【薔薇】花後に不調の場合は摘心と芽かきで回復を!

四季咲き性の強い薔薇は、4月に春の最初の開花を迎え、早い品種では6月には2番花を迎える薔薇もあります。

冬の休眠期に蓄えた養分・エネルギーを使って1年のうちで一番素晴らしい花を咲かせた薔薇は、初夏のシーズンにはその疲れから調子を崩す株があります。

薔薇自身は本当に頑張り屋の植物で、開花後に剪定をすると、すぐに次の芽を出して新しい花を咲かせようとしてくれます。

しかしながら、常に全力疾走させると株が花を咲かせることだけにエネルギーを使うため、葉や茎が充実しないという弊害が起こることもあります。

そんな頑張り屋さんの薔薇の勢いを制御するため、新芽の芽かきや蕾の摘心は必須の作業かと思います。

この記事では、初夏~夏の時期の摘心と芽かきについて取り上げていきたいと思います。


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春の開花後に調子を崩した薔薇の例

春の1番花を開花させた後、例年は6月後半くらいには2番花が咲くはずなのに、今年は2番花の花期を迎えなかった薔薇があります。

「イングリッド・バークマン」と「プラム・パーフェクト」です。

イングリッド・バークマンは毎年6月の後半くらいには2番花の蕾が大きく膨らみ、開花の時期を迎えていたのですが、今年は少し体調を崩してしまったようで、6月後半には蕾が少しだけ顔を出した程度の状態でした。

また、下の写真は新しい芽が出てきた様子のイングリッド・バークマンですが、ハダニは発生していないのに葉の色が黄色く変色している部分があります。この黄色は葉は1番花の時に芽吹いた葉なのですが、その多くが黄色く変色して枯れ落ちてしまった状態でした。6月後半に入り新しい芽が出て葉がたくさん付いている状態ですが、この新しい葉が無い時期には、葉が数枚付いているだけの状況でした。

次の写真はプラム・パーフェクトの例ですが、こちらも1番花の後に体力を使い果たしたように葉が黄色くなりました。葉が黄色くなってきたところに、追い打ちをかけるように少しだけハダニの被害を受けていました。

こちらのプラム・パーフェクトは少し体力の消耗がひどく、新しく出てきた新芽は1本だけでした。もっと多くの新芽が芽吹くと思ったのですが、相当株の体力消耗がひどかったのか、新芽を多く出させる体力も残っていなかったようです。そのため、葉の更新が出来ず、1番花の時の古い葉が付いたままです。この黄色くなった葉を取ってしまうと丸坊主になるので、それを防ぐために葉を残しています。見た目は悪いのですが、光合成が出来なくなることは避けたかったです…。

摘心を行う株について (私の考え)

葉の数と枝の数が少ない薔薇は、新芽を芽かきで除去してしまうと、その後にも枝がなかなか伸びず、葉の数も少なく…という状況になってしまうかと思います。

そのため、葉の数も枝の数も少ないような薔薇であれば、芽かきをせずに蕾が顔を出すくらいまで新芽を成長させるようにしています。

株が弱っているので、新しい芽を伸ばさせること自体が負荷になってしまうのですが、葉が無い状態というのは最も避けたい状態なので、少しだけ頑張ってもらって葉を付けてもらうようにします。

上で紹介したイングリッド・バークマンとプラム・パーフェクトの例では、葉の状態が非常に悪く、枚数も乏しい状態でした。そのため、新しい葉に光合成を頑張ってもらいたかったので、新芽を伸ばして蕾が形成された時点で摘心をすることとしました。

摘心の方法は簡単で、下の写真に示すように、蕾が出てきたところで摘み取ってしまうだけです。

摘心をする場合、蕾は小さければ小さい方が好ましいです。蕾が大きくなると、その分だけ養分を使うことになるので、できればその養分は株の充実に使いたいためです。

摘心をすると決めた薔薇は、なるべく毎日様子を見て蕾の形成具合を確認しておくべきかと思います。

また、新しく出てきた葉は病害虫に最も狙われやすい部分のため、スプレー型の病害虫対応スプレーで保護しておくと良いと思います。


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芽かきを行う株について (私の考え)

摘心ではなく、出てきた新芽を直ぐに除去することを「芽かき」と呼びます。

新芽が芽吹き始めた直後に目を除去するということで、新しい芽の成長に養分を全く使わせないという成長の制御が出来ます。

そのため、薔薇の株は少し疲れているようであるが、元気な葉がある程度残っているような株に対しては「芽かき」を行うようにしています。

上の摘心を行う例では、葉の数が少なく直ぐにでも新しい葉が欲しい場合を紹介しましたが、ある程度の葉が残っていれば摘心まで待つ必要は無いと思います。

薔薇は頂芽優勢の性質により、常に一番高い所にある成長点から芽を成長させようとします。

下の例はフロリバンダのジュビレ・デュ・プリンス・ドゥ・モナコの例ですが、シュートの先端から2本の新芽が出てきていることが分かります。

この2本の新芽を手で摘み取ってしまうことで、成長点を失わせます。

その後、1週間程度経つと、もう一つ下の発芽点から新芽の発芽が見られます。

その芽を成長させるか否かは、株の樹形や状況を見て決定するようにしています。

新芽を芽かきで除去し続けると、光合成で得たエネルギーの行き場がなくなり、ベーサルシュートの発生に繋がる場合もあります。

芽下記の作業を行っていると、いずれ薔薇の体力が十分に回復してくると思いますので、そのタイミングを見計らって新しい枝を伸ばさせて、株を充実させるという方向へ持っていくのが良いのかと思います。

体力が減っている薔薇の管理方法は?

薔薇の体力が減っている場合、肥料が完全になくなるのは株の維持という観点で良くないと思いますが、与え過ぎはもっとよろしくない事と思います。

私自身、薔薇の体力が減って不調になったことは何度か経験をしていますが、固定費量ではなく、液体肥料を規定倍数よりもさらに薄めて週に1度与えるようにしています。

大体の目分量ですが、規定量の液体肥料よりもさらに2倍くらい薄めた液体肥料になります。

また、液体肥料と併用して活力剤を使用しています。活力剤は土に不足する微量元素・栄養素の補填などで、根の張りを充実させて薔薇の元気を取り戻させる効果があります。

薔薇に元気が無い時は、肥料よりも活力剤の方が適しているのではないかと思います。液体肥料を与えた3日後か4日後に活力剤を与えて、丁度交互に肥料と活力剤を補給するような与え方を行っています。

この方法には賛否両論あるかもしれませんが、現時点でこの方法で薔薇の具合が悪い方向へ向かったことは無いので、あながち間違った方法ではないと思います。


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この記事の最後に

この記事では、春の開花後に体力を使い果たしてしまった薔薇の管理方法として、「摘心」と「芽かき」を紹介させていただきました。

1番花の後に葉が極端に少なくなってしまった株については、葉の再生が最優先になると思いますので、出来れば新しい葉を付けるという意味で、芽かきではなく摘心をお勧めします。

また、ある程度の葉が残っており、すぐに新しい葉が必要にならない株については、芽かきによって体力の温存、および発芽点の調整を行うようにしています。

体力を失った薔薇の株を見ると、本当に心配になるのですが、枯れていなければ新芽を必ず出してくれるので、少しだけサポートしてあげる程度で再起してくれるはずです。

もし、栽培中の薔薇が同じような境遇に合っていたら、この記事で紹介させていただいた方法で株の回復を目指してみてはいかがでしょうか?御参考になれば幸いです。

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