薔薇の蕾が開花しない理由とは!?原因を考えて次こそ咲かせましょう!

薔薇が最も美しく咲く春、そして深まりゆく秋の中で味わいのある薔薇の花が見られる秋…

薔薇の開花シーズンは、薔薇栽培を趣味にされている方にとっては、ある意味「御褒美」をもらっているかのような時間になります。

殺菌剤の散布や施肥だけでなく、中耕をしたり害虫を駆除したり…。苦労した分だけ美しく見えるのが、自分が育てて開花させた薔薇だと思います。

しかし、大事に育てた薔薇の蕾が開かないという、ショッキングな事件が起こるのも開花シーズンです。

「何で蕾が開いてくれないの?」と頭を抱えた経験がある方も多いのではないでしょうか?

この記事では、私の経験を基にして、薔薇の蕾が開かない理由を様々な角度から考えていきたいと思います。

次の開花の季節には、一つでも多く薔薇の蕾を開かせられるように…少しでも御参考になれば幸いです。


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薔薇栽培で悲しい出来事の一つが蕾が開かないこと…

薔薇を栽培していると、ショッキングで悲しい出来事は色々と起こります。

例えば…

・強風でベーサルシュートが根元から折れてしまうこと

・薔薇の根元にカミキリムシの幼虫が作った穴が発見されたとき

・癌腫病を発見してしまったとき

・黒星病によって葉が全て失われてしまうこと

などが挙げられます。

そして、この記事でテーマにしている「薔薇の蕾が開かないこと」もショッキングな事の一つに挙げられるのではないでしょうか?

大事に育てた薔薇の蕾が、開花シーズンになっても全く開かない状態となってしまうと、それまでにお世話をしてきたことが全て水の泡となります…。

マーガレットやガーベラに開かない蕾があるのと、薔薇に開かない蕾があるのとでは、そのショックの大きさには大きな乖離がありますよね。

それは薔薇が「花の女王」であるが故の理由だと思います。

私自身も長い薔薇栽培の経験の中で、開かない蕾を何度も見てきました。

そして、その蕾を見る度に自分なりに原因を考えて、「次こそは咲かせる!!」と思いながら薔薇栽培という趣味を続けています。

以下では、私がこれまでの薔薇栽培で経験した「薔薇の蕾が開かない理由」を紹介していきたいと思います。私が実体験していることでもあるので、少しでも参考になれば幸いです。

害虫に蕾の一部を食べられてしまったとか、茎が傷付いてしまったというようなありきたりな理由では無く、薔薇の特徴を加味した理由を御紹介できればと思います。

原因① 蕾の数が多過ぎる

蕾が開かない1つ目の原因ですが、「蕾の数が多過ぎる」という点です。

近年の薔薇は、豪華に咲かせるために枝先に幾つもの蕾が形成される品種が多くあります。フロリバンダ系統が特にその特徴に当てはまるかと思いますが、ハイブリッドティー系統でも房咲きになる品種が多くあります。

「蕾が出て来たのだから、全ての蕾が咲くだろう」と思われる方も多いかと思いますが、そうでない場合も多々あります。

例えば、一つの枝に5個程度の蕾が形成される場合がありますが、その枝が全ての蕾を咲かせる能力があるか否かは誰にもわからないのです。

薔薇が頑張って3つの蕾を咲かせたけど、残りの2個の蕾は力尽きて咲かせられなかった…ということもあります。

私が過去の記事で「ルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサール」の蕾が開かない事を紹介しました。

ルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサールは、非常に多くの蕾を付けてくれるのですが、蕾の数が多すぎて蕾が開かない状態 (ボーリング現象) になることがしばしばあります。

また、もう一つの例として「クラリス」という品種の薔薇についても御紹介しておきます。

2021年8月末に元気なサイドシュート (新梢) が発生し、その先端に5つの蕾が形成されました。枝の中でも特に元気なサイドシュートなので、5個の蕾が全て開花してくれるだろうと思っていたのですが、予想に反して満開になることなく終わってしまいました。その写真が下の写真になります。

最も大きく成長した蕾は30%ほど開花してくれているのですが、他の4つはほとんど開くことなく朽ちてしまいました。何日か待ちましたが、結局、蕾が開くことはありませんでした。

同じタイミングで別の枝に形成され蕾は、次の写真の様に、しっかりと蕾が開きました。この蕾は、一つの枝に一つの蕾が付いていた箇所になります。枝は去年のシュートから発生した枝であり、今年発生したベーサルシュートやサイドシュートではありません。蕾が一つだけなので、枝は楽に蕾を開花させられたのだと思います。

このクラリスの例は、最も元気なサイドシュートをもってしても、5つという多くの蕾を開花させることが出来なかった事例になります。「ベーサルシュートやサイドシュートだから多くの蕾が付いても安心である」というイメージは持たず、あまり薔薇に無理をさせないことも重要だとわかる一例かと思います。

