薔薇栽培を趣味にされている皆様は、より綺麗に多くの薔薇を咲かせるため、日照量・水やり・肥料の管理に関して、特に気を配っていらっしゃるかと思います。
「薔薇は、日照条件の良い場所で管理し、肥料も適切に与えましょう!」と記載されている書籍やインターネットのサイトをよく目にしますし、実際に日照条件で薔薇の成長が大きく変化することが、私の実験でも明確になっています (下のリンクの記事です) 。
この記事を作成した後になりますが、次は「肥料」に焦点を当てて、肥料の量で薔薇の育成には違いが出るのかを調べて見ることとしました。
「肥料を与えている場合と与えていない場合では、薔薇の成長にどのくらいの違いが出るのか?」という疑問をお持ちの方は多いと思います。
実際にその実験をやってみましたので、実験の詳細と結果を紹介致します。
薔薇栽培を楽しまれている方や、これから薔薇にチャレンジしようと思っている方に、少しでも御参考になれば幸いです。
【注意】本記事の内容は、筆者が実施した実験の一例であり、常に同じ結果が出るとは限りません。植物の成長は肥料以外にも日照条件や水やり等に大きな影響を受けるため、あくまでも参考事例としてお考え下さい。
実験に用いたミニ薔薇「アロハ」について
今回の実験に用いた薔薇は、ミニ薔薇の「アロハ」という品種です。
冒頭でリンクを張った「日当たり (日照条件) が薔薇の成長に与える影響を実験調査」の記事で使用したミニ薔薇を流用して実験することとしました。
その記事の中で、② 午前のみ直射日光を当てて育てたアロハ、③ 午後のみ直射日光を当てて育てたアロハの2株を、今回の実験に流用します。
この2つの株は、成長の様子がほぼ同じ株だったこともあり、今回の肥料有無の実験に適しているのではないかと判断して使用することとしました。
そして、花が終わった後のミニ薔薇「アロハ」を下の写真の様に、ほぼ同じ大きさに剪定して実験を開始します。
実験の方法の詳細 -肥料の量や日照条件など-
さて、次に実験の方法について、その詳細を記載しておきます。
とてもシンプルな方法で、肥料を与える株と肥料を与えない株を用意して、肥料以外は全く同じ栽培条件で育てていくというものです。
上の写真で、「①」というラベルが貼ってあるミニ薔薇は肥料を与えず、「②」というラベルが貼っていあるミニ薔薇には肥料を少し多めに与えていきます。
②のミニ薔薇に与える肥料ですが、住友化学のマイローズシリーズの置き肥です。適正量としては4号鉢に3gとなっていますが、今回は小さなビニールポットに対して3gを与えて、少し肥料過多の状態で育ててみます。
液肥は使用しませんので、①のミニ薔薇は肥料がほぼ無い状態で育てる事になります。
実験開始は2022年5月30日で、ミニ薔薇に新しい蕾が確認出来たら実験を終了とします。(下の結果でもわかりますが、約40日程度の実験です。)
日照条件は、朝から午後2時くらいまで直射日光が当たる場所で管理し、水やりは土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。
実験開始後は、芽かきなどは一切せず、ミニ薔薇が成長したいように自由に成長させていきます。
鉢のサイズは上の写真の通りビニールポットで、株が成長しても植替えや鉢増しはしません。
さて、肥料の有無で、ミニ薔薇の成長にはどのような変化が現れるのでしょうか?
予想しながら読み進めてみて下さいね!
【実験開始から1週間】葉の色に差が現れ始める
実験開始してから1週間が経ち、実験中の2株のミニ薔薇に違いが出ていないかを、じっくりと眺めて観察してみました。
すると、わずか1週間しか経過していませんが、少しだけ差が出始めていることに気付きました。
下の写真が実験開始から1週間後のミニ薔薇ですが、2株を比較してみて下さい。
少し分かりにくいかもしれませんが、左にある「①肥料を与えていないミニ薔薇」の方が、葉の色が黄色がかった色をしています。
実は、「①肥料を与えていないミニ薔薇」の葉は実験開始の時点とほとんど変わっておらず、「②肥料を与えたミニ薔薇」の方が葉の色が緑色に近くなってきているんです。
この時点では、この差は「たまたま」なのかと思っていましたが、次に紹介する2週間の時点で差がさらに明確になります。
【実験開始から2週間】葉の色が明確に変わる!
