春の園芸店に行くと、まさに花の季節がやってきたと言わんばかりに、色とりどりの花が咲き乱れて陳列されていますよね!
普段、薔薇の栽培をメインで行っているので、季節の花を見るとついつい手に取って育ててみたくなります。
毎年のように品種改良された新しい草花たちがお目見えし、見たこともないような色・配色・模様の花を見つけることもあります。
園芸やガーデニングは、昔から変わらない趣味の一つと思いきや、令和になった今でも毎年のように進化しているんだなぁ…と肌で感じます。
そんな春の園芸店で、私は毎年のように気になるものがあります。
「ドーム型にあふれるペチュニアの鉢植え」です。
下の写真の様な鉢から溢れるサフィニアを園芸店で見たことがあるのではないでしょうか?
写真はサントリーフラワーズさんの「サフィニア」という品種です。
見本鉢として園芸店に飾られていることが多いですが、ここまで大きな鉢で無くても良いので、6号鉢くらいでこのような鉢植えが出来たら嬉しくないですか?
実は個人でやっても、このようなペチュニアの鉢植えは作ることができます!
脇芽の成長を利用して育てていく方法になるのですが、その方法を実践してみたので、その過程を詳細に御紹介したいと思います。
これをマスターすれば、あなたもペチュニアであふれる鉢植えを作れるはず!
今回はサントリーフラワーズさんのサフィニアで挑戦
今回のペチュニアの鉢植えに使用したのは、上でも紹介したサントリーフラワーズさんの「サフィニア」と言う品種になります。
サフィニアは、サントリーフラワーズさんと京成バラ園さんが共同開発したペチュニアの園芸品種で、サフィニアと言う名前はサントリーフラワーズさんの登録商標になっています。
サントリーフラワーズさんの苗って、別の記事でも紹介しているのですが、とにかく花数が多いのが特徴です。
毎回、裏切られることなく、たくさんの花を咲かせてくれます。
サイネリア、ミリオンベル、そして冬のウインティ等、私が育てたことのあるどれもが花の数が桁違いに多いです。
ということで、今回は確実にペチュニアのドームを作るため、サントリーフラワーズさんのサフィニアを選んでみました。
一色では少し寂しい感じがしたので、白と紫の2株が入っているタイプの商品を選んでみました。
また、この鉢植えでは育てられないので、今回は下の写真の通り、6号鉢に植替えての栽培スタートとなります。6号鉢であれば、御家庭でも鉢植えが邪魔にならないレベルだと思います。
培養土はホームセンターで販売されいる一般的な草花用培養土を用いており、元肥として化成肥料を混ぜ込んでいます。
植え付け直後の作業: 花を切り落とし蕾を摘心する
植え付け直後に行うべき作業は、咲いている花を全て切り落とし、残っている蕾も全て摘心してしまいます。
ペチュニアに限らず、草花は花を頑張って咲かせて種を作り、次の世代に自分の子孫を残すことを優先します。
しかし、花を咲かせてしまうと、花を咲かせることだけにエネルギーや養分を使ってしまうため、株自体が大きく成長しません。
今回目標とするのは、冒頭でも紹介したような。鉢から溢れるようなペチュニアの鉢植えですので、まずは株を大きく育てる事に専念していきます。
では、実際の作業について紹介していきます。
まず次の写真の様に、咲いている花を全て花首で切り落とします。そして、残っている蕾を全て摘心して除去してしまいます。
せっかく綺麗に花が咲いていたのに…と思われるかもしれませんが、今回は心を鬼にして花と蕾を除去していきます。
そして、次に行うのは株の形を整える作業です。
株が成長した時、どこか一部だけが成長していると、まん丸な綺麗なドーム型にはなりません。
蕾をピンチするタイミングで樹形の事も考えながら、株の形を整えてあげます。
次の写真が、枝の長さなども整えた後の状態になります。
植え付け段階での作業は以上になります。
この後になりますが、適宜、液体施肥を与えたり、根の活力剤を与えて株を充実させてください。
また、ペチュニアは日光が大好きな植物で、日照条件で成長が大きく変化する植物です。
速く株を成長させるためには、少なくとも1日当たりの日照時間が5時間程度は確保できる場所が好ましいですね。
最初の摘心・切り戻しから1週間後の状態
最初の摘心と切り戻しから1週間が経過しました。
ペチュニアは成長が速い植物なので、1週間経つと次の新芽が出て成長が始まります。
下の写真が最初の摘心・切り戻し直後と1週間後の写真の比較になります。
あまり大きな違いが見えないように見えるのですが、よく見ると次の開花に向けた株の成長が始まっています。
次の写真がペチュニアの株を拡大した写真ですが、赤色矢印の部分に新芽がいくつも出てきています。赤色矢印を記載した部分は全て新芽が出てきている部分になります。
この新芽達を成長させ、蕾が形成され始めたら再び摘心と切り戻しを行っていきます。
摘心を続けて20日経つと株が確実に大きくなる
植え付け後に切り戻しを行い、摘心によって花を全く咲かせずに管理した結果、20日後には下の写真の様に株が確実に大きくなりました。
ペチュニアは成長が速い植物なので、切り戻しを行うと脇芽がどんどん成長してくれます。
脇芽が成長した分だけ蕾が形成される数も多くなりますので、摘心が大変になります…。しかし、3日に一度程度の頻度で摘心を繰り返すと、このような状態になります。
毎日観察していると、成長具合が分かりにくいですが、植え付け直後の写真と見比べると、明確に成長していることが分かりますね。鉢植えの土の表面が隠れるくらいになってきました。
ただ、こんもりドーム型のペチュニアの鉢植えのためには、まだまだ株を成長させなければなりません。
よく観察すると、次の写真の様に茎の頂点には新しい蕾が出来ていることが分かります。
このままにしておくと蕾に栄養が取られてしまうので、引き続き摘心と切り戻しを実施していきます。
春の温かい時期は成長が速いので、摘心や切り戻しが大忙しです。
摘心や切り戻しをすると株の成長を促進することができますが、それだけ肥料分を欲することも事実です。
肥料は一定量を常に効かせてあげられるように、置き肥と希釈した液肥を併用していきます。ただし、肥料は与え過ぎには注意です!せっかく成長したのに肥料焼けしたりしたら、全てが水の泡です…。
何はともあれ、現時点でペチュニアの成長は至って順調です!
