球根アイリスを豪華に咲かせる鉢植作りと花後の分球作業

春の訪れとともに花芽をぐんぐん伸ばし、大輪の花を咲かせるアイリスは、地植えだけでなく鉢植えでも楽しむことができます。

実は玄関先で栽培されている方はあまり見かけないので、ご近所さんの花壇と差別化するための良いお花かもしれません。

日本では同じ科に属するアヤメや菖蒲が有名ですが、オランダやドイツで品種改良されたアイリスは、アヤメや菖蒲には無い特性を持ち、コツさえ掴めば全く問題無く鉢植えでも栽培ができます。

鉢に球根を少し高密度に植えることで、春の玄関先を豪華に彩る存在感抜群の鉢植えになってくれます。

この記事では、私が実践した球根アイリスの鉢植えの方法をお伝えできればと思います。ポイントは「窮屈かな?」と思えるくらいの密度で球根を植えてしまうことです。

後半では来年もアイリスを楽しむための分球と、球根の掘り起こし作業も実際の作業を写真入りで御紹介します。


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まずアイリスを知ろう!

球根アイリスとは?

アイリスはアヤメ科に属する欧州原産の球根植物になります。花期は基本的に春1回ですが、品種によっては秋にも咲くものがあります。

日本のアヤメは湿地帯に生息しますが、欧州で品種改良されたアイリスは湿った場所ではなく、乾湿にメリハリの付いた栽培環境の方が育成が良いです。

葉と花茎ともに長く、40cmから50cmになります。ただし、葉は細長く花茎も直立しますので、鉢植えや狭いスペースでも問題なく育てられます。

また、アイリスはヨーロッパで品種改良されただけあって、日本の気候にも問題なく対応できます。沖縄から北海道まで、日本全国で問題なく育てられます。

アイリスの名前の由来ですが、アイリスは色とりどりの花色があり、虹をイメージするような印象があります。その印象から、ギリシャ神話に登場する虹の神 Iris (イーリス) にちなんで与えられた名前です。

紫色のアイリスの写真

球根アイリスの種類

球根アイリスは大きく分けると、オランダで品種改良されたダッチアイリスと、ドイツで品種改良されたジャーマンアイリスに分かれます。

ダッチアイリスは、日本でも有名なアヤメに似た花の形をしており、日本人にも馴染みがある花の形をしております。ジャーマンアイリスは花弁にフリルがかけられ、花弁の大きさも丸みを帯び、ダッチアイリスよりも豪華な花を咲かせます。

また、花の色についてもダッチアイリスとジャーマンアイリスは異なります。ダッチアイリスは単色で花の中心部に少し柄がある程度ですが、ジャーマンアイリスは花弁の中で色がグラデーションを持っていたりします。そのため、ジャーマンアイリスは「虹の花」と呼ばれることもあります。

ダッチアイリスとジャーマンアイリスは品種改良された場所は異なりますが、同じヨーロッパで育種された品種であり、日本国内での育て方には大きな違いは無いと考えていただいてOKです。

次の写真でダッチアイリスとジャーマンアイリスを載せておきます。違いが明らかにご理解いただけるかと思います。

ダッチアイリスの写真
清楚な細長い花弁を持つダッチアイリス
ジャーマンアイリスの写真
花弁が大きくフリルのかかったジャーマンアイリス

インパクトの大きな大輪の花

アイリスの特徴は、何と言っても豪華な大輪の花になります。

一つの球根からは基本的に1つか2つの花しか咲かせませんが、その一つがインパクトある花の形であり、鉢植えに5株位植えるだけでも存在感がかなり出てきます。

花の形はガーデニングで人気のある草花とは全く異なる形をしており注目度も上がります。

私の家でも春の玄関先に鉢植えを置いているのですが、お客さんが来た時に「これは何という花ですか?」と質問を受けたこともあります。とても綺麗で独特な形の花ですので、玄関先に置いてあるだけで春の花の主役になれます。

アイリスは色とりどり!

アイリスは花の豪華さもありますが、色の種類も本当に豊富です。

そのため、自分の好みで色を選んでも良いですし、周りに咲いている花との色の組み合わせを考えることができます。

同じ球根植物のチューリップとは、咲く時期が重なりますので、チューリップと共演させても綺麗な花壇になります。

人気の品種は薄紫や青系のアイリスですね。爽やかな色は、どんな場所にも適合しますし、切り花にしても綺麗です。

人気のパープルのアイリス

アイリスの球根の入手は秋

アイリスの球根は、6月から7月にかけて土の中から彫り上げられ、しばらく乾燥させられたあとに流通します。そのため、最も球根が流通するのは9月から11月になります。

人気のある品種は、インターネットでも売り切れてしまうことがあるので、狙いの品種がある方は、早めに入手しておきましょう。インターネット販売の場合、予約で購入することができるサイトもあるので、夏に探しておくと確実に入手できますよ!

