エピデンドラムの育て方と花後の管理法を詳しく紹介

プレゼントでエピデンドラムという蘭をいただきました。

エピデンドラムは、少し馴染みのない名前かもしれませんが、株姿・花姿を見れば「あ、この蘭ですね!」って思われる方も多いと思います。

日本の気候でも比較的育てやすい蘭で、室内でも問題なく育成・開花してくれます。

私が実際に栽培してみてわかった栽培のポイントは、①必ず水苔を使用して乾燥気味に栽培すること、②肥料は少なめに管理すること、③枯れ始めた花枝は早く剪定し次の花枝を出やすくすることです。また、エピデンドラムの栽培で最難関となる冬越しのポイントも紹介させていただきます。

この記事で紹介させていただく管理方法で、繰り返しエピデンドラムの花を楽しみましょう!


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エピデンドラムは実は蘭の仲間です

どんな特徴がある蘭なのか?

エピデンドラムは蘭の一種で、熱帯の中南米が原産となります。

根元から細長い茎を伸ばし、その茎に多くの葉を付けながら成長していき、最終的に枝の頂点に数多くの花を房咲きで咲かせる華やかな蘭になります。

花の大きさは1つたりが直径2 ~ 3cmくらいですが、ボールの様に房咲きをするため、かなり見応えのある花という印象です。

色も赤、ピンク、黄などがありますので、お気に入りの色を選べますし、鉢植えで販売されているものは、複数の色が混植されたものも流通しています。私が育てているエピデンドラムは、黄色とピンクの組み合わせです。

開花期は特に定まっておらず、条件が合えば、新しい花茎を伸ばして花を咲かせてくれます。私の管理環境では春に花を咲かせて、梅雨の頃に新しい新芽をぐんぐん伸ばし夏にも咲いてくれます。調子がいいと、秋にも咲くことがありました。

花茎の長さは、長いものは50cm以上になるものもあるのですが、私が栽培している園芸品種は、品種改良の種類で概ね20cmから30cm程度です。

多年草ですので、長く栽培を楽しむことができますが、原産地が暖かい気候のため、日本の寒い冬は苦手な植物で枯れ込んでしまう場合もあります。そのため、エピデンドラムの栽培で最も手こずるのが冬です。冬さえ乗り切れれば、何度も花を咲かせて楽しませてくれます。以下では、私の実践している冬の管理方法についても記載したいと思います。

エピデンドラムの花の写真

蘭の植え付けは水苔+プラスチック鉢がお勧め!

最適な植え付けは、水苔を巻き付かせた鉢植えです。

蘭という花に一般的に言われることですが多湿が苦手です。

一般的な草花に比べて、根の量が少ないですし、欲する水の量も少なくなります。そのため、一般的な培養土で育てると過湿になり過ぎて、根腐れを起こす可能性が高いです。それに、家の中だと土で栽培するよりも水苔の方が虫も湧きにくいですし、衛生的かと考えています。

水苔は保水性と乾燥性に優れ、エピデンドラムに必要な水分を補給し、比較的早く乾いてくれるので、根腐れの心配は無いですし、丈夫な根を張らせるのに適してます。私は、蘭を育てるのであれば、水苔1択だと考えています。

バークチップを使う方法もあるのですが、乾燥しにくくなると、カビが生えた経験があるので、私は使っていません。

鉢植えは、プラスチックのものでもOKです。プラスチックの方が、綺麗な鉢が多いですし、持ち運びも軽くて楽になります。プラスチック鉢は室内で落下して、割れてしまう危険性も少ないです。

鉢の写真

エピデンドラムの肥料は少なめにしましょう!

エピデンドラムの肥料は、そこまで気を遣う必要は無いかと思います。

市販の蘭専用の肥料で問題ありませんし、比較的ゆっくりと効果が出てくる有機系の置き肥でも問題なく育ってくれました。

少し安価な化成肥料は効き目が早過ぎるのあまり使用をお勧めしません。エピデンドラムは、そこまで強い肥料を必要としないため、肥料焼けによって根の状態が悪くなって危険性があります。化成肥料は生育が旺盛な春~夏の時期は良いかもしれませんが、育成の遅い冬や春先などは使わないようにしたほうが失敗が減ります。

