「苺」と聞くと、栽培が大変そう…と言うイメージを持つ方が多いかと思います。
しかし、自分の家の家庭菜園やベランダ栽培で実らせた苺は、例え形が整っていなかったり大きさが小さくても、スーパーマーケットで購入したもの以上の美味しさを感じることは間違いありません。
また、お子さんと一緒に育てれば、実りの時期には家族でその美味しさを味わうことができ、家庭菜園の醍醐味にもなりますね!私としては、苺の嫌いな子供はいないと思っているので、お子さんと一緒に育てる楽しみの場を作ることができます。
この記事では、サントリーさんから発売されている耐病性が高く実の数も多いと評判の「ドルチェベリー」のプランター栽培を紹介させていただきます。
サントリーフラワーズの「ドルチェベリー」について
ドルチェベリーは、サントリーフラワーズさんから発売されている、四季なりの苺になります。
店頭に並ぶ販売時期は9月から11月と、2月から4月の2回の時期になります。
この記事で栽培を紹介するドルチェベリーは、9月の中旬に近くのホームセンターで購入した苗となります。
プランターでも地植えでもどちらでも栽培が可能で、何と言っても「うどんこ病」に比較的強いというメリットのある苺となります。
苺はバラ科の植物ですので、どうしてもうどんこ病が出やすく、虫にも狙われやすいというデメリットがありますが、ドルチェベリーはうどんこ病に強いので、お世話の手間が少なくなるという利点があります。
お子様がいる御家庭では、あまり農薬なども使いにくいと思いますので、耐病性が高いという点は、とても嬉しい特徴ですよね!
ただ、虫に狙われるという点だけは、防虫ネットを使うなどして防御しなければならないかと。または、害虫を見つけ次第、手で捕殺することが必要です。
ドルチェベリーの苗は、インターネット通販でも購入可能ですよ。
個人的な意見ですが、サントリーフラワーズさんの各種苗は信頼しています。サントリーフラワーズさんは、野菜以外にも草花も本当に多く販売されているのですが、草花は花の数が非常に多く咲く品種を開発されています。
今までに購入したサントリーフラワーズさんの苗で、花が少なくてがっかりしたことが無いので、きっと苺でもたくさんの実をつけてくれるものと期待しています。
使用済み培養土を再利用して苺を植え付け
色々な植物を育てていると、使用済みの培養土があっという間に家にあふれてしまいませんか?
毎回、溜まった使用済み培養土を業者さんに処理してもらうのも大変なので、なるべく再利用するように努力しています。
今回の苺の植え付けでも、使用済みの培養土を再利用することにしました。
元々は、今年の夏にミニトマトを植えていたプランターなのですが、夏の終わりにミニトマトを抜いて、培養土の中のミニトマトの根も綺麗に除去したものになります。その培養土に、堆肥を少し混ぜ込んで、土壌改良剤を加えました。
鉢のサイズですが、10号サイズの鉢となります。
今回はこの10号鉢に、少し密度が高いと感じながらも…3株を植えることにします。鉢を置く場所も省スペース化したいので、理想的な株の間隔よりも密度を高くして植えます。
苺の成長方向を考慮した植え付け方法
一般的な草花は、太陽に向かって株が成長していくのですが、苺の場合には新しい葉が出てくる方向が決まっていて、その方向に向かって成長が進みます。
下の株が分かりやすかったので写真を撮りましたが、赤色の矢印の方向に株が傾いていることが分かるかと思います。つまり、この赤色の矢印の方向に苺の成長が進んでいくことになります。
この成長方向が分かると、プランターに植え付ける向きが決まると思います。
今回は3株をプランターに植えますが、成長方向を内側にしてしまうと、苺が互いに干渉し合ってしまうので、下の図の様に、必ず成長方向が外側に向くように植え付けます。
また、もう一つ、苺を植え付ける時に必ず守っておきたいことがあります。
それは、クラウンと呼ばれる株元を土の中に植えないことです。苺の新芽や新しい葉はクラウンと呼ばれる株元から次々と出てきます。クラウンの部分は、下の写真の赤い点線で囲んだ部分になります。
そのため、この部分を土の中に植えてしまうと、新しい葉や新芽の成長を阻害してしまいます。このクラウンの部分は、必ず土の表面に出るように植えていきます。
ポット苗で販売されている時も、このクラウンの部分は土の中には埋まっていないと思いますので、見分けることは容易だと思います。この部分を地中に埋めないことに注意して植え付けます。