アイリスの植付け最適期は12月

アイリスの植え付けの最適期は関東~関西では12月です。

新しい葉が展開してくる時期が真冬になるので、その時期との関係を考えると、11月だと少し早いと感じます。庭植えも鉢植えも12月で大丈夫です。

関東~関西の以外の地域でも、花芽が伸びる時期との関係がありますが、12月でも問題ないでしょう。1月になると少し遅くなります。年末までの一仕事で植え付けを完了してしまいましょう。

アイリスは日当たりと水やりの管理が重要

アヤメ科ですが乾燥気味が最適

日本人の私としては、アヤメ科と言うと菖蒲をイメージするため、湿気の多い場所での栽培が最適なのでは?と考えていました。

しかし、アイリスはヨーロッパで品種改良されたものであり、乾燥気味の土が好きな植物です。欧州は日本より涼しく湿気も少ない気候が特徴です。日本の菖蒲とは異なるので、注意してください。

水を与えたらある程度土が乾燥するまで待ち、再び水やりをしてあげると根がぐんぐん伸びて丈夫な花と新しい球根(分球)が得られます。

記事の後半で球根の堀り上げ作業で紹介しますが、乾湿の変化にメリハリをつけることで、鉢の中に根がびっしりと成長していきます。

あまりにも水を与え過ぎると、常に土の中が湿った状態となり、根腐れや球根が腐る原因になってしまいます。

鮮やかな青色のアイリス

アイリスは日光が大好き!

アイリスは日光が大好きです。

光合成をさせて、養分を一杯作らせてあげることで、より大きく綺麗な花を咲かせてあげられます。

アイリスの葉は冬の間に生えてきますが、冬から春にかけては直射日光が当たっても葉が焼けることもないので、一日中日が当たるような場所が最適な栽培場所です。

また、花が終わった後は、葉が光合成により球根に養分を蓄え、分球も行われます。分球を促進してあげることや、来年も綺麗に咲かせてもらうためにも、日当たりが良い場所で管理していきましょう。


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豪華に咲かせるアイリスの鉢植え

アイリスに適した土作り

アイリスに適した土は、通気性が良く水はけのよい土です。

市販の培養土でも栽培は可能でありますが、通気性を向上し、失敗を避ける意味で少し通気性を改良してあげましょう。

方法は簡単で、赤玉土を混ぜ込むだけで、通気性は改良していきます。配合の比率ですが、概ね培養土 : 赤玉土 = 4 : 1 を目安にしてもらえればOKです。私はこの配合比率でアイリスを育てていますが、毎年元気に花を咲かせてくれます。

理想的には、ダッチアイリスとジャーマンアイリスで、適した土作りは異なるのかもしれませんが、そこまでこだわる必要は無いです。アイリスは強く丈夫な球根植物なので、水分管理さえきちんとしてあげれば問題なく花を咲かせてくれます。

土に関する一つ注意点として、アヤメ科の植物は連絡障害が少し出やすいです。連作障害とは、同じ植物を同じ土で育て続けると、植物の育成が悪くなる現象です。確実にアイリスを咲かせるには、連作障害を防ぐために、新しい培養土を使ってあげましょう。または、アヤメ科以外の植物を育てていた土を使いましょう。

神秘的な薄水色のアイリス

アイリスの植え付け方法 (球根は少し高密度にする)

アイリスの鉢植えには7号鉢がお勧めです。

10号になると非常に重くなり、運搬が大変になりますので、比較的持ち運びしやすい7号鉢か8号鉢が良いと思います。

豪華に咲かせる鉢植えの球根配置方法

鉢底には必ず鉢底石を入れて、水はけが良い状態にします。

また、球根を植える位置ですが、砂の表面から5cm程度の所に植え付けてあげてください。あまり浅いと球根が土の表面に顔を出してしまいますし、成長した時に不安定になります。また、かなりしっかりとした根を発生させるので、球根の下に土が多くあったほうが良いのです。

アイリスは、基本的に1つの球根から1, 2個の大輪の花を咲かせます。そのため、鉢の中に球根1つだけでは寂しい鉢植えになってしまいます。

豪華に咲かせるためには、少し球根の密度を高くしてあげましょう。上の図で紹介するお勧めの配置図くらいに密度を上げると、花が咲いた時に見ごたえのある鉢植えになります。

アイリスの理想的な感覚は10cmくらいは欲しいと思いますが、あくまで理想であって、少し密度を高くしても咲きます。

むしろ、少し植える数を増やした方が、水分の吸収量が多くなるので土が比較的乾燥しやすく、土の中の環境は良くなる方向だと考えています。

夕日に照らされる紫色のアイリス

アイリス管理で大切なポイントは?