液体肥料については、最も効きが早く植物の吸収も良くなりますが、どちらかというと荒っぽく効果を出させるものです。そのため、液体肥料もエピデンドラムへの使用はあまりお勧めはできません。ただし、濃度を規定量よりも薄くして2週間に1度くらいのペースであれば問題ありません。私もたまに液肥を上げていますが、規定の希釈よりもさらに2倍くらいに薄めてあげています。

肥料を一杯与えれば、一杯花が咲くというイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。与え過ぎは、植物の健康状態の不調に繋がります。適量よりも少ないくらいで育てると、健全な株に育ってくれます。

室内で育てるエピデンドラムの管理ポイント

最適な管理場所は温かく明るい窓辺

室内でエピデンドラムを育てる上で、最も適した管理場所は日当たりの良い明るい窓辺です。

私も屋外ではなく室内でエピデンドラムを栽培をしていますが、一日を通じて日当たりの良い窓辺に置いておくと、成長も良いですし新芽の数も多くなります。同じ蘭の仲間の胡蝶蘭も、エピデンドラムと同じ場所で育てていますが、両方とも問題なく生育しているので、胡蝶蘭が育つ場所であれば、エピデンドラムも栽培可能と言えます。

太陽光が全く当たらない場所になると、光合成ができないので、花茎の伸びる量や、花の数も少なくなってしまいます。蘭の仲間は室内で育てられるので、耐陰性があるようなイメージがありますが、そんなことはありません。比較的日陰に強いというだけで、本来は日光が大好きな植物です。

毎年、たくさんの花を咲かせてくれるように、明るい窓辺の特等席を用意してあげましょう。

窓辺の植物の参考写真

紫外線も室内栽培で大事なポイント

室内栽培で大事なポイントの一つが紫外線の確保だと思います。

最近の住宅用のガラスには、「UVカット」という紫外線を反射するものが多くあります。人間にとっては、肌のシミや皮膚がんの原因になる紫外線ですが、植物にとっては、紫外線は生育に必要な光になります。

御自宅の窓ガラスに、UVカットの窓ガラスを使用されている方は、時々ガラス越しではなく、窓を開けた直射日光を浴びせてあげると、より健康に育てることができますよ。

毎日直射日光に当てる必要は無いです。3日に一度、無理であれば週に1度でも効果があると思います。ぜひ実践してみて下さい。

紫色のエピデンドラム

最も栽培難易度の高い冬を乗り越えよう

冬場の管理を乗り越えられれば、エピデンドラムの栽培をマスターしたのも同然です!冬を乗り越えれば、毎年のようにエピデンドラムの花を楽しむことができます。

エピデンドラムは、屋外ではさすがに日本の冬に耐えることができません!たまに、玄関先にエピデンドラムを置いてある御家庭を見ますが、冬越し出来ているところを見た試しが無いですね。

沖縄の冬であれば温かいので問題ないかもしれませんが、九州以北の地域では気温が一桁または氷点下になるので、屋外では枯れてしまいます。

そのため、春から秋にかけて屋外で栽培されていたエピデンドラムは、冬になる前に必ず室内で管理するようにしてください。

冬は暖房によって20℃~25℃くらいに部屋を暖めると思いますが、夜間に暖房を切ると再び5℃くらいに気温が落ちます。この低い気温と20℃近い急激な気温の変化は、エピデンドラムは原産地では経験しないような環境のはずです。

ただでさえ気温が低いのに、さらに急激な寒暖差までつくと、エピデンドラムが健康状態を崩す原因となります。最悪の場合、枯れてしまうでしょう。

そのため、日当たりが良く、暖房を使っても温度がそこまで上がりにくい場所、そして夜間も気温が下がりにくい場所を探してみてください。

「そんな難しいこと言わないで」って感じですね…。

各御家庭にそのような場所があるか分かりませんが、2階建てのお家の場合、2階の窓辺の方が気温も下がりにくいです。私の家の場合には、階段の踊り場にある小窓の窓辺が気温が比較的高く、寒暖差がおこりにくい場所に当てはまりました。

冬の植物の写真

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花柄は早めに摘み取り次の花の準備を開始する

花柄摘みの方法について

エピデンドラムの花は、房状に多く咲くので、一見全体的に長く咲いているように見えます。

しかし、一つ一つの花の寿命はそこまで長くなく、概ね1週間くらいで順番に枯れ落ちていきます。

花が終わると黒ずんで見栄えが悪いので、枯れ始めたら一つ一つを取り除いていきましょう。枯れた花を放置することで病気の原因になったり、カビが生えたりするので早めに摘み取ることが大切です。

終わった花を早めに摘み取ることで、次の蕾が成長し次々と開花しやすくなります。下の写真は、枯れた花の一例です。ここまで枯れてしおれる前に除去するようにしましょう。

枯れたエピデンドラムの花

花が全て終わった後の処理は?

