蕾が膨らんだ薔薇の管理方法と注意点とは?

一季咲きの薔薇は春に一度、四季咲きの薔薇は年間を通じて平均で4回か5回の開花期が訪れます。

新しい蕾が上がってくるたびに、早く咲かないかと期待をしてしまうのは、薔薇好きの誰もがそう思うところかと思います。

しかし、その蕾が形成される開花前のシーズンこそ、焦ることなくじっくりと薔薇を管理した方が良いです。

この記事では、蕾が現れてから開花するまでのシーズンの薔薇の管理方法について説明致します。

大事な管理ポイントは「水を絶対に切らさないこと」「弱い肥料を与えること」「枝折れを防ぐために支柱をすること」等、多くのチェックすべき項目があります。

この記事では、それらの項目に対して、「何故そうすべきなの?」という観点も含めて紹介していきたいと思います。


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薔薇の蕾が膨らむ時期

まず最初に、薔薇を始めて育てる方もいるかと思いますので、蕾の膨らむ時期について、薔薇の花期の種類ごとに御紹介しておきたいと思います。

既にご存じの方は、この見出しは飛ばしてしまってください。

年一回の大事な花「一季咲き」

一季咲きの薔薇は、名前の通り年間を通じて開花期が春一回の薔薇のことです。そのため、蕾が上がってくるのも、基本的に年1回となります。

代表的な例は、有名なピエール・ドゥ・ロンサールが挙げられます。日本の薔薇業界では誰もが知る「超」有名な薔薇ですね。ピエールが四季咲きだったらなぁ…と思った方が、日本にどれだけいることでしょう…。

春一回の開花のために、年を通じて栄養を株内に蓄えて、株を充実させていく薔薇です。花を咲かせるというエネルギーを年に1回しか使わないため、株の成長が非常に早く、つる薔薇の中には1年で2m以上伸びるものもあります。

白い薔薇の蕾と開花した薔薇

最も花を楽しめる「四季咲き」

四季咲きの薔薇は春の開花から晩秋まで何度も蕾が上がってきます。

年に4回か5回くらい蕾が形成される薔薇になります。開花期も花・蕾の数も多いので、最も人気の品種になりますね。

現在販売されている薔薇の多くは、四季咲きの薔薇になります。庭・ガーデンを彩る回数が多いといのは、ガーデニングにとって最も重要なことです!

何度も蕾を上げるとなると、それだけエネルギー・栄養を多く使うため、株自体が巨大になることはありません。剪定によってコンパクトな樹形を保つことができる品種が多いことも嬉しいポイントです。

ピンク色の薔薇

適度な開花回数「返り咲き」

「返り咲き」という言葉は、一季咲きや四季咲きよりも理解しにくいのですが、蕾の上がる回数が一季咲きと四季咲きのちょうど中間位の品種になります。

年間を通じて2回か3回の開花期がある薔薇です。

樹勢については、どちらかというと四季咲きに近いもの多く、巨大な株になる品種の方が少ない印象があります。

返り咲き品種は、育成条件によって蕾が形成される回数が変わります。四季咲き品種はあまり気を遣わなくても、何度も勝手に蕾を上げてくれるのですが、返り咲きになると、日照条件や肥料によって蕾が上がる回数が変わります。

「条件が良ければ3回咲くが、条件が整わないと2回に終わる可能性もある。」という表現がイメージしやすいかと思います。

深紅の房咲きの薔薇

蕾が出てきたら実践すべき管理

絶対に水を切らさない!

蕾が上がっていく時期に水切れを起こすと、蕾の形成を止めてしまいます。

蕾を上げて花を咲かせるということは、薔薇にとって一番エネルギーを使う作業になります。そのため、水切れを起こしてしまうと、薔薇は自分が窮地に立たされていると思い込み、薔薇が自分を守る行動を起こすことがあります。

その自然の本能が、花を咲かせることを止めて自分を守ろうとすることなのです。最悪の場合、蕾が落ちてしまうことがあります。

せっかく蕾となる核が形成されても、水切れが頻繁に起こると、どんどん蕾の数は減っていってしまいますので、新芽が伸び始めて蕾が見えてきたら、土の水分量を管理して、水切れの無いようにしましょう。4月は毎日土の中をチェックするくらいの根気があっても良いくらいです。

水切れを起こしそうなサインとしては、蕾の付いている花首が、お辞儀をしているように下を向き始めるというものがあります。この状態になったら、水切れを起こしそうなサインになるので、すぐに水やりをしてください。

荒れた地のタンポポ

肥料の量は少なめで一定量に!

蕾ができはじめたら、肥料の量には気を付けましょう。

よく薔薇の教科書でも「蕾が出てくるシーズンは強い肥料を与えないこと」という記載があるのではないかと思います。その理由を御存じでしょうか?

