薔薇に合う青色の花「デルフィニウム」の栽培方法と成長記録

花の女王と呼ばれる薔薇が出すことができない色…それが「青色」です。

深紅、オレンジ色、白色…様々な色の薔薇がありますが、育種が進んだ現代でも青色の薔薇は一部を除き誕生していません。薔薇の世界では少しだけ青みがかったような薄紫色の薔薇を「青い薔薇」と呼んでいるのが現状です。

そのため、薔薇の花壇に青色の花を加えようとすると、薔薇以外の草花で補ってあげる必要があります。

青い花を咲かせる人気の多年草に「クレマチス」がありますが、クレマチス以外にもホームセンターでも簡単に入手でき、安価で栽培が容易な草花の中にも鮮やかな青色を持つ花が存在します。

その中でも特に美しい青色を持つのが「デルフィニウム」です。

青い空をそのまま花の色にしたような美しい花が咲くので、園芸店で多くの花が陳列された中でも一際目立つ存在になります。

この記事では、デルフィニウムの特徴や栽培方法、成長の様子までを詳細に紹介したいと思います。

薔薇に合わせる青色の花に迷ったら、デルフィニウムを選んでおけば間違いありません!


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デルフィニウムが薔薇の開花にマッチする理由

まず最初に、デルフィニウムが薔薇にマッチする理由から紹介します。

デルフィニウムは花が青いというだけでなく、他にも薔薇に合う理由があります。

以下でデルフィニウムを薔薇に合わせる4つのメリットを記載します。

薔薇では出せない鮮やかなブルーが特徴

まず最初は、冒頭でも述べましたが、薔薇には出せない鮮やかな青色の花を咲かせることです。

絵の具の中にある青色を選んだような花色は、他の草花にも中々出せない色だと思います。

私自身、園芸店に良く足を運びますが、デルフィニウムの青色を始めて見た時には「絶対に薔薇に合う」と思えるくらいのインパクトがありました。

紫に近いような色をしている花もありますが、まさに青空の青色を花弁に閉じ込めているような鮮明さがあります。

薔薇の開花期に蕾が付いた苗が販売されること

2つ目のポイントは、蕾が成長している苗が3月中に園芸店に並ぶことです。

「薔薇と一緒に青い花を咲かせたいけど、今年は仕込んでないから諦めるしかないかぁ…」という心配をする必要はありません。

3月に店頭に並んだデルフィニウムは、多くが蕾が付いている状態なので、3月中旬からの薔薇の開花期にも間に合って咲いてくれます!

販売されている苗の状態にも依りますが、蕾が大きく成長している苗や蕾が上がり始めたものもあるので、苗を選べば開花時期の調整もできると思います。

花期が長いため薔薇の開花期に長く対応できること

3つ目のポイントは開花する期間が約2カ月くらいと長い事です。

デルフィニウムは、一つの花芽が終わったら開花が終了では無く、蕾を複数回上げてくれます。

薔薇の1番花は、品種によって3月中旬から5月中旬が開花期になるので、その期間咲いてくれる方が嬉しいです。

デルフィニウムは、まさにその期間、蕾を作って花を咲かせてくれるので、薔薇の開花期を完全にカバーしてくれます。

花芽の背丈が高く薔薇の咲く位置で咲いてくれる

4つ目のポイントは背が花芽の背丈が比較的高いことです。

青い花は他にも数多くありますが、背丈が小さく地面に近い所でしか咲かないものも多いです。そのため、背の高い薔薇の花とマッチさせることはできません。

デルフィニウムの場合、花芽の背丈が高いものだと40cmくらい伸びます。そのため、鉢植えのコンパクトな薔薇であれば薔薇の花の隣で青い花を咲かせることができます。

大きく伸びたつる薔薇に合わせることは難しいですが、背丈が50cm程度の薔薇であれば問題無く開花位置を合わせることができるかと思います。

花芽が長いと、薔薇と一緒に切り花として楽しむ時にもメリットが出ますね!