正直なところ、複数の蕾が一つの枝に付いた場合、全ての蕾が咲くか否かは、やってみないとわかりません。

しかし、蕾の数が多い品種で、毎回のように開かない蕾が出てくるものがあれば、開花の前に適切な摘心を行って蕾の数を減らし、薔薇に無理をさせないという対策も必要なのかと思います。


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原因② 花弁数が多い品種は開きにくい

薔薇の蕾が開かない2つ目の原因ですが、薔薇の花弁数に関わることになります。

育種家様の御努力・品種改良によって、毎年のように様々な色や形の薔薇が作出されています。その中でも花弁数の多い薔薇はとても豪華な見た目を持ち、人気の品種は苗が売り切れ状態になることもありますね。

日本で最も有名なピエール・ドゥ・ロンサールに代表されるように、花弁数が多く豪華に咲く大輪の薔薇は、誰もが憧れる品種だと思います。

しかし、花弁数が多ければ多いほど、そして花弁の厚みが厚いほど、開花させるのに多くのエネルギーが必要になります。これは容易に想像が付くかと思います。

以前の記事で、薔薇の花弁数と開花のしやすさを比較した結果を紹介しました。

この記事の中にもあるように、花弁数が少なく花弁の厚みも比較的薄い「ブルームーン」は、蕾がたくさんついても全ての蕾が確実に開花してくれました。私の栽培の経験上、今までにブルームーンの蕾が開かなくなった事は一度もありません。

逆に花弁数が多く花弁が厚いルージュ・ピエール・ドゥ・ロンサールは、蕾が開かないものが多くなりました。

皆様も、御自身で育てられている薔薇について、花弁数を数えたり、花弁の厚みを比較してみて下さい。

各品種ごとに、本当に明確な差が出てくると思いますよ!

そして、その結果と蕾の開きやすさの関係を見て見ると、もしかしたら蕾が開かない原因が見つかるかもしれません。

原因③ 環境が不適合な場合や天候の影響 -水やりなども-

3つ目の原因として「栽培環境」を挙げさせていただきました。

ただ、この原因は個人的にはあまり挙げたく無かった項目でもあります。

理由としては…「栽培環境」と一言で言っても、そこには様々な要因が詰め込まれており、どれが明確な理由かがわからないからです。

日照時間・気温・風・肥料の量・水やりの頻度・降水量…。

栽培環境に関わる要因はいくつも出てきます。

日照と言う項目を更に細分化すると、「日照時間は何時間なのか?」「日当たりが良いのは朝なのか?」「西日が当たるのか?」…というような観点でも考えなければならないのかと思います。

そのため、栽培環境については、私としても大雑把な解釈しかお話しできないかと思います。とはいえ、考えられる点については記載をしておきたいと思います。

まずは、「日当たり」についてですが、日照時間が長く必要な品種があることは確かだと思います。赤い薔薇や花弁の厚みが厚い薔薇については、日照時間が長くなると立派な花を咲かせてくれる傾向があります。赤色を鮮明に出させるためには、それなりに良い日照条件が必要ですね。

私が育てている殿堂入りの薔薇「イングリッド・バークマン」ですが、鉢植えで育てているので場所を変えて育てた経験があります。その結果としては、日照時間が長い時の方が深い深紅の赤色になったのを覚えています。

また、降水量については、病気に罹りやすい薔薇は確実に影響が出てくるかと思います。雨の影響で葉が黒星病になれば、蕾を咲かせるエネルギーを作り出せません。

ある品種の薔薇をお迎えした後、毎年開花の季節になってもほとんど蕾が開かない場合、そもそも御自宅の環境がその品種に合っていないことも考えられます。例えば、日照時間が全く足りていないということも考えられますよね!? この場合には、別の品種 (短い日照時間でも咲く品種) を新たに選んでお迎えする必要もあります。

「栽培環境」というのは、蕾が開かない理由として非常に考えやすい理由ではあるのですが、そこには様々な要因があることは忘れてはいけないと思います。

薔薇栽培のプロフェッショナルであっても、明確な答えは出せない領域だと思っています。

薔薇と会話ができたら、お気に入りの環境を聞くことが出来るんですけどねぇ…。でも、それはそれで花の女王から「我が儘」を言われそうで怖いですね (笑) 。


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原因④ 品種ごとの特徴の可能性あり -特徴を知りましょう-

4つ目の原因は、蕾が開きにくいというのが、その品種の「特徴」と言う可能性があるということです。

実は、上で紹介した蕾の多さや花弁数の多さも品種ごとの特徴の一つと言えば、その通りなのです。

しかし、春には全ての蕾が咲いたのに、秋は形成された蕾の1/2しか開花しなかった…ということになれば、それがその品種の特徴である可能性も出てきます。休眠期に蓄えてエネルギーを爆発させることで春はしっかりと咲いてくれるが、夏バテした後の秋の開花はちょっと苦手…これは明確なその品種の特徴になるかと思います。

実例を挙げると、2021年の年初にお迎えした「ジュード・ジ・オブスキュア」ですが、春の1番花と夏の2番花は全ての蕾が開花してくれたのですが、秋は蕾が出来てもほとんど開花しませんでした。

