2月中旬に入ると、だんだん春の陽気が感じられる日が増えてきます。
私の住んでいる関西は、1月末までは最高気温が数℃という日が続きましたが、2月中旬になり最高気温が10℃を上回る日も増えてきました。
最高気温が10℃を越えてくると、薔薇達も春の目覚めの時期になります。
1月に枝の所々にぷっくりと膨らんだ赤い新芽が顔を出しますが、この部分から新しい葉や枝が展開し始めるのが最高気温が10℃を越える時期からです。
もちろん、お住いの地域や日照条件によっても春の芽吹き時期に差はありますが、一般的には気温や日照条件などが関係していると言われています。
そんな2月から3月にかけての薔薇の芽吹きの時期には、忘れてはいけない作業として「施肥 (芽出し肥)」があります。特に、寒肥を与えていない鉢植えの薔薇にとっては、芽出し肥は栄養を得るための重要な肥料になります。
この芽出し肥は、いつ与えるのがベストなのか?
この疑問について、私が心掛けている方法や考え方を御紹介したいと思います。
春の芽出し肥の役割について
薔薇は花木に分離される植物であり、冬には葉を落として休眠する落葉樹になります。そのため、2月の時期には葉が無く、枝だけの状態で春を迎えることになります。
気温が上がり、活動が始まると薔薇達は新しい枝を伸ばし、その枝に葉を展開させて成長期に入ります。
しかし、葉の無い状態では光合成が十分にできないので、基本的に冬の間に蓄えたエネルギーや春に根から吸い上げる養分を使って枝を伸ばすことになります。
そのため、土の中に十分な養分が無ければ、成長が鈍化したり春の開花に影響が出てしまう可能性も出てきます。
これを防ぐために、初春の新芽が伸びる時期には緩効性肥料を「芽出し肥」として与えることが望ましいのです。
薔薇は新芽の成長が始まると、春はとても速い速度で枝が伸びるので、事前に肥料を与えて土の中に十分な肥料を補給しておくことが重要になります。
薔薇の成長速度については、下のリンクで実測したものがあるので、御参考になれば幸いです。
また、芽出し肥は基本的には寒肥を与えていない薔薇に与えるものだと考えています。
地植えの薔薇の場合には、1月に寒肥を与えいると思いますので、その寒肥がバクテリアに分解されて効いてくるのが2月後半くらいからです。
地植えの薔薇に初春の芽出し肥 (緩効性肥料) を与えてしまうと肥料過多になってしまうと思われるので、基本的には与えないようにしています。
鉢植えの薔薇についても、1月に土の入れ替えを行った場合 (元肥入り) や、寒肥を鉢植えの土にすき込んだ場合には不要になるかと思います。
繰り返しますが、芽出し肥の施肥は、冬の間に寒肥を与えていない地植えの薔薇や鉢植えの薔薇に与えることが基本になります。
芽出し肥を与える時期は薔薇を観察して決める必要がある
では、芽出し肥料はいつ与えれば良いのでしょうか?
一般的に言われているのは「2月後半から3月初旬くらい」という漠然とした指標です。
「2月後半から3月初旬」と一言で言っても、約3週間くらいの差があるのです。
3週間も月日が経つと、初春は気候の変化も速いので、最適な芽出し肥のタイミングを逃してしまうかもしれません。
芽出し肥の施肥が1週間遅れても、薔薇は枯れることはありませんし、花が咲かないということもありません。
しかし、この記事を読んで下さっている皆様は、薔薇を大切に育てていると思いますので、出来ればベストなタイミングで施肥したいと思っていらっしゃるのではないでしょうか?
私自身、理系の仕事をしている事もあり、「最適」という言葉に弱いんですよね…何でもかんでも最適な答えを求めてしまうんです(笑)
そんな方のために、私が芽出し肥の施肥時期で気を付けていることを以下でお伝えできればと思っています。
春の芽出し肥に最適なマイローズシリーズ
皆さんは、芽出し肥ってどのような肥料を使っていますか?
