3月後半から4月に入ると、冬眠から目覚めたアシナガバチが花壇や玄関先の薔薇に集まってくるようになりますね。
アシナガバチに刺されると、その毒により相当な痛みを伴うため、園芸をされる際には細心の注意を払いながら作業が必要になります。
アシナガバチは草花につく害虫たちを駆除してくれる存在でもあるため、園芸の敵として見るのか、味方として見るのか賛否両論の考えがあると思います。
私個人としては、4月に冬眠から覚めて巣作りをする女王蜂には対策を行い、6月以降の働き蜂に関しては寛容な対応を取るようにしています。その理由をこの記事で紹介させていただきます。
皆さんの園芸作業における、アシナガバチとの付き合い方の御参考になれば幸いです。。
アシナガバチが害虫を駆除するのは事実
結構、勘違いというか誤った知識を持っている方も多いので、ここで説明しておきたいと思います。
アシナガバチは、薔薇の花や葉を食べるために薔薇の株に寄ってくるのではありません。アシナガバチの餌となるアブラムシや芋虫が薔薇の株に多く付いているために薔薇に寄ってくるのです。
アシナガバチは肉食で、芋虫などの虫を食べて生活しています。働きバチも虫を捕獲して巣に持ち帰り、幼虫たちにその虫を与えているのです。
そのため、薔薇にとっては害虫を退治してくれる良きパートナーであると考えることもできます。
実際に、農薬に頼らない有機栽培で薔薇を育てている方は、アシナガバチに虫退治をお任せしている方もいらっしゃいます。
私の管理する薔薇にもアブラムシが付いていた時に、そこへアシナガバチが飛来してアブラムシを食べてくれている姿を何度も見ています。
4月のアシナガバチには注意せよ!
4月に出会うアシナガバチは女王蜂です
薔薇の蕾が上がってくる4月になると、冬眠から目覚めたアシナガバチが巣を作るための活動を活発化させます。
皆さんの薔薇にも、4月になるとアシナガバチが飛来する姿が頻繁に見られるようになるのではないでしょか?
4月に飛来してくるアシナガバチは、全て女王蜂です。
蜂は冬になると多くが命を落とすのですが、次の年に女王蜂になる雌は冬眠で越冬します。そして、温かくなる4月に冬眠から目覚め巣を作るための場所探しを開始するのです。
4月のアシナガバチは少し動きが鈍いのですが、これは冬眠から目覚めてまだ本調子ではないからなのです。
薔薇の花壇や鉢植えは巣作りに狙われやすい
アシナガバチが巣を作るポイントは近くに餌場となる植物が多くあり、雨に当たらないような場所です。
民家の軒下にアシナガバチの巣を見ることがありますが、雨を避けれるという点で、アシナガバチの巣作りに最適な場所だからなのですね。
また、薔薇のある花壇や鉢植えも巣作りに狙われやすいことは確実です。そこに巣を作れば、薔薇に寄ってくる虫たちが多くいるので餌を取るのに苦労しませんので。
私の家の御近所には、オリーブの木や他の草花を育てているお家があるのですが、アシナガバチが寄ってくるのは多くの場合は私の家の薔薇です。
4月の時期は、毎年のように女王蜂の狙いの的になります。
私の家でも、3匹の女王蜂が4月の同時期に巣作りを始めたことがあります。
巣を作られると厄介…4月は殺虫剤の使用も検討
アシナガバチに対する対処として、4月に遭遇する女王蜂となるアシナガバチは薔薇に寄ってきたものを発見したら、なるべく殺虫剤などで対応しています。
また、薔薇の近くに巣作りを抑制する巣作りを防止する防虫スプレーを使用しています。
理由は、4月に自分の花壇で巣作りをされては困るからです。うちには子供もいますし、ご近所にも多くのお子さんがいるので、巣を作られてしまうと迷惑になってしまいます。また、薔薇のお世話をしている時に刺されたら、たまったものではありません。
4月だけは防虫剤・殺虫剤を使用して、薔薇の近くに巣を作られないようにしましょう。
言葉が通じる相手であれば良いのですが、言葉が通じない相手ですし、人間の何気ない行動でアシナガバチの攻撃対象になったら大変ですからね。
6月以降の働き蜂に害虫駆除に協力してもらうのはアリ
6月になると、女王蜂の通った巣で生まれた働き蜂たちが活動を始めます。
一度に多くの働き蜂が生まれてくるので、6月に入ると4月よりもアシナガバチを花壇で見る機会が増えてくる時期になります。
働き蜂は体が女王蜂よりも一回り小さいので、見れば女王蜂では無いことは見分けが付くと思います。
この働き蜂に関しては、私個人の考えとしては放置しておいても問題は無いかと思います。働き蜂達の狙いは基本的に昆虫の幼虫やアブラムシ等になりますので、薔薇の株自体に悪さをすることはありまえせん。
ちょうど害虫たちもたくさん出てくる梅雨時期になるので、薔薇の株にアシナガバチが飛来すると害虫の対策になります。巣さえ作られなければ、花壇への短時間の飛来であれば放っておいても良いかと思います。
働き鉢が主に活動するのは、6月から9月下旬位までなので、その間くらいは我慢しようかと考えています。
もちろん、子供が遊んでいる所に飛来したら対処しておりますが…。
家の周りで越冬させないための花壇整理
冬が深まる前になると、次の年に女王蜂となる雌が越冬の準備に入ります。
越冬場所は様々です。
自然の世界では朽ちた木の中で越冬することが多いのですが、市街地では家の屋根のすき間や、庭に置いてある板のすき間など、様々な所で越冬します。
私の祖父の家は田舎にあるのですが、お正月に遊びに行ったときに、庭に置いてある板をひっくり返したら10匹くらいのアシナガバチが越冬している場所だったのを今でも覚えています。
アシナガバチの女王蜂は越冬場所の近くから巣作りの場所を下がり始めます。そのため、自分の家や庭で越冬されると、次の春に大量の女王蜂が花壇を徘徊することとなります。
そのため、越冬が出来そうな場所を家の周りに作らないことも大事な事です。
庭に使っていない鉢植えや板が放置されていたり、朽ちた木が放置されているような場所は注意が必要です。
冬が来る前には整理をしてアシナガバチが越冬しない環境を整備しておきましょう。
記事の最後に
この記事では、薔薇の花壇で頻繁に見かけるアシナガバチとの付き合い方について、私の意見・考え方を記載させていただきました。
自分の薔薇の花壇にアシナガバチが巣を作ると、6月以降にアシナガバチの数も多くなり、園芸作業の時に刺されてしまうリスクが高まるため、巣作りだけは阻止すべきだと思います。そのため、4月の女王蜂の飛来の時だけは、防虫剤や殺虫剤などを利用して、巣作りの阻止を進めていくべきだと考えます。つまり、4月の女王蜂は巣作りをしてしまうという観点で「薔薇・園芸の敵」であるという個人的な認識です。
しかし、6月以降については、飛来する多くのアシナガバチは、その年に生まれた働き蜂になります。働き蜂は巣作りをしませんし、薔薇の花壇・鉢植えへの短時間の滞在になります。そして、薔薇につく害虫を退治してくれる存在になります。そのため、6月以降の働き蜂については、「薔薇・園芸の味方¥であると考えても良いかと思います。
ただし、お子さんがいたり、近所への御迷惑を考えると、殺虫剤を常備しておかねばならないかもしれません。意味の無い殺生は避けるべきという基本的な考えは変わりませんので、上手くアシナガバチと付き合っていく方法を、園芸作業中に常々考えさせられます。