実際に植え付けが終わった後の写真を下に載せておきます。やはり、若干密度が高いように思えますが…今回はたくさん実らせたいので、この状態で栽培を進めていきたいと思います。
実りを迎えるまでの苺の管理方法
植え付けが成功していることの証を確認
苺の苗を植え付けてから、必ずしておくべきことは新しい葉や芽の成長の確認です。植え付けが上手くいっていない場合、例えばポット苗をプランターに植えた際に空気の層が入っていて根付きが悪い場合などは、新しい葉の展開が妨げられるような場合があります。
植え付けが問題無い場合、植え付けから10日程度経つと下の写真 (赤色矢印) の様に、新しい葉の展開が確認出来ます。この新しい葉の確認ができれば植え付けが概ね問題無く住んでいる証にもなります。
枯れた葉の除去は定期的に行う
植物の葉にも世代交代があります。
新しく展開した葉は元気が良いですが、時間が経って役目を終えているような葉は元気が無く、色が変色してくる場合も多々あります。苺も栽培でも、そのような傾向が出てきます。
下の写真の赤色の矢印で示すように、葉の一部が茶色く変色してくると、そのままその葉は枯れ込んでしまうケースが多いです。そのため、彼混んできている葉を見つけたらなるべく早めに根元からハサミで切り取ってしまいます。
枯れた葉をそのまま残しておくと各病気の原因になったり、カビが生えてくる原因にもなるので、出来れば1週間に1度は古くなった葉が無いかの管理をしておいた方が良いです。
元気な苺の苗であれば次々と新しい葉を展開してくるので、1枚や2枚が無くなっても育成上は問題はありません。
なるべく雨に濡れない場所で管理
植物にとっては、雨は肥料となる窒素を含んでいたりするので、実は水道水よりも育成に適した水源になります。
しかしながら、雨が降ると土の中の細菌が飛び散り、その土が葉にかかると病気を発症することもあります。
そのため、苺の様に少し病気が多く見受けられる植物は雨にぬらさないような場所で管理した方が病気の抑制には効果があります。
ただ、日光があたらないような場所では育成自体が妨げられてしまうので、日光の当たる軒下などで管理することがお勧めです。ジョウロで水を与える時も、葉に水がかからないようにして、水を株元にそっと流し込むような水やりを心掛けます。
苺は薔薇と同じくハダニ防止のために葉裏への散水
苺はバラ科の植物なので、薔薇と同じように害虫に狙われやすい植物と言っても過言ではありません。
ハダニやヨトウムシなどが代表的な害虫ですが、これらの害虫に狙われると成長が著しく阻害されます。
ハダニは大きく成長した葉の裏に住み着き、葉から養分を吸収してしまいますし、ヨトウムシは大事な新芽を狙って食害します。どちらの虫も、日々の管理で早期発見・早期対応が肝心になるので、苺の植えっぱなしはやめましょう!
うどんこ病には注意!肥料のやりすぎはダメ
バラ科の植物の宿命でもありますが…苺も「うどんこ病」が出やすい植物です。
うどんこ病はその名の通り、葉の上のうどん粉を振りかけたような症状が出てきます。この病気に罹ると、葉が光合成を行う能力を失ってしまうため、植物の光合成が妨げられて育成に大きな影響が出てきます。
このうどんこ病は肥料過多の場合に出やすいことも知られているので、苺が可愛いからと言って肥料を与え過ぎることは避けます。
また、うどんこ病は一度で始めると他の株にも出始めることがあるので、うどんこ病に罹った葉は、なるべく早く根元から切り落とします。ただ、どんどん蔓延してしまったら、薬剤を使うなどして対応することが求められることになることもあります。
ですので、うどんこ病は日々の管理の中で発生させないことを目標にしていくことが求められます。
苺「ドルチェベリー」の成長記録を紹介
ここからは、実際にドルチェベリーを栽培した記録を紹介したいと思います。
実りの時期を迎えるまでの成長を記事にしていくので、随時記事の内容を更新していきたいと思います。
植え付けから15日後: ランナーが成長
植え付けから15日後のドルチェベリーの様子です。
無事に植え付けも終わり、成長著しく、新しい葉に加えてランナーと呼ばれる子株が成長する茎も伸びてきました。
このランナーを使うと新しい苗が成長するので、下の写真の様にビニールポットで苗の増殖にも挑戦することにしました。この苗の増殖については、別の記事で紹介したいと思います。
植え付けから1ヵ月後: 葉も充実して太郎苗がたくさん
プランターへの植え付けから約1ヵ月の様子ですが、下の写真の様に、さらに親株自体がさらに成長して、葉の数が多くなりました。