より確実に花を咲かせるため、また、来年もアイリスを楽しむために、これだけは確実にやって欲しいことを御紹介しておきます。

冬に長く伸びる葉は支柱でまとめましょう

アイリスは12月に球根を植え付けた後、しばらくすると球根から細長い葉が伸びてきます。

冬の寒い時期ですが、開花に向けて準備が始まります。

しかし、アイリスの葉は細長く、自重で垂れ下がってしまうため、地面と擦れ合って傷が付いてしまうことが多々あります。

そのため、下の絵のように支柱を立てて、葉を結束しておきましょう。

あまりきつく結束しなくても大丈夫なので、ゆるく巻き付けておいてあげてください。

支柱を立てる時、球根に当たらないように気を付けてくださいね。

冬のアイリスの葉の管理方法

花が終わったら休眠期までは葉を残す

花が終わったら、花が咲いた部分だけを切り落としてください。葉は切っては駄目です。葉は切らずに夏の休眠期まで残しておきます。

花が咲いた後、球根の中に栄養を蓄えたり、分球をするため光合成が必要になります。そのため、葉を落としてしまうと、光合成が出来なくなってしまいますので、葉が枯れ始めるまでは、葉を残しておいてあげましょう。

葉が黄色くなり始めたら休眠に入る証拠ですので、下で紹介する球根の堀り上げ作業に入ります。


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球根の堀り上げと分球作業

球根植物は、親となる球根から子供の球根が発生して球根の数が増えていきます。

これを分球と言い、球根植物は分球で子孫を残して行きます。

ここからはアイリスの球根堀り上げと分球した球根の確認を実践してみます。

アイリスの球根を彫り上げる時期

アイリスの球根堀上は花が終わった後、6月から7月にかけて行います。

この頃になると、球根が休眠期入るので、球根にダメージを与えることなく堀上作業を進められます。

下の写真に示すように、葉が黄色くなり始めたら休眠に入ったサインになりますので、堀り上げの準備を始めましょう。

球根堀り上げ前のアイリスの様子

私の場合には、上の写真位の段階で彫り上げてしまいますが、もう葉が少し枯れた後でも大丈夫です。その方が分球が進んで、子供の球根が取れる可能性が高いかもしれません。

実際の鉢からの堀り上げ作業

それでは実際に私が行った堀り上げ作業の様子を写真と共に御紹介します。

この手順で行っていけば、問題なく球根を堀り上げられるはずです。

とりあえず、アイリスの葉を引っ張れば球根も出てくるだろうと思い、葉をぐいっと引っ張ったのですが、この状態に…葉だけが抜けました…。

堀り上げに失敗したアイリスの株

そういえば、上で紹介したように、少し深めに植えたのでした…それにしても抜けないものですね…

手では無理だお思ったのでスコップを鉢の内壁に沿って差し込んだのですが、それでも抜けません。

もう面倒臭くなって、全ての葉を持って鉢から根鉢ごと抜き上げました!

アイリスの根鉢

凄いですね…ここまで根が張っているとは想像していませんでした。

がっちりとした根鉢は、根腐れせずに健康に育った証拠ですからね!

少しずつ掘り起こしていくと、やっと球根が見えてきました。下の写真の黄色い矢印の所です。根の量が凄いですが、既に休眠期で根自体はボロボロと取れていきます。

アイリスの球根を探す様子

彫り上げると、このように親となる球根の側面に子供の球根ができていますので、これを取り外して分球が完了します。

アイリスの球根と分球の写真

今年花が咲いた健康な球根には、子の球根が必ずくっついているはずですので、子の球根を慎重に取り外して、親球根と共に冷暗所で保存しておきましょう。

そして、12月に再び上で紹介したように植えてあげることで、その次の年も綺麗なアイリスを見ることができます。

球根が並んだ写真

鉢植えアイリスのまとめ

この記事では、春の玄関先を豪華に彩ってくれる球根アイリスの鉢植えの作成から、花後の処理、また分球作業までを紹介させていただきました。

豪華な鉢植えにするためには、少し窮屈になるくらいに球根を植えると良いと思います。逆に密度が低いと、花の数が少なくなり、ちょっと寂しい鉢植えになってしまいます。

アイリスは日本のアヤメと違い、乾燥気味に育ててあげることが大切です。

また、冬の間に芽吹いた葉は支柱でまとめにして管理し、球根を堀り上げる前までは葉を残しておくのもポイントです。

丈夫に育成した球根であれば、100%に近い確率で分球をしてくれていますので、来年以降もアイリスを楽しむことができます。

アイリスは管理にそれほど手が掛からない優等生です。敢えて大変な作業を挙げるとしたら、花後の球根の堀り上げですね。

皆さんも、来年の春にアイリスを楽しむために、冬に球根アイリスの鉢植えを仕込んでみてはいかがでしょうか?

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