初秋から晩秋にかけて、鮮やかな紫色の花を咲かせてくれる「リンドウ」。
茎の先端付近にベル型の可憐な花を幾つも咲かせてくれるので、花壇や寄せ植えがとても爽やかになります。また、栽培方法も比較的容易ということで、コスモス等と並び秋を代表するガーデンプランツと言えるかと思います。
リンドウは園芸品種の花として有名ですが、野生のリンドウが河原や道端に自生している場所も多く、実は日本人にとっても馴染みの深い花もと言えますね!
しかし、私自身は園芸を趣味にしてから、2021年の秋まで一度もリンドウを育てたことがありませんでした。もちろん、リンドウは知っていましたし、毎年秋になると園芸店で苗も見ていました。
ただ、色々な秋の花を育てていく中で、リンドウを栽培する機会が無く、ずっとリンドウ栽培が後回しになってしまっていました。
そんな中、「2021年の秋こそはリンドウを育てよう!」と2021年の夏に思い立ち、秋の苗の販売を心待ちにしていました。
この記事では、私が経験した初めてのリンドウ栽培の経験から、これまでリンドウを育てたことが無い方や、これからリンドウを育てようと思っている方に、リンドウ栽培の方法を詳細にお伝えできればと思います。
リンドウは冬越しが可能なガーデンプランツになりますので、実際にリンドウを冬越しさせたときの記録も詳しく書いて行きたいと思います。
今回の記事で育てるリンドウについて
園芸品種として販売されているリンドウには、様々な品種があります。
ブランド名が付けられたものもあれば、品種名が無く安いお値段で販売されているものもあります。
しかし、どのリンドウの品種についても同様に言えることですが…どの品種もリンドウの花は美しいです。
秋の園芸ショップに並ぶリンドウの鉢植えや花の咲いた苗を見たら、園芸好きであれば持って帰って育てたいと思ってしまうと思います。
そんなリンドウの中で、今回の記事で選んだのは…下の写真のリンドウです!
はい、品種名が書いてありません…。タグにローマ字で「Rindou」と書いてあるだけでした。
近くのホームセンターで安く販売されていたものです。
もし、このリンドウの品種が分かる方がいらっしゃいましたら、コメント欄で教えて下さい!
リンドウは開花期が秋になるため、早いお店では8月の中旬頃から店頭に並びます。私が良く行くホームセンターでは、10月の初旬にリンドウの苗が店頭に並びました。
お店に陳列されていたリンドウの苗の中で、最も小さな苗を選んでみました。他の苗は今にも咲きそうな蕾がたくさんだったのですが、蕾の成長も見たかったので一番小さな苗を選択してきました。
どんな植物もそうですが、成長を観察したり、成長していく姿を楽しむためには、より小さな苗を選んだ方が良いです。確かに、大きく育った苗の方が丈夫そうに見えますが、明らかな病気や育成不良が見られない苗であれば、小さな苗でも問題は無いですよ!
用意した鉢と培養土について (2021年10月17日に植え付け)
最初の1年目は4号鉢 (プラスチック鉢) で育てていきます。
培養土は薔薇の栽培で使用していた土に再生材を混ぜ込んだリサイクル培養土です。
園芸を趣味にされている方の大きな悩みの一つである「古い土の処理」ですが、再生材を用いると何度か繰り返して使うことができます。私の場合ですが、小さな草花の栽培には可能な限りリサイクル培養土を利用するようにしています。
この4号鉢とリサイクル培養土に植え付けた直後のリンドウが次の写真となります。
4号鉢に植えても、まだまだ小さいことがわかるような小さな苗です。各枝の先端には、小さな蕾が顔を出している状態です。
株の成長を促すのであれば、この蕾は摘心すべきだと思うのですが、今回は花を楽しみながら育てていきたいので、そのまま咲かせていくことにします。
植付けから20日後に秋の開花 (2021年11月07日)
植付けを行ってから約3週間後になりますが、リンドウの花が無事に開花しました。
人生で初めてリンドウを咲かせたのですが、鮮明な紫色がかなり綺麗ですね!
小さな株なので花の大きさが小さく、数も少ないですが、大きく育ったら立派な株になる予感がします。
リンドウの花は夜に閉じて翌朝に再び開く!
今回のリンドウ栽培を通じて、リンドウの花の特徴の一つを知ることになりました。
それは「朝に花が開いて夜になると花が閉じるというサイクルを、1週間から10日くらい続ける」という特徴です。
最初の花が開花した際、会社に行く前に写真を撮影したのですが、その日の夜に帰宅したら全ての花が閉じていました。そして、次の日の昼間には再び花が開いていました。
下の写真は、朝の早い時間に撮影したリンドウですが、上の写真のリンドウがこのような状態になっているんです。
太陽が昇るのに合わせて花が開くという特徴があるんですね!
最初に見た時は「えっ!?リンドウの花は1日しか咲かないの!?」と思ったのですが、そんなことは無く、開いては閉じてを繰り返してくれます。
私が育てた植物 (草花) の中で、このような開花の特徴がある品種はリンドウが初めてです。
この特徴もあってか、リンドウの花は花もちがとても良く、1週間~10日くらいは開花を維持してくれます!
