ラディッシュ栽培で必要な株間を実験調査!

日本では二十日大根の名前でも知られているダイコン属の野菜「ラディッシュ」。

種まきから収穫までが非常に短く、1ヶ月程度で収穫が可能であり、真冬を除けば年間を通じて収穫を楽しむことができる野菜です。

また、誰でも簡単に育てられることから、子供と一緒に楽しむ家庭菜園の野菜としても人気ですよね!

私自身も、頻繁にラディッシュを育てており、空いているプランターに種を撒いて、年に3回くらいは収穫を楽しんでいます。

そんなラディッシュを育てていて、一つ疑問に思ったことがあります。

それは適切な「株間」です。

ラディッシュは小さな野菜なのでプランターに詰め込んで育ててしまいがちなのですが、適切な株間を取ったほうが健全に育つことは容易に想像ができます。

そこで、実際にラディッシュの株間を変えて育ててみて、成長具合に変化が出るのかを確認してみました。

【注意事項】本記事で紹介するラディッシュの栽培実験は、筆者が独自に行った実験となります。ラディッシュの成長速度などは品種や栽培環境に大きく左右されますので、あくまでも御参考とお考え下さい。


Advertisement

実験に用いたラディッシュ

まず最初に、今回の実験に用いたラディッシュの紹介です。

下の写真に示す通り、株式会社トーホクさんから発売されている「赤丸はつか」というラディッシュです。

見た目は鮮やかな赤色で、サラダやピクルスに最適な品種と言う紹介があります。

暖地であれば春先から晩秋まで収穫が楽しめる品種とのこと。

また、ラベルの裏には「適切な株間は4cm~5cm程度」と記載されていました。

さて、4cm~5cm程度の株間は本当に最適なのでしょうか!?

ラディッシュの株間を変化させた実験詳細と栽培環境

次に、今回行う実験の詳細についてです。

実験はプランターではなく、ビニールポットを3つ用意して行いました。

次の写真に示すように、1つ目のビニールポットには中心に種を撒き、2つ目のビニールポットには合計3か所に種まきを行います。そして、3つ目のビニールポットには合計5か所に種を撒きます。

それぞれの穴に3つずつの種を撒いて、発芽後に間引きを行い、1つ目のビニールポットでは1つのラディッシュ、2つ目のビニールポットでは3つのラディッシュ、3つ目のビニールポットでは5つのラディッシュを育てることとします。

こうすると、1つ目のビニールポットでは株間が十分に広い状態となり、2つ目のビニールポットでは株間が4cm~5cm程度、3つ目のビニールポットでは株間が3cm~4cm程度になります。

このように株間の大きさに違いを設けて、ラディッシュの成長具合を観察していきます。

また、栽培環境や条件に付いてですが、主な点を以下にまとめておきます。

・肥料 … 元肥としてマグァンプを少量使用 (追肥や液肥は無し)

・日照時間 … 朝8時から午後2時まで約6時間の直射日光

・水やり … 培養土の乾き具合に応じて1日に1回か2回

・培養土 … ホームセンターの安価な培養土


Advertisement

写真で見るラディッシュの成長

では、実際にラディッシュの写真を見ながら、ラディッシュの成長を確認していきたいと思います。

今回のラディッシュ栽培期間は、8月中旬から9月中旬までの1か月間となります。

① 種まきから3日で発芽

種まきから3日後になりますが、下の写真の通り、無事にラディッシュが発芽をしました。

上記の通り、各植え付け穴には複数の種を撒いているので、元気そうな芽だけを残して間引きを行います。

間引き後の様子が次の写真となります。発芽に関しては、株間の大きさで違いはありませんね。

② 種まきから1週間では成長の違いが無い状況

種まきから1週間が経過した状態が次の写真となりますが、どのビニールポットのラディッシュも元気よく葉を芽吹いて育っています。

この時点では、まだラディッシュは葉だけの状態ですが、株間の違いによる成長の差は明確には出ておりません。

③ 種まきから2週間でラディッシュの大きさに明確な違いが出始める!

種まきから2週間が経過して、ラディッシュの赤い実りが顔を出してきましたが、ここで株間の大きさによって育ち方の違いが出てきました。

次の写真は、種まきから2週間後の各ビニールポットの様子ですが、葉の数や葉の大きさなどには目立った違いがありません。

しかし、葉をよけて株元に目をやってみると、違いがわかります。

次の写真は、1つ目のビニールポット (1つのラディッシュを栽培) のラディッシュですが、既に根元が大きく膨らんできているのが分かるかと思います。

続いては、2つ目のビニールポット (3つのラディッシュを栽培) ですが、根元は赤くなっていますが、まだ膨らみ始めていないことがわかります。

そして、次は3つ目のビニールポット (5つのラディッシュを栽培) ですが、こちらも2つ目のビニールポットと同様で、根元は赤くなっていますが膨らみがまだ見られません。