また、蕾が全て咲ききって、花が終わったら、葉を残して花首の部分で切り落としましょう。

蕾が全てなくなり、全ての花が終わると、下の写真の様な状態になります。

花の終わったエピデンドラム1

この状態になったら、花が咲いていた部分だけを切り落とします。下の写真で示すように、葉は切り落とさず、花のあった部分だけを切り落とします。

花の終わったエピデンドラムの剪定

葉は、次の花芽を育てるための、大切な光合成の役割を担いますので、葉が枯れるまでは残しておきます。花が終わると、その花枝の葉も徐々に枯れていきますので、枯れた葉から順番に除去していきましょう。

そして、花が終わるころになると、根元から下の写真に示すような新芽が顔を出します。嬉しい瞬間です。この新芽が出てきてくれれば、株自体が充実している証拠ですし、しばらくすると花を再び咲かせてくれます。

エピデンドラムの新芽の写真

新芽を大事に育てるにはどうするの?

エピデンドラムの新芽は、株元から元気よく出てきます。

下の写真に、新芽の例を示しますが、株元から緑色の新しい芽が2本出てきていることがわかります。

大きく伸びたエピデンドラムの新芽写真

この2本の芽が、これから新しい葉を展開させながら成長し、花を咲かせてくれる大事な花茎になります。

この新しい茎が立派に育つには、古い茎が邪魔になることが多々あります。エピデンドラムは葉が多く、そして葉が固いので新芽の成長する場所に古い葉があると邪魔になってしまいます。

そのため、新芽がある程度成長したら、古い茎は切り落としてしまいましょう。

新しい茎も多くの葉が付きますので、新しい茎に光合成をたくさんしてもらえば問題はありません。

新芽の長さが概ね10cmを超えてくるタイミングが、隣接する古い枝を切り落とすタイミングになると考えて下さい。

次の写真は、新芽が10cm以上に大きくなった時の写真を示しますが、黄色の矢印が新芽、赤色の矢印が古い茎になります。新芽が成長すると、上の方で葉が込み合い、新芽の成長を妨げる状態になってしまいます。

エピデンドラムの新芽の成長

この暗い新芽が育てば、新芽の光合成だけでも成長できますし、古い茎は葉が枯れてくるので、思い切って切り落としてしまいます。

次の写真に掲載の通り、3本の新しい芽だけを残して、すっきりと剪定してしまいました。ここからは新芽の光合成だけで力強く成長していただきましょう!

剪定後のエピデンドラム

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複数本を植えて窓辺を華やかに!

エピデンドラムの魅力は、何と言っても花枝の頂上に形成されるボールのような花束です。

小さな花が次々と咲くため、一つの花の寿命はそこまで長くないですが、花のボールの状態を約1か月くらい楽しむことができます。

また、可能であれば、複数の株を同一の鉢に植えてあげると、複数の花のボールが咲き誇りますので、より豪華な鉢植えにすることができます。また、複数の色のエピデンドラムを同じ鉢に植えることで、単色の場合よりも美しい鉢植えになります。

同じ品種のエピデンドラムで揃えれば、花茎の長さも同じくらいにまとまるので、まるで窓辺に花の花火が開くような景色ができあがりますよ。

この記事のまとめ

この記事では、蘭のエピデンドラムについて、私が実践している栽培のポイントと冬越しに大切なことを御紹介させていただきました。

エピデンドラムの栽培で重要なことは次の4点です。

①土ではなく水苔を使用して栽培し、乾湿のメリハリをつけた栽培をすること。

②肥料は少なめで、日当たりの良い窓辺で管理すること。

③枯れた花から取り除き、葉が枯れ始めたら花芽を剪定すること。これにより、次の花芽が発生しやすく繰り返し花を楽しむことができます。

④栽培の中で最難関の冬越しは、家の中で最も明るく温かい場所で管理すること。

エピデンドラムは、しっかりと面倒を見ることで繰り返し花を咲かせてくれる優秀な蘭です。

皆さんも、園芸店でエピデンドラムを見つけたら、是非手に取って栽培をしてみてくださいね。

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