蕾が形成されている時期に過剰に肥料を与えると、蕾の中で花弁が形成される時に花弁の厚さが厚くなり、その厚い花弁が原因で開花させることが困難になるのです。咲かない蕾のことを「ボーリング状態の蕾」と言いますが、開花させるためには適切な花弁の厚さも大切になるのです。

ただし、肥料が切れることも良くない状態になりますので、必要最低限の肥料を常に一定量になるように与えます。特に効き目が強い液体肥料や化成肥料は、与える量に気を付けないと、影響が大きくなります。効き目の緩やかな薔薇専用の化成肥料や有機肥料が最適だと思います。

私が実践している方法ですが…液体肥料であれば、規定量よりもさらに2倍くらいに薄めた量を1週間に1回程度です。化成肥料を使うのであれば、薔薇専用として売られている効き目の緩やかな化成肥料を3月後半に一度与えます。有機肥料系の固形肥料は高価ですが、効き目が緩やかなので安心して使うことができます。

肥料の参考写真

場所を移動させない! (鉢植えの場合)

鉢植えの薔薇の場合、場所を動かしてしまう方も多いと思います。

しかし、薔薇の蕾が上がってきたら、場所は極力動かしてはいけません。より正確には日照条件や育成条件を大きく変えてはいけません。

薔薇はの蕾は、その薔薇の置かれている環境条件に適合した数と大きさで成長をしていきます。そのため、急な環境変化が起こると、薔薇のストレスとなり、蕾の形成に影響が出てきます。

例えば、午前中に日当たりが良く午後に日の当たらない場所から、真逆の午前に日が当たらず午後に日が当たるところに動かすと、かなり大きな環境変化になってしまいます。

私も3月以降は、鉢植えを動かすことがありません。少しだけ掃除のために動かしますが、掃除の後は元の位置に戻してあげています。

蕾が上がったら、場所を移動させない。移動するとしても、環境が変わりにくい場所を選ぶ。ということを意識してあげてくださいね。

素焼きの鉢の写真

葉や枝の整理をしない!

薔薇を可愛がって、毎日お世話をしていると、葉や枝の整理をしてあげたくなります。特に、ブラインドや出開きなどがあると、それを剪定したり除去したりしたくなります。

しかし、蕾の上がっている時期は、なるべく葉の数は多い方が良いですし、上に記載しが環境変化を防ぐためにも、葉や枝の整理はなるべく避けておいた方が良いです。

ブラインドや出開きなどは、花が咲き終わった後に剪定する際に一緒に整理するようにしてあげてください。

支柱を利用して茎折れの防止

蕾は意外と大きく重くなります。

特に大輪の花を咲かせるハイブリッド・ティー系の花になると、蕾は卓球ボールのような大きさになります。

蕾の重心が高い所になるため、強風が吹くと、その力で花枝が折れてしまうことがあります。そうなってしまっては、これまでの努力が水の泡です…。

花茎が折れそうな場合には、必ず支柱を立てて、蕾を守ってあげましょう。

ただし、支柱を立てて縛る場合には、少し緩く縛り付けましょう。薔薇は常に成長しているので、茎をきつく縛り付けると成長阻害になってしまいます。

害虫からの蕾を守る!

害虫たちは薔薇の蕾が大好きです。

栄養豊富で、花弁には甘い香りもあり、虫からしたら御馳走です。

薔薇には多くの害虫が存在しますが、特に成虫となった虫が薔薇の蕾を狙ってきます。

オルトランを使っても、食害を防げない場合もあります。

害虫の被害については「運が悪い」ということになってしまうのですが、春の時期に害虫が集まらないようにする努力はできます。

例えば、害虫は基本的に夜から明け方にかけて行動するので、玄関先のライトを夜は消して置いたり、庭にライトがある場合もそのライトを消しておくという対処です。私は蕾が上がってくる時期に実施しています。

虫は光に集まる習性がありますので、これはかなり効果がある対処だと考えています。

薔薇の害虫の写真

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「果報は寝て待て」待つのみ!

上の管理方法で記したとおりですが、肥料の効き具合、水やりの頻度、日照条件といった基本的な栽培環境を極力変えず、薔薇にストレスを与えないことが大切です。

お世話してあげたい気持ちは分かりますが、最低限のことをしてあげるだけで良いのです。あとは、薔薇の植物としての力に任せましょう。

一番やりがちなのが肥料の追加です。焦って肥料を与え過ぎたりすると、せっかくの蕾が綺麗に咲かない可能性も出てきます。

我が子の成長を、少し離れた所から見届けるような気分で、蕾の成長を楽しみながら見届けてあげましょう。

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