何の不具合も無く健康的に苗が成長しています。葉も立派な大きさで、色もより鮮やかな緑色になってきて、株の充実ぶりが伺えるようになりました。
また、ランナーの数も次々に増えていき、親株の周りには太郎苗を育てるためのビニールポットが大量に並んでいます。一つの苗からランナーがどんどん生えてくるので、上手く苗を育てられれば、家でいちご狩りが楽しめるようになるかもしれませんね。
植え付けから3ヵ月後: 太郎苗をプランターに植え付け
上で紹介した太郎苗や次郎苗が大きく育ったので、プランターに植え替えを行いました。
基本的に小さなポットで栽培を始めて、ポットの中に根が一杯に張ったらプランターへの植え替え時期になります。ビニールポットを触ってみて、パンパンに張っている状態だったら植え替えのサインですね。
実際の写真を下で紹介します。
左下の円形のプランターに植えた苗が親株になります。この親株から合計で5つの太郎苗が取れたので、小さなプランターと横長のプランターに植え替えました。実はもっとたくさんの次郎苗があったのですが、栽培するスペースが厳しかったので実家に置いてあります。
この秋は、3つの親株から合計で10株の太郎苗がとれました。
来年の春に、この株達から苺がたくさん採れると祈り続けます。
また、冬になり霜が降りるようになると、葉が少しずつ痛む部分が出てきます。下の写真の様に、霜に当たると葉の周囲が枯れたように変色してしまいます。
このように変色した部分が出てきた場合、大面積に枯れて無ければ放置してしまって問題無いかと思います。ただし、2月の終わりになると新しい葉が出てくるので、その時には除去して葉の世代交代をさせてあげました。
植え付けから5ヵ月後: 花が開花し苺が実り始めました
10月に植えた苺たちも、約5カ月の栽培期間を経て、待ちに待った開花の時がやって来ました。
親株に加えて子株 (太郎苗) も花を開花させて、実りの季節へ向けた準備が着々と進んできています。
また、一つ気付いたことですが、やはり秋に苗で購入した親株の方が、太郎苗よりも実りがよさそうです。太郎苗は、花の数が少し少ないのですが、親株は次の写真の様に、大量に蕾を形成してくれています。
太郎苗たちは苺を実らせてくれそうですが、株の状態 (成長の具合) に合った分の実しか付けられないかと思います。
それにしても、どんどん蕾が出てくるので、収穫が待ち遠しくなりますね。
植え付けから5ヵ月半後: 摘花で確実な実りを待つ
苺の摘花をする意味について
苺の花が咲くころにやっておくべき事の一つが「摘花」という作業です。
その名の通り、花を摘み取ってしまう事なのですが、やっておいた方が良い作業になります。
苺は放置しておくと、実のなる枝がどんどん枝分かれして、大量の花を咲かせるようになります。すると、一つの実に送られるよう分が少なくなってしまうので、実った苺の大きさが小さくなったり、最悪の場合には実が育たなくなります。
肥料をたくさん与えたら養分が足りて多くの苺の実が採れると思われるかと思いますが、そうでもありません。
苺が根から吸い上げることができる養分には限度があるため、肥料を与えたら与えただけ実が育つということはありません。
例えば、苺の株が吸い上げることができる肥料を100とした時、肥料を200与えても苺が吸い上げる肥料分は100なのです。残った100の肥料は水に流れて使われることがなくなります。
そのため、摘花を行って、実の数を制限するということが重要になるのです。
特に昨年植えたばかりの小さな苗の場合には、苗が沢山の実を育てる能力が無いので、実の量を制限してあげることが確実な実りへの近道です。
摘花の方法ですが、花や蕾の部分を根元で切ってあげるだけです。下の写真が摘花した苺の花や実の写真です。
では、実際に以下で摘花の例を見ていきたいと思います。
まだ若い苗の場合の摘花
最初の例は、昨年の秋に太郎苗として育てたポット入りの小さな苗になります。
下の写真の様に、まだまだ小さな苗なのですが、葉をめくってみると、そこのは大量の蕾があります。見えるだけでも9個の蕾があります。
この小さな苗は、この後も追加で花芽を成長させてくれると思うのですが、そんなにたくさんの実を育てる能力がありません。
そのため、下の写真の様に、元気に育っている実を3つくらい残して、他は全て摘花してしまいます。
本来は株を成長させるために実らせない方が良いのかもしれませんが、趣味で育てている苺なので、少しでも収穫を増やしたいですよね!
