放置された薔薇の冬剪定 ~春の開花を見据えて~

皆様、あけましておめでとうございます。

本年も当ブログ「明日は明日の薔薇が咲く」を、よろしくお願い致します。

2022年の最初の投稿となりますが、タイトルの通りで「放置された薔薇」の冬剪定について、簡単ですが記事を作成していきたいと思います。

コロナ禍による緊急事態宣言により、2年ほど実家に帰省をしていませんでした。2021年の年末は感染状況が落ち着いたことと、ワクチンの接種を完了したことを受け、久しぶりに実家に帰省してきました。

実家には、私が母親にプレゼントした薔薇の鉢植えがあるのですが、母親は薔薇の剪定などに詳しくないため、放置に近い状態で管理をしております。花後の花がら摘みはしていますが、冬剪定や夏剪定などはしておらず、基本的に薔薇が成長したいように成長させている状態でした。

この状況だと、2022年の春に立派な花を咲かせるのは難しいと思われたため、しっかりと冬剪定をしてあげて関西に戻ってきました。

その時の冬剪定の様子を、本記事で紹介したいと思います。

あくまでも剪定方法の一つの例としてご覧いただけましたら幸いです。


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今回紹介するのは筆者が母親にプレゼントした薔薇の例

私の母親も園芸や野菜の栽培が趣味で、鉢植えでの草花の栽培や家庭菜園を長く楽しんでいます。

そんな母親にも薔薇の素晴らしさを分かってもらいたいと思い、2019年の冬に2株の薔薇をプレゼントしました。

「フィネス」と「ノヴァーリス」です。

フィネスは小山内先生が育種をされた香りが素晴らしく病気にも強い薔薇、ノヴァーリスも2010年にドイツのコルデスによって作出された病気に強い紫色の薔薇です。

母親が薔薇を育てたことが無かったので、農薬が必要な品種は避けたいと思い、病気に強いこの2品種を贈りました。

プレゼントした後になりますが、毎年大きな病気も無く、開花シーズンには繰り返し綺麗な花を咲かせてくれているとのことでした。

そのフィネスとノヴァーリスですが、2021年の年末に帰省した際には枝が伸び放題になり、立派な花を咲かせるのが難しいような状態となっていました。

プレゼントした際に剪定の方法を伝えたつもりでしたが、やはり言葉で伝えただけでは駄目だなあ…と感じた瞬間でもありました。

そこで、実際に剪定の様子を見てもらい、剪定のやり方を細かく伝授してきました。

「可愛そうで深く剪定できない…」という薔薇の例

では、フィネスとノヴァーリスの状態を見ていただきたいと思います。

それぞれ、株の全体の写真や細かな特徴も紹介します。

フィネスの状態を紹介

一つ目の例がフィネスです。

非常に樹形が良いように思えますが、次の写真の様に、各枝の頂点部から細かな枝ばかりが出ている状況であり、あまり良い花が咲きそうにない印象があるのではないでしょうか?

フィネスの花は大輪ではなく中輪ですので、少し細い枝にも咲いてくれます。しかし、花弁数を多くして花の大きさを大きくしようと考えるのであれば、もう少し太い枝で咲かせたいところですね。

また、所々に枯れた枝も残っていることが分かるかと思います。

このような枝は残しておく意味が全く無いので、今回の剪定でしっかりと切り取ってしまおうと思います。

ノヴァーリスの状態を紹介

二つ目の例が、次の写真のノヴァーリスです。

こちらの株もフィネスとほぼ同じような状況でした。

開花後にしっかりと剪定をしていないため、頂点部から細かな枝がたくさん出てきている状況です。

各枝の頂点部に「ほうき状」になった新芽が目立ちますが、これらは葉を十分に展開する能力も無いような状態です。

ただ、株元を見てみると、次の写真の青矢印で示すように、新芽が顔を出しているんですよ!

ノヴァーリスには根元から太い枝を出す意思があり、あとは私たちがこの枝を伸ばせるようにしっかりとサポートしてあげるだけなんです!これは春以降にサイドシュートの発生が期待できそうです!

さて、皆さんなら上で紹介したフィネスとノヴァーリスをどのように剪定されますか?