実験開始から2週間が経過したミニ薔薇の様子が下の写真です。
左側が「①肥料を与えていないミニ薔薇」、右側が「②肥料を与えたミニ薔薇」となります。
「②肥料を与えたミニ薔薇」の葉の色が明確に変わり、より鮮明な緑色に変化していることがわかります。
また、「②肥料を与えたミニ薔薇」の方は、赤い葉を伴って新芽が成長してきていることもわかります。
それに対して「①肥料を与えていないミニ薔薇」の方は、葉の色が少し悪く、新芽の芽生えも見られない状況です。
実験開始から2週間で、これだけの成長の差が生まれるんですね!
実験に用いた2つの株は、5月中旬に咲いた花を剪定した直後の状態から実験を開始したため、株が特に疲れている状態だったと推測できます。そのため、肥料を与えたミニ薔薇の方が株の回復が早く、成長に明確な差が出て来たのだと思われます。
【実験開始から1ヶ月】株の大きさが明確に変わる!
そして、実験開始から約1ヶ月が経過した時のミニ薔薇の様子が次の写真になります。(左が肥料なしのミニ薔薇、右側が肥料を与えたミニ薔薇です。)
1カ月経つと、成長の差が明確に出てきましたね!
肥料をしっかりと与えたミニ薔薇の方は、新芽がしっかりと育ち、青々とした新しい葉がたくさん茂っていることが分かります。成長した新芽の先端にはもうすぐ蕾も顔を出しそうな勢いに思えます。
それとは対照的に、肥料を与えなかったミニ薔薇は、いまだに新芽も顔を出していない状況でした。
【実験開始から40日目】肥料を与えたミニ薔薇に蕾を確認!
そして、実験開始から40日目の様子が下の写真です。(左が肥料なしのミニ薔薇、右側が肥料を与えたミニ薔薇です。)
肥料を与えていないミニ薔薇については、剪定から約40日が経って、ようやく赤い新芽が芽吹き始めました。小さな赤い葉が顔を出しているのが分かるかと思います。
つまり、肥料の有無によって新芽が出てくるまでに要する時間が、約1か月くらい変わってしまったということなんですね!
また、肥料を与えた方のミニ薔薇には次の写真の通り、複数個の蕾が確認出来ました。
肥料の有無によって成長の様子の違い、そして蕾がつくまでに要する時間の差が明確にわかったので、これで実験を終了したいと思います。
実験に協力してくれた2株のミニ薔薇さん達、お疲れさまでした!
ここからは、肥料を与えていなかったミニ薔薇にも肥料を与えて育てていきたいと思います。
この記事の終わりに
この記事では、肥料が薔薇の成長に与える影響の確認として、ミニ薔薇を肥料有りと肥料無しで育てるという実験を行い、その結果の詳細を紹介させていただきました。
肥料を与えたミニ薔薇の方は成長が速いだけでは無く、葉の色も鮮やかな緑色となり、新芽の量も明確に多くなりました。
これらの結果から、薔薇に肥料を与えることの重要性が御理解いただけたのかと思います。
私自身も、実際に実験をしてみて、ここまで成長の差が出たことに驚きました…。
今回の実験では、花が終わった直後のミニ薔薇の株を用いたということで、与えた肥料は「お礼肥」と呼ばれます。お礼肥は名実ともに、とても重要な役割があるのだと言えますね!
ミニ薔薇は花を咲かせた後に剪定をしてあげると、比較的早く次の花が楽しめる品種ですが、それを実現するには適切な施肥が必要になると言えるのかと … 。
ただし、肥料の与えすぎは肥料過多による不具合を起こす可能性が高いので、肥料のパッケージに記載されている量は必ず守るようにして下さいね!
皆さんも、適切な肥料を与えながら薔薇栽培を楽しんで下さい!
それでは!