摘心を続けて40~50日目でペチュニアドームの基礎が出来上がる!
蕾が出ては摘心を行い続ること40日目となりますが、鉢植えの土の表面が見えなくなるまでに成長しました。
そして、株の姿が円形状になり始めて、ペチュニアドームの基礎が完成してきました。
ここまで成長をしてくれたら、ゴールは近いですね!
次の摘心後には花を咲かせてみようと思えるくらいの株の大きさになりました。
そして、この時期も肥料を切らさないことが重要です!植え付けを行った4月から気温が高くなるにつれて、株の成長速度も上がるので、それだけ肥料も必要になります。
そして、ここまで成長すると、摘心の時に手が相当べたべたな状態になりますね…。
ペチュニアは、葉がべたべたする植物なので、葉を触る摘心の作業時には手やハサミがべたべたになります…。
正直、少し作業がしずらいです…。
そして、さらに月日が経ち植え付けから50日目の状態が次の写真です。
かなり株が大きくなり、蕾を付ける量も多くなってきました。
この状態で1度咲かせてみようと思いますので、最後の摘心を行いました!
これだけ株が大きくなると、ほぼ毎日、次の写真に示すくらいの蕾の量を摘心するようになります。
ペチュニアのドームを開花させた結果!
ペチュニアの植え付けを行ってから約2カ月が経過して、初めて花を咲かせてみました。
もう少し大きく株を育てても良いかと思いましたが、植え付けから2カ月も経過しているので、待ちきれずに咲かせました。
その様子が下の写真となります。まだ一部花が咲いていないところもありますが、咲いていない場所にも、かなりの量の蕾が出てきています。
お店に置いてある10号鉢クラスの大きなものに比べると、少し迫力は無いことは否めませんが、家庭で楽しむには十分なくらいに花が溢れるような状態となりました。
植え付け当時の写真と比較を行ったのが次の写真ですが、約2カ月でしっかりと株が成長してくれていることもわかりますね!
上の写真の状態から、さらに数日が経過して、完全に満開になった時のペチュニアの鉢植えが下の写真になります。
満開になると、かなりボリューム感が増してきて、「サフィニアのドーム」とい言えるような状態になりますね!
お店の見本鉢には負けてしまうかもしれませんが、ペチュニアの育成に十分な楽しめた2カ月間でした。
この写真を撮影した時点で6月中旬になりますが、まだまだペチュニアは成長期にあります。
この後は、咲いた茎をさらに切り戻してあげることで、より株が大きく成長していくものと思います。夏の間、そして秋にかけても花を咲かせてくれるので、もっと巨大化したペチュニアのドームに期待したいところです。
このペチュニアの鉢植えについては、また夏に記事を更新して株の状態を報告する予定です。
[2021/07/12追記] 花後の切り戻しでさらにボリュームアップ!
一つ上の項目で初めてペチュニアを咲かせた時の写真を紹介しましたが、その開花の後、再び咲いた部分を切り戻してみました。
次の写真は切り戻し直後の株の状態になります。ある程度深く切り込んでいきましたが、それでも枝の数が多く、ボリューム感がある状態です。
そして、この切り戻しから2週間後、再びペチュニアが開花の時を迎えましたが、その様子が次の写真です。
1回目に咲かせたとき以上にボリュームが出て、花数もさらに増えてくれました。
特に、白色のペチュニアは、1回目の開花時よりも確実に花の数が多いです。
この写真を撮影したのが2021年7月12日で、梅雨の終わりの暑い時期となりますが、それでも株が大きく成長している状況です。
今回使用した鉢のサイズが6号鉢だったのですが、さらに大きな鉢に植えていたら、もっと根が成長して株の大きさもより大きなものになっていたのかと想像できます。
ここまで立派なペチュニアのドームができたら、今回の「切り戻しを繰り返したペチュニアドームの挑戦」は成功と言っても良いのではないでしょうか!?
この記事の終わりに
この記事では、鉢から溢れるペチュニアの育て方を実例と共に紹介させていただきました。
摘心を繰り返すことで株の成長に養分を使うことが出来るため、花を咲かせた場合に比べて株の大きさが大きくなりやすくなります。
花を楽しむ機会が少なくなってしまうというデメリットはありますが、その分だけ大きく育った株に花を咲かせたときの豪華さはメリットと言えます。
「ペチュニアは毎年育てるけど、あまり株が大きく育たない。」という方は、一度摘心を繰り返してみてはいかがでしょうか?
春に植えて初夏まで摘心を繰り返せば、株がどんどん大きくなって夏の間も繰り返し豪華な鉢植えを演出してくれますよ!