クリスマスローズの花数が少なくなる理由とは? -根腐れと回復の実例-

毎年2月頃から一斉に咲き出し、花の少ない冬の庭や花壇を彩ってくれるのがクリスマスローズです。

日照時間の短い庭やベランダの鉢植えでも健全に育つことから、冬の園芸業界を牽引している植物と言っても過言では無いかと思います。

日本の都市部は狭い土地に住宅が立ち並ぶので、長時間の日当たりを確保するのが難しいという事情もあります。そのため、クリスマスローズのような耐陰性のある植物は、本当に心強い園芸品種と言えます。

しかし、クリスマスローズがとても強い植物であるが故に、メンテナンスを怠ってしまって、病気などのトラブルを発症してしまう事もあります。

この記事では、私が育てていたクリスマスローズが、開花期 (2月~3月) になっても花を2つしか咲かせなかった事例を挙げ、その原因である根腐れについても紹介したいと思います。

また、根腐れを回復させたことで翌年の開花期に花がたくさん咲いたという点も紹介します。


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花を2つしか咲かせなかったクリスマスローズについて

本記事で紹介する花を咲かせなかったクリスマスローズは、「マリア」という原種系の品種となります。クリスマスローズナーセリーの童仙房育種さんの品種です。

開花期には、次の写真の様に純白の一重の花を咲かせてくれます。この写真は、前年の2020年2月に撮影したものとなります。

2019年の秋になりますが、近くのホームセンターで苗を購入し、2020年2月には開花を迎えました。販売されていたポットは3.5号鉢でしたが、購入後に4号鉢に鉢増しして植え替えを行いました。

2020年は合計で10個程の花を開花させてくれたので、2021年の春も大丈夫だろうと思いながら1年間の管理を続けてきました。

しかし、その期待とは真逆で、このクリスマスローズは、2021年の早春にはほとんど花を咲かせることがありませんでした…。

株は育っているのに、花はほとんど咲かず…。

蕾自体も形成されていない状況でした。

原因の推測 -鉢のサイズが小さすぎる-

花が咲かなかった原因を色々と考えてみたのですが、最初はこれと言って思い当たることは思い浮かびません。

2020年の開花期が終わった後は、種を付ける前に花柄取りを行い、夏の間は肥料を与えずに涼しい場所で適切な水やりだけで栽培をしていました。

そして、初秋には古い葉を全て切り落とし施肥を再開するという一般的な管理方法を行っていました。

特に害虫の被害を受けることは無く、病気の発症もありませんでした。

ただ、何となく思い付く原因は「鉢のサイズ」です。

上記の通り、購入した後に4号鉢に植替えたのですが、それから1年の間、1度も植え替えを行っていません。

クリスマスローズはキンポウゲ科の植物で、直根と呼ばれる長い根を地中へ伸ばして成長します。

そのため、4号鉢では既にサイズが小さ過ぎた可能性があります。

実際の鉢植えの様子が次の写真になりますが、葉の茂り具合に対して鉢のサイズが小さすぎるように思えます。

そこで、今後の育成のことも考えて、このクリスマスローズの鉢増しを行ってみることとしました。


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鉢から抜いたら「根腐れ」が発覚

植え替えを行うために、4号鉢からクリスマスローズを抜いてみた時の写真が次の写真になります。

皆さんは、この根鉢の様子を見て、どう思いますか?

私は「あれ?根が全然張っていない…」と率直に思いました。

1年以上同じ鉢で育てていれば、根鉢がしっかりと出来上がっていてもおかしくは無いのですが、実際に根鉢を触るとボロボロと土が崩れていきます。

つまり、根がほとんど張っていないという状況だったのです。

そして、次の写真は根を拡大した部分なのですが、よく確認してみると根が真っ黒に変色していることがお分かりいただけるかと思います。写真の中の黄色矢印で示している部分になります。

つまり、このクリスマスローズは根腐れを起こしていることが発覚したのです。

鉢が小さくて根が張れていないのではなく、そもそも根腐れ状態にあったので花の数が極端に少なかったということになるのかと思います。

そして、根鉢を崩して土を落としてみると、残った根の量は下の写真の様な状態です。根腐れして黒くなった根は除去しています。

地上部の葉の数や株の大きさに対して、確実に根の量が極端に少ないことが分かります。

健全に育ったクリスマスローズの根は、基本的に地上部の高さよりも長く直根を伸ばします。

今回の例では、地上部の高さよりも根の長さが短く、バランスが完全にアンバランスな状態でした。

根腐れしてしまった原因は何なのか?