以下の記事でその詳細を紹介しています。

薔薇の栽培は、その品種の特徴を知ることも楽しみの一つです。

蕾が咲きにくいという特徴があるのであれば、一部の蕾が開かないことを許容してあげることも大切なのかもしれません。

原因⑤ それ以外の原因について -一般的に言われている事-

上記以外にも、薔薇の蕾が開かない理由には、様々な原因があると思います。

以下では、根詰まりや病気の事についても記載をしておきます。

根詰まりや根腐れによる株の不調

薔薇を鉢で育てている場合、根詰まりや根腐れが原因で蕾が開花しない可能性もあります。

薔薇ではありませんが、私が育てているクリスマスローズが全く花が咲かなかった年がありました。

その際に、根の状態を調べてみると、鉢が小さすぎて根腐れを起こしていることが判明したのです。

根腐れを起こしたら、花を開花させる養分を吸い上げることが出来ないため、花が開花しなくなってしまうでしょう。

根腐れや根詰まりはどのタイミングで起こるか…予想することは困難です。

蕾が開かないこと以外にも、株に不調が見られたら、根腐れや根詰まりを疑うことも必要かもしれませんね。

重い病気 (特に癌腫病) に罹ってしまっていること

薔薇の「重い病気」で、真っ先に思いつくもの…「癌腫病」ですね。

私も薔薇に癌腫病が見つかったことは何度かありますが、いつ見ても相当ショック受けるものです。

今年の記事でも紹介しましたが、ガブリエルの癌腫病が発覚したのは記憶に新しいものがあります。

このガブリエルの癌腫病の時に気付いたのですが、癌腫病が発生していた場所に近い枝は、少しだけ成長が悪くなっているように見て取れました (上の記事の中で詳細を紹介しています) 。

そのため、癌腫病は少なからず、薔薇の成長に影響を与えるものだと考えています。

癌腫病の進行状況や具合によっては、蕾の開花に影響を与えてもおかしくはないと思います。

灰色カビ病の可能性は?

蕾が開かない原因として考えられる病気の一つに「灰色カビ病」があります。

ただ、私は灰色カビ病を見たことが無いんです。育てている薔薇の蕾にカビが生えた状態を見たことがありません。

なので、灰色カビ病は相当レアなケースなのでは無いか…と思っています。

ただ、灰色カビ病という診断をする際に重要だと思うことがあります。

それは、灰色カビ病が原因で蕾が開かなかったのか、蕾が開かなくてカビが生えたのか、という切り分けです。

全く開いていなかった蕾を放置していて自然とカビが生えたのであれば、それはカビ病が蕾が開かなかった原因とは言えません。

逆に蕾が成長している最中に急に蕾にカビが生えてきたら、灰色カビ病が原因だと思って良いのかと…。

日々の観察が大切ってことですよね!

原因を追究するには少なくとも1年は必要!栽培条件を変えすぎないことも大切

蕾が咲かない原因は、短期間で明確に原因究明が出来るものではありません。

例えば、春の開花シーズンに薔薇の蕾が開かない状態になったとしたら、次の春の新芽の成長期に環境や栽培条件を変えてみる必要があります。

薔薇は植物ですので、1日や2日で育成状況が変わるわけではありません。少なくとも、新芽が形成されて開花が終わるまでの数か月間は様子を見る必要があります。

また、様々ある栽培条件を一気に変えてしまうと、何が改善して開花の状態が良くなったかが判断できないということも覚えておかねばなりません。

「1年前の春に比べて、開花の状態が良くなりました。肥料の種類を変えて、与える肥料の量も変更して、植替えを行って、日照時間も長くした成果だと思います!」と言われても、何が効いて開花の状態が改善したのかがわかりませんよね!

もし栽培条件を変更して薔薇の開花を改善したいのであれば、変更する条件は必要最低限にとどめておくい必要があると思います。

「そこまで深く考えたくない!」という方は、蕾が開かなかったことを深刻に考えすぎず、気楽に薔薇栽培を楽しむことも大切な事かと思いますよ。

この記事の最後に

少し長い記事でしたが、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございます。

この記事では、薔薇の蕾が開かない原因について、私の薔薇栽培の経験を基に考えられる原因を御紹介させていただきました。

薔薇は花の女王と呼ばれるだけあって、豪華に綺麗に咲かせるには苦労するポイントがたくさんあります。一般的な草花であれば、適当に育てていても花は開花してくれますが、薔薇の場合はそうはいかないこともあります。

蕾が開かなかったことは、非常に辛いことではあります。しかし、少しポジティブに考えれば、その原因を追究することで、次は確実に咲かせる技術が身に付けられるということなのかと思います。

一筋縄ではいかない薔薇栽培ですが、その難しさを楽しく思えるのも「趣味」なのかもしれません。

上で紹介した通りですが、今年の秋は私が育てている「クラリス」の蕾が一部開花しませんでした。

クラリスから私に課せられた、考えるべき宿題に思えます。

提出期限は来年2022年の夏剪定の時期ですね…。

では!

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