薔薇と咲かせるならデルフィニウムは鉢植えがお勧め

デルフィニウムは地植えでも鉢植えでも育てることができますが、私自身は鉢植えで育てることをお勧めします。

理由は次に記載する2つの点です。

移動できると様々な薔薇と合わせることができる

鉢植えで育てるメリットは「移動が可能であること」です。

薔薇の開花期は品種によって異なるので、3月下旬にはこの薔薇の隣で咲かせて、4月になったら別の薔薇の隣で咲かせて…という移動が可能になります。

地植えにしてしまうと移動が出来ないので、近くで薔薇が開花している時は良いのですが、薔薇の開花期が終わるとデルフィニウムだけが咲いている…という少し寂しい状況になってしまいます。

鉢を移動して花弁を雨に当てないようにすることが可能

デルフィニウムの花は、下でも紹介しますが、花もちがとても良いです。

2週間以上、開花状態を維持してくれる特徴があります。

しかし、花弁が雨に濡れてしまうと、綺麗な青色に染みが出来てしまうため、花の美しさが劣化してしまいます。

そのため、開花後は極力雨にぬらさないように、移動できる鉢植えが理想的です。

日本では1年草となるため枯れ落ちた後の処理が楽

デルフィニウムは多年草と紹介されている場合がありますが、私の住む関西圏では夏を越せません…。

日本の夏は年々暑くなっていますが、特に市街地の夏の暑さは厳しく、デルフィニウムは枯れてしまいます。

私の経験ですが、春にデルフィニウムを購入しても8月中旬には、水やりをしても枯れてしまうような状態になるため、毎年夏に廃棄しています。

そのため、鉢植えの方が後処理が楽なので、毎年鉢植えで楽しんでいます。


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デルフィニウムの鉢への植え付け方法

ここからは、デルフィニウムの鉢への植え付けについて紹介します。

今回は、5号鉢にデルフィニウムを植え付けます。デルフィニウム・チアブルーという品種を選びました。

デルフィニウムの株元は、花が咲かずに寂しくなるので、背丈が無く青い花を咲かせる「ロベリア」を株元に混植します。

デルフィニウムは基本的に苗で入手することが多いと思いますが、苗で流通しているものは、活発に活動をしている元気な成長期の苗となります。

そのため、ポットから取り出すと下の写真の様にびっしりと白い根が張っていることがほとんどです。

私自身、薔薇と一緒にデルフィニウムを楽しむため、2019年から3年連続で春のデルフィニウム苗を購入していますが、毎年根がびっしりと張っている状態で流通しています。

この根鉢を崩すか否か…という点では、根鉢を崩す派の方と根鉢をそのまま植え付ける方に分かれます。

私の個人的な考えですが、蕾が形成されていて花が咲きそうな苗であれば根鉢は崩さずに植え付けます。

根鉢を崩して根を傷つけたことが原因で、せっかくの蕾が咲かなくなったら悲しいので…

逆に、蕾が形成されていないような若い苗であれば、根鉢を少し崩してあげたほうが、その後の根の張りが良くなりますね!

デルフィニウムの培養土に関しては、基本的に乾湿が付きやすい水捌けの良い培養土が良いです。

花をたくさん咲かせる草花は、根の張りを良くして花の数を増やしていきますが、根がしっかりと成長するためには土の乾湿のメリハリが重要になります。

薔薇を育てているのであれば、薔薇の土を流用すると良いです。薔薇専用の土は基本的に水捌けの良い土が多いので、様々な草花の栽培にも適しています。

また、クレマチスやクリスマスローズなどのキンポウゲ科の植物用の培養土でも問題無いです。

下の写真が植え付け直後のデルフィニウムの鉢になります。

ロベリアを一緒に植えたことで、鉢表面の土が隠れてくれて良い感じです。ここからデルフィニウムもロベリアもたくさんの花を咲かせてくれると期待ですね!

