薔薇が大好きな方にとって、春と秋の薔薇園を訪れることは毎年のイベントの一つになりますよね!
春の薔薇の開花時期になると、どこの薔薇園に行こうかと予定を考えてしまうものです。
もちろん、一番の楽しみは薔薇の花や香りを楽しむこと、そして薔薇の前で写真を撮ることだと思います。
しかし、薔薇を栽培している方からすると、薔薇園は勉強の宝庫だと言えます。
私自身、薔薇園は開花時期以外にも訪れます。薔薇の花を見るよりも薔薇栽培で勉強になる部分があるからです。
この記事では、各季節における薔薇園での薔薇栽培の学び方について御紹介致します。
1月~2月は剪定技術・寒肥を学ぶ場
寒い寒い1月と2月、外に出掛けるのも嫌になります。
ましてや、花の咲いていない冬の薔薇園にわざわざ行きますか?
私は行きます(笑)
冬の薔薇園は入れない場所もあるかもしれませんが、一般公開されているような薔薇園であればいつでも入ることができます。
薔薇園は冬の季節に一斉に冬選定に入ります、しかもプロの方々が薔薇の剪定をします。
つまり、薔薇の教科書やインターネットの情報ではなく、剪定の技術を実物で見ることができるのです。
「百聞は一見に如かず」です。
実際に見て学ぶことで、自分の栽培・管理する薔薇の冬選定にフィードバックが出来るという大きなメリットがあります。
機会があれば、2月の薔薇園を訪れてみて下さい。3月、4月だと芽吹きが進むので冬選定による樹形の様子がわかりませんが、2月なら剪定直後の様子が学べます。
「どこまで切ったら良いのか?どの位置で剪定すべきなのか?」という質問は薔薇を始めたばかりの方が持つ疑問だと思います。
しかし、2月の薔薇園に行けば、目の前に「答え」がありますよ!
また、1月は寒肥の季節です。1月に寒肥を与える薔薇園であれば、寒肥を行っている穴の跡が分かる場合があります。
寒肥は薔薇の株から1m位離すとか情報がありますが、手っ取り早く確認することができます。管理者さんがいれば、与えている寒肥の種類を聞くこともできますね!
3月~4月は薔薇の個性を見る
私は3月の芽吹きのシーズンは、薔薇の個性を見ることができるシーズンだと思っています。
薔薇の個性とは?
葉の色、伸びるスピード、新芽の伸び方…色々あります。品種一つ一つに必ず個性があります。
新芽の伸び方
3月の薔薇園を訪れると、新芽が伸びているものと伸びていないものあります。
基本的に新芽が伸びる時期が早いものは早咲きの薔薇になりますし、少し遅れて芽吹くものは一番花のタイミングが遅くなる傾向にあります。
また、新芽の長さをみると、その薔薇の樹勢もわかったりします。
樹勢の強いものは新らしい花芽の長さも長くなりますし、少し樹勢の穏やかな品種は花芽の長さが少し短かったりします。
葉の色
葉の色も個性があり、薔薇が好きな方は葉の色も楽しんでいます。
5月になると概ね全ての薔薇の葉は緑色になるのですが、芽吹きのシーズンは葉の色が深い赤のものがあります。いわゆる「銅葉」と言われる葉ですね。
薔薇の種類によって新芽の葉の色がことなるので、それを見て品種の違いを楽しむこともできます。
私個人としては、芽吹いたばかりの薔薇の葉が大好きです。緑ではなく赤色を帯びて元気に成長していく様は、生命力の塊に見えてきます。
5月は最高の一番花を楽しむ
5月のゴールデンウィークの前後は、1年の中で最も薔薇園が華やかになりに賑わう時期です。
薔薇が冬の休眠期の間に蓄えたエネルギーを一気に開花させる時期です。
花の大きさや形、香りなどを確認することが出来るので、次に自宅にお迎えする薔薇をどれにしようか、選ぶことができるシーズンです。
薔薇園だけでなく、薔薇苗専門店でも春の開花シーズンになるので、現物を見て薔薇苗を購入できる時期になりますね!
薔薇を始める方にとっても、良い季節になるのではないでしょうか!?
