ミニ薔薇の長所は、次々と花芽・蕾を出して、年間を通じて多くの薔薇を咲かせてくれるところです。
また、株の大きさが小さいので、玄関先やベランダなどの限られたスペースでも薔薇を楽しむことができること、他の草花との寄せ植えにも使えることが園芸品種として人気を確立している理由だと思います。
しかし、逆の考え方をすると、花数が多く成長が旺盛であることは、葉や枝の密度が上がりやすく、かなり込み合った株の姿となってしまうというデメリットになります。
葉が混みあえば、病害虫の原因にもなりますし、無駄に不要な枝を伸ばしてしまっていたりすることもあります。
夏剪定の時期は、ミニ薔薇にとって枝や葉を整理しリフレッシュさせる良い機会になります。この記事では、秋の開花や冬までの株の成長を考慮したミニ薔薇の夏剪定について、私が毎年実施している剪定の考え方を御紹介したいと思います。
ミニ薔薇は成長力が旺盛!だからこそ切る
ミニ薔薇を育てている方は御存じかと思いますが、冒頭でも記載したように、ミニ薔薇の生育はかなり旺盛で、放っておくとどんどん新しい枝を出して花を咲かせようとします。
株のサイズが小さいので、枝をどんどん出してしまうと、あっという間に枝と葉が密集してしまい、様々な弊害 (病気やハダニなどの害虫) の原因になります。
今年、我が家の玄関先のミニ薔薇がハダニの大被害を受けて、5月の中旬に下の写真の様な状態になりました。
しかし、その1カ月半後の6月後半には、下の写真のように葉と枝が完全に回復した状態になり、何事もなかったかのように多くの花を咲かせる準備が整いました。
この回復力と、生育力の強さを見て分かるように、少し切ったくらいでは、株にダメージが入るどころか、新しい枝やベーサルシュートをどんどん出してくるようになります。
そのため、ミニ薔薇の夏剪定というのは、秋の開花に向けてだけではなく、年末まで健康的に管理できることを見据えた剪定が必要なのだと毎年感じています。
簡単に言うと「しっかりと切りましょう!」ということですね。
本記事で夏剪定するミニ薔薇の剪定前の株姿
さて、上で紹介した玄関先のミニ薔薇を夏剪定していくことになるのですが、夏剪定前 (9月前半) の株の姿を下の写真で載せておきます。
これでも、7月から8月は毎週のように新芽の芽かきや蕾の摘心を繰り返していたんです。それでも、これだけのボリュームになっており、隠れていた蕾が開花しているところもある状況です。
8月の中旬くらいになると、ミニ薔薇の成長力の強さと夏の暑さに負け、あまり管理が出来ていなかったのも、これだけ葉が茂ってしまっている原因でもあるのですが…。2020年の夏は暑すぎましたね…朝晩でさえも外に出る気にならなかったです。
その分、夏剪定のし甲斐がある状況ですね!バッサリと切っていきましょう!