基本的に初春に与えるものとしては、緩効性の置き肥になるのかと思います。
その緩効性肥料にも様々なものがありますね。ホームセンターで販売されている格安のものから、薔薇専用の高価なものまで様々です。
その中でも、私は下の写真のマイローズシリーズの薔薇の肥料を使用しています。
安い緩効性肥料は、即効性はあるのですが、効きが方が荒く、1カ月もたたないうちに効き目が切れてきます。
しかし、マイローズシリーズの肥料は、約3か月をかけてじっくりと土に染み込むように設計されているので、2月の後半に与えると1番花が終わる頃まで肥料の効きを維持することができます。
気温によって肥料が溶け出す量が変わり、温かくなるにつれて溶け出し量が多くなるようになっているので、初春から春の1番花までのシーズンにぴったりです。
価格も高価な有機肥料に比べて抑えられているので、手軽に手を出せる良い肥料という感じですね。私は薔薇を育て始めてから、緩効性肥料はマイローズシリーズの肥料だけを使っています。
製造元である住友化学さんが信頼できる企業というのも背景にあります。
芽出し肥は新芽の芽吹きを確認して行う
さて、本題である芽出し肥を与えるタイミングですが、私は新芽が動き出したタイミングを見計らって与えるようにしています。
言葉で書いてもわかりにくいと思うので、下の写真を見ていただいたほうが早いですね。
最初の例は「ガブリエル」という薔薇になりますが、赤色矢印の先の部分に新芽が芽吹き出しているのが分かります。今にも勢いよく伸びそうな元気な新芽ですが、まだこのタイミングでは勢いよく伸びては来ません。もう少しこの状態を維持して、3月初旬から一気に成長のスピードが上がります。
次の例はつる薔薇のルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサールです。
こちらのつる薔薇も、赤い矢印で記した部分で、太い枝から春の芽吹きが始まっていることが分かります。
1月の時期には新芽は赤く膨らんだ状態だったと思いますが、これらの例の様に、少し枝を伸ばそうとしている状態になったら芽出し肥を与えています。
「2月後半から3月初旬」という漠然とした表現では無く、現物である薔薇の様子を見ることで、最適な芽出し肥のタイミングが分かるのではないかと思います。
お住いの地域によって、薔薇がこのような状態になるタイミングは異なりますが、新芽が上の写真位になったら施肥のベストなタイミングかと思います。
「遅すぎるのでは?」という意見もあるかと思うのですが、実際に薔薇の成長を見ていくと、上の写真の状態は約10~14日くらいは続きます。また、この程度の新芽の伸びでは、そこまで肥料分を必要としていません。
そのため、写真に示す状態のタイミングで施肥をすることで、本格的な成長の前に肥料が土の中に染み込んでいくことができます。
当たり前ですが肥料過多はダメです…
当たり前のことですが、肥料は与え過ぎは駄目です。
肥料の袋の裏面に適切な規定量が記載されているので守るようにしましょう。
薔薇は肥料を多く必要とする植物だと思われがちですが、一般的な草花と同じ肥料の量で十分育ちます。
逆に肥料過多になると、うどんこ病をはじめとする病気や肥料焼けの原因になってしまいます。
私自身、ここ数年は肥料を少なめに管理していますが、それも寄与しているのか、うどんこ病が全く出ていません。上で紹介した「ガブリエル」という薔薇だけは、一部うどんこ病が出ましたが、その他はうどんこ病の発症がゼロです。
この記事の終わりに
この記事では、初春の薔薇に与える「芽出し肥」について、施肥を行うベストなタイミングを私の経験から御紹介させていただきました。
芽出し肥のタイミングは「2月後半から3月初旬」と言うのが一般的に言われていることですが、栽培している環境 (日当たりや植え方等) で施肥のベストタイミングは異なるはずです。
しかし、薔薇の新芽の様子を観察することで、薔薇が肥料を欲するタイミングは分かると思います。
芽出し肥は春の株の成長や一番花の形成に必要な栄養素になりますので、ベストなタイミングで適量を与えていきましょう!