デルフィニウムの開花と開花後の特徴

上で植え付けを行ったデルフィニウムですが、下の写真が最初の花の開花の様子です。

まさに青空を思わせるかのような澄んだ水色ですね!

株元に植えたロベリアもちょうど満開になりつつあります。

デルフィニウムはこのように背の高い花芽を伸ばしてくれるので、本当に使い勝手の良い品種だと思います。

上で紹介した通り、薔薇が開花する位置にも合わせられますし、寄せ植えの後ろに配置する花としても用いることが可能です。

下の写真は「オステオスペルマム・カルメン」と「ミニガーベラ」の寄せ植えに並べた様子です。

他の花には無い水色なので、どの花と合わせても色が被ることがありませんし、やはり青色の花があると雰囲気が一気に変わりますね。この姿を見ると、毎年春にデルフィニウムの苗を購入することが恒例行事になってしまうんですよね…。

また、デルフィニウムの花は、意外と花もちが良いです。

マーガレットなどは数日でしぼんでしまいますが、花が咲くと2週間以上という長い間、開花した綺麗な状態を維持してくれます。これだけ綺麗な花が2週間以上咲いた状態を維持してくれるのは、かなり嬉しい特徴だと思います!

下の写真は咲き始めと2週間後の状態を並べたものになります。

最初に咲き始めた花も2週間後には色褪せることなく残り、他の蕾たちが開花してより華やかな状態になっています。ただし、花弁が雨に濡れると染みが出来てしまうので、雨には濡らさない方が良いです。

薔薇は品種によって咲く時期が異なるため、デルフィニウムの開花期間が長い事、そして花もちがとても良いという特徴は、薔薇と一緒に咲かせる上ではとても心強い特徴です。

次の写真は、花が終わりかけているデルフィニウムの写真になりますが、花が終わりごろになると鮮やかな青色がくすんだ青色に変化してきます。

このくらい花の色が落ちてくると、花弁が落ちて枯れてくるので、早めに花柄摘みをしてあげてください。

ちなみにですが、この写真の状態になるのに開花から20日です。相当花もちが良いですね!


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デルフィニウムは簡単に種が採取できます!

デルフィニウムはお花が終わると、花の中央部分から小さな莢 (さや) が出てきて、種が形成されます。

下の写真にその様子を示していますが、花の中心部分から小さな莢が出てきていることが分かるかと思います。

この莢が枯れたような茶色になると種が成熟したサインになります。

実際に種が完成した時の様子が次の写真になります。莢の上部が割れており、中には小さな種がいっぱい詰まっています。

種が零れ落ちないように、優しくハサミで切り取り、ティッシュの上で莢を開いてみました。(次の写真)

中からは、大きさが1mm程度の小さな種が数十個出てきます。

この種を取っておいて、10月頃に種まきをすると、翌年もデルフィニウムの花を楽しむことができます。

種の保管方法ですが、基本的に冷暗所で保管することになります。

ただし、種が取れるのが日本の梅雨の時期に重なるため、種を採取した際に種が湿っていることがあります。

種が湿ったままで冷暗所に置くとカビてしまったりするので、明るい窓辺などで1日から2日くらい乾燥させてから保存するようにします。

種は一株からかなりの量が取れますので、発芽率にも依存しますが、来年はデルフィニウムをプランター一杯に咲かせることができるかもしれません。是非、種の形成と種まきも楽しんでみて下さいね!

薔薇と並べて咲かせた写真の紹介

2021年の春に咲いた薔薇とデルフィニウムを並べて撮影した写真を紹介します。

一つ目は深紅の薔薇の最高傑作と言われる「イングリッド・バークマン」と並べた写真です。

深紅の薔薇とは相性が悪そうだと思ったのですが、実際に並べてみるとしっくりきますね。

青いデルフィニウム、赤いイングリッド・バークマン、そして薔薇の緑の葉がそれぞれに引き立たせ合っていると言えるかと思います。

次の写真は、ブルームーンとデルフィニウムの写真です。ブルームーンの株の中に無理やりデルフィニウムの鉢植えを突っ込んだので、無理やり感のある写真ですが御容赦下さい。

