胡蝶蘭の葉が黄色くなるのは葉の寿命による原因が多い

胡蝶蘭は園芸植物の中でも、少し敷居が高いように思える蘭の仲間ですが、実はそれほど栽培が難しい植物ではありません。

水やりと肥料のコツさえ掴めば、誰でも簡単に栽培可能な「簡単な植物」です。

しかし、突然、葉が黄色くなってしまうこともあり、焦ることがあります。実は葉が黄色くなる場合の多くはこの記事で紹介するように「葉の世代交代」である場合がほとんどだと思います。

特に室内で栽培している場合にはハダニなどの害虫も付きにくいので、害虫や病気起因で葉が黄色くなることは稀かと思います。

この記事では、胡蝶蘭の成長過程と、葉の世代交代について御紹介したいと思います。


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胡蝶蘭は上に向かって成長する

胡蝶蘭にあまり詳しくない方もいらっしゃるかと思いますので、最初に胡蝶蘭の成長の過程について簡単におさらいしておきたいと思います。

園芸の草花の多くは、根が地中の深くまで成長し、地上部もそれに比例するかのように成長していくのですが、胡蝶蘭は少し異なります。

実は、水苔の中にある根はそこまで旺盛に成長をせず、葉が上へ上へ展開しながら、その葉の付け根から新しい根が出てくるという成長過程を持っています。

胡蝶蘭の成長過程の様子

上の図に示すように、胡蝶蘭の成長点は葉の付け根の最上部になるのですが、そこから新しい葉を展開します。そして、その葉の付け根からたらしい根を出しながら成長をしていきます。

このように、胡蝶蘭は上へ上へと葉を展開させながら成長し、太陽に近い所に向かっていくような成長の過程を持っています。

そのため、比較的小さな鉢植えでも育てることが出来るという、室内栽培をされている方には強い味方となる蘭となります。

下にある葉は歳を取った古い葉で黄色くなりやすい

上で説明した通り、胡蝶蘭の成長は上へ向かうため、下の方にある葉というのは「古い葉」と言うことになります。

そのため、下の方にある葉は元気のない葉になるので、胡蝶蘭からすれば役目を終えた不要な葉になってくるのです。胡蝶蘭の下の葉が黄色く枯れる理由の多くがこの現象によるもので、下の図に示すように、株元に近いものの中で最も元気のない葉から枯れ落ちていきます。

葉の黄色くなった胡蝶蘭の例

もちろん、胡蝶蘭の葉が枯れる原因は病気などの効果もありますが、葉が一枚だけ枯れるようなパターンは葉の世代交代を示している場合がほとんどです。害虫の被害に合っている場合には害虫が目で確認できますし、株自体が病気であれば株全体に影響が出てくるかと思います。

実際に私が育てている胡蝶蘭で、葉が一枚だけ枯れているものを下の写真で例に挙げておきます。株元の下の方にある葉だけが鮮やかな黄色に変色していることがわかるかと思います。また、黄色い葉以外は元気な緑色をしており、新しい葉も展開してきているので、育成には問題無いこともわかるかと思います。

1枚だけ葉が黄色くなった胡蝶蘭の写真

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光合成が出来ないことも原因か?

下の葉が枯れる原因ですが、歳を取った葉であることと言うのに加え、光合成が盛んに行えないという原因も考えられます。

下の方にある葉は、上の葉によって太陽光がさえぎられてしまうため、常に光が当たらないような日陰の存在になってしまいます。

そのような光合成を行わない葉は、胡蝶蘭自身からしたら、光合成も行えずに漂う分だけを使う不要な存在になります。そのため、胡蝶蘭自身が葉を枯らせて新しい葉を出させるという判断をするという考え方もできます。

黄色くなった葉は切り落として健全な状態を保つ

胡蝶蘭の黄色くなってしまった葉は、あっという間に枯れていきます。

「ちょっと葉が黄色くなり始めたなぁ~」と思ったら、数日後には鮮やかな黄色に変色して完全に枯れ落ちていることも多々あります。

そのような葉は、残しておく必要もなりですし、残しておいて腐ってきてしまったら、他の健全な葉や株の育成にも悪影響が出るので、切り落としてしまいます。

他の葉や茎の部分、そして根に注意しながら、枯れた葉を付け根の部分から清浄なハサミで切り落とします。

葉を切り落とした胡蝶蘭の様子

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葉が黄色くなりやすい時期

私自身、胡蝶蘭の栽培経験が長いわけでは無いのですが、葉が黄色くなるタイミングには次のような時期でしたので、一応考えと共に記載をしておきます。

① 花が終わった後

まずは花が終わった後です。

どんな花もそうなのですが、花を咲かせるという行為はとても多くのエネルギーを使い、光合成で得た養分の大部分を開花のために使います。

その仕事を終えた後の株は、かなりエネルギーを消耗しており、株の維持をするので精一杯なものもあります。蘭ではありませんが、私が育てている薔薇も、そのような株が多いです。

胡蝶蘭にも同じようなことが言えて、花を咲かせた後は疲れ切ったかのように葉を黄色くしてしまう株が見受けられます。

② 新しい葉が展開しているとき

次に、新しい葉が展開している時です。

胡蝶蘭にとっては、葉を伸ばすという行為も比較的エネルギーを使う行為になります。成長が遅いのですが、その成長が遅い性質の中でも、頑張って新しい葉を展開させようとしてくれます。

胡蝶蘭は新しい葉が出てこないと、新しい花枝を形成できないので、胡蝶蘭の株も必死で新しい葉を展開させようとします。

そのため、新しい葉にばかり栄養が使われ、古い葉には十分な栄養が回らず枯れ落ちてしまうケースもあります。

株自体が枯れている場合は、全ての葉が黄色くなって枯れ落ちる

葉が黄色くなると胡蝶蘭自体が枯れてしまったと重れる方も多いかと思いますが、上で記載の通り、1枚が枯れ落ちても何の問題も無い場合が多いです。

しかし、一度に複数の葉が枯れ落ち、株元の色も茶色くなっているような場合は株が枯れてしまったサインです。

私自身も一株枯らせてしまったことがありますが、株全体が茶色や黄色く変色して、いかにも枯れてしまった株の姿になりました。

そのような状況で慣れれば、胡蝶蘭は問題は無いかと思います。

一応、大事を取って薬による殺菌などはしておいた方が良いかもしれませんが、私自身は胡蝶蘭の殺菌などはしたことがありません。

この記事の最後に

この記事では、胡蝶蘭の葉が黄色く変色してしまう原因の多くが、葉の世代交代によるものであることを御紹介させていただきました。

胡蝶蘭の葉が急に黄色くなると、とても心配になると思うのですが、下の方の葉が1枚や2枚枯れ落ちたとしても、上の方の葉が健全に育っていれば問題ない場合の方が多いです。

枯れた葉は早めに取り除き、新しい葉が展開してくるのをじっくり待ってあげて下さい。葉が展開してくれれば、翌年も美しい花を咲かせる花芽をぐんぐん伸ばしてくれることは間違いなしかと!

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