ただ、根元の赤色の濃さは最も薄く、成長が遅いのが見て取れるようになりました。

④ 種まきから3週間後のラディッシュの様子

種まきから3週間が経過しましたが、ここでラディッシュの株間の大きさにより、成長に更なる差が生まれていました。

次の写真は、1つ目のビニールポット (1つのラディッシュを栽培) ですが、こちらは順調にラディッシュが大きく成長していることがわかります。

しかし、次の写真は2つ目のビニールポット (3つのラディッシュを栽培) と3つ目のビニールポット (5つのラディッシュを栽培) ですが、ラディッシュの成長が大幅に遅いことがわかります。

2つ目のビニールポットについては、黄色の矢印の付いたラディッシュは成長が見られますが、残りの2つのラディッシュは株元の膨らみが遅いことがわかります。

そして、3つ目のビニールポットについては、種まきから3週間経過しても、まだ5つ全てのラディッシュがほとんど膨らんでいません。

ラディッシュは、一般的には概ね1カ月~40日くらいで収穫が楽しめるのですが、このままでは収穫ができるか怪しい状況になってしまいました。

⑤ 種まきから1ヵ月後のラディッシュの様子 [実験終了]

さて、種まきから1ヶ月が経過しました。

ラディッシュは、どのくらい成長したと思いますか!?

ラディッシュは概ね1カ月くらいで収穫の時を迎えると考えていたのですが、今回の結果は想像とは全く違うものとなりました。

それでは、実際に土からラディッシュを抜いて、成長の具合を確認していきたいと思います。

まず、最初に1つ目のビニールポット (1つのラディッシュを栽培) ですが、下の写真に示すように、十分に収穫が出来る大きさに成長してくれています。

続いて、2つ目のビニールポット (3つのラディッシュを栽培) です。

次の写真の通り、3つのうち1つは成長していますが、残り2つはほとんど成長が見られない結果となりました。

ビニールポットくらいの大きさの鉢なら3つくらいは大丈夫だろうと思っていましたが、そんなに甘くは無かったです。ビニールポットで3つのラディッシュを育てるには、より長い栽培期間が必要になるということかと思います。

そして、最後に3つ目のビニールポット (5つのラディッシュを栽培) です。

下の写真の通りですが、全てのラディッシュがほとんど成長していない結果となりました。

3つのラディッシュを育てた2つ目のビニールポットでさえも育成が不十分でしたので、5つを育てるのは、それ以上に困難であるということかと思います。

3つ目のビニールポットは、3週間経過後の状態と比べても、株の状態はほとんど変わっていませんでした。

今回の結果からわかる通りですが、ラディッシュを1カ月程度の期間で収穫するためには、1つの株に対してビニールポット1つ分くらいの土の量と株間が必要であるということです。

株間の違いでラディッシュの成長に変化が出た理由

それでは、株間の違いでラディッシュの成長に大きな差が出た理由についてです。

容易に考えられる理由かと思いますが、「肥料の量」や「光合成の差」だと考えられます。

1つのビニールポットで1つのラディッシュを育てる場合と、5つのラディッシュを育てる場合では、単純に考えると、1つのラディッシュが得られる肥料に5倍の差が生じます。

ラディッシュが簡単に育てられる野菜と言えど、肥料の量に差があると成長に差が出る可能性は十分にあります。

もしかしたら、肥料の量を多くすれば、1つのビニールポットで5つのラディッシュを健全に育てられた可能性はあるかもしれません。

また、1つのビニールポットで5つのラディッシュを育てた場合、お互いの葉が重なり合ってしまいます。葉が重なり合えば、直射日光をお互いに遮り合ってしまうため、光合成に支障が出ます。

これらの理由でラディッシュの成長に差が出てしまったものと思われます。


Advertisement

この記事の終わりに

本記事では、ラディッシュの栽培に必要な「株間の大きさ」を実験的に検証した結果を紹介しました。

ラディッシュは簡単に育てられる野菜として親しまれていますが、株間の大きさを間違えると、育成不良の状態になってしまう事がわかりました。

具体的には、1つの株に対してビニールポット1つ分くらいの土の量が必要です。

(深さの深い鉢やプランターを使えば、状況は改善する可能性もあります。)

これまで、ラディッシュ栽培は栽培期間や肥料などを適当に管理して育てていたのですが、今回の様に詳細な実験をしてみると、ラディッシュ栽培の奥深さに気づかされました。

上手に栽培すれば、栽培期間を短縮し、より大きなラディッシュを収穫することができるということが示唆された結果であると思います。

これからのラディッシュ栽培は、株間や肥料、土の量などに少し気を遣って進めていきたいと思います。

本記事がラディッシュ栽培を楽しまれている方や、今後ラディッシュ栽培を楽しむ予定の方にとって、少しでも御参考になれば幸いです。

それでは!

最新情報をチェックしよう!