開花が終わったら全ての蕾を切り落として管理 (11月末~12月初旬)
全ての蕾が開き、時間が経つと花の開き具合が悪くなって花が終わりを迎えます。
いつまでも終わった花を付けておくのも良くないので、花首の部分で全て切り落としてあげます (下の写真参照) 。
また、次の写真は蕾が全て咲き切って、花がらを全て切り取った状態になります。
この状態になると寂しいものがありますね。11月後半ともなると、リンドウの活動も低下していくため、土が乾きにくい状態になります。土の乾き具合を見ながら水やりの回数を調整していく時期となります。
12月下旬には休眠期へ入る -冬越しの始まり-
秋の開花が終わった後ですが、季節は冬へと向かって気温がぐんぐん低下していきます。
リンドウの株もそれを察知して、次の写真の様に緑色の葉が徐々に茶色くなってきます。
この状態のリンドウを見ると、多くの方が「リンドウが枯れてしまった…」「リンドウも終わりの季節ですね」と思われると思います。
しかし、ここからがリンドウの冬越しの始まりです。
リンドウは、秋に苗を購入して冬に処分してしまうようなガーデンプランツでは無いんですよ!
気長に管理してあげれば、冬越しして春には新芽を芽吹いてくれます。
その冬越しの詳細を、実例と共に以下で紹介していきます。
実践したリンドウの冬越し方法のポイントを整理
さて、ここからはリンドウを冬越しさせる時のポイントを記していきます。
どれも私が実際に実践した内容となっています。
① 12月後半以降は水やりはほとんど必要無し
12月後半になると、葉がほとんど枯れてしまい、リンドウの活動が停止して休眠に入ります。
そのため、水やりをし過ぎると、そのままリンドウの根が腐ってしまう可能性が高くなります。
雨ざらしの状態にして、自然に降る雨からの給水でも間に合うくらいです。
1週間から10日、雨が全く降らず、土が完全に干からびている状態になったら水やりをする程度の管理でもOKなくらいです。
実際に、私はほとんど水やりをせず、自然に降る雨に任せっきりにしていました。
1月~2月は、水やりを月に1, 2回したくらいです。
② 日の当たる温かい場所で冬越しさせる
リンドウは冬越しが可能な植物とはいえ、やはり凍結などが気になります…。
土が多少凍結しても冬越しは出来ると思うのですが、凍結しないに越したことは無いと思います。
そのため、日の当たりの良い南向きの場所で管理していきました。朝から昼過ぎまでは直射日光が当たる場所です。
③ 葉が完全に枯れたら地上部を切り落とす
上でも記載しましたが、12月後半にもなると地上部の葉は完全に枯れ落ちます。
下の写真が、1月初旬に撮影したリンドウの様子です。
葉は完全に枯れており、普通に考えてみると「このリンドウは枯れてしまったんだな…」と思いますよね。
でも、地中に埋まっている部分や根はしっかりと生きて次の春を待っているので、枯れた部分を除去してあげて管理してあげます。
枯れた葉や茎は、最終的にはゴミになってしまうので、切り取って処分してしまいます。
次の写真は地上部の枯れた葉や茎を切り落とした状態です。ハサミを使って切り落としてあげればOKです。
もう、そこにリンドウが植えられている事さえも忘れてしまいそうな状態ですね。
間違って掘り起こしてしまわないように、タグを付けておいた方が良いかもしれません…。
上の写真では確認が難しいですが、よく観察して見ると、切断した茎の中はうっすらと緑色をしていました。リンドウが枯れていない証拠ですね!
春の新芽の芽吹きを確認 (2月末~3月初旬)
寒い冬の終わりが見える2月末、そして3月に入れば気温も上がり始めます。
そして、この頃になると、冬越しに成功したリンドウから新芽の芽吹きが確認出来るようになります。
下の写真は、3月初旬に撮影したリンドウの様子ですが、株元に緑色の小さな葉が顔を出していることが確認出来ます。
リンドウの地上部が無い冬には、リンドウが枯れていないか心配になりましたが、この新芽が顔を出したらリンドウが無事に冬越しできた証拠になります。
まだ外は肌寒い2月下旬~3月初旬ですが、リンドウの鉢植えを確認することを忘れないようにしましょう!
気温の上昇と共に、この新芽がぐんぐん成長して、元気な葉を展開して花を咲かせます。
成長にスイッチが入ったら、土の乾き具合を確認しながら水やりを再開し、それと同時に適切な量の肥料も与えて開花に向けたサポートを開始していきましょう!
【2022年4月15日追記】4月中旬のリンドウの様子を追記しておきます。下の写真に示すように、新しい葉が勢いよく芽吹き始めて、ぐんぐん成長してきております。無事に冬越しして、開花に向けた活動を開始してくれています。
この記事の終わりに
この記事では、リンドウの栽培について、植え付けや開花の特徴、そして冬越しの実例までを詳しく紹介させていただきました。
リンドウは有名なガーデンプランツではありますが、育てたことが無い方も多くいらっしゃるかと思います。
鮮明な紫色の花、そして花もちの良い特徴からも、とてもお勧めできる園芸品種だと感じました。
また、冬越しさせることで、長く栽培を楽しめる品種でもあります。
今回紹介したリンドウについては、冬越しが成功しましたが、もしかしたら気候条件などで失敗してしまう可能性はあります。
しかし、初春の頃に、長い沈黙を破って芽吹くリンドウの姿を見ると、「芽吹いた!!」と感動してしまいますよ!
新芽が成長して花が咲くころには、この記事をUpdateしたいと思います。
では!