えてもらうことにしました。

しかし、当時の自分は植物のお世話を怠ることが多かったので、水やりもろくにせず、夏の日照りの中で植栽した植物たちがどんどん枯れていきました。

その枯れ果てて荒れ放題の植栽スペースを見て「せっかく家も建てて、花壇も作ったのに何だかもったいないなぁ…」と思い、掃除も兼ねて全ての植物を処分し、土だけが残る状態にリセットしました。

その当時の花壇は、害虫は多いし見たことも無い虫もいる惨状で「これでは駄目だな…」と当時は反省しましたね。

その後、何も植えていない花壇は寂しいと思い、ホームセンターに季節の花を探しに行きました。

ちょうど晩夏の頃で、秋に咲く草花が陳列されており、子供とどの草花にしようか選んだことを覚えています。

その時から、本格的に私の園芸ライフがスタートしました。

多分、家の前に植栽スペースを作らなければ、園芸という趣味を本格的に始めることは無かったのだと思います。

薔薇との出会いは薔薇園のローズフェスタ

花壇の植え替えをした後は、季節の草花を植え替えたりして楽しんでいたのですが、子供と出掛けた先で「春のローズフェスタ」をやっていました。

当時、薔薇は園芸の中でも最も難しい存在だという認識があり、自分には育てられない植物であると勝手に決め込んで敷居を作っていました。もちろん育てたことも無ければ、購入したことも無い植物でした。

しかし、ローズフェスタ会場で見る色とりどりの薔薇を見た瞬間に、いつも育てている季節の草花とは違う「美しさ」「豪華さ」を感じてしまいました。

「この花が家の花壇で咲いていたら、きっと素晴らしいだろう!」と。

その春のローズフェスタをきっかけにして、薔薇に興味を持ち、事前の薔薇の学習を経て、その年の冬に大苗を購入して薔薇の栽培をスタートさせました。

薔薇栽培を始めて感じる敷居の高さ

薔薇は園芸界の女王に長く君臨し「好きな花のランキング」を見れば、必ずトップ3に入る常連の花です。

それだけ人を魅了する力があるのですが、いざ薔薇栽培を始めてみると、その敷居の高さを確かに感じました。

専門用語が多くて何のことかわからない

最初に戸惑ったのは薔薇の専門用語ですね。

「ブラインド」「出開き」「芽かき」「返り咲き」「頂芽優勢」「ベーサルシュート」「サイドシュート」「黒星病」…

まだまだありますが、このくらいにしておきましょう。

薔薇の事をネットで調べてみると、聞いたことが無いような単語がずらずらと並び、何の説明をしているのか?何をしたらよいのか?ということが全くわかりませんでした。

最初の1年目は、上の専門用語が何が薔薇のどの部分を指しているのかを、実際に目で見て確認しながら覚えていきました。

一番理解不能だったのは「シュート」と言う言葉ですね。「サイドシュート」と「ベーサルシュート」って何が違うのか、なぜ枝と呼ばずに「シュート」と呼ぶのか…。慣れるまで時間を要しました(笑)。

新しい趣味を始めるということは、それなりに敷居があるものですが、園芸をしばらく趣味としていたし大丈夫だろう…という気持ちでいましたが、少し甘かったです。

まさに「百聞は一見に如かず」で、いくらインターネットや書籍で情報を見ても、自分の目で見て体験するまでは、その知識を吸収できないということですね。経験を積んで、実際に作業をしていく中で、それらの難しい専門用語も吸収していくことができました。

今までに使ったことが無い農薬を使う

園芸の中で農薬を使うのも、薔薇栽培の敷居を上げる一つの要素に違いはありません。

農薬は農家さんや野菜の栽培で使うものだと思っていましたので、まさか園芸の花の栽培で農薬を使うなんて思ってもみませんでした。

しかも、農薬を使わないと病気を発症して薔薇の株が弱る原因になるんですよね…。

最近では薔薇用のスプレータイプの総合殺菌・殺虫剤があるので、管理する薔薇の本数が少なければ、それらを使えば良いのです。しかし、薔薇の本数が多くなるのと、自分で希釈・配合する農薬の方がコスパが良いので、噴霧器で散布するようになるかと思います。