私の母親が、あまり深い剪定を得意としていないことから、今回の剪定ではしっかりと切り戻して、枝の整理を進めていこうと決めました。

では、実際に剪定を施したフィネスとノヴァーリスを以下で紹介します。


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放置された薔薇の冬剪定① -フィネス編-

最初の剪定例はフィネスです。

フィネスは枯れた枝が残っている状態で、細い枝がたくさんある状態でした。

そこで、下の写真の様にバッサリと根元付近から剪定をしています。

このフィネスの株の良い所は、細い枝が多いだけでは無く、太い枝の数が多い事です。

剪定してみても分かることですが、これだけしっかりとした枝がたくさんあるということは、それだけ立派な花をたくさん咲かせることができる充実した株であるということなんですよね!

剪定を終えた時点で「今年の春の開花は素晴らしいものになるのではないか!?」と思えるような状態でした。

剪定後のフィネスの姿を見た母親は「えぇ~~!こんなに切っちゃうの!?可哀想!!」と言っていました…。

薔薇の剪定は「切る勇気」が必要なんです。それを母親にも再度伝えておきました。

放置された薔薇の冬剪定② -ノヴァーリス編-

次はノヴァーリスの剪定後の姿です。

こちらも、フィネス同様にしっかりと枝を切り戻してあげました。

古い枝は全て切り落とし、太い枝も根元部分だけを残して切り落としています。

株元から新芽の発芽が確認出来たので、ここまで切り戻してあげれば、株元の新芽にも栄養分が行き渡り、太い枝が出てきてくれるものと期待をして剪定しました。

このノヴァーリスは、多くの太い枝が2年前に出てきていた枝で、枝の勢いが少し弱いように思えました。

そのような状態の株については、私の場合、春の成長で枝を一新してあげられるような剪定を心掛けています。

きっと春には元気で太い枝が根元からたくさん出てきてくれるものと思っています。


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薔薇は剪定して樹形を整えながら咲かせる植物

薔薇の剪定は「難しい」という印象を持つ方が多いと聞きます。

しかし、つる薔薇の様に長く蔓を伸ばして咲かせる場合を除き、薔薇はしっかりと剪定をして咲かせる植物です。

剪定をしないことには、多くのデメリットがあります。例えば、

・剪定しないと細い枝ばかりが植えるため花のサイズが小さくなる

・花の数が少なくなる

・病気の葉がずっと残ってしまう

・新しい新芽が伸びず、葉の数が少なくなる

・ベーサルシュートやサイドシュートの発生が少なくなる可能性がある

などです。

これだけ多くのデメリットが発生する可能性があると聞けば、しっかりと剪定をしようと言う気になるのではないでしょうか?

また、薔薇の剪定は花を咲かせるためだけのものではありません。

薔薇は樹形を整えて美しく咲かせる植物でもあります。

薔薇は花の女王であり、花の美しさに加えて樹形も美的観点で重視すべきポイントだと常々思っています。

品評会や新品種発表会で展示されている薔薇を思い出してみて下さい。花も綺麗ですが、それに匹敵する美しい樹形をもつ薔薇の株が展示されています。

「花の美しさ」と「樹形の美しさ」の両立・バランスが大事ってことなんですよね!?

それを実現するために必要な事が剪定だと思います。

さらに言えば、剪定をしてあげれば新芽が必ず出てくるので、黒星病などで失われた葉が再生できるというメリットもありますね。

この記事の終わりに

さて、2022年の最初の記事となりましたが、「実家の母親にプレゼントした薔薇を剪定してきた!」というテーマで書かせていただきました。

薔薇の栽培に慣れていない方に薔薇をプレゼントすると、たいていの場合、あまり剪定をせずに育てている場合が多いです。

多くの場合、「切ったら薔薇が可哀想」「切ると枯れるかも」という理由から深く剪定が出来ていない場合が多いです。

薔薇は他の草花とは少し違うお世話が必要であるため、薔薇をプレゼントした側にも、お世話の仕方を教えてあげる責任があるといつも思っています。

皆さんも、知り合いのお家に放置された薔薇があったら、冬剪定でしっかりと切り戻す作業をお手伝いしてあげて下さい!(笑)

最後になりますが、もう一度…… 本年もよろしくお願い致します。  では!

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