やはりお互いに寒色系の色ということで、しっくりくる組み合わせですね。

ただ、ブルームーンの花は大輪の紫になるのですが、ブルームーンの花が存在を主張しすぎる感があるので、少し離れた場所で組み合わせる方が良い様に思えます。

次の例はショッキングピンクのルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサールです。

ショッキングピンクと言うかなり明るい赤色なので、この組み合わせの色は好みが分かれると思いますね。

ただ、私個人としては好きな組み合わせです。ルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサールの色が完全にデルフィニウムに勝っているので、デルフィニウムが良い引き立たせ役になっています。

最後の例はデルフィニウムとガブリエルの組み合わせです。

ガブリエルは花の内側に神秘的な薄紫色の花弁を持つ人気の薔薇ですが、青いデルフィニウムとはかなり相性が良いと言えますね。やはり、白と青は愛称が良い色です!

デルフィニウムをたくさん咲かせるためのポイント

デルフィニウムに限らず、草花は少しの工夫で花の数を増やすことができますし、安定して咲かせてあげることができます。

折角、長い間咲いてくれる草花なので、その特徴をしっかりと出してあげられるようにしたいですね。

肥料は一定量を常に供給する置き肥がお勧め

デルフィニウムはたくさんの花を咲かせてくれますが、薔薇の様に花弁数が多いわけでは無いので、それほど大量に肥料を必要とするわけではありません。

開花する前の成長期に加えて、開花期が比較的長い事を考えると、常に一定量を供給できるような施肥が理想的になります。

例えば、即効性のある液肥を週に1度与えるよりも、2ヵ月くらい効果が持続する固形の緩効性肥料の方が適していると思います。

私自身、デルフィニウムの栽培には液肥をあまり使うことがありません。

常に一定量の肥料成分が効いてくれれば、長い期間、蕾をしっかりと形成して開花してくれます。

太陽の光が大好きなので日当たりの良い南向きの場所で栽培

デルフィニウムの花数を増やすためには、やはり光合成をしっかりと行って、蕾をたくさん形成してもらわないといけません。

そのため、しっかりと太陽光が当たる南向きの場所で管理することが最適です。

日光をしっかりと浴びていれば、3月の後半から5月までは定期的に蕾を上げて開花してくれます。

花が咲き終わった後に、次の蕾を形成するのにも光合成は必須となりますので、可能な限り日当たりは確保してあげて下さい。

長くなった花芽 (茎) は支柱を立てることもお勧め

デルフィニウムは花芽 (茎) が長く伸びるため、春の強い風で花芽が折れてしまう事が意外に多いです。

そのため、適宜支柱を使うか、構造物に固定する等の対応をしてあげて下さい。

また、花芽が不安定だと蕾を付けようとしなくなる草花があると聞きます。特に春は強い風が吹く季節でもあるので、風よけの無い場所では強風対策をしてあげることもお忘れなく。

この記事の終わりに

この記事では、薔薇に似合う青色の花として「デルフィニウム」を紹介させていただきました。

デルフィニウムは多年草として育てることもできますが、日本の厳しい夏を越すことが難しく、基本的には春から夏までを楽しむ草花になります。(涼しい地域では夏越し可能かもしれませんが、暑い市街地では厳しいです。)

しかし、薔薇に無い青色の花を持つこと、開花期間が長いこと、花つきが良いこと、そして花もちが非常に良いという特徴は、薔薇と一緒に咲かせるととても美しい花壇・お庭を演出できることは間違いありません。

特に「花もち」の観点では、開花後に2週間以上も開花状態を維持してくれるので、春の花壇を彩るのにとても心強い植物です。

育て方もとても簡単で、苗も安価に手に入るので、毎年購入したくなる草花と言えます。

皆さんも、薔薇の庭を彩るために、青色のデルフィニウムを育ててみてはいかがでしょうか?

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