自分が趣味の中で農薬の散布までするとは思ってもみませんでした。

農薬にも様々な種類があり、薔薇に対応した農薬を選び、かつ農薬の系統を調べてローテーション散布の重要性も学びました。しかし、今になっても病気や害虫を完全に防ぐことが出来ていません。

薔薇の耐病性が年々向上しているのは確かな事ですが、それでもまだ黒星病を完全に防ぐことはできません。今後、そのような耐病性の高い薔薇が増えると思いますが、しばらくは農薬の使用は続ける必要がありあそうです。

近くに相談できる人がいない…

薔薇の栽培って、園芸をされている方々の中でも、一部の方しかやっておられない趣味だと思います。

園芸店に行くと、多くのお客さんで賑わっているのですが、手に持たれているのは季節の花や野菜の苗がほとんどで、薔薇の苗を手にしている方は本当に見かけません。

薔薇専門店に行けば、薔薇愛好家の方ばかりだと思いますが、近くのホームセンターではそうはなりません。それだけ薔薇は少数派の趣味なのかなぁ…と感じさせられます。もっと、多くの方に楽しんでもらって、薔薇の栽培を趣味する方が増えてくれたら嬉しいと思う今日この頃です。

そのため、自分の家の周りや友人にも薔薇の栽培を趣味にしている人が1人もいません。さらに、自分の家の近くには薔薇苗の専門店が無いので、専門家に相談するようなこともできません。

つまり、ほぼ独学で薔薇栽培の全てを学ぶことになります。私自身がそうでした。

今ではインターネットも普及していますし、薔薇栽培の参考書もあるので独学で出来ないことは無いですが、病気の事や苗のことなど、相談できたり同じ趣味を楽しめる方が近くにいる方が安心しますし、楽しいですよね。

その点で、何となく寂しさを感じたのを覚えています。

この記事を書いている今になっても、薔薇栽培のを一緒に楽しめる友人や知り合いはいません!(笑)


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薔薇を1年栽培すると楽しさが増えます

何事もそうですが、継続して1年くらい経つと、様々な悩みや不安も消えてきます。

それは、薔薇栽培についても同じでした。

最初の1年は、薔薇の育て方や薬剤の使用方法などの勉強に時間を相当割きましたし、薔薇が病気を発症したり虫の被害に合うと神経質になってしまうことも多々ありました。

しかし、薔薇栽培を始めて1年を経過すると、1年間の薔薇のお世話の内容が理解できますし、少しくらい病気になったり虫がついても薔薇が枯れることはないとわかるので、ある意味安心感を持って栽培に取り組めるようになります。そうなると、最初は大変に思っていた薬剤散布の作業もそれほど大変な作業ではなくなります (生活の一部となります)。

「1年経って敷居が下がった」という表現が正しいのかもしれませんが、1年経つと良い意味で薔薇に対する考え方が180度変わってきます。「継続は力なり」という言葉がありますが、本当にその通りだと思います。

薔薇を始めてみようと考えている方らおられましたら、まず最初の1年間は勉強のために全力で取り組んでみると良いかと思います。きっと、薔薇に対する敷居は相当下がります。

薔薇栽培を楽しいと思えるのはどんな時?

やはり一番は春の開花シーズン!

一番の楽しみは、薔薇を栽培している方がほぼ同じ意見である「開花シーズン」です!

特に春の1番花のシーズンは、1年を通じて最も薔薇が綺麗に咲く時期であり、花の大きさや数ともに最高の季節となります。

四季咲きの花は、年間を通じて4回か5回くらいは花を咲かせてくれますが、最も綺麗な薔薇が咲くのは春です。間違いありません。

秋の薔薇も晩秋の涼しさの中で咲くので、色がシックで趣がある薔薇に仕上がりますが、それでも春の薔薇の花に勝るものは無いと思います。

1年間かけて剪定や施肥を頑張ってきたことが実りを迎える季節です。

誰かに薔薇を褒められた時

家にお客さんが来た時に、自分の育てた薔薇を見てくれる時は、ちょっとした嬉しい瞬間になります。

勿論、薔薇の栽培は自分の趣味ではありますが、誰かに褒められることは人間として嬉しい瞬間です。

決して誰かのためにやっている薔薇栽培では無いですが、綺麗に咲いたことに共感を持ってもらえる瞬間は何にも代えがたいものがあります。

他の草花を花壇に植えていてもそれが話題になることは少ないのですが、大輪の薔薇が咲いた花壇を見ると目に留まりますし、お客さんが話のネタにすると言うのは、薔薇の花の美しさが持つ一種の魅力なのかもしれません。