5月の薔薇園に行く時、必ず見て欲しい薔薇があります。「殿堂入り」している薔薇達です。多分、薔薇を育てている方は殿堂入りの薔薇が一株は家になるかと思いますし、これから薔薇を始める方も殿堂入りの薔薇を手にする日が来ると思います。殿堂入りした薔薇は、本当に素晴らしい薔薇ばかりです。花の形だけではなく、樹勢や葉の耐病性…どれを見ても文句のつけようがない花たちです。
最新品種を見たり、少し珍しい薔薇を楽しむのも勿論良いことですが、やはり歴史を作ってきた殿堂入りの薔薇は見なくては損ですよ。
6月はベーサルシュートと耐病性を確認
1番花が終わったあと、薔薇の葉が光合成で作ったエネルギーは薔薇自身の株の充実、そしてベーサルシュートの形成に使われていきます。
植えてから年をとっていない株の場合には、少なくとも1, 2本のベーサルシュートを出してくれるので、その勢いや出てくる本数を確認して株の樹勢を見ることも必要です。
また、私がいつも気にしていることは、特に年齢の高い木質化した成木のベーサルシュートが出ているか?という点です。
薔薇は年を取ると、株本から木質化が進んでいくため、ベーサルシュートやサイドシュートが少し出にくくなります。出ないわけではないですが、若い薔薇に比べると出る勢いが少なくなることは事実です。
しかし、年を取っても勢いの落ちにくい薔薇もあります、例えばクイーンエリザベスです。薔薇園には必ずある有名な薔薇ですが、年を取っても元気いっぱいで花をたくさん咲かせて、再度シュートをいくつも出している姿を見れるかと思います。
もしお気に入りの花があれば、年を取った株を見て、新梢 (ベーサルシュート) の様子を見ておくことも、長く薔薇と付き合う上で大事な事かと考えます。
7月~8月は夏の花を確認する
夏の薔薇はどうしても花の大きさが小さくなります。
気温が高いために、蕾が十分に成長する前に開花を迎えてしまうため、春の薔薇に比べると大きさが一回り小さくなります。また、春の花と夏の花で見た目が変わる種類もあります。
私の栽培する薔薇の中にも、春の花よりも大きさが小さく、色が薄くなる傾向になる薔薇があります。初めて薔薇を栽培した時には、何か悪いことをしてしまったのではないか?と心配になりました。
もし、薔薇園の薔薇を参考にするのであれば、春の花に加えて夏の薔薇を見ておくことも大切です。
ただし、日本の夏は暑すぎるので、夏に薔薇園を訪れる場合には、熱中症に気を付けてくださいね。
9月は夏剪定を学ぶ場
多くの薔薇園では、9月に入ると夏剪定が始まります。
秋の開花時期を合わせるため、一斉に剪定を行います。
ただし、全ての薔薇を同じタイミングで剪定するのではありません。
咲くまでに時間のかかる薔薇を最初に剪定し、比較的早く花が咲く花は最後の方に剪定していきます。
その剪定のタイミングは、その薔薇園で長年経験してきた開花調整になるので、品種と剪定の時期を見ると参考になることが多いです。
私自身、薔薇を始めた最初の年は、全ての薔薇を9月の第二週目に選定したのですが、薔薇の品種ごとに成長速度が異なるため、結果的に秋の開花はバラバラになってしまいました…。
10月~11月は春と秋の花を比較する
夏の暑さが和らぐ10月になると、夏剪定後の株から秋の開花へ向けた新しい花芽がぐんぐん伸びていきます。
ただ、残暑残る中の成長のため、やはり春の薔薇よりも大きさは少し小さくなります。しかし、秋深まる中での薔薇は春とは違う美しい色が特徴です。
春の花を知っている方からすると、秋の薔薇は「え?こんなに違うの?」と思われるかと思いますが、その違いを楽しめるのも秋の薔薇園です。
具体的には色が大きく変化するものや、花の形が若干変わるものもあります。
もうすぐやってくる冬本番を前に、最後の薔薇を楽しんで一年を締めくくりましょう!もちろん、薔薇園だけではなく、御自宅の薔薇も1ねんで最後の開花期を楽しんでください。
12月は自分の薔薇の冬選定準備を開始する
12月の薔薇園は、私個人としては、あまり学ぶべきことがないかなぁ…と感じています。
それよりも、1年間を振り返り、自分の育てる薔薇の冬選定の準備を開始しましょう。
12月の半ばには葉が黄色くなり枯れ落ちていきますので、その落ち葉の回収やまだ枝に付いている葉は除去して、休眠へいざなってあげます。
また、冬本番の1月に向けて、鉢植えの薔薇はなるべく温かい場所に移動してあげるなど、冬の準備を進めていきます。これが結構作業が多かったり、重労働なんですよね。
12月に葉が落ちた後、その年の最後の消毒をするという方もいらっしゃいますが、私は12月の葉が落ちた後の消毒は不要だと考えています。次の年の新芽が芽吹いてくる時期までは薬剤にもお休みしてもらいましょう。
この記事の終わりに
薔薇の栽培を趣味にする前は、薔薇園に薔薇の鑑賞に行っても、花の写真を撮ることくらいしか楽しみがありませんでした。
しかし、薔薇の栽培を趣味にすると、薔薇園の様々なポイントに目が行くようになり、花を楽しむよりもどのように管理をされているのか?品種ごとに樹勢の違いはあるのか?という栽培に関する項目が気になるようになりました。
「薔薇は常に勉強と日々の管理の努力」と言われますが、その通りだと思います。プロの薔薇園管理者さんの行っている剪定の技や、剪定の時期などを学ぶことで、自分の薔薇栽培のレベルが一つ上がるのではないかと思います。
薔薇の教科書を見ているだけではなかなかわかりずらいですが、「百聞は一見に如かず」で薔薇園に行くと答えが目の前にあります。
今度、薔薇園に行くときはいつもと違う視点で薔薇園を楽しんでみてはいかがでしょうか?
また、いつもとは違う時期に薔薇園を訪れてみてはいかがでしょうか?