春の芽吹きの時期や、剪定後に新しい枝が出てきたと思ったら、葉が少しだけ展開して成長が止まった状態の部分 (出開き) や、枝は伸びたが蕾が付かなかった枝 (ブラインド) が見られるかと思います。
それぞれ、薔薇の成長の過程で必ずと言って発生してしまうものです。
プロが育てても、初心者が育てても、必ず出てしまう薔薇の成長現象です。
この記事では、出開きとブラインドについて、対処方法を御紹介していきます。
葉だけが展開した「出開き」
出開きの構造と特徴
「出開き」という言葉は、多分薔薇を育てている方々の「村言葉」な気がします。
他の植物の栽培でも使われるのかもしれないのですが、私は薔薇関係でしか耳にしたことがありません。
出開きは言葉で説明するよりも、下の図と写真を見てもらった方が分かりやすいかと思います。
図1に示すように、元気な芽は葉を展開させながらぐんぐん成長していくのですが、、葉だけが少しだけ出てきて成長が止まってしまうような芽があります。
この部分は、茎が全く伸びず、葉だけが出て開いた状態になるので「出開き」と呼ばれます。
出開きの状態は、その株や位置によっても異なりますが、葉が数枚だけ出てきた状態や、葉の赤ちゃんが幾重にも重なって成長が止まるケースなど、様々な出開きの状態が存在します。
一つ言えることは、成長がそこで止まってしまっており、光合成だけを担うような部分と化しているということです。
芽が伸びるかな?と期待しても、決して伸びません。
そこで成長がストップしていますので、花を咲かせることは無い芽であると考えて下さい。
出開きが起こりやすい状況
出開きの原因は様々ありますが、特定することは困難です。
それぞれの株に特有の問題の場合もあります。出開きが起こりやすい状況は、
- 他の新芽や枝に養分を奪われて枝を展開する栄養が無い
- 肥料が不足し、枝を展開させるエネルギーが無い
- 微量元素が不足して育成不良
- 日照不足による光合成不足で育成が悪い
- 根の張りが悪く、枝を出させるエネルギーが得られない時
などがあります。
しかし、どれが正解かなのかは明確にはわかりません。
私の経験上ですが、出開きができる場所は、枝の頂点部 (最も栄養が回ってくるところ) ではなくシュートの中間部に多く見られます。
所謂、頂芽優勢の効果により、シュートの先端にだけ栄養が集まり、中間地点には栄養が回ってこなかった状態です。
ですので、もし理由をつけるとしたら、栄養分の不足によって芽が十分に育たなかったことが原因ではないか…と個人的には考えます。
また、薔薇の株自身が花を咲かせるべきではない芽であると判断したということも考えられます。必要な花を咲かせて確実に種を作り子孫を残していくという自然の摂理にかなった原因となってという考え方です。
出開きは基本的に対処不要
出開きの対処方法は基本的に放置で良いと考えます。
悪さをする部分ではありません。
葉が出ているので、光合成を行う役割はあります。
特に、葉が少なくなってしまった株の場合には、重要な光合成担当になりますので、残しておきましょう。
しかし、葉の数が十分にあり、内側で込み合ってしまう場合には、ハダニや病気の原因になりかねないので、ハサミで切り落としてしまってください。
出開きの部分の葉は、栄養が回ってこない状態ですので、病気に弱い葉になります。黒星病やうどんこ病が蔓延するようであれば、除去することも考えましょう。
蕾が付かない花枝「ブラインド」
ブラインドが起こりうる状況
ブラインドとは、花を咲かせるための枝が伸びたが、結局蕾が付かずに終わってしまった枝のことを指します。
図2に示すように、元気で健康な芽は最終的に蕾を付けてくれるのですが、ブラインドは枝の先端に蕾ができず成長点が無くなった状態になります。
言い換えると、枝の先端での細胞分裂がストップし、それ以上成長が見込めない枝ということです。
ブラインドの原因は出開きと同じ
ブラインドの原因としては、基本的に上で書いた出開きの原因と同じです。
蕾を付けることができなかった枝という観点から考えると、花を咲かせるだけの栄養が回ってこなかったことや、花芽の準備の段階で花芽が形成されなかったことが主な原因かと思います。
ブラインドについては、私の経験上ですが、株元に近い、あるいは細い枝から出た新芽がブラインドになりやすいです。
これについては、薔薇の頂芽優勢で、栄養をもらえる順位が低い場所だからです。しっかりした太さの位置で剪定すれば、ブラインドを減らせるのかと考えたこともありますが、毎年のようにブラインドは発生するので、理想には近づかないなぁ…と毎年思わされます。
ブラインドの枝も花の期待が持てる
ブラインドは、花枝の先端に蕾が付かなかった状態ですが、その枝の下の方には花芽が付いている可能性があります。
そのため、ブラインドの枝をなるべく太い部分で剪定することをお勧めします。
図2の薔薇の模式図を例に出すと、図3の位置で剪定してみましょう。
すると、剪定部が比較的太い枝部になりますので、剪定部のすぐ下から立派な花枝が再び出てくる可能性が高くなります。
葉の数が減るという点は、この際には気にせずに剪定してしまいましょう。
また、ブラインドの枝を剪定する時期ですが、咲いている花が終わったタイミングで、花が咲いた絵だと同時に選定するようにしてください。
これにより、次の花の開花時期を合わせることができます。
ブラインドであっても、葉がありますので重要な光合成を担うものたちです。また、剪定後には活力剤と肥料を適量与えて、次こそは蕾を付けてくれるように祈りましょう!
最後に -出開き・ブラインドは悪者では無い-
今回の記事では、薔薇の成長で必ず見られる「出開き」と「ブラインド」について説明させていただきました。
それぞれの言葉を始めて聞く方もいらっしゃるかと思いますが、薔薇を栽培すると付き合わなければならない薔薇の特徴なのです。
しかし、どちらも発生したからと言って問題になるものではありません。
プロが管理するバラ園でも見られる現象です。
ですので、現れたからと言って気を落とさず、上記の対処方法で対応してあげましょう。
特にブラインドは、蕾が付かない枝で損をした気分になりますが、次こそは蕾を付けてくれると信じて剪定を進めていきましょう。
きっと次の花期には花を咲かせてくれますよ!