成長の悪い実を摘花する
株が大きく育っている場合でも、実の量は制限してあげるべきです。
上述の通り、実をたくさんつけると苺のサイズが小さくなってしまいますし、実が育たずに腐ってしまう実も出てきます。
また、たくさん実を付けていくと、一部の実に栄養が届かず、成長が止まってしまうような実も出てきます。
そのような実は、適宜、摘花をすすめることをお勧めします。
下の写真は育ちの悪い実の例です。
この苺の実は、時間が経ってもほとんど成長しなくなった実になります。普段の観察の中で「この実は全然成長しないなぁ」と気付いたら、早めに摘花してしまうようにしています。
苺の苗が栄養を送るのを止めてしまった実になるのかと思いますが、放置しておいても育たないと思うので、この時点で摘花してしまいます。
また、次の写真は花芽が大量に枝分かれした例となります。
苺の株が育つと、一つの花芽が分岐して実を付ける部分が沢山出てくるのですが、とてもじゃないですが全ての苺の実が育つとは思えません。
このような場所があったら、育っている元気の良い実を3つか4つくらいに絞って育てたほうが良いかと思います。
摘花を行っても、元気な苺は追加で花芽を出してくることが多々あります。
一度摘花をしたら終わりでは無く、次に生えてくる花芽についても、適宜摘花はしてあげて下さいね。
植付けから半年で苺がたくさん実り始めます
植付けから約半年経って、やっとドルチェベリーの実がたくさん実り始めました。
まだ緑色で成長の過程ですが、これから害虫予防のネットなども駆使して実りを守っていきましょう!
また、この時期は実りの途中のため、一定量の肥料は常に与えるようにしておきます。実りが始まっても、それを後から追うように花が次々と咲いてくるので、一つでも多くの苺を得るために、じっくりと効く緩効性肥料がお勧めです。
小さなガーデンでのお勧めの防虫ネットは下の商品です。苺を育てるようなサイズのプランターであれば、すっぽりとプランターを収めることができます。これを使ってから、アブラムシの被害が激減しました。網目も細かいので、アブラムシの飛来も防げます。
植付けから7カ月後に実りの季節 (5月初旬に収穫)
植え付けを行った昨年の秋から約7カ月が経過して、ようやく実りの季節を迎えました。
形は悪いですし、一部病気が出てしまっている実もありますが、それが家庭菜園でもあります。
まだまだ、次々と苺が育って赤くなっているので、5月一杯は収穫を楽しめそうです!
食べてみましたが、かなり甘くておいしかったです。子供にも好評でした!
ドルチェベリーの四季なり性について
ドルチェベリーは四季なりの苺ですが、実際の所、どのくらいの四季なり性があるのでしょうか?
春の実りの季節を終えた後、花を摘心せずにそのまま苺の実を成長させました。
梅雨に入っても、次々に花を咲かせて、その花がしっかりと実ってくれます。
下の写真は6月後半のドルチェベリーですが、数は春よりも少ないですが、株が5株ほどあると、毎日1粒か2粒の苺を収穫できています。
甘さや味については、春に比べると少し劣りますが、それでも十分に美味しくいただけます。
上で紹介した通り、ドルチェベリーは次郎苗がたくさん採れるので、複数のドルチェベリーの株を育てて置けば、春から夏にかけても定期的に収穫が可能です。
私個人としては、ドルチェベリーの四季なり性については満足です。
この記事の最後に
この記事では、耐病性があり初心者でも育てやすい丈夫な苺「ドルチェベリー」の植え付けから、植え付け後の管理まで紹介をさせていただきました。
ドルチェベリーは株の成長が早く、ランナーもたくさん出してくれることから、子株(太郎苗たち)をたくさん作ることができる優秀な苺の品種だと思います。
苺は家庭菜園で作る作物の中でも難しい部類に入りますが、実りを迎えた季節の喜びは大きなものです。
植付けから収穫までの期間も長いので、かなり辛抱して育てなければなりませんが、皆さんも是非チャレンジしてみて下さいね!