真冬の休眠期が終わりを告げ、薔薇の新芽が一気に成長する春。
あっという間に新しい茎と葉が成長・展開し、4月中旬にもなれば、いつの間にか新芽 (茎) の先端に多くの蕾が形成されている状態になります。
薔薇栽培を趣味にされている方にとっては「待ちに待った春の一番花の時期がやってきた!」と実感できる瞬間であるかと思います。
私自身も、この時期の薔薇の成長を見るのが、年間を通じて最も楽しい時期です。
しかし、薔薇の蕾が成長している時は、様々なトラブルが起こってしまうリスクがあります。
その中でも、とてもショックが大きいトラブルの一つが、蕾が付いた花首や茎が折れ曲がってしまうということです。(原因は強風の場合が多いですね。)
この記事では、薔薇の花首が折れ曲がってしまった場合の応急処置を紹介し、実際にその枝の先端にある蕾を咲かせた実例を取り上げたいと思います。
薔薇の蕾の花首が折れ曲がってしまっても、対処できる場合もあるので、是非この記事の内容を御参考にしていただけましたら幸いです。
薔薇の新芽・花首は瑞々しいため折れやすい (強風には注意!)
薔薇は花木に分類されるため、茎や枝が比較的強いイメージがあるかと思います。
しかし、折れにくく強い枝は、基本的に前年発生した枝 (一冬を越して木質化した枝) であり、成長を始めたばかりの新枝はとても瑞々しく脆いのが特徴です。
そのため、少し力が加わっただけでも折れ曲がったり、最悪の場合には枝が真っ二つに「ポキっ」と折れてしまう事が多々あります。
私自身も、過去に何度か茎や花首を折り曲げてしまい、ショックを受けたことあります…。(特にベーサルシュートを折ってしまった時のショックと言ったら…言葉では表現できないものがありました。)
薔薇の新芽や花首が折れ曲がってしまう原因の一つは強風です。
特に、薔薇の一番花が咲く春と言えば強風が吹き荒れる日が多くなります。また、秋には台風シーズンを迎えるため秋の開花を担う枝が折れ曲がってしまうリスクがあります。
さらに、薔薇のお世話をしている時に誤って枝に力が加わってしまい、その力で花首や枝が折れてしまう事もあります。
蕾が形成されてきたら、開花する時まで気を抜けない管理が続く … それが薔薇栽培ですよね。
薔薇の花首が折れ曲がってしまった蕾の例
では、薔薇の花首が折れ曲がってしまった実例を紹介します。
2022年4月初旬の事になりますが、下の写真の様に、鉢植えで育てているシェエラザートの枝が折れ曲がってしまいました。
原因は春の強風です。
この日、午前中に出掛ける時には折れていなかったのですが、夕方に帰ってきた時に折れておりました。
天気予報で風速7m/s~8m/sの予報が出ていたので「ちょっと心配だなぁ」とは思っていたのですが、その心配が現実になってしまいました。
ただし、枝が完全に折れて分断されたのではなく、折れ曲がってしまっている状況です。
このような状況になってしまった時、蕾の開花を諦めて、枝を切り落としてしまう方もいらっしゃると聞きます。しかし、茎の折れ曲がりの程度次第ですが、応急処置で蕾が成長・開花する可能性があります。
茎・花首が折れ曲がった場合の応急処置の例
では、茎や花首が折れ曲がってしまった場合の応急処置の例を紹介します。
とても簡単な方法です。
テーピングです!
下の写真は、上で紹介した枝が折れ曲がったシェエラザートの茎をガムテープで補強した様子です。
折れ曲がる前の状態に近い状態になるようにテーピングをしてあげます。
今回の例では、見やすいようにガムテープを使って応急処置していますが、皆様が実際に処置されるときには、透明のテープや緑色のテープを使ってあげると良いかと思います。その方がテープが目立たなくて済みますので。
ただし、雨に濡れる可能性もあるため、水分に弱いテープや粘着力の弱いテープは避けた方が無難です。
茎が折れ曲がってしまった薔薇は、人間で言うところの「骨折」をしてしまった様な状態です。
ですので、上記の様にテーピング処置 (骨折の際のギプス) をすれば薔薇の茎が徐々に補修されて、蕾に栄養が届きます。
ただし、一度折れ曲がった部分は、正常な茎に比べて折れやすくなっているので、蕾が開花して花柄摘みをするまではテーピングを取らないようにしてください。
上の例では、折れ曲がった茎の先端には合計で5つの蕾が形成されていました。
何も処置をしなければ、5つの花を損することになりかねないので、茎が折れ曲がった場合にはテーピングをしてあげて下さいね!
茎が折れ曲がった蕾も無事に開花しました!
では、ここからは折れ曲がった茎をテーピングによって応急処置した後の経過と蕾の開花について記載していきます。
今回の記事で紹介した折れ曲がった枝は、その先端の蕾は無事に開花することが出来ましたよ!
テーピングの応急処置から10日後の蕾の様子
まず最初に、テーピングをしてから10日後の蕾の様子が下の写真となります。
何事も無かったかのように蕾がどんどん成長してきました。
本来は摘蕾して株に無理をさせないようにすべきなのですが、今回は敢えて摘蕾せずに、蕾を全て成長させてみました。
この時点で、蕾が合計で15個も形成されています。
どの蕾も順調に成長しているので、茎が折れ曲がってしまった悪影響はほとんど無いと言えるのかと思えます。
テーピングの応急処置から21日後に無事開花!
さて、折れ曲がった枝をテーピングで応急処置してから21日が経過し、折れた枝の蕾が開花の時を迎えました。
下の写真となりますが、無事に美しいシェエラザートの花が開花しています。
この蕾の周囲にある蕾たちも、どんどん成長して、今にも開花しそうな状態になってきていることもわかります。
今回の例の様に、枝が折れ曲がってしまっても、薔薇の蕾は開花する可能性があります。
枝が折れ曲がってしまったとしても、直ぐに開花を諦めずに、枝をテーピングしてあげるということを実施してみて下さいね!
茎が完全に切断していたり、皮一枚で繋がっている場合には処置ができない可能性も
上記の通り、茎や花首の部分が折れ曲がった程度であれば、患部をテーピングでサポートしてあげれば薔薇の蕾は成長し開花します。
しかし、場合によっては完全に茎が折れてしまったり、皮一枚で繋がっているような重症になる場合もあります。
そのような場合には、養分や水分が蕾に供給されない状態になる可能性も高く、そのまま蕾が枯れ落ちてしまいます。
折れ曲がってしまった部分をテーピングして、数日経過した後で蕾が垂れ下がってしまったら、開花を諦めることになるかと思います。
ここで紹介した方法は、あくまでも一つの応急処置であり、確実に開花に繋げられる方法では無いことは御理解いただけましたら幸いです。
この記事の終わりに
本記事では、枝が折れ曲がってしまったシェエラザートを例に取り、テーピングによる枝の応急処置を紹介させていただきました。
薔薇の枝は瑞々しく、強風やちょっとした力の印加で簡単に折れ曲がってしまいます。
薔薇のお世話をしている最中に、枝が折れてしまう事も時々起こりますよね。
私自身も、これまでに何度か薔薇の枝を折り曲げてしまった経験が有るのですが、上で紹介したテーピングによって何度も蕾を開花させることに成功しています。
蕾が形成され始めた茎が折れ曲がってしまうと、とても大きなショックを受けるのですが、テーピングによって蕾を開花させられる可能性があることは覚えておいて損は無いと思います。
皆さんも、薔薇の枝が折れ曲がってしまった時には、テーピングによる応急処置を試してみて下さいね!