【薔薇】冬剪定の違いで春の花数と成長に大きな差!実例を紹介

2021年も4月の中旬になり、我が家の薔薇達も蕾がどんどん膨らんできました。

樹勢が強い「薔薇の殿堂入り」を果たした品種は、今にも咲きそうな大きな蕾を幾つも付けています。

春の薔薇の成長は非常に早く、冬の葉の無い状態が嘘のように、青々とした葉をたくさん付けてくれています。

皆様の育てている薔薇達は、どんな感じでしょうか?

病気や害虫の発生無く、元気に育っていますか?

さて、今回の記事では、久しぶりに薔薇の実験結果を紹介したいと思います。

どのような実験かと言いますと「薔薇の冬剪定の方法で春の成長がどのように変わるのか?」という内容になります。

薔薇は冬剪定の仕方で春の成長や樹形が大きく変わりますが、どのように違うのかは実際に比較してみないとわかりませんよね!?

この記事では、その疑問に対する結果 (答え) を紹介します。

お時間ありましたら、最後までお付き合いいただけましたら幸いです。


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本記事の背景 ~冬剪定で春の薔薇の成長が大きく変わる?~

薔薇の栽培の中で、最も重要なお世話が「冬剪定」です。

もちろん、施肥の方法や病害虫を防ぐ薬剤の散布も重要ですが、個人的に最も重要な作業は剪定の作業だと思っています。

「枝をどの位置で剪定すれば立派な薔薇が咲くか?」

「新芽が成長する向きは問題が無いか?」

ということを考えて行う作業になるので、個人の差が出やすい作業だと思います。

そんな剪定の中でも、春の1番花の数や新芽の成長を左右するのが「冬剪定」ですね。

年間を通じて薔薇が一番綺麗に、そして豪華に咲くのが春のなので、その直前に行われる冬剪定は最も重要な剪定です。

では、冬剪定の方法を変化させると、春の薔薇の成長にどのような影響があるのでしょうか?

私自身も、この疑問に関してはとても興味がありましたし、正直なところ疑問に思うところもありました。

薔薇の教科書やインターネット上の情報では、冬剪定が重要であることは記載されているのですが、冬剪定のやり方を変えた場合に、株の成長にどのような違いが出るのか?というのは、ほとんど実例・情報がありません。

であれば、自分で実験で確かめてみようと思い、今年の冬剪定の時に今回紹介する実験を仕込みました。

以下で、その実験の内容について紹介します。

3株のミニ薔薇を用いた実験の詳細について

我が家の花壇に3株のミニ薔薇が植えてあるのですが、その3株のミニ薔薇に対して冬剪定の方法を変化させて、春の芽吹きや蕾の数などに変化があるのかを実験しました。

ミニ薔薇はポールセンローズの「ノヴァ」という品種になります。私のブログでも、たびたび紹介をさせていただいているミニ薔薇達です。

3株とも植えてある場所が同じですので、日照や雨の量などは全て同じ条件です。

また、施肥や薬剤の散布も同じタイミングとなりますので、基本的な栽培条件は揃っています。

ただし、株が持つ固有の特徴や状態だけは異なると思ってください。

下の写真が、冬剪定後のミニ薔薇なのですが、左から株1番、株2番、株3番と番号を記しています。

冬剪定をどのように変化させたのかについては、次に記載の通りです。

1番の株の剪定方法:昨年の夏以降に出て来たベーサルシュートは全て切り落とし、枝の年齢が多いものだけを残した剪定。つまり、あまり樹勢の良くない枝が残っているような冬剪定の方法となります。

2番の株の剪定方法:昨年発生したベーサルシュートだけを残し、1年以上前の枝は全て剪定で切り落とす。つまり、若い枝だけが残っているような冬剪定の方法。

3番の株の剪定方法:枝の年齢にかかわらず、太くしっかりとした枝は全て残して、最も枝数が多くなるように冬剪定したもの。写真を見ても、株3番が最も枝数が多いことがお分かりいただけるかと思います。

これらの剪定方法の違いによって、春の芽吹きにや蕾の数にどのような違いが出てくるのかを確認していきます。

単純に考えたら、枝の数一番多い3番の株が最も花の数が多くなるはずですよね!