では、クリスマスローズが根腐れをしてしまった原因は何だったのでしょうか?

上の写真で見て分かるように、根腐れしてしまった根が根鉢の外側に見えているので、もともとは健康な根が張っていたと言えます。

しかし、クリスマスローズの株自体が成長していく過程で、鉢のサイズが小さくなり根が健全に育つことができなくなったのではないかと思われます。

鉢が4号という小さなサイズだったので、植替えの後に、あっという間に鉢のサイズが小さくなってしまったと考えられます。

子供の靴と同じように、いつまでも小さな靴を履かせていてはいけませんね…。


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少し大きな鉢と新しい培養土で植替え

使用していた小さな4号鉢では、そのまま栽培が出来ないので、少しだけ大きな鉢を用意しました。

ちょうど、イングリッシュローズ用のデイビッドオースチンのスリット鉢が余っていたので、それに植え替えることにしました。

もう少し大きな鉢に植え替えようかと思いましたが、根がしっかりと張っていない状態なので、あまり大きな鉢ではいつまでも培養土が湿っている状況になってしまいます。

根を育てるためには、培養土の乾湿をしっかりと付けてあげる必要がありますので、このくらいの鉢が適切だと判断しました。

まずはこの鉢で根をしっかりと張ってもらい、来年以降で鉢増しを検討したいと思います。

また、植替えの後になりますが、元気の無い葉を切り落とす「透かし剪定」をしてあげました。

この鉢増しで状況が回復してくれることを祈ります。

このクリスマスローズの育成状況については、別途ご紹介したいと思います。

植替え後の成長の様子を紹介

[2021/04/20追記] 植え替えから1カ月後の様子

根腐れ状態だったクリスマスローズを一回り大きな鉢に植替えて約1ヵ月が経過しました。

その後の様子として、1カ月後の状態を下の写真で紹介します。

植替えを完了した直後くらいから、株の勢いがかなり強くなり、どんどん新しい葉を展開してくるようになりました。葉の数、そして葉の大きさともに見違える回復を遂げてくれています。

やはり小さい鉢で根の活動が制限されており、のびのびと成長できていなかったんですね。

また、根腐れを起こしてしまっても、早めに気付いて植え替えを行えば、しっかりと株が回復するということも確認出来ました。

[2021/05/26追記] 植え替えから2カ月後の様子

根腐れを発症したクリスマスローズを植え替えて2カ月後の様子です。

植替えをして1カ月の時よりも、更に葉のボリュームが上がりました。

小さな鉢で管理していた時とは状況が一転して、かなり成長の速度も上がったと感じられます。

ここまで葉が多くなると、内側の方にある葉が枯れてくるものが出てくるため、適宜不要な葉は切り落として管理しています。

また、葉の色も濃い緑色になっており、夏の休眠期前にしっかりと養分を蓄えられているのではないかと思います。

来年の冬から春にかけては、今年よりも多くの花を付けてくれることを願うばかりです。

[2022/02/01追記] しっかりと花が咲き始めました!鉢増しの効果絶大!

さて、鉢増しを行ってから約1年が経過して、クリスマスローズが開花し始めるシーズンを迎えました。

そこで、鉢増ししたクリスマスローズの「マリア」の状態をレポートしたいと思います。

実は、鉢増しをしてリフレッシュした効果が明確に確認出来ました。

下の写真の通り、次々と蕾を上げてきて、次々と開花しています。昨年の開花シーズンとは確実に状態が違います。

株元には、まだまだ多くの白い蕾が顔を出しており、まだしばらくは開花シーズンを楽しむことが出来そうです。

根腐れの回復及び、適切な大きさの鉢に植替えた結果だと言って良いかと思います。

この記事の終わりに (クリスマスローズの根腐れでの教訓)

この記事では、花数が極端に減ってしまったクリスマスローズの状況とその原因を紹介させていただきました。

今回の例では、花数が減った理由が「根腐れ」であると明らかになりました。

クリスマスローズは比較的強い植物のため、鉢植えや地植えにしても放置してしまうことが多々あるかと思います。

しかし、鉢と言う限られた環境の中で育てていると、いつの間にかクリスマスローズの育成に障害が出てしまう場合があります。

クリスマスローズの花数が少ない時や、新しい葉の数が少ない時などは、根の確認を行うと共に、鉢増しの検討をしてみると良いかと思います。

小さな鉢から大きな鉢に植え替えると、上記の通り、見違えるような成長を遂げてくれますよ!

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