ミニ薔薇の夏剪定 -お勧めの手順-
ミニ薔薇に限らず、薔薇の剪定の時に最もやってしまいがちな失敗は「あっ、切り過ぎた!」という失敗です。一度切ってしまった枝は元には戻らないので、剪定の時には少し慎重に作業をしてく必要があります。
(ミニ薔薇の場合、失敗しても直ぐに新しい枝が生えてくるので、あまり気にしなくて良いのかもしれませんが…。)
そのような失敗をしないためにも、長く伸びている部分から徐々に剪定をしていき、最後に仕上げの枝の整理をするという方法がベストかと思います。
手順① 夏に伸びた新芽の処理から始める
夏剪定前の段階で、一番伸びて高い位置にある芽は、基本的に夏の間に芽吹いてきた新芽たちだと思います。
下の写真にあるように、株の上のあたりに赤い葉を伴った新芽が沢山あるので、まずはこれらを切っていきます。
この新芽たちは、そのまま放置しておくとどんどん伸びて蕾が出てくるのですが、どんどん頭でっかちな株になってしまうので見栄えがあまり良くないです。
実際に新芽だけを切った状態の写真を下に載せますが、新芽を切っただけでもかなりさっぱりした感じがありますが、まだ相当な数の枝と葉が密集していますね…。
手順② ほうき状になった部分を剪定する
次に剪定すべきは、頂点の部分でほうき状になってしまった部分を伐採していきます。
ミニ薔薇も薔薇なので、頂芽優勢の性質を持っています。
そのため、成長が進むと高い位置で新芽が「ほうき」の様な状態になって成長します。ミニ薔薇の種類にも依りますが、特に、ベーサルシュートやサイドシュートなどの勢いのある枝ほど、その傾向が強いです。
下の写真にその例を載せておきますが、右側が頂点部分になります。上の方で枝がほうき状になり、頭でっかちな枝になっています。
上で記載しましたが、ミニ薔薇は成長力が強いのですが、特にこの頂点部分に近い所の成長が半端なく速いです。剪定しても1週間もすると新しい芽がどんどん成長してきます。
ですので、樹形に合わせる必要がありますが、赤字で記載した剪定位置の部分くらいで切るようにしています。ちなみに、上のほうき状になっている枝は、今年出てきたベーサルシュートです。
ほうき状になったり、高い位置で頭でっかちになっている枝を剪定した後の状態が下の写真です。ここまで来ると、枝もスッキリし始めて、剪定の終わりが見え始めてきました。
手順③ 細かい枝を切り落とし高さを揃える
太い枝の剪定が終わったら、最後は細かな枝たちを切り落としてしまいます。
ミニ薔薇は花の大きさが小さいので、少し細い枝にも花が咲きます。しかし、細い枝ばかり残しておくと、私の経験上は「ブラインド」と呼ばれる蕾の付かない枝や「出開き」と呼ばれる枝が発達しない芽が増えます。
養分を分散させることなく、良い芽に養分を集中させるためには、細かい枝は切り落としてしまいます。
また、それと同時に株の高さも揃えてあげるようにしたり、可能であれば新芽の芽吹く方向を加味した剪定などもできればベストかと思います。
手順④ 葉を整理して風通しを改善
枝の剪定が終わったら、最終仕上げとして枯れかけている葉や、葉が込み合ってしまっている部分の葉を除去していきます。
葉の数を減らしすぎることは良くないですが、適度に葉を除去してあげて風通しを良くしてあげることは、害虫を抑制する意味で重要な事です。私としては、今年のハダニの大被害を受けて、葉や細かい枝の処理には人一倍注意するようになりました。
最終的に剪定の終わったミニ薔薇の写真を次に載せておきます。
かなりスッキリしましたね。最初の状態と見比べていただくとわかるかと思いますが、枝の数も葉の数も半分以下位に減らしています。
少し切りすぎなのでは?と思われるかもしれませんが、秋の開花シーズンには元通りになってるので、何ら問題はありませんよ。
ちなみに、切り落とした葉と枝の写真も下に載せておきます。ミニ薔薇3株分ですが、なかなかの量を剪定しました。スッキリです!
この記事の終わりに
本記事では、秋の開花や休眠期までの成長も見越したミニ薔薇の剪定について御紹介させていただきました。
ミニ薔薇は成長する力が強く、木っても切っても新しい芽を出してくれるので、とても心強い薔薇なのですが、言い換えればどんどん枝が込み合ってしまうというデメリットにもなります。
少しきり過ぎたかな?と思うくらいがミニ薔薇の夏剪定としてはちょうどいいのかと思います。今回の記事では葉や枝の量を1/2くらいに減らしましたが、秋の開花の段階では、剪定前と同じくらいに成長するので、それも見越してスッキリと剪定しています。
薔薇は剪定をしっかりと行って育てていく植物なので、あまり神経質にならず、樹形を考えながらハサミを入れてあげてください。
剪定したミニ薔薇が10月の開花期にどのように咲くのかが、今から楽しみです!