では、実際に4月の段階での株姿や蕾の数を見ていきましょう!


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春のミニ薔薇の成長が冬剪定の方法で大きく変化!

下の写真が、2021年4月14日に撮影したミニ薔薇の株姿となります。

写真を見ていただいたら、明らかな差が出ていますね!

私自身、これほどまでに明確な差が出てくるとは思いませんでした。

冬剪定で若くて元気な枝を全て剪定してしまった1番の株は、枝の数が少ないだけでは無く、株の樹高も明確に低くなっていることがわかります。

そして、元気な枝を全て残した3番の株は、元気に成長している新芽の量が多く、葉も元気な状態で育っていることがわかります。

2番の株は、1番と3番の株の中間に位置するような剪定の方法だったので、株の大きさや成長具合も平均的なものとなっています。

この実験結果をあらためて考えると、冬剪定による枝の残し方・切り方が本当に重要だとわかります。

誰が見ても、3番の株の様に元気に成長する薔薇を育てたいと思いますよね!

古い枝は「出開き」になる新芽が多かった

春の芽吹きのシーズンには、芽吹いた新芽から茎が成長せず、葉だけが展開する「出開き」という症状が現れることがあります。

新芽が出開きの状態になると、その新芽は花を咲かせないので、出開きは無いのに越したことはありません。

その出開きとのなった新芽の数についても、冬剪定の方法に対して明確に違いがありました。

3月に出開きとなった新芽の除去作業を行ったのですが、古い枝の多い1番の株は他の2番、3番に比べて出開きの数が多かったです。

1番の株は成長が悪いことは明確なのですが、その一つの原因は新芽がしっかりと成長せず、出開きの状態になってしまったことだと考えられます。

新芽が出開きにならず、しっかりと成長していれば、2番や3番の株と同様にしっかりと成長したのだと思います。

1番の株は古い枝が多かったので、枝に樹勢が無く、良い新芽を出す能力が無かったのかと推測されます。


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冬剪定の違いで蕾の数にも明確な差が!

次は蕾の数の差について紹介します。

上で紹介した写真の通り、明らかに3番の株が蕾が多いのですが、実際に蕾がいくつあるのか数えてみました。

1番の株 … 5個

2番の株 … 7個

3番の株 … 10個

新しく元気な枝を冬剪定で切ってしまった1番の株については、枝をたくさん残した3番の株に比べて半分の蕾しか付けていません。

冬剪定の方法を変えるだけで、蕾の数が2倍も変わるんですね!

株が持つ固有の能力の違いはあるにしても、蕾の量が2倍も違うのは冬剪定の違いによる明確な差では無いかと思います。

「剪定上手は、薔薇を上手に育てる」と言われますが、それが明確にわかる結果となりました。

そして、実際に開花のシーズンを迎えた時の様子が次の写真になります。

一部、開花後に花を剪定してしまったので、上で紹介した蕾の数と花の数が合致していません。

しかし、左側の1番の株から右側の3番の株に向かうにつれて、株の高さが高くなっていることが分かるかと思います。

終わりに ~冬剪定は元気な枝をたくさん残しましょう~

この記事では、薔薇の冬剪定の方法を変えた際に、春の成長にどのような違いが生まれるのかを実験で調査した結果を紹介しました。

薔薇は元気で勢いのある枝をたくさん残しておくと、春の花数が大きく改善することが明確にわかりました。

逆に、古い枝ばかりを残しておくと、花の数が一気に減ってしまうことをお分かりいただけたかと思います。

また、花の数が多いということは枝の数が多くなりますので、葉も多くなります。葉が多くなれば光合成で生成される養分も多くなりますので、株の成長を促進することができます。

そのため、冬剪定は花の数だけでなく、その年の株の成長も左右する重要な作業と言えますね。

冬剪定の基本である「元気で太い枝をたくさん残すこと」を実践して、春にたくさんの薔薇を咲かせましょう!

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