お盆を過ぎると朝晩に涼しさを感じられる日もありますが、それでも9月の前半までは35℃を超える日もあり、秋が恋しい時期になります。
そんな8月の後半は、薔薇栽培をされている方にとっては「薔薇の夏剪定」を計画し始める時期でもありますね。
10月の秋の薔薇を綺麗に咲かせるための夏剪定になりますが、その夏剪定を行う前に、事前にしておくべきことがあります。
毎年実施している方もいるかもしれませんが「追肥」です。
私は夏剪定をする前の8月の終わりに、薔薇のお世話の一つとして、必ず追肥を実施しています。
なぜ夏剪定の前に追肥したほうが良いの?と疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、その理由について私の考えも交えながら紹介していきたいと思います。
夏は肥料を忘れがちになります
日本の夏は年々暑くなり35℃以上が当たり前になってきました。
そのため、朝晩と言えど涼しいクーラーのきいた部屋から出るのが嫌になり、それと同時に薔薇のお世話をすることも嫌になってきます。
そのため、肥料を与えるという作業でさえも忘れてしまうんですよね…。
どんどん成長するので肥料が効いていると錯覚する
薔薇は夏の間、成長がとても早く、あっという間に新芽が成長していきます。
剪定しても剪定しても新芽がどんどん生えてくるので、あたかも肥料が切れていない、肥料がしっかり効いているという錯覚に陥りがちです。
しかし、夏の暑さによって緩効性肥料は春よりも溶けやすく、バクテリアの動きも活発になるので、有機肥料の分解も活発になります。そのため、知らぬうちに肥料切れを起こしてしまうこともよくあります。
夏は成長が早いので、その成長を支える肥料が必要ですが「成長している=肥料が十分に効いている」ではないので注意が必要ですね。
夏の暑さで各種作業が億劫になる
肥料を忘れるというよりも、外に出たくないので施肥の作業もしたくない…
私もその気持ちわかります。
正直なところ、暑い暑い8月は、薔薇の栽培も最低限の作業以外はしたくなくなります。
朝晩でさえも、複数本の薔薇があるだけで、水やりも時間がかかり嫌になることもあります。
そのため、夏の肥料は液体肥料を利用しがちになるのですが、即効性しか無く長く効かないため、定期的に与えて無いと意味が出てきません。
夏剪定前に肥料を与えるべき理由
夏剪定の前に肥料を与えておくべき理由は、上で紹介したように忘れがちな肥料を確実に夏剪定の前に補給しておくためです。
夏剪定を行ってから追肥するという方もいらっしゃるかと思いますが、剪定をする前に肥料を与えておくことで、薔薇がしっかりと肥料を吸い上げた状態で剪定することができます。
それによって、剪定後に新しい芽が芽吹いてくることをサポートすることができ、秋の開花へ向けた良いスタートを切ることができるようになります。
夏剪定をしてから肥料を与えても、その肥料は効いてくると思いますが、夏剪定と同時に追肥をすると、剪定と追肥という2つの大きな変化を一度に薔薇の株に与えることになります。
植物と言うのは急激な変化を嫌う傾向にあるので、剪定して株のエネルギーの使い方が大きく変化することと、根の吸い上げる肥料分が一気に変わることは避けておくべきだと考えています。
まず最初に追肥で栄養分を与えた状態で株を育て、その後に夏剪定するという方法にすることで、薔薇の株に与える変化を少なくすることができます。
夏剪定前の追肥は2週間前の緩効性肥料がお勧め
液体肥料は即効性がある半面、肥料が有効的に効く期間は非常に短いです。
そのため、しばらくの間、変化をあまり与えずに肥料分を効かせるという観点では、夏剪定前の追肥に液肥の使用は避けたいところです。
私も実際に液肥は与えることなく、比較的ゆっくりと効く緩効性の肥料を与えています。ただし、安価な緩効性肥料は直ぐに効果が出て、直ぐに効果が消えてしまうものもあるので注意してください。
また、夏剪定前の追肥ですが、理想的な追肥の時期と言うのは薔薇の種類によって変わるので、一概にいつが良いといことは言いにくい所があります。
しかし、夏剪定前の追肥の時期として、一つの指標としては8月末くらいが適切かと思います。
9月の第一週から第二週にかけて夏剪定の作業がやってきますので、その2週間前には追肥をしています。
また、薔薇によっては剪定後に花が咲くまでの期間が早い品種と遅い品種があります。そこまで気を遣う必要は無いかと思いますが、花が咲くまでの期間が短いものは少し早めに夏剪定前の追肥をしてあげたほうが良いかと思います。
同時に剪定しても、品種によって開花までの期間が2週間くらいずれる品種もありますので、追肥の時期は管理されている薔薇の特性を考えて実施てみても良いかもしれません。
私は面倒なので全て同時に与えてしまっていますが…。
お勧めの緩効性肥料はマイローズばらの肥料
個人的におススメの緩効性肥料は住友化学園芸さんから発売されている「マイローズばらの肥料」です。
私は薔薇の栽培を始めてから、ずっとこの肥料にお世話になっています。
窒素 : リン酸 : カリウム : マグネシウム = 10 : 13 : 6 : 1 という比率であり、土に活力を与える腐植酸も配当されています。
また、施肥から2~3カ月の間、継続して肥料が効いてくるので、8月の終わりに追肥すると秋の開花まで十分に肥料を供給してくれます。
もし、薔薇の肥料を意識をしたことが無い方であれば、ぜひ試してみて下さい。
この記事の終わりに
この記事では、夏剪定をする前に事前に追肥をしておくことの重要性を御紹介させていただきました。
夏の園芸作業は、暑さとの戦いでなるべく作業量を減らしておきたいところではあります。しかし、夏剪定と追肥を同時にすると薔薇の株には2つの大きな変化が起こることになります。
そのため、夏剪定と追肥を同時にするのではなく、事前に肥料を与えて株に栄養を与えた状態で夏剪定に入ることが望ましいのだと考えています。
今まで夏剪定のタイミングで追肥をされていた方も多いかと思いますが、今年はひと手間かけて夏剪定の準備をしてみてはいかがでしょうか?