ベーサルシュートが出てきた時

この瞬間を喜ばない薔薇栽培家はいないと思います。

ベーサルシュートは、株元に近い部分から伸びる新しい元気な新梢の事です。ベーサルシュートは、その年の秋以降に花を咲かせる主力となる枝になりますので、次の季節も花がしっかり咲いてくれることを保証してくれるような存在になります。

ただし、薔薇の株が充実している時でないとベーサルシュートは出てきてくれないので、薔薇栽培で腕の見せ所だと思っています。

春の1番花が終わった後は、ベーサルシュートが出ないかと、毎日の様に株元をチェックしてしまう…それは薔薇栽培家の「あるある話」で間違いないかと。

ベーサルシュートが出てくれると、本当に嬉しいのですが、逆にベーサルシュートが出ないと相当凹みます。

次にお迎えする薔薇選びの時間

薔薇の栽培を続けていると、常に次にお迎えしたい薔薇の品種が出てきます。

薔薇のカタログや園芸雑誌には、毎年の様に新品種が並びますが、どれも素晴らしい色・形をしたものばかりで、すぐにでも購入したいと思ってしまいます。

特に大苗が発売される冬の前のシーズンは、秋に咲く薔薇を楽しみながら、次に育ててみたい薔薇を品定めする大事に時期になります。

その年に発表された新品種は人気が高いので、苗が手に入らないこともあります。しかし、薔薇の歴史に名を残している銘花と呼ばれる品種は、いつの時代も色褪せることなく人気が続くので、そのような薔薇を選ぶこともお勧めだと思います。

また、ここ最近発表された品種は、耐病性がかなり改善されているものが多いので、薔薇の栽培を始めるのにも適した薔薇が多いと言えるかと思います。

育てた薔薇を切り花として部屋に飾れる時

薔薇の花は、咲かせるのに長い時間がかかりますが、咲いてから散るまでの時間はあっという間です。美人薄命…まさにその言葉の通りです。

そのため、咲き進んで完全に花が開いてしまう前に切り花にして家の中に飾っています。花持ちを良くする切り花用の薬があるので、それを使うと花の寿命を1週間くらいは伸ばすことができます。

完全に咲き切るまで剪定しないでおくと、薔薇の株に余分なエネルギーを使わせることにもなるので、開花して2日か3日したら切り花にして楽しむと良いかと思います。

剪定している時間は辛いけど楽しい

これは、相当薔薇が好きな人の考え方かもしれませんが、薔薇の枝をバッサリと剪定する瞬間は、非常に快感を覚えます(笑)

特に9月の初旬から中旬に行う夏剪定は、夏の間にもっさりと生えた枝を深く刈り込むので爽快な気分になれます。

薔薇を多く栽培されている方は、ゴミ袋数袋分の枝を処理することになるので、相当重労働にはなりますが、最もお世話をしている感が出てくる作業です。

剪定の時は薔薇の棘との戦いでもありますが、次の開花に向けた下準備になるので、株の枝を整理することを楽しんでみるのも良いかと思います。


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この記事の最後に

こうやって、あらためて色々と薔薇栽培の事を考えると、何だかんだでどのお世話も苦にはならないことなのかなと思います。

正直なところ、他の草花に比べて薔薇の栽培は大変な作業が多いです。

しかし、それを楽しむことが趣味であり、時間を忘れる瞬間なのかと。

薔薇栽培を始めた最初の1年は苦労と試行錯誤の連続でしたが、それに慣れると薔薇栽培のお世話が生活の一部と化すので大変さは無くなります。

これから薔薇を始めてみようと思う方は、最初の一年は色々と勉強することや作業に慣れることが大変かもしれませんが、一年継続できると考え方が変わることは間違いないと思います。

薔薇栽培を趣味に持ってくれる方が増えてくれることを望みながら、この記事を終わりたいと思います。

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